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業務上横領罪とはどんな罪? 執行猶予はつくのか? 判例も交えて解説

2018年12月03日
業務上横領罪とはどんな罪? 執行猶予はつくのか? 判例も交えて解説
  • 財産事件
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業務上横領罪とはどんな罪? 執行猶予はつくのか? 判例も交えて解説

業務上横領罪は、業務として他人の物を預かっている人が、その物を横領したときに成立する犯罪です。たとえば、業務として集金を行っている人が、その集金した現金を自分のものにして使ってしまうようなケースが相当します。
横領罪は「単純横領罪」「業務上横領罪」「占有離脱物横領罪(遺失物横領罪)」の3つに分けられ、それぞれ定義が異なり罰則も異なります。
今回は、業務上横領罪を中心に、業務上横領罪とはどのような罪で量刑はどれくらいなのか、過去の判例も交えて解説します。

1、横領罪とは

横領とは、委託を受けて自分が占有する他人の物を、自分の物にしてしまうことです。横領罪が成立するためには「自分のものにしてやろう」という「不法領得の意思」が必要です。
横領罪は「単純横領罪」「業務上横領罪」「占有離脱物横領罪(遺失物横領罪)」の3つに分けられます。
それぞれの定義や罰則を解説します。

  1. (1)業務上横領罪とは

    業務上横領罪とは、業務として他人の物を預かっている人が、その物を横領したときに成立します。たとえば、業務として集金を行っている人がその集金した現金を自分のものにして使ってしまうようなケースや、会社の経理担当者が会社のお金を自分の口座に移すようなケースが当てはまります。
    業務上横領罪の刑罰には罰金刑がなく、刑罰は10年以下の懲役刑です(刑法253条)。

  2. (2)単純横領罪とは

    単純横領罪とは、委託を受けて自分が占有する他人の物を自分の物にしてしまったときに成立します。たとえば、友人から借りているDVDを無断で売却する場合などが、単純横領罪に当てはまります。単純横領罪の刑罰は、5年以下の懲役刑です(刑法252条)。

  3. (3)遺失物横領罪とは

    占有離脱物横領罪(遺失物横領罪)とは、たとえばバス停の待合所などに忘れておいてあったバッグを黙って自分のものとしてしまうような行為がこれにあたります。遺失物横領罪の刑罰は、1年以下の懲役または10万円以下の罰金もしくは科料(1000円以上1万円未満の金員の支払)です(刑法254条)。

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2、業務上横領罪と被害申告の関係性

業務上横領罪は非親告罪なので、理論上は告訴がなくても起訴され得る犯罪です。しかし会社内で起きることが多い犯罪であることから、通常、被害申告がなければ捜査機関に事件が発覚しません。被害届または告訴状が提出されなければ、警察から捜査を受けることや、逮捕、起訴されることも可能性としては低いということです。
また会社としても警察沙汰にしたくないという理由で被害申告をしないことが珍しくありません。内々で済めば逮捕、起訴、裁判になることはなく、当然、前科がつきません。まずは被害届や告訴状の提出を回避することが望ましいでしょう。

  1. (1)被害届と告訴状について

    被害届とは、犯罪が発生した事実を捜査機関に申告する書類です。被害届が提出されると、捜査機関の判断によって捜査が開始される場合があります。
    告訴状とは、犯罪の被害に遭った事実を捜査機関に申告し、さらに加害者への処罰を求めるための書類です。捜査機関は告訴状を受理すると捜査する必要があるため、証拠や適切な書類を用意していなければ簡単には受理されません。
    したがって、すでに告訴状が受理されている場合には、業務上横領の証拠があり、会社側の処罰感情が強いため、加害者には不利な状況にあると推察されます。

  2. (2)被害申告を回避するには謝罪と弁済が重要

    被害届や告訴状の提出を防ぐためには、早い段階で会社から許しを得る必要があります。そのためには被害回復を図ることが重要です。反省や謝罪の意を示すことも大切ですが、会社は損害を受けていますので、横領したお金を返さなければ許してもらえないでしょう。全額を一括返済できればよいですが、難しい場合は少しでも多くお金を返し、残りの分は今後の返済計画を示すことが大切です。

  3. (3)業務上横領で被害届や告訴状を提出されると必ず逮捕される?

    逮捕とは身柄拘束をともなう手続きを言いますが、どのようなケースでも必ず逮捕されるわけではありません。
    まず、横領した金額が高額ではなく、身元が明らかな場合には、在宅事件として扱われ、身柄を拘束されずに済むことも多くなります。これは、被疑者が逃亡する可能性や証拠を隠滅する可能性が低く、逮捕の必要性が認められないからです。
    また、被害届や告訴状の取り下げがなされた場合は逮捕されないことがあります。被害届や告訴状が取り下げられたということは被害者の処罰感情が緩和されたことの表れですので、逮捕されない可能性が高くなると言えます。
    さらに示談が成立している場合も逮捕されない可能性があります。示談の中で被害届や告訴状の取り下げを約束した場合や弁済が済んでいる場合には、逮捕しないという判断になる場合があるのです。

    もっとも、逮捕されなくとも捜査対象となり、在宅のまま起訴される場合もあります。とはいえ、身柄拘束がなく日常生活を送れるため、その間に働き口を探す、親族から借りるなどの方法で返済金の確保につながりやすく、結果的に示談や被害弁償を行うことができる可能性が高まることになります。

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3、業務上横領罪の逮捕から判決が出るまでの流れ

業務上横領罪で逮捕されると、どのような流れで刑事手続きが進められるのでしょうか。逮捕から判決までの流れを解説します。

  1. (1)逮捕

    いつ、どこで逮捕されるのかは分かりません。会社がひそかに被害申告をしていれば、職場に向かう途中で突然逮捕されるかもしれません。すでに被害申告をした旨が伝えられ、自宅待機を命じられていたのなら、自宅にいる間に捜査員がやってくることもあるでしょう。任意で取り調べを受けた後に改めて逮捕されることもあります。
    なお、事件発覚から逮捕までに時間がかかることがあります。業務上横領罪は多数回に分けて金銭を領得したり、他人名義の口座に入金したりと複雑な事案が多く多く、捜査に時間が必要だからです。

  2. (2)警察の取り調べ

    逮捕後、まずは警察で取り調べを受けます。警察は逮捕から48時間以内に事件を検察庁へ送る(送致)か否かを判断しなくてはならず、時間的な猶予がありません。したがって、取り調べは厳しくなる可能性があります。業務上横領の場合は事件が複雑であることが多く、余罪も含めて捜査されるため、何度も取り調べが行われることがあるでしょう。

  3. (3)検察への送検

    警察が必要だと判断すると、事件は検察庁へ送られます。検察官は送致から24時間以内に取り調べ(弁解録取)を行い、引き続き身柄拘束をする必要があると判断すれば裁判官へ勾留請求を行います。

  4. (4)勾留

    裁判官が勾留請求を却下すると身柄を釈放されます。一方、裁判官が勾留を認めると、原則10日間、延長を含めると最長で20日間、身柄を拘束され、引き続き取り調べを受けます。もっとも、業務上横領で余罪が多数あり、当初の容疑とは別件でも逮捕される場合には、トータルの身柄拘束期間が長引く恐れがあります。
    検察官は勾留期間が満期を迎えるまでに起訴、不起訴の判断を行います。

  5. (5)起訴

    不起訴となれば身柄を釈放されますが、起訴されると被疑者から被告人と呼び名が変わり、その後は裁判を待つ身となります。
    すでに起訴されたこの段階でも、会社へ謝罪の手紙を送る、家族や弁護士を通じて被害弁済を続ける、家族が監督する体制や生活環境を整えるなど、裁判で量刑を軽くしてもらうためにできることは多数あります。

  6. (6)起訴後の勾留

    一般的に起訴から第1回公判期日(裁判の期日)までは1ヶ月程度かかりますが、その間は起訴後の勾留段階に入ります。被告人には保釈という制度がありますが、業務上横領の場合は反復継続して金銭を着服しているケースが多いため、被害金額が多く想定される刑罰も重いと判断される場合には保釈されない可能性があります。
    起訴後の勾留を経て裁判となり、有罪または無罪の判断と、有罪の場合には量刑が言い渡されます。

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4、業務上横領罪での懲役は? 刑罰、実刑、執行猶予について

業務上横領罪では罰金刑がありません。法定刑は10年以下の懲役ですので、執行猶予がつかなければ最長で10年もの間、刑務所に入らなければならない重い罪です。
懲役刑になると外部との自由な交流が制限され、刑務作業に従事しながら刑期をまっとうしなくてはなりません。
量刑は横領した金額やその他の情状によって変わります。内容によって執行猶予がつく場合もあります。
横領した金額が多いほど、実刑判決となる恐れが高まります。反対に横領した金額が少ないのであれば実刑を免れ、執行猶予つき判決となる可能性が生じます。
執行猶予がつくと身柄が拘束されることなく、日常生活を送ることができます。そして猶予期間中に再び罪を犯さない限り、刑の執行が免除されます。

ただし、繰り返しになりますが業務上横領罪には罰金刑がないため、起訴されれば必ず懲役刑が求刑されることとなります。起訴されると日本の刑事裁判の有罪率は99%を超えていることから、有罪となる可能性が高いと言えます。

業務上横領罪で逮捕された場合には、できるだけ早急に被害者に弁償をして、示談を成立させることが重要です。示談が成立していると、不起訴となる可能性が高まるからです。

しかし、業務上横領罪の場合、示談が成立しにくいケースが多いと言えます。その理由は被害額が高額になる傾向にあるからです。

被害が弁償できないなら、会社としても本人を許そうという気持ちにならず、示談もまとまりにくくなります。そのため、被害の弁償について減額してもらうよう交渉したり、分割払いを認めてもらったりと、誠意を示しつつも弁済方法を工夫することが必要です。

被害に遭った会社の事情として、加害者が刑務所に入ってしまうとすぐに弁済を受けられなくなるため、減額や分割にはある程度応じてもらえる可能性があります。
業務上横領を犯す人が経済的に余裕があるとも考えにくく、通常は懲戒解雇となり職を失っていますので、全額の一括返済が難しいことに関して一定の理解を示してもらえることもあるでしょう。

そうした話し合いをひとりで進めていくのは困難が予想されるため、早期に弁護士に相談し、会社との交渉を弁護士に任せてしまうことが重要です。

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5、業務上横領罪の判例

業務上横領罪が成立した事件の判例です。

  1. (1)業務上横領罪で執行猶予がついた判例

    県の職員である被告人が、いわゆるプール金800万円を着服横領し、業務上横領の罪に問われた事件です。
    被告人は現金800万円を、自分名義の口座に入金した後、証券取引やゴルフ会員権の購入、遊興費などに使用しました。裁判では、被告人の刑事責任は重いものの、被告人は横領した金員と定期預金の利息相当額を県に返還しており被害回復がなされていることや、事件がマスコミにも大きく取り上げられ、有罪判決が確定すれば公務員の地位を失い、退職金も支給されないなどの社会的制裁を受けることが必至であることなどが考慮されて、懲役3年、執行猶予4年の判決となりました。
    (事件名:業務上横領、裁判年月日・平成16年11月24日、静岡地方裁判所)

  2. (2)業務上横領罪で実刑判決となった判例

    学校の理事長であった被告人が、学校の預金小切手を業務上預かり保管中、29回にわたって計1億3500万円を着服横領するとともに、学校の現金合計3000万円を業務上預かり保管中、被告人名義の口座に振り込み入金させて着服横領した事件です。
    裁判では、被告人は学校の最高責任者の地位にありながら、自らの生活費や遊興費、さらには親族や交際相手の女性に渡す金を手に入れるために各犯行に及んだものと認められるものであり、公私混同であること、身勝手かつ自己中心的な動機であるなどとして、被告人を懲役7年、2000万円の罰金という判決が下されました。
    (事件名:業務上横領等被告事件、裁判年月日・平成18年2月24日、仙台地方裁判所)

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6、業務上横領の罪は家族にも責任が及ぶ?

業務上横領について家族に責任があるケースというのは、業務上横領について家族が共謀した場合です。
横領が家族と共謀したといった事実がない限り、家族に責任が及ぶことはありません。
たとえば、夫が会社のお金を横領し、妻が横領されたお金と知らず日常的な生活費として使ってしまったとしても妻が業務上横領罪に問われる可能性は低いと言えるでしょう。また、仮に被害を受けた会社が夫の家族に対して横領されたお金の返済を求めて民事訴訟を起こしたとしても、会社の請求は棄却される可能性が高いと言えます。

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7、まとめ

業務上横領罪には罰金刑がなく、有罪となれば懲役刑を受ける重い犯罪です。
会社のお金を横領している方は、発覚することを恐れながらも具体的な行動が起こせず、時間だけがどんどん経過していくケースがあります。ひとりで悩んでいても事態は改善することはありませんし、むしろ状況は悪化していきます。もし業務上横領を犯してしまいどうしようとお悩みを抱えているようでしたら、 ベリーベスト法律事務所までご相談ください。弁護士が相談に乗り、適切なアドバイスを行います。

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監修者

  • 萩原 達也
    弁護士萩原 達也

※本コラムは公開日当時の内容です。
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