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教唆とは?傷害事件における教唆の事例や成立要件を解説

2019年10月16日
教唆とは?傷害事件における教唆の事例や成立要件を解説
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教唆とは?傷害事件における教唆の事例や成立要件を解説

口論やちょっとしたいさかいが原因で喧嘩になり、相手に暴力を振るって怪我をさせてしまうといった事例は数多く存在します。この場合、相手に暴力を振るって怪我をさせた者が刑法に定められている「傷害罪」に問われることはご存じの方も多いでしょう。
では、もしあなたが「殴ってこい」と指示をした結果、指示を受けた者が相手を殴って怪我をさせたのであれば、罪に問われるのは実際に殴った者だけなのでしょうか?
その答えは、「指示をした者も罪に問われる」というのが正解です。
他人に犯罪を指示し、実際にその犯罪がおこなわれた場合、指示を与えた者は「教唆犯」として処罰の対象となります。

教唆犯とはどういったものなのでしょうか?教唆犯はどんな条件を満たしている場合に成立するのでしょう?
この記事では「教唆犯」について詳しく解説します。

1、教唆とはどういう行為なのか?

教唆という用語を国語辞典などで調べると「教えて唆す(そそのかす)」という意味があります。
一般的に教唆といえば「相手をそそのかして行動を起こさせる」といった使い方になりますが、法的な用語としてさらに詳しい定義を知りたいならば、刑法第61条に注目するべきでしょう。

刑法第61条
1、人を教唆して犯罪を実行させた者には、正犯の刑を科する。
2、教唆犯を教唆した者についても、前項と同様とする。

法的に見ると、教唆とは「犯罪をする意思のない人をそそのかして、犯罪行為の決意を生じさせること」です。そして、教唆した者を「教唆犯」と呼びます。

教唆犯が成立するには、大きく2つの条件があります。

  • 相手を「そそのかす」こと
  • そそのかされた相手が正犯になること

そそのかす行為は、犯罪をする意思のない人が犯行を決意する程度であれば足ります。そのため、具体的な氏名を挙げて「◯◯を殴れ」とまで指示する必要はありません。また、「◯◯を殴ったら10万円を渡す」と利益誘導することも該当します。
さらに、犯罪行為の日時、場所、方法などの詳しい指示や、直接会って口頭で指示する、電話やメールで指示するなど、そそのかす行為そのものの方法も問いません。

また、教唆を受けた者が正犯にならない限り、教唆犯は成立しません。たとえ、そそのかす行為をしても、相手が犯罪行為に至らなければ教唆犯は成立せず、相手が犯罪行為を起こすことではじめて教唆犯が成立します。

刑法第61条の条文にあるとおり、教唆犯は「正犯と同じ刑罰」が科せられます。たとえば、傷害罪の法定刑は「15年以下の懲役または50万円以下の罰金」なので、そそのかす行為を受けて正犯となった者は、この範囲内で刑罰を受けますが、教唆犯も同じく傷害罪の刑罰を受けることになるわけです。
教唆犯が存在する場合、正犯と教唆犯の量刑は、犯罪への関与や主従関係などに大きく影響を受けます。

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2、傷害事件における教唆の事例

実際に起きた傷害事件で、教唆犯の成立が問われたケースや、実際に教唆犯が成立したケースを挙げてみましょう。

  • 監督がアメフト選手に危険行為を指示したケース

    平成30年5月におこなわれた大学アメリカンフットボールの試合で、日本大学の監督・コーチ陣が選手に「相手をつぶせ」と指示をしたため危険行為が発生し、選手が傷害罪に問われた事例です。
    報道では、監督・コーチの行き過ぎた指導や圧力が問題視され、大きな話題となり、警察も傷害罪の教唆犯として関係者の取り調べをおこないましたが、具体的な指示行為の存在が明らかにならず、立件は見送られました。

  • 暴走族OBによる集団暴行の教唆を認めたケース

    平成14年、東京都内の暴走族のOBが現役メンバーに対して「お前たちがおとなしくしているからなめられている、やってしまえ」などと叱責して、敵対グループの襲撃を指示した事例です。
    この指示を受けた現役メンバーは、敵対グループのメンバーを集団で取り囲んで暴行を加えて怪我をさせました。
    実際の襲撃には、教唆したOBは参加していませんでしたが、検挙されたメンバーが「OBの指示で襲撃した」と供述し、教唆犯の容疑が強まったためOBも逮捕されました。

  • 暴行を指示した結果、傷害致死罪の教唆が認められたケース

    大正13年の非常に古い判例ですが、教唆犯の基本的な考え方のひとつとして今も重視される事例です。
    暴行を教唆したところ、教唆を受けた者が相手に対して過度な暴行を加えてしまい、相手が死亡しました。実行犯は傷害致死罪が適用され、教唆犯も「人の身体を不法に侵害する認識を持って活動した結果、相手を死亡させた」として傷害致死罪が適用されました。
    たとえ暴行・傷害の指示であっても、さらに重大な結果が生じた場合はその責任を問われることになります。

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3、教唆と幇助の違い

教唆は「共犯」の一形態ですが、同じように共犯として扱われるものに「幇助犯」があります。教唆犯とはどのような違いがあるのでしょうか。
幇助とは、犯罪行為の手助けをすることで、正犯の犯罪行為を容易にする行為を指します。
幇助犯が成立する要件は大きく3つです。

  • 正犯を幇助する
  • 幇助を受けたことで正犯が犯罪行為を実行する
  • 幇助側に犯罪であるという認識がある

「正犯を幇助する」という要件があるため、いくら幇助しても、その相手が正犯にならない限り幇助犯は成立しません。
もし幇助を受けても、犯行を取りやめてしまった場合は正犯がいなくなるため幇助犯も存在しないことになります。

「幇助を受けたことで正犯が犯罪行為を実行する」とは、幇助行為によって犯行が容易になった場合を指します。
たとえば、傷害目的でナイフを用意して手渡す行為や、周囲で見張りをして通行人などの発見を妨げる行為などが該当します。

「幇助側に犯罪であるという認識が必要」であるため、たとえばコンビニエンスストアの店員がナイフを販売し、そのナイフで傷害事件が発生したとしても、店員は罪に問われません。
一方で、幇助側に「犯罪を容易にする」という意思があれば、幇助を受けた側が具体的に幇助の意思に気づいていなくても成立します。

幇助犯は、刑法第62条によって「従犯とする」とされており、さらに同63条において「従犯の刑は、正犯の刑を軽減する」と規定されています。つまり、幇助犯が成立した場合、正犯よりも軽い刑罰が科せられることになります。
教唆犯は「犯罪の意思がない人に犯罪を実行させる」という意味で悪質となるため、幇助犯と比べると刑罰が重くなるというわけです。

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4、他人に実行させる共犯の種類

自らが犯罪を実行せず、他人に実行させる行為としては教唆・幇助のほかに次のものが挙げられます。

  • 間接正犯

    教唆犯や幇助犯ともっとも近いのが間接正犯です。
    間接正犯では、他人の行為を利用して自己の犯罪を実現します。たとえば、患者を毒殺しようと企てた医師が、毒物入りの注射器を看護師に手渡し、看護師が注射することで殺害する行為が該当します。
    実際には他人の手によって犯罪が実行されますが、犯罪を実行した人は単なる道具にすぎないため、自らが正犯に問われます。

  • 共謀共同正犯

    二人以上の者が共同して犯行を企てて犯罪実行に至った場合は共謀共同正犯になります。
    共謀共同正犯の成立には、意思の連絡と正犯であることの意思、共謀に基づく実行行為が必要とされています。たとえ自分ではない一方が実行行為をしたとしても、共謀と正犯意思があれば正犯となるため、たとえば「自分が見張りをしているうちに相手を殴れ」といった主導があれば、幇助犯ではなく共謀共同正犯となり、正犯の刑が科せられます。

また、自分自身も実行行為に加わる場合は、「共同正犯」になります。刑法第60条の規定により、二人以上で共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯の刑罰が科せられます。
「すべて正犯」となるため、たとえば自分が殴っても相手は怪我をせず、共犯者が殴ったことで相手が怪我をした場合でも、自分と共犯者の両方が傷害罪に問われます。

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5、まとめ

教唆とは、犯罪の意思がない人に対して直接的な犯行を指示したり、具体性はないまでもアドバイスをしたりといった方法で、犯行を決意させることをいいます。同じく共犯のひとつである幇助と比べると「犯罪を決意させた」という点が重く評価され、正犯としての刑罰が科せられてしまうのです。
直接的な指示だけでなく、自分自身では単にアドバイスをしただけという認識でも、相手のとらえ方によっては教唆犯が成立してしまうことがあります。教唆犯として刑罰を受けるのではないかと不安になっている方は、早めに弁護士に相談するべきでしょう。
ベリーベスト法律事務所には、刑事事件の弁護実績が豊富な弁護士が在籍しています。教唆や幇助をはじめとした共犯関係についても、状況に応じて適切なアドバイスをいたします。
「教唆犯になるかもしれない」という心当たりがあり、不安を感じている方は、ぜひベリーベスト法律事務所までご相談ください。

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監修者

  • 萩原 達也
    弁護士萩原 達也

※本コラムは公開日当時の内容です。
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