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詐欺罪の定義。刑法において詐欺罪が成立する構成要件と刑罰について

2020年05月22日
詐欺罪の定義。刑法において詐欺罪が成立する構成要件と刑罰について
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詐欺罪の定義。刑法において詐欺罪が成立する構成要件と刑罰について

令和2年5月現在、警察庁は、新型コロナウイルス感染症の発生に乗じた犯罪に気をつけるよう、広く注意を呼び掛けています。特に、特別定額給付金に関する詐欺に注意するよう呼びかけており、警察庁のホームページでは、「給付金のサギ(詐欺)に注意!!」と題したパンフレットも公開しています。

「詐欺」は一般的にはよく聞く言葉ですが、法律で定められた「詐欺罪」の定義や要件は非常に複雑です。そのため、詐欺罪は刑法に定められた犯罪のなかでも特に成立の要件が難しいといわれています。

1、詐欺罪とはどのような犯罪か

「詐欺」という用語は一般的な会話にもよく登場しますが、法律で定められた「詐欺罪」の定義や要件は非常に難解です。詐欺事件では「そもそも詐欺罪が成立するのか?」が争点になることも少なくありません。

ここでは、詐欺罪とはどのような犯罪なのかを解説します。

  1. (1)詐欺罪とは

    詐欺罪は刑法第246条に規定されている犯罪です。
    「人を欺いて財物を交付させた」場合に成立します。

    わかりやすい言葉を使えば、他人から金品などをだまし取った場合に詐欺罪として問われると考えれば良いでしょう。
    よく、うそをついたり大げさなことをいったりすると、一般的な会話では「詐欺だ」と指摘することがありますが、このようなケースでは刑法の条文が示す「財物を交付させる」という点が抜け落ちています。つまり、一般的な会話に登場する詐欺が必ずしも刑法に定められている詐欺罪の要件を満たしているとはいえないのです。

    また、刑法第246条2項によれば「(人を欺くという方法によって)財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者」も詐欺罪で処罰されます。
    これも平易な表現では「代金支払いを免れる」と言い換えられるでしょう。

    さらに、刑法第246条の2では「人の事務処理に使用する電子計算機に虚偽の情報若しくは不正な指令を与えて財産権の得喪若しくは変更に係る不実の電磁記録を作り、又は財産権の得喪若しくは変更に係る虚偽の電磁的記録を人の事務処理の用に供して、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者」についても、電子計算機使用詐欺罪として詐欺罪と同様に処罰されます。
    これは、たとえば銀行システムなどに偽の電磁記録を作ったり、悪用したりして銀行から他人の財産を盗む行為にあたります。

  2. (2)代表的な詐欺の逮捕事例

    詐欺罪として処罰される代表的な手口について、実際の逮捕事例を見ていきましょう。

    • 架空請求詐欺

      令和2年1月、タイ国内を拠点とした特殊詐欺事件で主犯格の男性2名が逮捕されました。この事件では、主犯格を含めて28人が逮捕されています。

    • 結婚詐欺

      令和2年1月、50歳代の男性に結婚話をほのめかしつつ「以前の交際相手に借金を返さなければならない」と相談して、現金をだまし取った女性が逮捕されました。男性が現金を渡したあとで連絡が取れなくなり、被害が発覚したとのことです。

    • キセル乗車

      平成29年10月、団体職員の男性が低額の鉄道切符を購入して電車に乗り、もっていた定期券を使って目的地で下車する行為を繰り返して正規の運賃支払いを免れたとして、電子計算機使用詐欺罪で逮捕されました。

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2、詐欺罪が成立する5つ構成要件

詐欺罪が成立するには5つの構成要件を満たす必要があります。
ここで挙げる5つの要件のうち、ひとつでも該当しないものがあれば詐欺罪は成立しません。

  1. (1)欺罔(ぎもう)行為|錯誤を引き起こさせる行為

    詐欺罪の成立を非常に難しくさせる特徴的な要件が「欺罔(ぎもう)」です。
    欺罔とは、人を欺(あざむ)いてだます行為を指します。

    簡単にいえば「うそをいう」ことが欺罔行為にあたりますが、欺罔行為とみなされるのは故意に虚偽の事実を伝えた場合です。たとえば「来月の給料で返済する」と伝えて借金をしたところ、給料の未払いによって返済ができなかった場合は、不測の事態によって見込みと違った結果が起きただけでうそをついたわけではないので、欺罔行為にはなりません。

  2. (2)相手方の錯誤|錯誤に陥る行為

    欺罔を受けた被害者が「錯誤」に陥っていることが詐欺の要件として必須です。
    錯誤とは、内心的効果意思と表示行為が対応せず、しかも表意者がその不一致を知らないことと説明されます。簡単にいえば「うそにだまされて信じ込んだ状態」を指すと考えれば良いでしょう。

    錯誤によらない財産移転は窃盗罪として扱うのが一般的です。ただし「どうせうそだろうと思うが、返済してくれなければ裁判所に訴えればいい」とお金を渡したなどのケースでは、錯誤に陥っておらず、窃盗でもないので、犯罪は成立しないでしょう。

  3. (3)財物の処分行為

    詐欺罪における「処分行為」とは、つまり「金品を渡す」ことを指します。
    被害者自らが財物や財産上の利益を交付することによって処分行為が完成するため、たとえば被害者が目をそらしているすきに、物品を持ち去る行為は詐欺罪ではなく窃盗罪で論じることになります。

  4. (4)財物・利益の移転

    欺罔・錯誤・処分行為(交付)による一連の流れから財物・財産上の利益が移転した時点で詐欺罪が成立します。ここまでの要件を満たしていても、最終的に財物・財産上の利益の移転がなければ詐欺未遂です。

  5. (5)財産的損害

    厳密には詐欺罪の構成要件ではありませんが、詐欺罪は財産を対象とした犯罪であるため「財産的損害」の発生も求められます。
    たとえば、取引先にうそをついて錯誤に陥らせて、本来の支払日よりも早く代金を支払わせたケースでは、本来的に代金支払いを受ける権利を有していたため取引先にとっては損害が発生していないことになり、詐欺罪は成立しないと考えるのが妥当です。

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3、詐欺罪の刑罰と時効について

詐欺罪の刑罰は「10年以下の懲役」です。
罰金刑はないため、有罪判決を受ければ懲役刑は免れません。執行猶予がつかない限り、確実に刑務所に収監されてしまう重罪です。

詐欺罪の時効は刑事訴訟法という法律によって7年間と定められています。
詐欺事件では「どの時点から7年間を計算するのか」が問題となりますが、詐欺罪の完成は処分行為によって既遂となった時点を起算点とします。
相手に虚偽の事実を伝えられてだまされた時点ではないので、欺罔と交付までの期間が空いている場合は注意が必要です。

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4、初犯の場合はどうなるのか

刑事裁判では、初犯であれば量刑が軽くなり、詐欺事件を繰り返して何度も処罰を受けていれば厳しい処罰が下されるのが基本です。
ただし、初犯であっても、被害額が高額である場合や、振り込め詐欺などのように不特定多数を狙った組織的な詐欺事件の場合は、財産的損害が大きく悪質性が高いと評価されます。厳しい処罰が下されるおそれは十分にあるので「初犯だから」と油断するべきではありません。

初犯であれば必ず執行猶予がつくというわけではないので、実刑判決が下るおそれもあります。詐欺事件を起こして刑事裁判になった場合は、執行猶予の獲得や刑期を短くしてもらうために被害者との示談成立を優先させるべきでしょう。

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5、詐欺事件に問われた場合の弁護

詐欺事件の容疑をかけられてしまった場合、まずは刑事事件の弁護経験が豊富な弁護士を選任することが大切です。

検察官による不起訴処分や刑事裁判での刑罰の軽減を目指すには、被害者との示談成立が最優先となるでしょう。
被害の弁償がなされ、真摯(しんし)な謝罪を申し入れることで、被害届や告訴を取り下げてもらえる可能性が高まります。起訴前に示談が成立すれば、検察官が不起訴処分を下す可能性は高まり、早期の釈放も期待できるでしょう。起訴後であっても、刑事裁判において量刑を判断する有利な材料となります。

「相手をだましたつもりはなかった」「うそはついていない」というケースでも、被害者の申し立てに基づいて逮捕されてしまうおそれがあります。無罪を主張したい場合は、だます意思がなかったことを客観的に証明する証拠をそろえなくてはなりません。
弁護士に依頼すれば、何が有利な証拠になるかアドバイスを受けることができ、故意に被害者をだましたわけではないことを証明する証拠がそろえば、検察官や裁判官に主張できる可能性が高まります。また、被害者の「詐欺被害にあった」という主張に対して、詐欺罪の成立に必要な5つの構成要件がそろっていなければ、その旨を指摘するなどの方法で対抗することも可能です。

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6、まとめ

詐欺罪は懲役刑しか用意されていない重罪です。もし有罪判決が下されてしまえば、長期にわたって刑務所に収監されてしまうおそれがあるため、逮捕のおそれがある場合には早急な対策が必要でしょう。また、詐欺事件の容疑者として逮捕されてしまえば、身柄拘束を受けて職を失ってしまったり、実名報道によって社会復帰が困難になったりするなどのリスクが予測されます。

被害者との示談交渉は、ひとりで対応するのではなく弁護士に一任するのが賢明でしょう。

詐欺事件を起こしてしまい、不起訴処分や刑罰の軽減を目指すのであれば、ベリーベスト法律事務所にお任せください。詐欺事件を含めた刑事事件の解決実績を豊富にもつ弁護士が、トラブル解決に向けて全力でサポートします。

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監修者

  • 萩原 達也
    弁護士萩原 達也

※本コラムは公開日当時の内容です。
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