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落とし物の財布をネコババしたら、どのような罪に問われるのか?

2020年10月14日
落とし物の財布をネコババしたら、どのような罪に問われるのか?
  • 財産事件
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落とし物の財布をネコババしたら、どのような罪に問われるのか?

落とし物を拾ってこっそりと自分の物にしてしまう行為をネコババと呼ぶ場合がありますが、これはれっきとした犯罪行為です。落とし物はすみやかに持ち主に返すか、警察または施設の管理者へ届け出る必要があります(遺失物法第4条)。

落とし物を届け出ずに自分の物にしてしまった場合、どのような罪に問われるのでしょうか。また、どんな処分を受けるのでしょうか。

本コラムでは、ネコババ行為で成立する犯罪や、ネコババ行為に対する処分、量刑に影響を与える行為について、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、落とし物の財布をネコババしたときに問われる罪

まずは、落し物の財布をネコババした場合、どのような罪に問われるのか、確認していきましょう。

  1. (1)遺失物等(占有離脱物)横領罪の定義

    落とし物の財布をネコババした場合、まずは「遺失物等横領罪」の成立が考えられます。遺失物等横領罪とは、遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領する犯罪です(刑法第254条)。別名で「占有離脱物横領罪」とも呼ばれています。

    「遺失物」とは、持ち主の占有を離れ、まだ誰も占有していない物を指します。落とし物の財布は基本的に遺失物です。一方、「漂流物」とは、遺失物のうち水面や水中にある物のことです。池の中にある物や洪水で流されてきた物などが該当します。

    「その他占有を離れた他人の物」とは、たとえば、脱走した家畜やコンビニの店員から本来の額よりも多く受け取ってしまった釣り銭などが該当します。

    これらを横領すると、「逸失物等横領罪」が適用される可能性があるのです。

  2. (2)遺失物等横領罪が成立する要件

    遺失物等横領罪は、人の占有を離れた物(遺失物等)を、不法領得の意思を持って横領すると成立します。

    「不法領得の意思」とは、自分の物にして自由に扱おうとする意思のことです。「落とし物を拾ったが、すぐに警察へ届けるために一時的に持っている」という場合は、不法領得の意思がないため同罪は成立しません。

  3. (3)刑罰の内容

    遺失物等横領罪の法定刑は「1年以下の懲役または10万円以下の罰金若しくは科料」となっています。ネコババという表現は軽い行為のように捉えられるかもしれませんが、最長で1年の懲役刑もあり得る犯罪行為です。

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2、遺失物等横領罪以外でネコババ行為に成立する可能性のある犯罪

ネコババ行為をすると、遺失物等横領罪以外の罪、具体的には窃盗罪に問われる可能性もあります。どのようなケースで窃盗罪になるのか、遺失物等横領罪との違いも含めて確認しましょう。

  1. (1)窃盗罪が成立する要件

    窃盗罪は他人の財物を窃取する犯罪です(刑法第235条)。

    「他人の財物」とは他人が現実に所持・管理している財産的価値のある物のことです。なお、持ち主にとって価値のある物であれば財物とみなされる可能性があります。

    また、「窃取」とは占有者の意思に反して、目的の物を自分や第三者の占有下に移転させることをいいます。

    財布のネコババが窃盗罪にあたるケースとしては、被害者の近くに置いてある財布を持ち帰った場合などが考えられます。

  2. (2)遺失物等横領罪と窃盗罪の違い

    遺失物等横領罪と窃盗罪は、他人の物を自分の物にしてしまう点で共通しています。

    しかし、両罪は対象物が被害者の占有下にあるかどうかという点で大きく異なります。遺失物等横領罪の対象物はすでに被害者の占有を離れている物であるのに対し、窃盗罪の対象物は被害者の占有下にある物です。

    落とし物が被害者の占有下にあるかどうかは、占有を離れてからの時間や距離、落とした場所や状況などさまざまな事情から総合的に判断されます。

    たとえば被害者が財布を落としたのを目撃しながら、被害者が気づかずに立ち去るのを待ってから財布を自分の物にしてしまったケースでは、被害者の占有下にある物を奪ったとみなされる可能性があります。

    つまり、ネコババ行為をすると遺失物等横領罪ではなく窃盗罪が成立する可能性があるということです。

  3. (3)刑罰の内容

    窃盗罪の法定刑は「10年以下の懲役または50万円の罰金」です。最長で10年の懲役刑となっており、遺失物等横領罪よりも重い犯罪となっています。

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3、ネコババ行為に対する処分

ネコババ行為をしたとき、次のような処分となる可能性があります。

  1. (1)微罪処分となるケース

    警察が犯罪の捜査をしたときは、原則として被疑者の身柄と事件の証拠資料などを検察庁へ送ります。しかし、例外的に逮捕・送致されず警察限りで処理される場合があり、これを微罪処分といいます。

    ネコババ行為で微罪処分となる可能性があるのは、前科・前歴がなく、被害額が少額で本人が深く反省しており、被害者が処罰を望んでいない場合などが考えられますが、その基準は明確ではありません。

  2. (2)身柄事件となるケース

    逮捕後、逃亡や証拠隠滅のおそれなどがある場合は「身柄事件」として捜査・裁判が続けられます。

    逮捕は、逃亡や証拠隠滅のおそれなどがある、身元引受人がいない、などの場合に行われるため、それらの問題が解消されない限りは、身柄事件として拘束され続けることになるのです。

    なお、身柄事件の場合は逮捕後72時間以内に捜査が行われ、さらに捜査が必要だと判断されれば、最大20日の勾留が行われます。

  3. (3)在宅事件となるケース

    逮捕の必要はないと判断されて在宅のまま捜査が進められるケースや、逮捕されても勾留されずに釈放されて在宅のまま捜査が進められるケースがあります。これを在宅事件といい、最長で20日の期限が定められている勾留と異なり、捜査の期間に制限がありません。事件が長期化し、精神的に不安な状態が続く可能性がありますが、長期拘束される身柄事件と比べると、社会生活への影響は低く抑えられるといえるでしょう。

  4. (4)略式裁判となるケース

    100万円以下の罰金または科料を科す事件で、かつ被疑者が罪を認めていると、略式裁判となる場合があります。

    略式裁判とは、通常裁判によらず、検察官が提出した書面により審査する簡易的な裁判手続をいいます。

  5. (5)通常裁判となるケース

    被害額が大きい場合や悪質性が高い場合などには通常裁判となる可能性があります。通常裁判とは、公開された法廷に出廷し、裁判官から刑の言い渡しを受ける裁判のことです。

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4、量刑判断に影響を与える行為

他人の財布をネコババした事件で裁判官が量刑を決定する際には、どのような点を考慮するのでしょうか。量刑判断に影響を与える行為について解説します。

  1. (1)反省・謝罪する

    犯罪行為が事実であれば、まずは罪を認めて反省し、被害者へ丁寧に謝罪することが大切です。深く反省している場合は再犯のおそれが低いとして、量刑が軽くなる可能性があります。

    反対に、証拠があるのに否認している場合や反省の態度が見られない場合には再犯のおそれがあるとして量刑が重くなるかもしれません。

  2. (2)被害弁償する

    被害者への被害弁償が済んでいると、被害が回復されたとみなされ、量刑判断で有利な事情として考慮される可能性が高まります。被害弁償の内容は、持ち去った物を持ち主に返還するか、持ち去った物の価値に相当する金銭を支払うケースが多いでしょう。

    ただし、被害者にとって特別な物を持ち去ったような場合には、精神的苦痛に対する賠償として慰謝料を上乗せして払う必要がある可能性もあります。

  3. (3)示談を成立させる

    示談が成立すると、事件の当事者で問題が解決したとみなされ、刑が減軽される可能性があります。起訴される前に示談が成立すれば、検察官が不起訴処分とし、裁判にならずに済むケースもあるでしょう。

    示談を成立させるには、被害者に対して心からの反省と謝罪を伝え、被害弁償をすることが大切です。

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5、家族が逮捕されてしまった場合の対応

自分の家族が逮捕されてしまった場合、残されたご家族は早急に弁護士へ相談しましょう。

逮捕後72時間はたとえご家族であっても本人と面会できませんが、弁護士であれば制限なく本人と面会し、取り調べを受ける際の注意点や今後何をするべきかなどをアドバイスすることも可能です。

あわせて弁護士は、本人が深く反省しており再犯のおそれが低い点などを検察官へ主張し、不起訴処分とするようはたらきかけます。

示談についても、弁護士が代理人となり交渉を進めることが可能です。被害者によっては、処罰感情が高く、加害者側の立場であるご家族との接触を拒む場合がありますので、弁護士を介入させた慎重な交渉をおすすめします。

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6、まとめ

道ばたに落ちている財布や放置された自転車、電車内に置き忘れられたカメラなど、他人の物を自分の物にしてしまうと罪に問われる可能性があります。どの犯罪が成立するのか、どのような処分を受けるのかは事件の内容によって異なりますので、個別の事件の見通しは弁護士へ相談するのがよいでしょう。

おひとりで悩まず、刑事事件の解決実績が豊富なベリーベスト法律事務所へご相談ください。

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監修者

  • 萩原 達也
    弁護士萩原 達也

※本コラムは公開日当時の内容です。
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