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弁護士コラム

2021年01月28日
  • その他
  • 起訴とは

逮捕後に検討される起訴とは何か? どのような流れで判断される?

逮捕後に検討される起訴とは何か? どのような流れで判断される?
逮捕後に検討される起訴とは何か? どのような流れで判断される?

「刑事事件を起こすと、警察に逮捕されたのちに刑事裁判で有罪・無罪の判決が下される。」
この流れはごく一般的に理解されているとは思いますが、逮捕された事件のすべてが刑事裁判を受けているわけではありません。警察による逮捕から刑事裁判に至るまでには、その過程で「検察官による起訴」が存在します。

このコラムでは、逮捕から起訴までの流れや起訴の定義・種類に触れながら、犯罪の被疑者として逮捕されてしまった方が起訴の前後にすべきことについて、弁護士が詳しく解説します。

1、逮捕から起訴までの流れ

刑事事件の被疑者として逮捕されてから起訴までの流れをみていきましょう。

  1. (1)逮捕後の身柄拘束

    警察に逮捕されると、逮捕を告げられた瞬間から自由が制限されます。まず、行動の自由が制限されるため、その場から立ち去ることも、自宅へ帰ることも、会社や学校へ向かうことも許されません
    連絡の自由も制限されるため、電話・メール・メッセージアプリなどによる通信もできなくなります。

    警察署に連行されると、逮捕事実に関する弁解や弁護士選任の意思を確認されたのち、事件に関する取り調べが始まります。ただし、警察には「逮捕から48時間以内に検察庁へ送致する」という時間制限があるため、この段階では逮捕の理由となった事実に関する簡単な取り調べがおこなわれるのみです。

  2. (2)送致から勾留への流れ

    逮捕から48時間以内に、被疑者の身柄は関係書類とともに検察官へと引き継がれます。この手続きを正しくは「検察官送致」といいますが、ニュースなどでは省略して「送検」と呼ばれています。

    送致を受けた検察官は、さらに被疑者を取り調べたうえで送致から24時間以内に起訴・不起訴の判断を下さなくてはなりません。ところが、逮捕直後のわずかな時間でおこなわれた警察の取り調べと、たった一度の検察官による取り調べの結果だけでこれを判断するのは困難です。

    そこで検察官は身柄拘束を延長するための手続きとして、裁判所に「勾留」の許可を請求します

  3. (3)勾留の期間

    裁判官が勾留を許可した場合、原則10日間までの勾留が認められます。勾留が決定した被疑者の身柄は警察へと戻され、その後は警察による取り調べが続きます。

    最初の勾留期限までに捜査が終了しない場合は、さらに延長請求が可能です。延長も10日間が限度で、ごく限られた犯罪を除き二度目の延長はありません。

    つまり、勾留の期間は、通常最長でも20日間で、逮捕・送致・勾留までの72時間を含めると身柄拘束の期間は23日間が限度です

  4. (4)勾留満期までに起訴される

    勾留が満期を迎える日までに、検察官はふたたび起訴・不起訴を判断することになります。二度目の延長はないので、この段階で起訴・不起訴が決定します。

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2、家族が逮捕された場合の連絡はいつ、誰から?

家族の誰かが逮捕された場合は、本人から「逮捕された」と電話が入ったり、警察から「逮捕しました」と通知されたりするのでしょうか?

  1. (1)本人からの連絡は不可能

    逮捕された被疑者には連絡の自由が認められません。本人から「こういった事情で逮捕された」といった連絡が入ることはまずありません。

    逮捕前に本人が所有していた携帯電話は、電源を切ったうえで留置場において私物として預かり保管されます。つまり、携帯電話で電話をかける、メッセージを送信するといった連絡もできません。

    また、近年の刑事事件では被疑者の行動を示す証拠品として携帯電話が押収されるケースも多く、事件の証拠が記録されていた場合は、証拠品として刑事裁判が終了するまで戻されないおそれもあります。

  2. (2)警察からの連絡が一般的

    逮捕の連絡は、被疑者を逮捕した警察署から知らされるのが一般的です。家族が行方不明などの不安を抱かないようにするための措置であると同時に、留置場で必要なものの案内や今後の予定なども知らされます。ただし、警察による家族への連絡は、法律や規則などで義務化されているものではありません。

    とくに、家族への連絡によって共犯者などに情報が伝わってしまうおそれのある事件などでは、家族への連絡も控える場合があります。

  3. (3)弁護士・裁判所から連絡が入るケースもある

    本人や警察からの連絡がない場合でも、逮捕直後に被疑者と接見した当番弁護士や、勾留の要否を判断するための材料として検察官・裁判官から連絡が入ることもあります。
    これも当番弁護士や検察官・裁判官の義務ではないので、連絡がないまま手続きが進むおそれがあることも否定できません。

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3、起訴の定義と種類

犯罪の被疑者として逮捕されると、検察官が「起訴」した場合に限って刑事裁判の手続きへと移行します。

起訴とは、検察官だけに与えられている権限で、裁判所に刑事裁判を提起することをいいます(刑事訴訟法第247条)。捜査・取り調べの結果から、検察官が「刑事裁判で罪を問うべき」との判断を下した場合は起訴され、刑事裁判の手続きが始まります。

起訴にはいくつかの種類があるので、それぞれの特徴をみていきましょう。

  1. (1)公判請求

    もっとも一般的な刑事裁判のイメージとなるのが「公判請求」です。
    公開の法廷で、裁判官・検察官・弁護士・被告人がそろって進められる手続きで、さまざまな証拠や証言をもとに審理されます。

    公判請求を受けた場合、通常は数回の審理を経て判決が下されます。公判は1か月~2か月に一度のペースで開かれるので、判決が下されるまでに半年~1年程度の時間がかかってしまうケースも少なくありません

  2. (2)略式手続

    一定の条件を満たした場合に限って採用される簡易的な手続きが「略式手続」です。

    略式起訴を受けると公判は開かれず、検察官が提出した書面のみで審理されて判決が下されます。公判において争う点がない場合に限られる手続きなので、あらかじめ被疑者の同意が得られていないと採用されません。

    また、事件が簡易裁判所の管轄に属するものであること、100万円以下の罰金または科料を科しうる事件であることという条件もあります。

  3. (3)即決裁判手続

    刑事訴訟法の改正によって平成18年から導入されているのが「即決裁判手続」です。

    検察官が即決裁判手続を請求すると14日以内に公判が開かれ、短時間の審理によって即日で判決が言い渡されます。刑事裁判の手続きが迅速に終了するため被告人にとっても負担が軽減できるうえに、懲役・禁錮には必ず執行猶予が付されるという利点があります

    ただし、公判において事実を争うことができないため、あらかじめ被疑者が同意している、死刑または無期もしくは短期1年以上の懲役もしくは禁錮にあたる事件ではないといった条件を満たさなくてはなりません。

  4. (4)在宅起訴

    「在宅起訴」とは、被疑者の身柄を拘束しない状態で検察官が起訴することをいいます。
    逮捕された被疑者が起訴される場合は、公判手続きを維持するため被告人としての勾留を受けるのが一般的な流れですが、次のようなケースでは身柄を拘束されないままで刑事裁判を受けることになります

    • 逮捕されず任意事件として取り調べなどの捜査を受けた
    • 逮捕されたものの、勾留を受けず釈放され、以後も任意で取り調べを受けた
    • 逮捕・勾留されたものの、途中で釈放されて任意で取り調べを受けた
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4、不起訴の定義と種類

検察官が刑事裁判を提起しないとの判断を下した場合は「不起訴処分」となります。不起訴処分が下されれば刑事裁判に移行しないため、刑罰が科せられることも前科がついてしまうこともありません。

不起訴処分にも、その判断が下された理由によっていくつかの種類があります。

  1. (1)嫌疑なし

    警察と検察官による取り調べや捜査によって、被疑者に対する犯罪の容疑が完全に晴れた場合には「嫌疑なし」となります。
    別の真犯人の存在が判明した、真犯人を逮捕したといった展開による不起訴処分です。刑事裁判での審理を要せずとも犯人ではないと断定された場合に限られます

  2. (2)嫌疑不十分

    警察と検察官による捜査では犯罪の疑いは完全に晴れたとはいえないものの、刑事裁判で有罪とする確たる証拠がない場合に下されるのが「嫌疑不十分」です。
    わが国の刑事裁判における有罪率は99%以上といわれていますが、これは起訴までに証拠の検討が徹底されているためであり、刑事裁判で争って確実に有罪に問えると判断できなければ、嫌疑不十分となる可能性があります。

  3. (3)起訴猶予

    刑事裁判で有罪に問えるだけの証拠がそろっていても、犯罪の軽重、被疑者の境遇や反省の有無、示談の成否などから、検察官の裁量によって起訴を控えるのが「起訴猶予」です。実は、不起訴処分の大部分はこの起訴猶予が下されています。
    令和元年版の犯罪白書によると、平成30年中に不起訴処分が下された15万9262人のうち、起訴猶予となったのは11万4014人、割合にして71.5%でした。

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5、在宅起訴となるのはどんなとき?

刑事事件の被疑者として起訴された場合は、被告人として勾留を受け、身柄を拘束されたまま刑事裁判を受けるのが一般的です。ところが、一定の要件を満たしていれば、身柄拘束を受けないまま起訴される可能性があります。
これが「在宅起訴」です。

  1. (1)在宅起訴とは

    在宅起訴とは、その名のとおり「在宅のまま」で起訴される手続きです。
    公判請求を受けた刑事裁判では、判決までに半年~1年以上の時間がかかってしまうケースもめずらしくありません。在宅のままなら社会生活への影響も最小限に抑えられるでしょう

  2. (2)在宅起訴となるケース

    起訴が避けられない事態になったとすれば、できれば身柄拘束を受けず在宅起訴で審理を受けたいと考えるのは当然です。しかし、在宅起訴になるには一定の要件があります。

    在宅起訴となる要件に法律の定めはありませんが、一般的には次のような点が考慮されるといわれています。

    • 事件の内容が軽微であること
    • 逮捕・勾留されていないこと


    在宅起訴されるには、事件の内容が身柄拘束を伴わない程度の軽微なものである必要があります。たとえば殺人・強盗などのような凶悪事件であれば捜査の段階で逮捕され、身柄拘束が解かれないまま起訴されることになるでしょう。

    また、在宅起訴されるには、逃亡や証拠隠滅のおそれがないことも必要です。逃亡・証拠隠滅のおそれがある場合は、逮捕・勾留を受けるため、在宅起訴が採用されることはないでしょう。

    さらに、起訴までの取り調べにおいて素直に犯行を認めているか、共犯者はいないかといった点も総合的に考慮して、慎重に判断されます。

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6、起訴されるまでに被疑者ができることとは?

検察官に起訴されてしまうと、次に待つのは刑事裁判です。罪を犯したのが事実であれば、有罪となって刑罰が下される事態は免れないでしょう。

重い刑罰を回避するには、検察官が起訴するまでにどのような対策を講じることができたのかが重要です

  1. (1)弁護士への相談

    起訴される前であれば、弁護士に相談してただちにサポートを求めましょう。逮捕直後から勾留が決定するまでの間は、たとえ家族であっても逮捕された被疑者との面会が認められません。
    この期間に被疑者と面会できるのは、接見交通権が認められている弁護士だけです。取り調べに際するアドバイスが得られるだけでなく、逮捕された被疑者本人と連絡の取れない家族との連絡役として、弁護士は必要不可欠でしょう。

  2. (2)被害者との示談交渉

    起訴前の段階であれば、被害者との示談交渉によって検察官が起訴猶予を下す可能性があります。起訴猶予を理由として不起訴処分を獲得できれば、早期釈放が期待できるでしょう。

    被害者との示談交渉は、弁護士に一任するのが最善です。被疑者本人が逮捕されていれば被害者との示談交渉は現実的に不可能であるうえに、被疑者やその家族では被害者の連絡先さえ入手できません。
    弁護士であれば、捜査機関へのはたらきかけによって被害者にコンタクトをとり、示談交渉を進めることが可能です

    そのほか、弁護士に相談すれば、再犯の可能性が低い、前科・前歴がないなどの有利な事情を検察官に主張して早期の身柄釈放がかなう可能性もあります。

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7、起訴されてしまったら

検察官に起訴されてしまった場合でも、弁護士のサポートは必須です。

  1. (1)保釈制度の利用を検討する

    身体拘束を受けたまま検察官に起訴されてしまっても、一定の要件を満たせば一時的に身柄が解放されます。これを「保釈」といいます。

    保釈が認められれば、社会生活を送りながら刑事裁判で審理を受けることになるので、家庭・会社・学校などへの影響を最小限に抑えることができるでしょう

    保釈が認められるためには保釈金の納付が必要です。保釈金は逃亡・証拠隠滅を防止するための担保であり、刑事裁判が終結して判決が下されれば返還されます。

  2. (2)保釈が認められやすいケース

    保釈は刑事事件の被告人なら誰にでも請求できる権利です。ただし、どのような場合でも認められるわけではありません。

    保釈が認められるには、次の要件を満たす必要があります。

    • 死刑・無期・短期1年以上の懲役または禁錮にあたらない事件である
    • 過去に死刑・無期・長期10年以上の懲役・禁錮を受けていない
    • 常習として長期3年以上の懲役または禁錮にあたる罪を犯していない
    • 証拠隠滅のおそれがない
    • 被害者や証人に危害を加えるおそれがない
    • 氏名・住居が明らかである


    これらの要件を満たしている場合は「権利保釈」の対象となります(刑事訴訟法第89条)。また、ここで挙げた要件を満たしていない場合でも、裁判官の裁量で「裁量保釈」が認められる可能性もあります(刑事訴訟法第90条)。

    保釈の要件を満たしているのか、要件を満たしていない場合でも保釈が認められる可能性があるのかは、弁護士に相談するとよいでしょう。

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8、まとめ

刑事事件の被疑者として逮捕されてしまうと、検察官に送致されたうえで起訴・不起訴が判断されます。検察官が起訴までの最終判断を下すまでのタイムリミットは最長でもわずか23日間しかありません。
刑事事件の被疑者としてあなたのご家族や身近な方が逮捕されてしまい、起訴や刑罰に不安を抱えているなら、刑事事件の解決実績が豊富なベリーベスト法律事務所にご相談ください。

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監修者
萩原 達也
弁護士会:
第一東京弁護士会
登録番号:
29985

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
当事務所では、元検事を中心とした刑事専門チームを組成しております。財産事件、性犯罪事件、暴力事件、少年事件など、刑事事件でお困りの場合はぜひご相談ください。

※本コラムは公開日当時の内容です。
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