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弁護士コラム

2022年06月27日
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刑事事件の流れとは? 逮捕から裁判まで弁護士にできることを解説

刑事事件の流れとは? 逮捕から裁判まで弁護士にできることを解説
刑事事件の流れとは? 逮捕から裁判まで弁護士にできることを解説

刑事事件とは、罪を犯したと疑われる被疑者が逮捕、起訴され刑事裁判で判決が言い渡されるまでの一連の手続きを意味します。警察や検察といった捜査機関は各段階でとり得る対応が法律で定められており、法律に反して被疑者・被告人の身体を不当に拘束することはできません。

逮捕から裁判に至るまでの過程で、警察、検察、裁判所といった各機関がどのような手続きをとり、それに対して弁護士に何ができてどういった効果が期待されるかを解説します。

1、刑事事件とは

まず、刑事事件とはどういった事件なのかを解説します。

  1. (1)刑事事件の定義

    刑事事件とは、法律で定められた罪を犯したと疑われる人が捜査機関に逮捕、起訴され、刑事裁判で判決が言い渡されるまでの一連の手続きを指します。

    警察などの捜査機関から犯罪の疑いをかけられ捜査対象になっていて、まだ起訴されていない者を被疑者、検察官に起訴された人を被告人といいます。被疑者とは警察などに逮捕された人というイメージがあるかもしれませんが、逮捕されていなくても犯罪の疑いをかけられ捜査対象になっていれば被疑者です。

    また、日本では刑事裁判を起こすために被疑者を起訴する権限は検察官にしか与えられていません。法務省によると、検察官が起訴する事件の割合は37%ですが、起訴された事件のうち99%以上で有罪判決が下されています。刑事事件で起訴された場合はほぼ有罪になるといえるでしょう。

  2. (2)刑事事件と民事事件の違い

    刑事事件と民事事との違いとして、「当事者」、つまり、責任追及をする権限を持つのは誰であるか、という点があります。
    日本では罪を犯した人に対して被害者を含め個人が刑罰を加えることは許されていません。犯罪に対しては警察などの捜査機関が捜査を行い、検察官のみが起訴の権限を有し、刑事裁判において有罪・無罪、量刑などが判断されます。

    刑事裁判での当事者とは公の機関である検察と被告人であり、立証責任を負うのは検察のみです。

    これに対し、民事事件は原則、私人間で起きたトラブルを解決するための手続きといえます。当事者としては法人や国、地方自治体などもあり得ますが、民事裁判で刑罰が科せられることはありません。民事裁判の結果として発生する可能性があるのは損害賠償や慰謝料といった民事上の責任のみです。

    判決後の手続き方法としては、刑事事件で第一審の判決に不服のときは控訴、第二審の判決に不服のときは最高裁判所に上告できます。民事裁判においても同様に、控訴、上告が可能です。

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2、刑事事件の流れ:逮捕~送致

次に、刑事事件がどのような経過をたどっていくかについて説明します。

  1. (1)犯罪の発生から逮捕まで

    警察などの捜査機関は、犯罪が疑われる事案が発生した場合には捜査を開始します。

    日本国憲法第33条は「何人も現行犯として逮捕される場合を除いては、権限を有する司法官憲が発し、かつ理由となっている犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない」と規定しており、逮捕状に基づく逮捕を原則としています。

    逮捕状を発付できるのは請求を受けた裁判官のみです。裁判官は請求があったからといって必ず逮捕状を発付するわけではありません。

    逮捕状の発付には、「被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」が必要で、捜査機関は逮捕状を得るために証拠品押収など捜査を進めます。逮捕状の請求時には防犯カメラ映像といった証拠になり得る押収資料もあわせて提出し、裏付けがあることを示します。

    法律は逮捕状に基づく逮捕を原則としていますが、逮捕時に逮捕状が要らない緊急逮捕、現行犯逮捕もあります。緊急逮捕は逮捕状の発付を待てない緊急の必要性があるときに可能で、逮捕後に逮捕状を請求しなければなりません。

    現行犯逮捕は捜査機関だけでなく私人にも認められていますが、現行犯については法律で「現に罪を行い、または現に罪を行い終わった者」と定義されており、一定の要件があります。

  2. (2)逮捕後48時間以内に警察は送致を行わなければならない

    警察など捜査機関が被疑者を逮捕した場合は、逮捕から48時間以内に被疑者を検察官へ送致しなければなりません。この規定は刑事訴訟法第203条に定められており、48時間以内に送致の手続きをとらないときは、直ちに釈放しなければならないとも規定されています。

    捜査機関はこの48時間以内に取り調べや実況見分を行い、裏付け捜査を進めます。逮捕から送致までの48時間は原則、弁護士以外の人が被疑者に面会することはできません。

  3. (3)微罪処分になる場合もある

    刑事訴訟法第246条は、警察など捜査機関が犯罪の捜査をしたときは、速やかに書類や証拠物とともに事件を検察官へ送致しなければならないと定めています。この条文には続きがあり、「ただし、検察官が指定した事件については、この限りでない」とも記載されています。

    また、捜査活動にあたる警察官の心構え、捜査方法、手続きなどを定めた犯罪捜査規範の第198条は、犯罪事実が極めて軽微で検察官から送致の手続きをとる必要がないと指定されたものは、送致しないことができると規定しています。

    こうした条文を根拠に、警察などが被疑者を逮捕したものの検察官に送致せず刑事事件の手続きを終了することを微罪処分といいます

    どういう事件が微罪処分の対象になるかは、検察庁と各都道府県警察が協議の上で適用基準を定めているため、地域差があり一概にはいえません。被害が軽微であることや、被害回復、謝罪がなされていること、被害者が加害者の処罰を望んでいないことなどが考慮されると考えられています。

    法務省が公表している令和2年版「犯罪白書」によると、令和元年に微罪処分を受けた刑法犯被疑者は5万5754人で、全検挙人員に占める割合は28.9%と少なくない数字であることがわかります。

  4. (4)この期間に弁護士ができること

    逮捕から送致までの間は、被疑者に面会できる人が弁護士に限られます。弁護士は被疑者に対し、取り調べなどにどう対応したらよいかといったアドバイスが可能です。逮捕から送致までの48時間における弁護士面会は重要性が高いといえるでしょう

    弁護士は取り調べに関するアドバイスができるだけでなく、被害者との示談交渉を迅速に進められます。被害者との間で示談が成立すれば、提出した被害届や告訴状を取り下げてもらえる可能性があります。

    被害届や告訴状の取り下げは刑事事件において微罪処分で済むことを保証するものではありません。しかし、要件がそろえば微罪処分で済む可能性も出てきます。その後の刑事手続きに与える影響を考えても、早めに示談を成立させることが肝要です

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3、刑事事件の流れ:送致~勾留

送致から勾留が決まるまではどのような手続きをとるのでしょうか。

  1. (1)検察が捜査可能なのは最長24時間

    被疑者の送致を受けた検察官は、送致から24時間以内に、次に示す3つの手続きから1つを選ばなければなりません。

    1つ目は、被疑者を起訴することです。送致から24時間が経過するまでは検察による捜査も行われ、検察官が被疑者を起訴するか不起訴にするか判断します。

    2つ目は、勾留手続きをとることです。検察官は被疑者の身体拘束を続ける必要があると認められる場合には、裁判官に勾留を請求しなければなりません。この勾留請求の判断は送致から24時間以内になされる必要があります。

    3つ目は、被疑者を釈放することです。刑事訴訟法第205条は、送致された被疑者に関して勾留請求も起訴もしない場合は、「直ちに釈放しなければならない」と定めています。勾留請求、起訴については、送致から24時間以内に行われなければならず、また逮捕から72時間を超えることもできないと規定されています。

    逮捕から送致まで48時間に関して、弁護士以外の人の面会ができないのと同様、検察官が被疑者の送致を受けてから起訴、または勾留請求を判断するまでの24時間も弁護士以外の人は被疑者に面会ができないのが原則です。

  2. (2)略式起訴になる場合がある

    被疑者の送致を受けてから24時間以内に検察官は起訴、勾留請求、釈放のいずれかを判断しなければなりません。しかし場合によっては略式起訴という処分が下るケースもあります。

    略式起訴とは、通常の刑事裁判とは異なり、簡易裁判所において事件を審査する手続きです。簡易裁判所で審査できるのは100万円以下の罰金または科料に相当する事件で、簡易裁判所で審査することに被疑者が同意している必要があります。

    簡易裁判所では検察官が提出した書面のみで審査が行われるため、通常の刑事裁判と比べて結論が出るまでの期間を短縮できます。最終的には略式命令が発せられ、罰金または科料を納付して手続きを終わらせるか、結論に不服のときは正式裁判を申し立てることも可能です。

  3. (3)この期間に弁護士ができること

    送致からの24時間も弁護士以外の面会は原則できないため、弁護士による面会が被疑者にとって重要な機会になるといえます。逮捕から送致までの48時間と同様、弁護士は取り調べに関するアドバイスをできるだけでなく、同時に被害者との間で示談交渉を進められます。

    また、弁護士は検察官に被疑者の勾留請求をすべきでないと働きかけたり、裁判官に勾留請求を却下すべきと意見を申し立てたりして、被疑者の早期釈放を求める活動ができます

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4、刑事事件の流れ:勾留~起訴

最後に、勾留が決まってから起訴されるまでの手続きについて説明します。

  1. (1)勾留期間は最大20日間

    勾留は、裁判を適正に行うために認められる手続きで、被疑者の逃亡や証拠隠滅を防ぐことが目的です。検察官が被疑者の勾留を請求したといっても、逃亡や証拠隠滅のおそれがないと裁判官が判断すれば、勾留は却下されます。

    勾留が認められても、その期間が無期限に続くわけではなく、刑事訴訟法第208条は勾留を請求した日から10日以内に被疑者を起訴しないときは、直ちに釈放しなければならないと定めています。

    また、同条は裁判官がやむを得ない理由があると認める場合に限り、勾留期間の延長を認めています。延長期間は「通じて10日を超えることができない」とされ、勾留期間は最長で20日間に及ぶおそれがあります

  2. (2)起訴となった場合

    逮捕から勾留を経て起訴された場合は、刑事裁判を受けなければなりません。起訴された後も勾留が続くおそれはあり、注意が必要です。

    起訴後勾留に関しては、原則として勾留期間は2カ月とされていますが、その後も逃亡や証拠隠滅のおそれがあると認められる場合には、1カ月ごとに勾留が更新されていきます。こうした状況が続くと、場合によっては刑事裁判で判決が言い渡されるまで勾留される可能性があります。

    起訴後勾留を解く方法としては、「保釈」と呼ばれる手続きがあります。保釈とは裁判所に保釈金を納め、身体拘束を解いてもらうことです。保釈金を納めさせるのは、裁判を適正に行う上で被告人を期日通りに裁判に出席させ、逃亡や証拠隠滅を防ぐのが目的です。

    被告人が指定の期日に出頭し、逃亡や証拠隠滅を図ることなく裁判が終了すれば、保釈金は全額返ってきます。有罪か無罪かといった裁判の結果は関係ありません。反対に、裁判に出頭しなかったり逃亡を疑われるような行為に及んだりすると、保釈金は没収され再び身柄を拘束される可能性があります。

  3. (3)不起訴となった場合

    勾留を経て不起訴になった場合、すぐに身体拘束は解かれ日常生活に戻ることが可能です。不起訴の種類としては、以下に示すものが代表的です。

    ① 嫌疑不十分
    検察官などが取り調べや証拠品の押収など捜査を行った結果、嫌疑は完全に晴れないものの、犯罪の成立を証明するには証拠が不十分なときに、嫌疑不十分として不起訴になるケースがあります。

    ② 起訴猶予
    起訴猶予は、罪を犯したことが明白で証拠もそろっているが、被疑者の年齢や性格、境遇、犯罪の軽重などを考慮し、検察官が訴追を必要としないと判断した場合に下される不起訴処分です。被疑者が罪を認めて深く反省し、被害者との間で示談が成立していると起訴猶予になる可能性もあります。

    ③ 親告罪の告訴取り下げ
    検察官が被疑者を起訴するにあたり、被害者からの告訴がなければ起訴できない罪を親告罪といいます。親告罪に関して告訴状の提出があり捜査機関が捜査を進めていたものの、示談の成立などによって被害者が告訴を取り下げた場合、起訴の条件を満たさなくなるため不起訴になります。
  4. (4)この期間に弁護士にできること

    勾留から起訴に至るまでの間に弁護士ができる重要なことは示談交渉です。仮に、名誉毀損(きそん)罪など疑われている事実が親告罪にあたるケースでは、示談によって告訴を取り下げてもらえれば不起訴になります。

    親告罪ではないケースでも、示談によって被害者が被害届や告訴を取り下げ、検察官が被害者の処罰感情は和らいでいると判断すれば、不起訴になる可能性は上がります。

    また、弁護士は裁判所に対して、勾留の取り消しを請求することも可能です

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5、まとめ

逮捕から検察官への送致、勾留請求までの72時間は、弁護士以外の人は被疑者に面会できません。この期間、取り調べ時のアドバイスなどができるのは弁護士のみです。また、弁護士は被害者と示談交渉し、被害届や告訴の取り下げなど一定の合意事項をまとめることもできます。

示談が成立すれば、被疑者が不起訴になる可能性を高めることが可能です。家族や友人などが刑事事件で逮捕された場合、できる限り速やかに弁護士に相談することが肝要です。刑事事件に関してお困りのことがあれば、ベリーベスト法律事務所にご相談ください。

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監修者
萩原 達也
弁護士会:
第一東京弁護士会
登録番号:
29985

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
当事務所では、元検事を中心とした刑事専門チームを組成しております。財産事件、性犯罪事件、暴力事件、少年事件など、刑事事件でお困りの場合はぜひご相談ください。

※本コラムは公開日当時の内容です。
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