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弁護士コラム

2021年03月15日
  • 性・風俗事件
  • 公然わいせつ
  • 法定刑

公然わいせつ罪の法定刑は? 量刑はどのように判断される?

公然わいせつ罪の法定刑は? 量刑はどのように判断される?
公然わいせつ罪の法定刑は? 量刑はどのように判断される?

「公共の場所で下半身を露出する」「人前で性交する」などの行為は、刑法の公然わいせつ罪に該当する行為です。

令和2年8月には東京の区議会議員の男性がカラオケ店の駐車場で下半身を露出したとして逮捕されたという報道がありました。

公然わいせつ罪で起訴され有罪になった場合、どれくらいの刑を言い渡されるのでしょうか。本コラムでは、公然わいせつ罪の法定刑や量刑について解説したうえで、処分軽減のために何ができるのかについても触れていきます。

1、公然わいせつ罪の法定刑は?

まずは法定刑とは何かを確認したうえで、公然わいせつ罪の法定刑についてみていきましょう。

  1. (1)法定刑とは何か

    法定刑とは、法律の条文に定められた刑のことです
    たとえば刑法第235条は「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」と、窃盗罪について定めています。つまり窃盗罪の法定刑は、「10年以下の懲役または50万円以下の罰金」ということです。

    一方で、実際に科される刑が懲役・罰金のどちらになるのか、何年の懲役でいくらの罰金になるのかは、法定刑からは明らかになりません。
    実際に科される刑は、裁判官がさまざまな事情を考慮し、法定刑の範囲で言い渡します。これを宣告刑といい、裁判官が宣告刑を決める作業を量刑といいます。

  2. (2)公然わいせつ罪の法定刑

    公然わいせつ罪の法定刑は「6か月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料」です

    それぞれの刑の意味は以下のとおりです。


    • 6か月以下の懲役……懲役とは、刑事施設に拘置され、所定の作業に従事する刑のことです。公然わいせつ罪では1か月以上6か月以下の範囲で懲役の年数が決定します。
    • 30万円以下の罰金……罰金とは、1万円以上の金銭を強制的に徴収される刑のことです。公然わいせつ罪で罰金刑が選択された場合、1万円以上30万円以下の範囲で金額が決定します。
    • 拘留……拘留とは、1日以上30日未満の間、刑事施設に拘置される刑のことです。懲役のように所定の作業への従事はありませんが、執行猶予が付かないため必ず実刑となります。
    • 科料……科料とは、1000円以上1万円未満の金銭を強制的に徴収される刑のことです。科料は刑罰の中でもっとも軽い刑ですが、ほかの刑と同様に前科が付きます。

2、どのような行為が公然わいせつ罪に問われるのか?

刑法第174条では「公然とわいせつな行為をした者」を、公然わいせつ罪として処罰する旨が定められています。では具体的にどのような行為が公然わいせつ罪にあたるのでしょうか。

「公然と」とは、不特定または多数の人が認識できる状態をいいます。公園や駅構内などの公共の場所はもちろん、誰もが自由に閲覧できるインターネット上のブログや掲示板サイト、個人宅や個室でも周囲から容易に認識できる状態であれば該当します。

「わいせつな行為」とは、「いたずらに性欲を興奮または刺激させ、かつ、普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するもの」とされています。要するに、一般の人の良識や社会通念と照らし、性的だと判断される行為を指します。

実際に公然わいせつ罪にあたるのかは個別の事件によって異なりますが、たとえば次のような行為が該当する可能性があります

  • 路上で下半身を露出し、通行人に見せつけた
  • コンビニの店内を全裸でうろついた
  • ファストフード店のドライブスルーを利用する際、車内で下半身を露出した
  • 外部から容易に認識できる自宅の庭先で全裸になった
  • インターネット上で、わいせつな行為を生中継で配信した
  • ラウンジのステージ上で、下半身を露出させるショーを披露した

3、懲役と罰金、どのような量刑判断がなされる?

公然わいせつ行為をするとどのような刑を受けるのでしょうか。起訴・不起訴の概要と量刑を判断する要素について解説します。

  1. (1)「起訴」と「不起訴」

    公然わいせつ罪の疑いをかけられても、すぐに刑罰を受けるわけではありません。まずは起訴・不起訴について知っておきましょう。

    刑事事件の被疑者となると、警察や検察官から捜査・取り調べを受けます。捜査・取り調べの結果をもとに、検察官は被疑者を起訴するか、不起訴とするかを決定します。

    起訴とは、検察官が刑事事件について裁判所の審理を求める手続きをいいます。起訴されると被疑者は被告人へと立場が変わり、裁判で有罪か無罪か、有罪の場合は刑の内容が決定されます。起訴には、公開の法廷で審理が行われる公判請求と、公判を開かず、簡易な手続きで一定以下の罰金または科料を課す略式起訴があります。略式起訴の場合、身柄は解放されますが、公判請求と同様に前科がつくことになります。

    不起訴とは、検察官が刑事事件について裁判所の審理を求める必要がないと判断することです。不起訴の理由は複数ありますが、代表的なものは次のとおりです。


    • 嫌疑なし:犯罪の疑いが晴れた場合
    • 嫌疑不十分:犯罪の疑いは晴れないが有罪を証明できる証拠がない場合
    • 起訴猶予:罪を犯したのは事実だが犯罪の軽重や犯行後の状況などと照らして起訴する必要がないと判断した場合


    不起訴になると即日で身柄を釈放され、裁判にかけられることも、刑罰を受けることもありません。

  2. (2)裁判官が量刑を判断する要素

    公然わいせつ罪で起訴されると裁判にかけられ、有罪か無罪かが決まります。有罪になった場合は懲役・罰金・拘留・科料のいずれかの刑が選択され、その重さも決められます。

    裁判官が量刑を決定する際には、以下のような要素をもとに総合的に判断します。


    • 前科前歴、余罪の有無
    • 行為態様の悪質性、計画性
    • 犯行の動機
    • 本人の反省の有無、度合い
    • 社会へ与える影響


    たとえば次のようなケースでは悪質性が高いため量刑が重く傾く可能性があるでしょう


    • 複数の者と示し合わせて公然わいせつ行為をした
    • 同様の行為を何度も繰り返ししていた
    • 露出行為を見せつける相手として、大勢の児童をターゲットとした


    反対に、初犯で余罪や計画性もなく、本人が深く反省していて再犯のおそれも低いと認められる場合などには軽い量刑判断がなされる可能性があります。

4、公然わいせつ罪で逮捕された(されそう)なら弁護士へ相談を

自分や家族に公然わいせつ罪の容疑がかかっているのであれば、早期に弁護士へ相談しましょう

公然わいせつは性犯罪の一種で、決して当然に許される行為ではありません。しかし長期の身柄拘束や重すぎる処分を受ければ社会復帰が難しくなってしまうため、弁護士を通じて不起訴処分や刑の減軽に向けて働きかける必要があります。

そのためには、再犯のおそれが低く、社会の中で更生できる可能性が高いと検察官、裁判官へ示すことが大切です。

  1. (1)家族の監督体制を整える

    ご家族が身元引受人となって本人を監督し、生活環境を整えることで、再犯のおそれが低いと判断されやすくなります。
    ご家族には本人を監督する旨の誓約と監督計画をまとめた文書を作成してもらい、これを弁護士が検察官、裁判官へ提出します。

  2. (2)性依存症の治療を始める

    常習的に公然わいせつ行為をしている場合は性依存症や露出症の可能性が考えられます。精神的な依存症を解消させるためには、刑罰を科すだけではなく、専門家の治療・カウンセリングなどが必要です。
    できるだけ早期に治療を開始すれば、弁護士が医師の診断書や医療機関の領収書などを検察官・裁判官へ提出し、更生の可能性が高いと示すことができます。

  3. (3)贖罪(しょくざい)寄付をする

    被害者がいる犯罪の場合、被害者との示談成立により不起訴処分や刑が減軽される可能性を高められます。しかし、公然わいせつ罪は直接的な被害者がいないことも多い犯罪なので示談が困難です。
    目撃者を実質的被害者として示談を進める場合がありますが、公然わいせつ罪が保護するのは特定の個人の権利ではなく社会の健全な性秩序とされているため、ほかの性犯罪と比べて示談の効果は限定的です。

    こうした理由から、公然わいせつ罪では示談による早期解決が見込めないケースが多くなりますが、贖罪(しょくざい)寄付という方法によって心からの反省と更生への意欲を示すことも可能です
    弁護士会や法テラスなどの団体へ寄付をし、その証明書を弁護士が検察官・裁判所へ提出するかたちで反省・更生の意思を示します。

5、まとめ

公然わいせつ罪の法定刑は懲役・罰金・拘留・科料が定められており、量刑は裁判官が複数の事情をもとに総合的に判断します。実際にどのくらいの量刑になるのかは事件によって異なるため、個別の事件については弁護士へ相談するのがよいでしょう。弁護士の力を借りることで不起訴処分や執行猶予つき判決となる可能性も高められるため、早期にサポートを受けるのが賢明です。
公然わいせつ事件の解決実績が豊富なベリーベスト法律事務所が力を尽くしますので、まずはご連絡ください。

監修者
萩原 達也
弁護士会:
第一東京弁護士会
登録番号:
29985

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※本コラムは公開日当時の内容です。
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