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弁護士コラム

2021年08月30日
  • 性・風俗事件
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職場で盗撮が発覚! 懲戒処分や解雇される可能性はあるのかについて解説

職場で盗撮が発覚! 懲戒処分や解雇される可能性はあるのかについて解説
職場で盗撮が発覚! 懲戒処分や解雇される可能性はあるのかについて解説

盗撮行為は犯罪です。ただし、刑法などに「盗撮罪」といった明確な規定はないため、条例やさまざまな秩序違反行為を罰する法律を適用しながら取り締まりが行われているという現状があります。近年では、条例の改正によって規制が強化される動きが目立っており、これまでは処罰されなかった盗撮行為でも処罰を受ける危険が高まりました。

「職場」も規制強化を受けている場所のひとつです。職場での盗撮行為が発覚すれば条例などの規制を受けて犯罪となるだけでなく、懲戒処分や解雇といった不利益処分を受けるおそれがあります。

本コラムでは「職場での盗撮」に注目し、適用される法令や具体例、懲戒処分や解雇などを避けるための対策を解説します。

1、職場での盗撮が発覚するきっかけ

職場での盗撮行為は、どのような経緯で発覚するのでしょうか?考えられるパターンをみていきましょう。

  1. (1)被害者が会社に相談する

    盗撮被害に遭った同僚などが会社内のトラブル相談窓口や上司などに報告することで、社内で盗撮が発生したことが発覚するというケースです。出入りが自由ではないオフィス内で発生した場合は特に、内部の人物に疑いの目が向けられます。個別ヒアリングなどから容疑が濃厚となり、言い逃れのできない状態になって犯人だと特定されてしまうおそれもあります。

  2. (2)目撃者や発見者が会社に通報する

    盗撮行為を目撃した、あるいは盗撮用の隠しカメラを発見した部外者が会社に苦情として通報するといった流れでも、盗撮が発覚することがあります。部外者からの苦情・通報であれば会社としては事実確認を尽くすほかなく、徹底した調査によって犯人として特定されてしまうことも考えられるでしょう。

  3. (3)被害者が警察に被害届を提出する

    盗撮被害者が会社を通さずに直接警察に相談して被害届を提出するケースも考えられます。この場合は、警察が会社側に捜査協力を求めることになるので、社内で盗撮が発生した事実は確実に会社へと伝わります
    社内調査がおこなわれるだけでなく、警察による鑑識活動や取り調べ、聞き込みといった捜査も尽くされるので、犯人として特定される危険性はきわめて高くなるでしょう。

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2、職場での盗撮に適用される法令

職場での盗撮行為にはどのような法令が適用されるのでしょうか?考えられる犯罪や罰則をみていきます。

  1. (1)各都道府県の迷惑防止条例

    迷惑防止条例は、公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為などを防止し、都道府県民の生活の平穏を保持することを目的とした条例です。正式名称は都道府県によって異なるものの、総称として迷惑防止条例と呼ばれています。

    盗撮行為は粗暴行為の一種として迷惑防止条例の規制対象となっており、従来は次の2つのパターンで適用されていました。


    • 住居やトイレ、浴場、更衣室など、人が通常は衣服の全部または一部を着けないでいるような場所における盗撮
    • 公共の場所、公共の乗り物などでの盗撮


    ところが、これらのパターンでは会社や学校、事務所、タクシーといった不特定・多数の方が利用または自由に出入りする場所での盗撮行為を規制することができませんでした。会社や学校などは、公共の場所ではないと考えられていたためです。この点が大きな問題であると注目され、平成30年7月に東京都が規制対象を拡大したことを皮切りに、全国でも同様の改正が施行される動きが目立っています。

    条例が改正されていない自治体では依然として公共性のない場所での盗撮は罪に問われない状況が続いていますが、いずれは改正される可能性が高いでしょう。

    なお、東京都の迷惑防止条例に違反して盗撮を行った場合は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられます

  2. (2)軽犯罪法

    軽犯罪法は軽微な秩序違反行為を規制する目的で定められた法律です。

    第1条23号には「正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者」を罰すると規定されています。盗撮行為そのものを規制対象としているわけではないものの、たとえばトイレの個室に忍び込んで隣の個室内を撮影する行為は盗撮の前提としてのぞきが存在するため、軽犯罪法の適用は免れません。

    盗撮をしたかどうかではなく「のぞきをしたのか」という点に注目して処罰されるため、下見やテスト撮影といった場合でも処罰されることになるでしょう。

    罰則は拘留または科料です。わが国の法制度ではもっとも軽い刑罰ではあるものの、有罪となれば前科がついてしまうので軽視すべきではありません

  3. (3)刑法の建造物侵入罪

    刑法第130条の「建造物侵入罪」は、いわゆる不法侵入にあたる行為を罰する犯罪ですが、盗撮にも適用されることがあります。

    建造物侵入罪の条文には「正当な理由がないのに」と明記されているため、たとえ自らが勤務している職場であっても、盗撮目的であれば正当な理由のない侵入ととらえられてしまうのです
    実際に、令和3年6月には勤務先の小学校の女子トイレにカメラを設置・撮影した教諭が建造物侵入罪などの容疑で逮捕された事件も発生しました。

    建造物侵入罪の罰則は、3年以下の懲役または10万円以下の罰金です。

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3、職場における盗撮行為の具体例と罪名

ここでは職場における盗撮行為の具体的なケースと適用される罪名をみていきます。

  1. (1)職場の更衣室内に小型カメラを設置した場合

    同僚の着替え姿をねらって更衣室の内部に小型カメラを設置した場合は、刑法の建造物侵入罪(刑法第130条)に問われるおそれが高いでしょう。
    また、不法な目的であることが証明できない状況であっても、条例が改正されている自治体では迷惑防止条例違反が適用されるものと考えられます。建造物侵入罪・迷惑防止条例違反が適用できない場合でも、更衣室は人が衣服を着けないでいるような場所にあたるため、軽犯罪法違反が成立します。

  2. (2)飲食店従業員が店舗のお客さま用トイレにカメラを設置した場合

    お客さま用トイレも、人が衣服を着けないでいるような場所にあたります。自治体の定めによっては迷惑防止条例違反、公共の場所以外での盗撮を取り締まる条例がない場合は軽犯罪法違反に問われるでしょう。

  3. (3)オフィス内で同僚のスカートのなかを撮影した場合

    オフィス内は人が衣服を着けないでいるような場所にあたらないので、軽犯罪法違反は成立しません。また、条例改正がおこなわれていない自治体では、迷惑防止条例違反にもあたりません。

    迷惑防止条例が改正されている場合は、不特定または多数の者が利用する職場内での盗撮は規制を受けているため、処罰の対象です。

    通常業務をおこなうオフィス内では不法な目的での侵入とはとらえにくいため、建造物侵入罪にも問われない可能性があります。このように、自治体によっては罪に問われない可能性はあるものの、社内の秩序・風紀を乱した責任を問われる事態は避けられないでしょう

  4. (4)オフィス内で同僚の寝顔を撮影した場合

    オフィス内で同僚が居眠りしている姿や仮眠をとっている姿を撮影すると、相手から「盗撮だ」と非難されるおそれがあります。許可を得ず相手の姿態を撮影すると、相手から肖像権侵害を訴えられるケースがあるのも確かです。
    しかし、寝顔などは衣服で隠されている下着や身体といった性的な興奮を催させる部位ではないため、迷惑防止条例や軽犯罪法の規制は受けません

    処罰する条例・法律は存在しないものの、オフィス内での関係性が悪化してしまうため、上司からなんらかの処分を受けるおそれがあるでしょう。

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4、職場での盗撮による社内処分

職場での盗撮行為が発覚すれば、刑罰だけでなく社内での処分にも不安を抱えることになるでしょう。盗撮の犯人だと会社に特定された場合に受ける処分について確認します。

  1. (1)民間企業の従業員の場合

    一般の民間企業における盗撮行為に対しての処分内容は、会社の就業規則によります。おおむね、犯罪行為をはたらいた場合、または会社内の秩序や風紀を乱した場合は、なんらかの処分を受けることになるでしょう。

    ここで大きな不安となるのは「懲戒解雇されてしまうのか?」という点です。

    解雇は会社が従業員に対して一方的に労働契約を解除する処分であり、懲戒解雇を受けた場合は退職金が支払われないなどの大きな不利益が生じることになります。ただし、懲戒解雇はきわめて重大な処分ですので、労働契約法第15条の規定に従い、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当である場合においてのみ認められます。

    就業規則には懲戒解雇となる事由が規定されていることもありますが、その事由に該当したからといって直ちに懲戒解雇になるというわけではありません。就業規則に書かれていることに違反したという事実も、あくまで解雇が合理的かつ相当と言えるかどうかを判断する一要素にすぎないのです。たとえば、盗撮によって逮捕され社名を含めて報道されるなど、会社の社会的な信用をおとしめたといった状況であれば懲戒解雇に至る可能性もありますが、そういった事情がなければ出勤停止や降格・減給・厳重注意といった処分で済む可能性も十分にあるでしょう。

  2. (2)国家公務員の場合

    公務員が犯罪を認知した場合は告発義務が課せられます。組織内でのもみ消しは大きな問題となるため、然るべき捜査機関へと告発される事態は避けられません。

    盗撮行為が犯罪に該当し、刑事裁判で禁錮以上の刑罰が確定すると、国家公務員法に定められている欠格事由に該当するため、欠格による失職処分となります。禁錮以上の刑罰とは、懲役・禁錮です。
    盗撮行為には適用される条例・法律に従って懲役・罰金・拘留・科料が科せられるので、禁錮以上にあたるのは懲役となります。執行猶予つきの判決だったとしても懲役であることには変わりありません。

    また、罰金で済まされた場合や、検察官が不起訴とした場合でも、盗撮行為が事実であれば人事院の「懲戒処分の指針」に従って停職・降格・減給といった懲戒処分を受けることになるでしょう。

  3. (3)地方公務員の場合

    都道府県・市区町村などの職員は地方公務員にあたります。

    地方公務員の場合も、国家公務員と同じく禁錮以上の刑罰が確定してしまうと欠格による失職処分を受けます。また、各自治体が定める懲戒処分の指針に従い、罰金以下の刑罰が確定した場合や、検察官が不起訴とした場合でも、停職・降格・減給といった懲戒処分が下される危険があります。

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5、職場での盗撮は自首したほうがいい?

盗撮が会社に発覚して厳しい処分を受ける前に、自首したほうが賢い選択になるのではないか、といった悩みを抱えている方も少なくないでしょう。

職場で盗撮をしてしまった場合は自首したほうがよいのでしょうか?

  1. (1)「自首」の効果

    盗撮事件では被害者へ謝罪と賠償を尽くして示談が成立することで、被害者が被害届の提出や刑事告訴を取りやめ、刑事事件化を回避できる可能性があります

    そのため加害者としては被害者との示談交渉を進めることが重要ですが、被害者は、盗撮をした本人が本当に反省をしているのか、単に逮捕や刑罰を免れたいから示談を求めているのではないかといった不信感を抱き、示談に応じない場合があります。
    この点、自首をした事実は加害者が自らの行為を反省している証となり、被害者が示談に応じてくれる可能性を高める場合があります。

  2. (2)自首の成立要件

    自首が成立するのは、次の4点を満たしている場合です。


    • 自ら犯罪行為を申告すること
    • 自身の処分を望む内容であること
    • 捜査機関に対しておこなうこと
    • 犯罪事実または犯人が捜査機関に発覚する前におこなうこと


    たとえば、嫌疑をかけられて取り調べの最中に自白した場合や、犯罪行為は認めつつも身勝手な言い訳に終始して刑事責任を逃れようとしている場合、すでに被疑者として特定されている場合などには、自首が認められません。

  3. (3)職場での盗撮行為は自首すべきか?

    自首は自らの犯罪を申告したうえで処罰を望む手続きなので、捜査が進められて検察官へと送致される事態は避けられません。捜査の過程で会社の捜査協力は欠かせないため、会社に隠しとおすことは困難です。

    自らの盗撮行為を穏便に解決するためには自首も有効な選択肢のひとつだといえますが、会社側に発覚してしまえば規定に従って懲戒処分を受ける危険もあります。
    このように考えれば、捜査の対象になってしまう前に被害者との示談交渉を進めて被害届の提出や刑事告訴の回避を目指すほうが賢明であるケースもあるでしょう。

    自首すべきかどうかを個人で判断するのは困難なので、弁護士に相談して自首が有効であるかのアドバイスを得ることをおすすめします

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6、職場で盗撮をした場合は早めに弁護士へ相談を

職場において盗撮をしてしまった場合は、ただちに弁護士に相談しましょう。

弁護士に相談すれば、加害者の代理人として被害者との示談交渉を進めたり、会社に対して処分の軽減を求めたりといった弁護活動が期待できます。自首が有効な状況であるかの適切な判断や、事件に発展してしまった場合の刑事弁護も一任可能です。逮捕・勾留による身柄拘束を受けてしまえば社会生活に甚大な影響を与えてしまうので、早期釈放を目指した弁護活動も必要となります。

職場における盗撮行為は、内部の問題であるゆえに穏便な解決が図れる可能性がある一方で、就業規則に従って厳しい処分が下され、懲戒解雇を受けないとしても自主退職を選ばざるを得ない状況に追い込まれてしまう危険があります。

そうならないように、盗撮トラブルの解決実績が豊富な弁護士に相談してサポートを求めましょう。

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7、まとめ

全国的に条例改正が進められているため、職場における盗撮行為も迷惑防止条例違反となってしまうおそれがあります。迷惑防止条例違反にあたらないケースでも、軽犯罪法違反や刑法の建造物侵入罪にあたることがあるため、弁護士に相談して穏便な解決を目指したサポートを求めるのが賢明です。

職場での盗撮行為による刑罰や解雇などの不利益処分を回避したいと望むなら、刑事事件の弁護実績が豊富なベリーベスト法律事務所にお任せください。被害者との示談交渉や会社との処分軽減の交渉、捜査機関への自首の判断を含めて、最善の結果を目指し全力でサポートします。

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監修者
萩原 達也
弁護士会:
第一東京弁護士会
登録番号:
29985

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
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※本コラムは公開日当時の内容です。
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