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弁護士コラム

2022年04月28日
  • 性・風俗事件
  • 盗撮
  • 告訴

盗撮で告訴されたらどうなる? 罪や刑罰、逮捕後の流れとは

盗撮で告訴されたらどうなる? 罪や刑罰、逮捕後の流れとは
盗撮で告訴されたらどうなる? 罪や刑罰、逮捕後の流れとは

盗撮行為をして被害者に気づかれ、「告訴する」と言われたので怖くなってその場から逃げてしまった……。

盗撮事件であり得る場面ですが、実際に被害者から告訴されるとどうなるのでしょうか? 告訴されなかった場合には警察から捜査を受けたり逮捕されたりするおそれはないのでしょうか?

本コラムでは盗撮事件と告訴をテーマに、告訴状と被害届の違いや盗撮で逮捕されるケース、盗撮で成立する犯罪などについて解説します。

盗撮行為は、令和5年7月13日に新設された「撮影罪(性的姿態等撮影罪)」によって処罰の対象となります。

目次

  1. 1、盗撮は非親告罪なので告訴状がなくても起訴される
    1. (1)非親告罪とは
    2. (2)告訴状とは? 被害届と何が違う?
  2. 2、盗撮で成立する罪とは
    1. (1)迷惑行為防止条例(迷惑防止条例)違反
    2. (2)軽犯罪法違反
  3. 3、盗撮で逮捕される場合
    1. (1)逮捕はどのようなときに行われるのか
    2. (2)逮捕後の流れ
  4. 4、盗撮で逮捕されそうなら、弁護士へ相談を
    1. (1)勾留を阻止するために活動する
    2. (2)被害者と示談交渉する
  5. 5、まとめ

1、盗撮は非親告罪なので告訴状がなくても起訴される

前提として、盗撮で該当する犯罪は「非親告罪」なので、被害者から「告訴状」が提出されなくても検察官から起訴されるおそれがあります。

とはいえ、そもそも非親告罪とは何か、告訴状とは何か分からない方も多いはずです。非親告罪や告訴状の意味を含めて盗撮による起訴の危険について確認していきましょう。

  1. (1)非親告罪とは

    犯罪には親告罪と非親告罪があります

    親告罪とは、被害者の告訴がなければ検察官が起訴できない犯罪のことです。検察官は事件の内容や被害者との示談の有無などさまざまな事情を考慮して被疑者を起訴するべきかを判断しますが、親告罪では告訴がなければ起訴できません。親告罪について告訴なしに起訴しても、裁判所に棄却されることになります。

    一方、非親告罪は、被害者の告訴がなくても検察官が起訴できる犯罪のことです。

    例えば旧強姦(ごうかん)罪(現在は強制性交等罪)や強制わいせつ罪などの性犯罪は被害者のプライバシーを保護するという観点から、以前は親告罪でした。しかし親告罪であることで、加害者からの報復をおそれ、告訴をためらう被害者が多くいたことが問題視されていました。加害者を起訴するべきかの判断を被害者に委ねるのは精神的に負担が大きすぎることから、平成29年の刑法改正にともない非親告罪へと変更されています。

    盗撮にあたる犯罪も非親告罪なので、告訴状が提出されていなくても起訴されるおそれがあります。

  2. (2)告訴状とは? 被害届と何が違う?

    被害届は犯罪被害に遭った事実を警察に申告する書面のことです

    一方、告訴状は捜査機関に対する被害事実の申告に加え、加害者の処罰を求める「告訴」の意思表示を含む書面です。親告罪は告訴がないと検察官が起訴できないため、親告罪において被害者が犯人を処罰してほしい場合は告訴状の提出を求められます。

    刑事訴訟法第242条には、警察が告訴を受けたときにはすみやかに検察官に送致する義務が明記されています。

    また犯罪捜査規範第67条には、告訴があった事件について「特にすみやかに」捜査を行うよう努めるとの記載があります。このように、単なる被害事実の申告にすぎない被害届の提出と比べて、告訴は法的な要請が強いため、告訴状が受理されると加害者として特定されるおそれが高まります。

    もっとも、被害届も告訴状と同様に捜査の端緒(意味:きっかけ)になるため、「被害届だけ提出されても捜査されない」というわけではありません。

2、盗撮で成立する罪とは

法律上、「盗撮罪」という犯罪は存在しませんが、迷惑防止条例違反や軽犯罪法違反として処罰の対象となります

  1. (1)迷惑行為防止条例(迷惑防止条例)違反

    盗撮で成立する代表的な犯罪は各都道府県が定める迷惑行為防止条例(迷惑防止条例)違反です。

    条文名や禁止行為、罰則などは都道府県ごとに若干の違いがありますが、東京・埼玉・千葉・神奈川を例に挙げると罰則は以下のとおりです。

    • 1年以下の懲役または100万円以下の罰金
    • 常習の場合は2年以下の懲役または100万円以下の罰金


    以前の迷惑行為防止条例(迷惑防止条例)は「公共の場所または公共の乗物」での盗撮行為を規制対象としていました。平成30年の東京都の条例改正を皮切りに全国で条例の改正が行われ、現在では多くの条例で公共の場所・乗物以外での盗撮行為も規制対象となっています。埼玉・千葉・神奈川でも同様に、公共の場所・乗物以外の盗撮も禁止されています。

    なお、迷惑行為防止条例(迷惑防止条例)違反の公訴時効は3年です。盗撮行為を終えてから3年が経過すると刑事訴追されません。

  2. (2)軽犯罪法違反

    軽犯罪法第1条第23号は、正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見ることを禁止しています(窃視の罪)。「のぞき見る」とは、肉眼で見るだけでなく、撮影機器を用いて撮影することも含まれます。

    盗撮が軽犯罪法違反にあたるのは、迷惑行為防止条例違反の要件を満たさなかった場合や、公共の場所以外の盗撮が条例で規制されていない自治体において私的空間での盗撮をした場合などです。

    軽犯罪法違反の罰則は「拘留または科料」です。

    • 拘留……1日以上30日未満の期間を定めて刑事施設に拘置される刑
    • 科料……1000円以上1万円未満の金銭を徴収される刑


    30万円以下の罰金、拘留または科料にあたる罪は逮捕の要件が限定されるため、軽犯罪法違反の場合は迷惑行為防止条例違反と比べると逮捕の危険は低くなります(刑事訴訟法第199条ただし書き、第217条)。

    とはいえ、有罪になれば前科がつくことに変わりはありません。また、のぞき見目的で住居や浴場などに侵入すれば刑法第130条の住居侵入・建造物侵入罪も成立するおそれがあり、同罪の罰則は「3年以下の懲役または10万円以下の罰金」です。

3、盗撮で逮捕される場合

盗撮事件の被疑者が逮捕されるケースと逮捕された後の流れについて解説します。

  1. (1)逮捕はどのようなときに行われるのか

    すべての刑事事件で被疑者が逮捕されるわけではありません。

    捜査機関が逮捕するには逮捕の理由と逮捕の必要性が求められます(刑事訴訟法第199条、刑事訴訟規則第143条の3)

    • 逮捕の理由……被疑者が罪を犯したと疑うに足りる相当な理由があること
    • 逮捕の必要性……被疑者が逃亡や証拠隠滅を図るおそれがあること


    例えば、盗撮をして被害者に気づかれたためその場から逃走したケースや、客観的な証拠がそろっているのにかたくなに否認しているケースなどは、逃亡や証拠隠滅のおそれがあるとして逮捕されるおそれが大きいでしょう。

    逮捕される事件を身柄事件といい、警察署に連行されて留置場に身柄を置かれたまま捜査が進められます。身柄拘束の期間が長くなると、盗撮による逮捕の事実が会社や学校に知られてしまうおそれが高まるでしょう。会社や学校の考え方次第では、解雇や退学といった不利益処分を受けるケースも考えられます。

    反対に、罪を犯したのが事実でも、逃亡や証拠隠滅を図るおそれがなければ逮捕されません。このように、逮捕されない事件を在宅事件といいます。

    例えば、素直に罪を認めて捜査に協力している場合や、定職について家族と同居しており、逃亡の恐れがない場合などは在宅のまま捜査が進められる可能性があります。在宅事件では通勤や通学などの社会生活を送りながら、捜査機関から呼び出しがあればその都度応じて取り調べを受けることになります。

    もっとも、「在宅事件=軽い処分で済む」というわけではありません。在宅のまま起訴され、そのまま実刑となれば、刑務所に収監されます。

  2. (2)逮捕後の流れ

    逮捕後の一般的な流れは以下のとおりです。

    • 逮捕後48時間以内
      警察から取り調べを受け、身柄と証拠書類が検察官に引き継がれます(送致)。
    • 送致後24時間以内
      検察官から取り調べを受けます。検察官は被疑者を釈放するか、裁判官に勾留を請求するかを決定します。
    • 勾留
      検察官の勾留請求を裁判官が認めると、原則10日間、延長でさらに10日間の身柄拘束が続きます。
    • 起訴・不起訴
      勾留が満期を迎えるまでに、検察官は起訴または不起訴を判断します。不起訴になると釈放されて事件はそこで終結します。
    • 刑事裁判
      起訴されると、保釈されない限りは引き続き身柄を拘束され、刑事裁判で審理されます。
    • 判決
      審理が終わると裁判官から判決を言い渡されます。懲役の実刑ならそのまま刑務所に収監され、執行猶予つき判決や罰金刑なら身柄を釈放されます。いずれの判決でも有罪であれば前科がつきます。
逮捕後72時間が勝負です!
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4、盗撮で逮捕されそうなら、弁護士へ相談を

盗撮をしてしまい逮捕の危険が生じているなら、早急に弁護士へ相談しましょう。弁護士は以下の活動を通じてサポートします。

  1. (1)勾留を阻止するために活動する

    逮捕の後に勾留されると、逮捕から実に最長で23日間もの身柄拘束を受けてしまうことになり、多大な不利益を被るおそれがあります。そのため逮捕されそうな事案では勾留請求されることも念頭に、早急に弁護士にサポートを依頼することが大切です。

    勾留の要件は、罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があり、かつ住居不定、証拠隠滅のおそれ、逃亡のおそれのいずれかに該当することです(刑事訴訟法第60条第1項)。したがって弁護士は検察官や裁判官に対して、これらの要件を満たさない旨を主張することで勾留を阻止します。例えば、定職に就いている、同居のご家族が本人を監督できるといった客観的事実を示すことで、在宅のまま捜査が可能であるとして勾留されない可能性が生じるでしょう。

    勾留が認められた場合も、弁護士が裁判所への準抗告の申し立てや勾留の取り消し請求などによって釈放されるよう働きかけます。

  2. (2)被害者と示談交渉する

    盗撮の被害者に謝罪と賠償を尽くし、示談にしてもらうことで、不起訴処分や執行猶予つき判決となる可能性が高まります。盗撮にあたる犯罪は非親告罪なので、被害者との示談が成立して告訴が取り下げられても、必ず不起訴処分となるわけではありません。しかし示談の成立によって一定の被害回復が図られ、被害者からの許しを得られたと評価されるため、盗撮事件でも示談交渉を行う重要性は非常に高いといえます。

    盗撮の被害者は加害者に対して嫌悪感や恐怖心を抱いているケースが多く、加害者本人・ご家族からの交渉は拒絶されることも容易に想定できます。また盗撮は見ず知らずの相手に対して行われるケースも多く、その場合は示談をしようにも被害者の連絡先がわからないでしょう。

    したがって示談交渉は弁護士に一任するべきです。弁護士なら捜査機関を通じて被害者とコンタクトを取り、弁護士に限るという条件つきで交渉を開始できる可能性があります。守秘義務もある弁護士が相手なら被害者の安心感にもつながり、示談に応じてもらいやすくなります。

5、まとめ

盗撮にあたる犯罪は非親告罪なので、被害者からの告訴があってもなくても起訴される場合があります。また、結果的には起訴を免れたとしても、捜査機関から逃亡や証拠隠滅のおそれありと判断されると逮捕・勾留されるので、それだけでも社会生活上の大きな不利益を受けてしまいます。

逮捕・勾留や起訴を回避するには弁護士のサポートが不可欠です。盗撮をしてしまった、家族が盗撮をして逮捕されてしまったなどの事情でお悩みであれば、ベリーベスト法律事務所へご相談ください。刑事事件の解決実績が豊富な弁護士が全力でサポートします。

監修者
萩原 達也
弁護士会:
第一東京弁護士会
登録番号:
29985

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※本コラムは公開日当時の内容です。
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