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万引きが強盗罪になる? 窃盗と強盗の違いや事後強盗罪の構成要件について解説

2019年09月27日
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万引きが強盗罪になる? 窃盗と強盗の違いや事後強盗罪の構成要件について解説

警視庁の統計資料によれば、平成20年~平成29年における万引きの認知件数は、毎年10万件以上で推移しています。これだけ頻繁に発生する万引きは、犯罪の中でも比較的軽い罪だと捉えられがちで、逮捕すらされないと思っている方もいるようです。
しかし、万引きはれっきとした犯罪であり、懲役刑や罰金刑も用意されています。また、万引きをしたときの行為によっては強盗として扱われてしまうことがあります。もし万引きをして捕まりそうになったが逃げてしまった人は、しかるべき対応をしないと非常に重い罪に問われる可能性があるということです。
今回は万引きをテーマに、どの程度の罪になるのか、どのようなケースで強盗になるのかについて解説します。

1、万引きと強盗罪の違いとは

万引きがどのような罪になるのか、強盗とは何が違うのかを解説します。

  1. (1)万引きは窃盗罪

    万引きは「窃盗罪」にあたります。刑法第235条は、「他人の財物を窃取した者」が窃盗の罪になるとしています。

    「他人の財物」とは、他人の占有下にある財物を指します。本来の持ち主と現に占有している人が一致している財物は分かりやすいでしょう。
    一方で、たとえば、本来の持ち主から預かっている物や道端で拾った物でも、現に占有している人から盗めば窃盗罪が成立します。極端なことをいえば、自分の持ち物を人に預けていたが、それを黙って持ち帰る行為も、窃盗罪になってしまうのです。これは窃盗罪が、財物を所持・管理するという占有権を保護するために存在するからです。

    「窃取」とは、ひそかに盗む行為をいいます。
    店員や警備員に見られないようにこっそりと、店が管理する商品を盗みとる万引きは、まさに窃盗罪の典型例です。

  2. (2)窃盗罪と強盗罪の違い

    刑法第236条は「暴行または脅迫を用いて他人の財物を強取した者」が強盗の罪になると定めています。店員にナイフを近づけて脅しながらレジの現金を奪いとる行為が典型的ですが、タクシーの運転手を殴って運賃を支払わずに逃げるような行為も強盗罪にあたります。

    では、窃盗罪と強盗罪の違いはどこにあるのでしょうか。
    強盗罪も、他人の財物を許可なく自分の物にしてしまう点では窃盗罪と共通しています。
    しかし、窃盗罪が人の財物を「窃取」していたのに対し、強盗罪では「暴行や脅迫を用いて」奪いとっています。
    つまり2つの罪は暴行や脅迫という手段の有無が明確に違います。

    また、強盗罪の暴行や脅迫は、相手の反抗を抑圧する程度に強いことが求められます。
    これは、強盗罪が人の財物のみならず、人の生命や身体、自由を保護するために設けられているからです。

2、万引きと強盗の量刑の違い

有罪になった場合に裁判で言い渡される量刑について、万引きと強盗の違いを見ていきましょう。

  1. (1)窃盗罪の量刑

    万引きをした際に問われる窃盗罪の刑罰は「10年以下の懲役または50万円以下の罰金」です。実際の量刑は、被害額や事件の悪質性、店側との示談の有無などによって、この範囲内で決まります。
    たかが万引きだと軽く思われることがありますが、懲役刑となり刑務所で生活するような事態もあり得るわけです。もっとも、万引きの初犯で被害額も少なく、店側とも示談が成立しているようなケースでは、いきなり懲役刑となる可能性は低いでしょう。

    また、窃盗罪は執行猶予がつくケースもあります。
    執行猶予とは、有罪判決を受けたが、猶予期間中に再び罪を犯さないことを条件に、刑罰の執行を免れる制度をいいます。
    執行猶予は「3年以下の懲役、禁錮、または50万円以下の罰金」の判決が対象ですので、窃盗罪である万引きも執行猶予がつく可能性があります。

  2. (2)強盗罪の量刑

    強盗罪の刑罰は「5年以上の有期懲役」です。
    強盗罪は人の財産および生命、身体を侵害する重罪ですので、極めて重い罰が用意されています。
    量刑は法定刑の範囲内において、事件の様態や結果、被害者との示談の有無など、さまざまな要素をもとに判断されます。
    有期懲役は刑法第12条により、1ヶ月以上20年以下と定められています。つまり強盗罪で実刑判決を受けると、短くて5年、長い場合は20年もの間、刑務所で暮らすことになります。

    また窃盗罪と違い、罰金刑は用意されていません。さらに、強盗罪の懲役は5年以上ですから、原則として執行猶予がつきません。
    これだけの違いを見ても、強盗罪がいかに重い罪かがお分かりになるでしょう。

3、万引きが強盗罪になってしまう可能性はある

当初は万引きをするつもりしかなかったのが、思いもかけず強盗罪に問われてしまうことがあります。

  1. (1)万引きをして暴行や脅迫を加えた場合

    たとえば、次のようなケースです。

    • 万引きした商品を店員に奪い返されそうになったために店員の腕をひねった
    • 万引きをして自動車で逃走しようとしたが、追いかけてきた店員が自動車の前に立ちふさがったため、自動車を発車させて店員を転ばせた
    • 万引きを店員に咎められて逃げる途中に運転免許証を落とし、それを店員が拾ったため、奪い返すために殴った

    これを「事後強盗」といいます。
    刑法第238条では事後強盗罪に問われると「強盗として論ずる」としています。つまり、強盗罪と同じく扱うということです。

  2. (2)万引きできなかったが暴行や脅迫を加えた場合

    事後強盗には未遂罪があります。未遂の場合も事後強盗と同じ法定刑の範囲で罰せられますが、刑が減軽されることがあります。

    未遂と既遂の区別においては、窃盗行為自体の未遂、既遂によって左右されます。
    これは、事後強盗罪の主体があくまでも窃盗犯であることから、事後強盗の未遂、既遂における判断も窃盗行為が基準となるためです。
    たとえば、万引きしようとしたが店員に声をかけられたため暴行を加えて逃げた場合には、万引き行為そのものが未遂に終わっているため、事後強盗未遂になります。
    このとき、実際に万引きをしたうえに暴行を加えて逃げていると、事後強盗は既遂になります。

4、事後強盗罪の概要

事後強盗罪の構成要件について、もう少し詳しく確認しましょう。

  1. (1)窃盗の機会とは

    事後強盗が成立するには、窃盗の機会において暴行や脅迫が加えられている必要があります。
    窃盗の機会とは、窃盗行為と、暴行や脅迫行為との間が、時間的、場所的に接着しているということです。
    もっとも、場所や時間に多少の隔離があっても、窃盗行為から継続や延長があったとみなされ、事後強盗罪が成立するケースがあります。

    窃盗と暴行・脅迫を別々に行ったのか、窃盗の機会に行ったことで事後強盗になるのかは、刑罰の軽重を考えても大きな問題です。
    したがって、実際の事件ごとに慎重な捜査が行われます。

  2. (2)居直り強盗との違い

    居直り強盗とは、窃盗行為を人に見つかったが、なお窃盗を完遂させるため、人に暴行や脅迫を加える犯罪です。事後強盗と似ているようですが、両者は目的が異なります。

    事後強盗は、窃盗犯が、以下3つのうちいずれかの目的で、暴行または脅迫を行うことで成立します。

    1. ①盗んだ物を取り返されることを防ぐため
    2. ②逮捕を免れるため
    3. ③罪跡を隠滅するため

    一方、居直り強盗は財物を奪いとる目的をもって暴行や脅迫を行います。居直り強盗は事後強盗罪(刑法第238条)ではなく、強盗罪(同法第236条)が適用されます。

  3. (3)強盗罪と同一に扱われることの意味

    事後強盗の主体は窃盗犯ですが、法的に強盗罪と同一と考えられているため、強盗罪と同じく、「5年以上の有期懲役」が適用されます。
    また、単に刑罰のみが同じであるだけでなく、強盗致死傷(刑法第240条)や強盗・強制性交等(同法第241条)との関係においても強盗罪として扱われます。
    たとえば、万引きに気づき追跡してきた人を殴り、怪我をさせた場合は、事後強盗致傷となり、無期または6年以上の懲役に処されることになります。

5、まとめ

今回は万引きをして問われる罪や量刑、強盗罪との違いを中心に解説しました。万引き自体、窃盗罪として逮捕、起訴されるおそれのある犯罪ですが、行為によっては強盗罪に変わってしまうこともあります。お伝えしたとおり、万引きと比較して強盗罪の罪は極めて重く、適切に対処しなければ今後の人生に多大な影響をおよぼします。
これを避けるためには、早期に弁護士を頼ることが不可欠です。不起訴処分や減刑、執行猶予つき判決の獲得に向けて具体的なはたらきかけができるのは弁護士だけです。ベリーベスト法律事務所でもご相談をお受けします。刑事弁護の経験豊富な弁護士が力を尽くしますので、お早めにご連絡ください。

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