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強制性交等罪(旧強姦罪)とは? 構成要件や罰則について

2019年04月18日
  • 性・風俗事件
  • 強制性交等罪
  • 構成要件
強制性交等罪(旧強姦罪)とは? 構成要件や罰則について

平成29年7月13日に施行された改正刑法において、それまで強姦(ごうかん)罪と呼ばれていた犯罪が強制性交等罪(きょうせいせいこうとうざい)へと変わりました。これは処罰規定と性犯罪被害の実情がかけ離れていたのを受けた改正で、罪名の変更に伴って処罰の対象となる行為や被害者の範囲が拡大され、厳罰化されています。
今回はこの強制性交等罪に関し、犯罪が成立するための要件(構成要件)や罰則について見ていきつつ、新たに設けられた関連犯罪や逮捕された場合の対処法などについてご説明します。

1、強制性交等罪(旧強姦罪)とは?

強制性交等罪(刑法第177条)、準強制性交等罪(刑法第178条)、そして改正で新設された監護者性交等罪(刑法第179条)についてみていきましょう。

  1. (1)構成要件

    強制性交等罪は性交(肛門や口腔によるものも含む)を、暴行・脅迫を用いて行った場合に成立します。
    暴行とは殴打や力ずくでの抑え込みなどをいい、脅迫は刃物や言葉で加害を仄(ほの)めかすなどして脅すことをいいます。なお、13歳未満の者に対する性交は、暴行・脅迫を用いなくとも強制性交等罪が成立します。

    準強制性交等罪は、すでに心神喪失若しくは抵抗不能の状態にあることを利用し、又はそのような状態にさせ、相手に性交等を行った場合に成立します。
    心神喪失とは精神的障害により正常な判断力が失われた状態、抵抗不能とは心理的・物理的に抵抗できない状態をいいます。
    これらの罪には未遂罪も規定されています(刑法第180条)。

  2. (2)罰則内容

    強制性交等罪や準強制性交等罪で有罪となった場合、5年以上の有期懲役が科されます。
    なお、致死傷罪、つまり強制性交等により相手を死傷させた場合は、無期又は6年以上の有期懲役となります(刑法第181条第2項)。

2、強姦罪から強制性交等罪へ罪名が変更された

強制性交等罪は、以前は強姦罪として規定されていました。刑法改正によって罪名が変更されたことに伴い、処罰対象や被害者の範囲、罰則なども変わっています。
主な変更点としては、以下の通りです。

  • 処罰対象が「淫行」から「性交」に拡大(肛門や口腔での性交も処罰対象となった)
  • 被害対象範囲の拡大(女性だけでなく男性も被害者に含まれるようになった)
  • 厳罰化(旧強姦罪は3年以上の有期懲役だったのが、5年以上の有期懲役になった)
  • 親告罪から非親告罪へ(被害者の告訴がなくとも立件され得るようになった)

改正前の刑法では、男性器が女性器に挿入されることを旧強姦罪の既遂と規定していました。肛門や口腔での性交、ないし被害者が男性の場合は強制わいせつ罪(第176条)が成立するにとどまっていました。
強制わいせつ罪の法定刑は6ヶ月以上10年以下の有期懲役で、旧強姦罪とのバランスが疑問視されていました。

そこで改正によって5年以上の有期懲役となり、厳罰化されたのです。これは肛門や口腔での性交を性器での性交と区別すべき合理的な理由はなく、また被害者の性別も罪の重さには影響しないことによるものと考えられます。
また、非親告罪化されたことで被害者による告訴が不要となり、被害者の精神的負担の軽減が期待されています。これは改正施行前の性犯罪にもさかのぼって適用されます。

3、強制性交等罪は執行猶予がつかない!?

  1. (1)刑の執行が猶予される条件

    刑事裁判で有罪判決が下った場合でも、刑の執行が猶予されることがあります。これは犯人の更生に期待するものです。
    猶予期間中に他の犯罪を行わなければ、刑の言い渡しの効力を失わせます。これが刑法第25条に定めのある、執行猶予という制度です。

    ただ、どのような犯罪でも執行猶予を認めてしまうと、被害者や国民の心情は納得せず、ひいては国家の刑罰権への信頼低下を招きかねません。そこで、執行猶予が認められるには、一定の条件が設けられています。

    • 判決が懲役刑の場合、3年以下であること
    • 判決が罰金刑の場合は、50万円以下であること
    • 以前に禁錮以上(死刑・懲役・禁錮)の刑に処せられていないこと
    • 以前に禁錮以上の刑に処せられている場合は、刑の終了・免除があってから5年以内に禁錮刑以上の刑に処せられていないこと
  2. (2)強制性交等罪と執行猶予の可否

    上述したような5年以上の有期懲役という法定刑から、強制性交等罪は原則として執行猶予の対象外となっています。それだけ重い罪とされたのは、強制性交に対する社会の厳しい目線を反映したものといえるでしょう。
    ただ、やむを得ない事情があるといった場合、刑は酌量によって軽くすることもできるため(第66条)、刑を減軽した上で執行猶予とされることはあります。

4、性犯罪厳罰化で新設された2つの犯罪

  1. (1)監護者わいせつ罪と監護者性交等罪

    刑法改正により新たに設けられたのが、監護者わいせつ罪と監護者性交等罪(刑法第179条)です。
    この2つの罪は、監護者がその影響力に乗じて18歳未満の者に対しわいせつな行為ないし性交等をした場合に成立します。
    監護者とは18歳未満の者を現に保護監督している者をいいます。具体的には両親や養護施設の職員などが該当します。ただし教師は含まれないものと解釈されています。

    また、わいせつな行為の定義をはっきりさせるのは難しいですが、裁判所の判断によれば、「徒に性欲を興奮又は刺激せしめ、且つ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するもの」とされています。

    これらの罪は、家庭内や養護施設内といった閉じられた場所におけるわいせつ行為や、強制性交に対しても厳しく処罰していこうという趣旨から新設されたものと考えられます。

  2. (2)罰則内容

    監護者わいせつ罪の法定刑は6ヶ月以上10年以下の有期懲役です。また、監護者性交等罪の法定刑は5年以上の有期懲役です。
    監護者性交等罪には原則として執行猶予がつきませんが、酌量減軽により執行猶予となる場合もあるという点は強制性交等罪と同様です。

5、非親告罪であっても示談は重要

  1. (1)示談とは

    刑事事件における示談とは、加害者が被害者と話し合い、当事者同士の合意によって和解する方法です。示談の際には賠償金(示談金)を支払うのが一般的です。
    また、加害者と被害者が直接話し合うことは少なく、大抵は代理人(主に弁護士)による示談交渉が行われます。

  2. (2)示談の重要性

    示談は、単に加害者が被害者に対して反省の意を示すという意味だけではなく、告訴や被害届の取り下げ、不起訴処分、刑罰の減軽などを目的に行われます。

    刑罰には社会一般の規律確保という目的のほか、被害者への贖罪(しょくざい)という側面もあります。そのため、示談によって被害者が加害者を許すという意思を示した場合、不起訴となったり、起訴されたとしても酌量減軽の余地があると判断されたりするのです。

    有罪となれば前科がつきます。特に弁護士や教員、警備員といった職業への就業は一定期間制限されるため、不起訴処分となるかどうかは重要といえます。

  3. (3)非親告罪化と示談

    強制性交等罪が非親告罪となったことで、示談による告訴の取り下げに意味はなくなったようにも思えます。
    しかし、被害者感情がどうであるかはやはり重要であり、量刑判断にも影響してくるため、示談を成立させておくに越したことはありません。

6、強制性交等罪で逮捕されたら早期に弁護士に依頼を

強制性交等罪で逮捕された場合、警察や検察での取り調べが行われる72時間は、たとえご家族であっても面会できず、本人の身柄は拘束されたままです。ご家族としては速やかに弁護士を選任することをおすすめします。
弁護士は逮捕された本人と面会し、取り調べに対する法的なアドバイスや、保釈請求といった身柄拘束からの早期解放に向けた活動ができます。起訴され裁判となった場合も継続して弁護活動を行えます。

それに加えて被害者との示談交渉を代行し、不起訴処分や罪の減軽を目指すこともできます。
強制性交等罪は有罪になれば非常に重い処罰を受けるおそれがある犯罪です。万一ご家族が逮捕された場合、できる限り早く弁護士にご相談されることが賢明な選択肢といえるでしょう。

7、まとめ

今回は強制性交等罪の構成要件や罰則についてご説明しました。社会一般の規範意識の変化や多発する性犯罪を受けて、強制性交等罪の厳罰化がなされ、処罰対象や被害者の範囲も拡大されました。
ただ、被害者のプライバシーへの配慮や冤罪被害といった問題は完全に解消されたとはいえませんし、いまだ課題は多く残されているといえるでしょう。ご家族が強制性交等罪の容疑で逮捕された場合は、ベリーベスト法律事務所までご相談ください。経験の豊富な弁護士がご対応いたします。

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