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お互いに殴り合ったら喧嘩両成敗? 両方とも傷害罪になる?

2019年07月03日
  • 暴力事件
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お互いに殴り合ったら喧嘩両成敗? 両方とも傷害罪になる?

混雑する場所で肩がぶつかった、酒に酔った勢いで口論になったなど、あることをきっかけに殴り合いなどの喧嘩に発展することがあります。「喧嘩両成敗」とはいいますが、殴り合いの喧嘩でも罪に問われるのか、売られた喧嘩だったとしても同様なのか、気になる方がいるかもしれません。
今回は、殴り合いの喧嘩となった場面を想定し、傷害罪に該当するケースについて解説します。

1、お互いに殴り合っても傷害罪は成立する

殴り合う喧嘩をすると、どちらかが悪いのだろうと捉えられがちですが、実際にはどのように扱われるのでしょうか。

  1. (1)「喧嘩両成敗」が原則

    殴り合いをしたのであれば、当事者双方が悪いと考えるのがいわゆる「喧嘩両成敗」の考え方です。喧嘩両成敗は江戸時代の「大岡裁き」としても知られていますが、現代の法律においても原則的な考え方として採用されています。
    喧嘩を売った側が悪いと思われがちですが、応戦した側が常に悪くないとされるわけではありません。
    なお、刑法では、正当防衛の規定があります。これは、「急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為」について、罰しないとするものです。しかし、本来の違法性を否定するほどの場合ですから、正当防衛の主張が認められないことも多いです。

  2. (2)殴り合ったときに成立する犯罪

    殴り合いの喧嘩をした際には主に暴行罪と傷害罪が問題になります。
    暴行罪とは、人の身体に対し、不法な有形力を行使する犯罪です。具体的には、殴る、蹴る、押す、物を投げるなどの行為が該当します。
    一方、暴行をした結果、相手にけがをさせれば傷害罪が成立します。
    つまり、喧嘩相手が無傷だったのなら暴行罪が、少しでもけがをしていたのなら傷害罪となる可能性があります。喧嘩の相手方からみても同じことがいえます。

2、喧嘩で相手がけがをすれば、けがをさせたほうに傷害罪が成立

こちらが殴ってけがをさせたのであれば、傷害罪が成立します。
喧嘩の場合でも、どちらか一方のみがけがをすることもあるでしょう。このときは、けがをさせた側に傷害罪が成立します。最初に殴りかかってきたのが相手だったとしても、応戦した結果、相手にけがをさせれば罰せられます。
傷害罪の法定刑は「15年以下の懲役または50万円以下の罰金」です。

  1. (1)傷害罪における逮捕の方法

    道端や飲食店などで殴り合いの喧嘩をすれば、周囲にいる人に通報され、駆け付けた警察官によって現行犯逮捕されるケースが多くなります。
    一方で、現行犯逮捕には至らずとも、相手方が被害届を提出することで事件化され、後日逮捕(通常逮捕)されることもあります。自分は怪我をさせたつもりはなくても、相手が病院で医師の診断書をもらってきたら、傷害罪で逮捕される可能性はあります。

  2. (2)喧嘩と過失傷害罪との関係

    「まさか相手がけがをするとは思わなかった」と、過失傷害罪を主張することがあります。過失傷害罪の法定刑は「30万円以下の罰金または科料」と傷害罪より軽く、親告罪なので告訴がなければ起訴されません。
    「過失」とは、注意義務違反と考えられています。たとえば、混雑した道路で携帯電話を操作している最中に不注意で人にぶつかってしまい、よろけた相手が転んでけがをしたというであれば、過失傷害罪が成立する余地があります。しかし、人をわざと殴るような場合には、けがをさせることは容易に予期できるため、喧嘩の場合にたまたまけがをしたと主張しても、過失傷害として認められることはあまり考えられません。

  3. (3)兄弟同士の喧嘩の場合

    喧嘩相手が兄弟だった場合には、どのような扱いになるのでしょうか。家族間の暴行事件では、他人同士のケースと比較し、逮捕の可能性は下がります。これは、家庭内の暴力ということで警察が介入を控えたりするなど、処分に対しても消極的になるケースが多いからです。被害者の処罰感情も薄くなりやすく、事件を公にしたがらないことなども理由です。
    しかし、「家族だから罪にはならない」わけではありません。傷害罪は人の身体を危険にさらす重大な犯罪であり、家族間で罰せられないとの特例もありません。兄弟同士の喧嘩も、程度次第では傷害罪で処罰される可能性があると知っておきましょう。

3、喧嘩に駆け付けた警察官に手をだしてしまうと公務執行妨害

喧嘩中には冷静さを失い、仲裁に入った人にまで手をだしてしまうことがあります。特に相手が駆け付けた警察官だった場合には、公務執行妨害にまで問われます。

  1. (1)公務執行妨害とは

    公務執行妨害罪は、公務員が職務を執行するにあたり暴行や脅迫を加えた場合に成立する犯罪です。喧嘩を止めに入った警察官を突き飛ばすなどして職務を妨害するのは、まさに典型的なケースといえるでしょう。
    罰則は「3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金」です。パトカーを蹴ったようなケースや、軽く手を払ったようなケースでも公務執行妨害になります。

  2. (2)警察官にけがをさせるとどうなる?

    警察官を殴り、けがをさせてしまえば、公務執行妨害罪より重い罪である傷害罪で捜査が進められることがあります。
    公務執行妨害罪は1つの行為で2つ以上の犯罪にあたる「観念的競合」となります。このときには、重い犯罪が選択されるため、傷害罪に問われることになります。

  3. (3)起訴の可能性が高い?

    喧嘩の場合は厳重注意で済み、逮捕を回避できることが少なくありません。逮捕されても、当事者で示談することで不起訴処分になることも多々あります。
    一方、公務執行妨害の場合、原則として示談ができません。公務執行妨害罪における被害者は個人ではなく国となり、示談の余地がないからです。その意味では起訴の可能性があるといえます。
    なお、傷害罪の場合は警察官個人が被害者となるため、理論上は示談が可能ですが、警察官の立場で応じる可能性は低いでしょう。

4、なぜボクシングは傷害罪にならないのか?

一見すると喧嘩のように見えるボクシングが傷害罪にならないのか疑問に感じる方がいるかもしれません。たしかに、人を殴り、けがをさせる行為ですが、通常、罪に問われることはありません。

  1. (1)試合や練習中は傷害罪に問われない

    刑法は違法行為を罰するものですから、そもそも違法行為であることが必要です。
    ボクシングは社会的に確立されたスポーツの一種です。スポーツの試合中や練習中の行為は、正当防衛と同じように刑法で定められている正当業務行為と理解されています。仮に、相手を殺すつもりで試合に臨んでいたとしても、ルールに沿った方法で殴る以上は、原則として違法性はありません。
    もっとも、グローブの中に凶器を仕込んでいた場合や足で蹴った場合などはルール違反ですので、けがをさせれば傷害罪となる可能性があるでしょう。また、練習相手が素人であるにもかかわらず、プロ相手と同様のスパークリングをしたような場合のように、一般に考えられるスポーツや練習の範疇を明らかに超えるような場合には、罪に問われるおそれがあります。

  2. (2)日常生活で人を殴れば罪になる

    ボクサーが試合や練習と関係のないときに人を殴れば暴行罪や傷害罪となります。実際、平成30年9月には、プロボクサーが道端で通行人の顔を殴りけがをさせたとして傷害容疑で逮捕されています。
    なお、ボクサーだからといってただちに量刑が重くなるわけではありませんが、身体能力等が高いこと等の力量差を理由にして、悪質な行為として重く処罰がされる可能性はあります。また、力が強いことから重いけがを負わせてしまった場合は、重く処罰されることになるでしょう。

5、まとめ

今回は、喧嘩と傷害罪の関係を中心に解説しました。お互いに殴り合えば、喧嘩両成敗として双方が処罰対象になります。特に、けがをさせれば傷害罪となり厳しく罰せられることとなります。現時点で逮捕されていなくても、後日に通常逮捕されるおそれはあるでしょう。
これを回避するためには、喧嘩の相手と示談をすること、十分な反省の意を示すことなどが大切です。しかし、相手の処罰感情が強い場合には示談や謝罪の意を伝えることが難しいケースがあります。そのような場合には、弁護士を間に入れて交渉をすることが望ましいでしょう。
ベリーベスト法律事務所でもご相談をお受けしています。傷害事件の解決実績豊富な弁護士が全力でサポートしますので、一度ご連絡ください。

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