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故意なく人を死亡させるとどうなる? 過失致死罪の意味や問われる責任について

2020年01月31日
  • 暴力事件
  • 過失致死
  • 意味
故意なく人を死亡させるとどうなる? 過失致死罪の意味や問われる責任について

刑法第38条前段には「罪を犯す意思がない行為は、罰しない」とあり、犯罪の成立には原則的に故意が必要です。ただし同条後段では「法律に特別の規定がある場合は、この限りでない」とも述べており、例外的に故意がない場合でも処罰の対象となるケースがあります。
そのうちのひとつが過失致死罪であり、必要な注意をせず、結果として人を死亡させた場合に適用されます。過失とはいえ人を死亡させてしまった場合、逮捕される可能性はあるのか、罰則はどの程度なのかが気になるでしょう。

今回は過失致死罪をテーマに、逮捕後の流れや刑事および民事上の責任について解説します。

1、故意なく相手を死亡させた場合は過失致死罪となる

人を死なせてしまう犯罪には殺人罪や傷害致死罪などがありますが、これらの犯罪には故意(殺人の意思や傷害・暴行の意思)が必要です。

一方、故意なく、つまり不注意によって人を死なせてしまった場合は過失致死罪となり、「50万円以下の罰金」に処せられます(刑法第210条)。過失でケガなどをさせたが、相手が亡くなっていない場合は過失傷害罪となり、罰則は「30万円以下の罰金または科料」です。
いずれの場合も金銭を徴収される刑のみが定められており、身体を拘束される懲役刑や禁錮刑はありません。

過失によって人を死にいたらしめる罪は、ほかに「業務上過失致死」「重過失致死傷」「過失運転致死傷」といった種類もあります。

業務上過失致死とは、業務上必要な注意を怠り、人を死亡させる犯罪です(刑法第211条)。「業務上」とは、人の生命や身体に危険が生じる行為を反復継続して行うことを指します。医師や看護師による医療行為や、工事現場の安全管理、電車や船舶の運転などが該当します。
罰則は「5年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金」です。過失致死罪と比べて罰則が重いのは、人の生命や身体に危険が生じる行為を反復継続する以上、いっそうの注意が求められるからです。

重過失致死傷罪は過失の度合いが大きい場合に適用され、罰則は業務上過失致死罪と同じ「5年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金」です。
たとえば、スマートフォンのゲームをしながら混雑した道を歩いていたところ、ぶつかった通行人を転倒させてしまうケースです。転倒した相手の打ちどころが悪くて亡くなってしまった場合は、過失の度合いが大きく、重過失致死傷罪と認定されるおそれがあります。

過失運転致死傷罪は、自動車やバイクを運転中に過失による死亡事故を起こした際に適用されます(自動車運転処罰法第5条)。
罰則は「7年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金」ですが、これが無免許だった場合は「10年以下の懲役」となります(同法第6条4項)。

2、過失致死罪で逮捕される場合は? 逮捕されたらどうなる?

逮捕は罪を犯した疑いがある者に対し、逃亡や証拠隠滅のおそれがある場合に行われる措置です。
過失致死罪では、逃げたり証拠を隠したりしなければ、いきなり逮捕される可能性は低いでしょう。もちろん警察から事情を聴かれるでしょうが、素直に応じて捜査に協力すれば、逮捕にまではいたらないケースが多いはずです。

  1. (1)逮捕のリスクがあるケース

    逃亡や証拠隠滅のおそれがあると逮捕の必要性が生じるため、逮捕されるリスクが上がります。
    典型的なのは自動車事故の「ひき逃げ」で、過失運転致死傷罪に加えて道路交通法の救護義務違反にも該当します。逃げきれたつもりでも、現場近くにある監視カメラや目撃者の証言から加害者だと特定され、事故から時間が経過してから逮捕される可能性は十分に考えられます。
    また、窃盗や強盗など別の犯罪への関与も疑われる場合には、逮捕される可能性が高まります。罰が重くなる分、逃亡や証拠隠滅をするおそれが高いため、逮捕の必要性があると判断されやすいでしょう。

  2. (2)過失致死罪で逮捕された後の流れや対処法

    逮捕されると留置場に身柄を置かれ、警察による取り調べや捜査が行われます。続いて検察庁へ送られ(送致)、検察官による取り調べを受けます。ここまでは72時間以内と定められており、家族を含めて外部との連絡、面会はかないません。
    その後、捜査が引き続き必要であれば最長で20日間の勾留が続き、勾留満期までに起訴・不起訴の処分が決まります。起訴されると起訴後勾留を経て裁判となり、有罪判決がでれば懲役や罰金などの刑を受けることになります。罰金刑であっても前科はつくため、その後の人生や家庭生活へ影響を与えるでしょう。

    長期の勾留や起訴を防ぐには、早い段階から弁護士のサポートを受けることが重要です。弁護士は、被害者遺族との示談や本人の反省、再犯防止策を主張するといった活動を通じてサポートします。

3、過失致死罪の事例を紹介

ここでは実際にあった過失致死罪の事例を紹介します。

  1. (1)一気飲みによる死亡事故

    平成29年12月、20歳の男子学生がサークルの集まりでお酒を一気飲みした後に意識を失い、翌日に死亡した事例です。
    令和元年11月、検察は、一緒に飲んでいた上級生ら9人が、男子学生の反応がなかったのに適切な救護措置を行わなかったとして、過失致死罪で略式起訴としました。警察が書類送検の理由とした保護責任者遺棄致死容疑よりも軽い過失致死罪が適用されましたが、飲酒死亡事故では不起訴となるケースも多い中、刑事責任を問われた珍しい事例として注目を集めました。

    ちなみに、略式起訴とは100万円以下の罰金・科料に相当する罪に対して利用される起訴方法で、通常の起訴手続きを簡略化した略式手続きで処分を終わらせることになります。略式起訴となった場合、判決として下された罰金・科料を支払うことで身柄はすぐに解放されますが、前科がつきます。略式起訴は、異議を申し立てることも可能です。

  2. (2)自動車を運転中の死亡事故

    次に、当オフィスで扱った過失運転致死傷罪の事例を2件紹介します。
    1つめは、自動車での作業中に誤って同僚を死なせてしまった事例です。このケースでは本人の反省を示すための活動を中心に行い、被害者遺族への示談交渉で宥恕(ゆうじょ)意思を示してもらえました。本人には今後の自動車の運転を控えさせ、さらに親族の監督や勤務先からの嘆願書も得た結果、執行猶予つき判決となりました。

    2つめは、自動車を運転中に不注意で人を死なせてしまった事例です。弁護士が被害者遺族の自宅を何度も訪問して謝罪をし、被害者遺族全員との示談成立と、処罰を望まない旨の手紙を書いてもらえました。加えて本人に反省の態度が見られたこともあり、執行猶予つき判決を獲得しました。

    過失運転致死傷罪で逮捕や起訴される事例は少なくありません。特に近年は、高齢者ドライバーによる悲惨な死傷事故が社会的関心を集めており、過失運転致死傷罪が適用されるケースが多く見られます。
    アクセルとブレーキの踏み間違い、高速道路の逆走などから事故にいたるケースが挙げられます。

4、過失致死罪で発生する民事的責任

過失致死罪で有罪となった場合、法定刑は罰金刑のみなので刑務所に収監されることはありません。しかし人が亡くなった以上、被害者や遺族に多大な損害を与えているため、これを少しでも補うために賠償を尽くす民事責任があります。
過失致死の場合は被害者自身が亡くなっているため、損害賠償を請求する権利は法定相続人である遺族にあります。

賠償金の具体例としては、死亡によって精神的苦痛を受けたことに対する慰謝料、生きて働いていれば将来得られるはずだった利益(逸失利益)、葬儀代(法要にかかる費用、墓石代なども含む)などが挙げられます。
事故が起きてから治療を経て亡くなった場合には、治療費や入院費、休業損害などの費用も必要です。

ただ、損害賠償金がいくらなら適切なのかは事案によって大きく異なり、金額の算定や確認には高度の知識、経験が必要です。民事責任を問われた場合も弁護士へ相談するのが賢明でしょう。

5、まとめ

今回は過失致死罪について、逮捕の可能性や問われる責任などについて解説しました。刑法の過失致死罪は罰金刑のみが規定されていますが、業務上過失致死や過失運転致死には懲役刑も定められています。人が亡くなったという重大な結果を考慮すれば、被害者遺族から民事上の損害賠償金を求められる可能性は高いといえるでしょう。
家族が過失で人を死亡させてしまったのであれば、速やかに弁護士を頼りましょう。被害者遺族と示談や賠償金について話をするには、相手方の心情に配慮した極めて繊細で難しい交渉が求められるため、本人やご家族だけで対応するのは困難です。ベリーベスト法律事務所でご相談をお受けしますので、まずはご連絡ください。

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