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違法ダウンロードで逮捕される? 該当する行為や刑事罰について解説
昨今、Web上には多くの画像や音楽、動画、ソフトなどが公開されており、簡単にダウンロードできてしまうことも少なくありません。ただ、ダウンロードが可能であることと、ダウンロードすることが合法であるかについては別問題です。なかには、権利者の許諾を得ずにアップロードされている違法なデータもあるでしょう。違法なデータをダウンロードしたらどうなるのでしょうか。これまでは事実上おとがめなしだったダウンロード行為も、法整備が進み逮捕される可能性を有するものになってきています。
今回は、違法ダウンロードをした場合の罰則や逮捕される可能性があるのかについて詳しく解説します。
1、違法ダウンロードに該当する行為について
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(1)違法ダウンロードとは
インターネット上にアップロードされている音楽や映像を、著作権者の許諾を得ずに無断で複製や販売、アップロードしているものを「海賊版」といいます。海賊版の語源は「pirated edition」の和訳といわれており、権利者から権利を略奪する者という意味合いでつかわれています。
アップロードされているデータが海賊版と知りながらダウンロードする行為を、違法ダウンロードといいます。何の目的でダウンロードしたかどうかは問われません。私的に楽しむためだとしても、当然違法です。 -
(2)著作物のコピーは違法か?
違法ダウンロードと絡んで問題となるのが、著作物のコピーです。たとえば自分で購入したCDやDVDなどのデータや、漫画や論文などのスキャンデータをパソコンへ取り込むなどが挙げられます。いずれも私的に楽しむために行っている方も多いのではないでしょうか。これらの行為は処罰する規定がないため、原則として法令違反にはなりません。ただし、DVDなどのコピー防止機能を解除して、パソコンなどに取り込む行為(リッピング)は違法です。
注意を要するのが、他人のデータに関する取り扱いです。たとえば友人のCDやDVDを借りて視聴する行為や、借りたCDやDVDを自分でコピーする行為は違法ではありません。
著作物をコピーする行為は、一見すると違法になりそうですが、個人や家庭内といったごく限られた範囲において使用するためであれば複製を認められています(著作権法第30条)。
しかし、購入者である友人がコピーしたデータを他人に配布する行為は著作権侵害となり、違法となります。
結果として、データがコピーされているという事実は変わりませんが、コピーをした経緯や利用目的によっては違法になることに注意しなければいけません。 -
(3)テレビやラジオのダウンロードは違法か?
テレビやラジオの多くはいわゆる公共放送であり、それらをアップロードやダウンロードしたところで、何ら問題はないかのように思えるかもしれません。
しかし、公共放送であったとしても、放送された番組はテレビ局や制作会社などが著作権を有しています。そのため、アップロードもダウンロードも違法行為に該当します。
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2、違法ダウンロードの刑事罰化について
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(1)違法ダウンロードが刑事罰化した経緯
かつては著作権を侵害する行為として、違法なアップロードだけが刑事罰の対象でした。しかし、アップロードする側だけを処罰するだけでは海賊版が横行する事態に歯止めをかけることはできませんでした。そこで平成24年6月20日参議院本会議において、違法ダウンロードを行った者にも刑事罰を科す旨の定めが、著作権法に規定されることになったのです(著作権法第119条第3項)。改訂された著作権法は、同年10月1日に施行されています。
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(2)違法ダウンロードの刑罰
違法ダウンロードの刑罰は2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金、またはこれらの併科です。なお、違法ダウンロードは親告罪です。つまり、著作権者(権利者)からの告訴がなければ、罪に問われることはありません。
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(3)違法ダウンロードの対象となる著作物
令和2年1月現在、違法にアップロードされた映像や音楽(音声)ファイルを違法ダウンロードすると処罰の対象です。これは二次創作物であっても同様です。
漫画などの画像ファイルについては、議論が続いているものの対象にしていません。しかし、現時点で刑事罰が科される対象とされていない行為でも、法改正などにより罰則が定められる可能性はあるため、不用意にダウンロードする行為は避けるべきでしょう。
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3、違法ダウンロードにより逮捕される可能性
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(1)違法ダウンロードによる逮捕
刑事罰化が規定されたものの、違法ダウンロードによって逮捕される可能性は決して高くないのが現状です。その理由としては、大きくふたつが考えられます。
- 違法ダウンロードをしたこと自体の証明が難しい
- 著作権者が違法ダウンロードをした者を特定して親告するのが困難
ただ、海賊版漫画の違法サイト運営者が逮捕された事件のように、違法アップロードをした者へ捜査の手がおよぶケースは出てきています。違法ダウンロードによる罰則が規定された以上、逮捕がいつなされてもおかしくない状況です。また、悪質性が高いと判断されれば、刑罰も重くなることが十分に考えられます。決して軽んじるべきではないでしょう。
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(2)文科省の動きと著作権者の考え
文科省は、違法ダウンロードの対象となる著作物の範囲を拡大するなど、規制を厳しくする方向で検討を進めているようです。それに伴い、たとえばスクリーンショットの合法性やダウンロードが許される「軽微なもの」の対象範囲など、判断が難しい問題も生じています。
これに対して、一部の著作者は違法ダウンロードを事実上黙認しており、規制を歓迎していない側面も現実問題としてあります。現在はさまざまなコンテンツが二次創作などのファン活動によって支えられ、発展している側面もあるため、気軽にシェアできるスクリーンショットの画像などが禁じられてしまうと、コンテンツ拡大の頭打ちを招きかねないからです。
しかし、いずれにしても違法ダウンロードはリスクの高い行為であり、今後さらに規制の対象が広がる可能性は高いと考えられます。他者の著作物の取り扱いには、十分に注意を払う必要があるでしょう。
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4、違法ダウンロード問題に巻き込まれないために
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(1)違法なサイトへアクセスしない
違法ダウンロードの問題に巻き込まれないためには、そもそも違法アップロードがなされているサイトにアクセスしないことが大切です。アクセスしているサイトに違法性がないのかなどを、利用前にしっかりと確認しておきましょう。
なお、正規の音楽、映像配信サイトの証明として、一般社団法人 日本レコード協会が「エルマーク」というマークを発行しています。マークがないサイトがすべて違法サイトであるというわけではありませんが、安全の目安として確認しておくと安心でしょう。 -
(2)共有やアップロードをしない
違法ダウンロードしたファイルをアップロードすると、さらに罪は重くなります。法定刑は10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金または併科です。
たとえ著作物の共有などを誰かに求められたとしても、決して応じないようにしましょう。刑事罰だけではなく、著作権者から民事裁判を起こされ損害賠償請求をされる可能性もあります。
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5、まとめ
今回は刑事罰化された違法ダウンロードと、それにより逮捕される可能性について説明しました。
違法ダウンロードとは、違法にアップロードされたと知りながら、著作物をダウンロードする行為をいい、映画や音楽などが対象とされています。現在の流れでは、今後、漫画などの画像ファイルも対象になる可能性が高いと考えられます。
違法ダウンロードに関するトラブルに巻き込まれないためには、違法アップロードを行っている可能性があるサイトにはアクセスしないこと、もしダウンロードしてしまっている場合にはファイルを削除することが大事です。また、そのファイルを共有・アップロードするとさらに罪が重くなるので注意しましょう。
違法ダウンロードに関するトラブルは、ちょっとした出来心や好奇心によって巻き込まれることも少なくありません。
違法アップロードや違法ダウンロードに関するトラブルでお悩みの方や、家族が巻き込まれてしまったという方は、ベリーベスト法律事務所にご相談ください。解決にむけて、尽力します。
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