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弁護士コラム

2024年07月03日
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前科とは? 前科持ちになった場合の就職、海外旅行、結婚などへの影響

前科とは? 前科持ちになった場合の就職、海外旅行、結婚などへの影響
前科とは? 前科持ちになった場合の就職、海外旅行、結婚などへの影響

過去に刑罰を受けたことがある人は「前科持ち」と表現されることがあります。

前科持ちの人に対する社会の視線は厳しく、さまざまな場面で不利益を受けることになるでしょう。罪を犯した人が前科持ちになることを防ぐには、早い段階から弁護士に刑事弁護を依頼することが大切です。

本記事では、前科とは何か、前科持ちになった場合に就職や海外旅行、結婚といった日常生活にどのような影響が及ぼされるのかといった点について、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、「前科」とは?

「前科」とは、法律上の定義はありませんが、一般には過去に刑罰を受けた経歴を意味すると理解されています。重大な犯罪に限らず、比較的軽微な犯罪であっても、有罪判決(または略式命令)が確定すれば前科がつきます

特に、懲役刑や禁錮刑、罰金刑を受けた者などを指して「前科持ち」「前科者」などと言われることが多いです。
なお、執行猶予つき判決の場合は、執行猶予に付された条件を順守する限り刑は執行されませんが、いわゆる前科があるものとして取り扱われるのが一般的です。

  1. (1)日本の刑法における刑罰の種類

    日本の刑法では、以下の刑罰が定められています。なお、刑事施設への収容に関しては、拘禁刑という形で集約する法改正が既に行われており、2025年6月1日に施行される予定です。


    ① 死刑
    受刑者の命を奪う刑罰です。刑事施設内において、絞首によって執行されます。

    ② 懲役
    受刑者を刑事施設に収容し、刑務作業を課す刑罰です。

    ③ 禁錮
    受刑者を刑事施設に収容する刑罰です。懲役とは異なり、刑務作業は義務付けられません。

    ④ 罰金
    受刑者に対し、原則として1万円以上の金銭の納付を命じる刑罰です。

    ⑤ 拘留
    1日以上30日未満の期間、受刑者を刑事施設に拘置する刑罰です。

    ⑥ 科料
    受刑者に対し、1000円以上1万円以下の金銭の納付を命じる刑罰です。
  2. (2)前科と前歴の違い

    前科は過去に刑罰を受けた経歴を意味しますが、「前歴」は過去に警察や検察による犯罪捜査の対象となった経歴を意味します。

    前科とは異なり、前歴については実際に刑罰を受けたことは必要ありません。不起訴になった場合や、無罪判決が確定した場合も前歴は残ります

2、前科持ちになるとどうなる? 前科による就職や海外旅行などへの影響

前科がついてしまった人は、社会生活などにおいて以下の不利益を受けることがあります。
なお、前科については個人や企業が独自に調べることはできないものの、ニュースやインターネットの情報、長期間にわたって会社を欠勤することなどによって発覚することがあります。

  1. (1)前科による就職や資格への影響

    ・ 懲戒処分を受けることがある
    前科の理由となった罪を犯したことは、勤務先における就業規則上の懲戒事由に該当することが多いでしょう。犯罪が懲戒事由に該当する場合は、懲戒解雇を含む懲戒処分の対象となりえます。
    また公務員の場合も、犯罪を理由に懲戒免職となる可能性があります。

    ・ 公的な資格をはく奪されることがある
    一部の公務員や国家資格などについては、特定の刑に処されたことが欠格事由とされています。たとえば、弁護士、医師、看護師、学校教諭、国家公務員、地方公務員、警備員などが挙げられます。また、欠格事由にはあたらずとも、行政処分によって地位が剝奪される仕組みになっている法もあります。前科の理由となった罪によって、公的な資格をはく奪され、職業上のキャリアが途絶えてしまうおそれがあります。


    前科によって影響を受ける資格の例
    医師 歯科医師 薬剤師 看護師・准看護師 保健師・助産師 獣医師 国家公務員 地方公務員 自衛隊員 公認会計士・公認会計士補 行政書士 司法書士 不動産鑑定士 保育士 社会福祉士・介護福祉士 警備業者・警備員 宅地建物取引主任者 建築士(一級、二級、木造建築士) 古物商 学校の校長・教員 中央競馬の調教師・騎手 調理師 柔道整復師 など


    ※資格制限される職業は、「罰金以上の刑」とされている場合や「禁固以上の刑」とされている場合など、資格によって定めが異なります。

    ・ 就職・転職の際に不利になることがある
    前科情報は、履歴書における賞罰欄への記載が求められます

    前科がある人が就職活動や転職活動を行う際には、人柄や再犯などについて企業側から疑念が呈され、採用選考において不利益に考慮されるケースが考えられるでしょう。その結果、希望している企業に就職できなかったり、なかなか就職が決まらなかったりする可能性があるのです。

  2. (2)前科による海外旅行への影響

    海外渡航をする際には、渡航先における入国審査にて犯罪経歴証明書などの提出を求められることがあります。また渡航先によっては、前科のある人が入国する際にはビザ(査証)の提示を求められることもあります。

    日本のパスポート(旅券)を持って入れば海外渡航は比較的認められやすいですが、前科があると海外渡航が制限されてしまう可能性があります。

  3. (3)前科によるクレジットカード審査や住宅ローンへの影響

    そもそもクレジットカードや住宅ローンの審査に影響するのは、ローンの契約履歴、支払い状況などの信用情報や、現在の年収、勤続年数などの本人の属性です。
    そのため、金融機関に住宅ローンを申し込む場合やクレジットカードの審査において、前科があるかどうかの影響は少ないと言えるでしょう。

  4. (4)前科による結婚への影響

    前科があるからといって、その履歴が戸籍や住民票に載ることはありません。
    つまり、結婚相手に自ら申告した場合でない限りは、結婚相手やその家族に知られることはないでしょう。ただし、逮捕歴を隠していたと後で分かったとき、相手との信頼関係が失われることはあり得ると言えるでしょう。

  5. (5)前科による再犯時への影響

    懲役刑に処せられた者が、執行終了日または執行の免除を得た日から5年以内にさらに罪を犯し、有期懲役に処せられる場合などには「再犯」となります(刑法第56条)。

    再犯の懲役刑については、法定刑の長期が2倍となります(ただし、有期懲役の上限は30年。刑法第57条、第14条第2項)。たとえば窃盗罪の法定刑は10年以下の懲役または50万円以下の罰金ですが、再犯をした場合、法定刑の上限は懲役20年となるのです。

    なお、上記の刑法上の再犯にあたらずとも、過去に前科がある場合、量刑上重く評価されることもあります。

    また、過去に禁錮以上の刑に処せられた場合、その刑の執行が終了した日または執行の免除を得た日から5年以内の期間中は、執行猶予を付すための条件が厳しくなっています(刑法第25条)。

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3、前科は消えるのか?

一度ついてしまった前科が消えることはありません。ただし、刑の言い渡しは効力を失うことがあります。

  1. (1)「前科」そのものは消えない

    「前科」は過去に刑罰を受けた経歴を意味するところ、その経歴自体が消えることはありません。また、前科は法律上定義されていないため、前科が消える場合についても法律上の定めはありません。

    したがって、前科そのものが消えることはなく、一生涯にわたって前科持ちとなってしまいます。そのため、犯罪行為をはたらき前科持ちと呼ばれ続けることを避けたければ、前科がつかないようにするしかないのです。

  2. (2)刑の言い渡しは効力を失うことがある

    前科そのものが消えることはありませんが、前科に関する刑の言い渡しが効力を失うことはあります。

    具体的には、以下のいずれかに該当した場合は、刑の言い渡しが効力を失います。


    • ① 刑の全部の執行猶予を取り消されることなく、その猶予期間を経過したとき(刑法第27条)
    • ② 禁錮以上の刑の執行が終わるか、その執行の免除を得た者が、罰金以上の刑を受けることなく10年を経過したとき(刑法第34条の2第1項前段)
    • ③ 罰金以下の刑の執行が終わるか、その執行の免除を得た者が、罰金以上の刑を受けることなく5年を経過したとき(同項後段)


    刑の言い渡しが効力を失うと、前科に関するデメリットの多くは解消されます。たとえば、犯罪経歴証明書においても前科が記載されないので、海外渡航に関する制限もなくなります。

    ただし、刑の言い渡しが効力を失うということは、前科がついた事実そのものが消えるわけではありません。過去に犯罪によって刑罰を受けた事実を知っている人から見れば、刑の言い渡しが失効したとしても、引き続き「前科持ち」であることには変わりがないでしょう。罪を犯してしまったものの、社会生活上の悪影響を最小限に抑えたい場合は、前科を避けることを目指すべきです。

4、前科持ちになってしまう事態を避けるには? 弁護士ができること

犯罪の疑いで起訴されると、刑事裁判で有罪判決を受けて前科がつく可能性が高くなってしまいます。前科を回避したければ、検察官による起訴を回避することが非常に重要です

罪を犯したことが真実であっても、検察官が被疑者を不起訴処分とすることはあります。特に軽微な犯罪については、検察官に対して社会における更生が妥当であることを説得的に訴えれば、不起訴処分となる可能性が高まります。

弁護士は、依頼者が前科持ちになってしまうことを避け、早期に刑事手続きから解放されるように、以下の対応などを通じてサポートいたします。

① 被害者との示談
被害者との示談を成立させ、被害弁償を適切に行ったうえで許しを得られれば、被疑者のよい情状として考慮され、起訴される可能性が低くなります。

② 取り調べに関するアドバイス
捜査機関から取り調べを受ける際の心構えや黙秘権などについてアドバイスし、被疑者が不本意な供述をしないようにサポートいたします。

③ 検察官との交渉
被害者との示談や謝罪・反省の状況、更生をサポートする人の存在などを挙げて、被疑者を起訴しないように検察官の説得を試みます。

④ 刑事裁判に向けたサポート
検察官によって起訴された場合も、無罪を主張する場合は弁護士が全力でサポートいたします。


前科持ちになることを避けるためには、早い段階で弁護士に依頼することが大切です。犯罪の疑いをかけられている方は、速やかに弁護士へご相談ください。

5、まとめ

刑事裁判で有罪判決が確定すると、前科がついてしまいます。前科持ちになると懲戒処分の対象になる、公的な資格がはく奪される、就職や転職の際に不利となる、海外渡航が制限されるなどの不利益が生じます。

前科がつくことを避けたい場合は、早い段階で弁護士に依頼することが大切です。弁護士は、被害者との示談・取り調べに関するアドバイス・検察官との交渉などを通じて、被疑者が前科持ちにならないようにサポートいたします。

ベリーベスト法律事務所は、刑事事件に関するご相談を随時受け付けております。犯罪の疑いをかけられて取り調べを受けることになった方や、家族が逮捕されてしまった方は、刑事事件の解決実績が豊富なベリーベスト法律事務所へご相談ください。

本コラムを監修した弁護士
萩原 達也
ベリーベスト法律事務所
代表弁護士
弁護士会:
第一東京弁護士会

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※本コラムは公開日当時の内容です。
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