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弁護士コラム

2019年09月26日
  • 財産事件
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窃盗罪の初犯でも実刑判決を受ける可能性がある? 不起訴処分に必要なこととは

窃盗罪の初犯でも実刑判決を受ける可能性がある? 不起訴処分に必要なこととは
窃盗罪の初犯でも実刑判決を受ける可能性がある? 不起訴処分に必要なこととは

窃盗罪は、万引きや自転車盗などに代表されるように、比較的身近な場所で起こり得る犯罪です。しかし、懲役刑を科される可能性もあり、罪を犯すことの代償は決して小さくありません。

家族が窃盗事件を起こしてしまったとき、実刑になるのか、執行猶予や罰金刑で済むのかなど、本人がどのような処罰を受けるのかについて心配でたまらない気持ちになることは当然のことです。初犯の場合には、初犯であることを理由に刑が軽減されるのかも気になるところではないでしょうか。

今回は、家族が窃盗罪で逮捕された方に向けて、窃盗罪の成立要件や実刑の可能性、不起訴処分を得るために必要な要素などについて解説します。

1、窃盗罪が成立する場合とは

「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪」とすることは、刑法第235条によって定められています。

まず、「他人の財物」とは、あなた以外の人物が占有する財産的価値のある物です。わかりやすいのは現金やクレジットカード、店舗の商品などですが、電気も財産価値があるため、窃盗罪における財物にあたります。

次に「窃取」とは、占有者の意図に反して自分や第三者の占有下に置いてしまうことです。万引きなどこっそり盗みとる行為はもちろん、ひったくりなど奪い取るケースも窃取に含まれます。

なお、窃盗罪が成立するには、行為者に「故意」と「不法領得の意思」が必要です。「故意」とは、人の財物を盗みとることを自分で認識していることです。人の物だとわかっていながら、盗んでやろうと思って盗めば故意が認められます。「不法領得の意思」とは、他人の占有物を自分の物として、本来の用法にしたがい、使ったり売ったりするなどして自由に扱う意思のことです。

さらに、窃盗罪には未遂罪が存在します。盗もうと思って犯行に着手したが、実際に盗めなかった場合にも未遂罪で罰せられる可能性がある点に注意が必要です。ここでいう「着手」とは、窃盗が完遂される現実的な危険性が生じたときをいいます。たとえば、次のようなケースが該当しえます。

  • 現金を盗もうとレジを開けたが何も取らずに逃げた
  • 店舗への侵入窃盗の場合、店舗に侵入後、なるべく現金を取ろうと、煙草売り場の方に向かった


窃盗罪の刑罰は、同じく刑法第235条によって「10年以下の懲役または50万円以下の罰金」と定められています。実際の量刑は事件の内容によりこの範囲内で言い渡されることになります。また、未遂罪の場合も同じ法定刑が適用されます。ただし刑法第43条にある未遂減免の規定により、刑が減軽される場合があります。

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2、初犯の場合、実刑にはならない?

罪を犯しても、初犯であれば刑が軽減される場合があると聞いたことがある方もいるでしょう。たしかに、初犯であるか否かは重要です。しかし、初犯だからといって必ずしも軽減されるわけではなく、実刑判決が言い渡される可能性も十分にあるため、注意が必要です。

そもそも「実刑」とは、裁判で有罪判決を受けた結果、懲役刑や禁錮刑が科され、刑務所に行くことを指します。

他方「執行猶予」は、裁判で有罪判決を受けたものの、刑の執行が猶予されることを指します。罪を犯した事実があるにもかかわらず、執行猶予期間中に罪を犯さないことを条件に刑の執行が免除されるのですから、相応の条件があります(刑法第25条)。

まず、「3年以下の懲役や禁錮、50万円以下の罰金」に該当する判決であることが必要です。判決自体が「3年を超す懲役刑」など重罪の場合には、執行猶予がつく余地がないわけです。次に、罪を犯した者について、原則として、①以前に禁錮以上の刑を受けていないか、②以前に禁錮以上の刑を受けたことがあっても、刑の執行が終わってから5年以上が経過している場合に限り、執行猶予の対象となります。

繰り返しになりますが、窃盗罪の刑罰は10年以下の懲役か50万円以下の罰金です。したがって判決が3年以下の懲役で済み、かつ初犯であれば、執行猶予がつく可能性があります。

ただし、量刑は事件の悪質性や損害の大きさなどによって変わりますので、「初犯=実刑回避」とは言い切れません。初犯であっても、組織的に行った窃盗や念入りに計画された窃盗などは悪質性が高く、また被害額が大きいほど実刑の可能性も高くなります。

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3、窃盗罪の逮捕後の流れ

逮捕の方法には、現行犯逮捕と通常逮捕(後日逮捕)、緊急逮捕があります。

現行犯逮捕は、盗んでいる最中や盗み終わった直後などに、私人や警察官に取り押さえられることです。窃盗の被害者や店舗のスタッフ、警備員などに犯行現場を現認され、通報されるケースが典型的です。

通常逮捕は、窃盗の証拠があり逮捕令状が発付されてから、犯行後、逮捕されることです。防犯カメラの映像をもとに被害届が提出され、後になって逮捕されるケース等が考えられます。

緊急逮捕は、緊急の必要がある場合に令状なく逮捕される方法ですが、重罪であること、かつ、緊急性を要件としますので、窃盗容疑で用いられる逮捕としては、現行犯逮捕及び通常逮捕の方が一般です。

通常の流れとしましては、窃盗罪で逮捕された後、まずは警察官から取り調べを受け、必要に応じて検察庁へ送致されます。送致された後は検察官から取り調べを受け、検察官が起訴、不起訴の判断を行います。ここまで72時間という制限時間内に手続きが進みます。

しかし、起訴、不起訴の判断のために引き続き捜査の必要がある場合のうち、証拠隠滅や逃亡の危険があると判断されてしまうと、「勾留(こうりゅう)」されることがあります。勾留期間は最長で20日ですので、逮捕から実に23日もの間、身柄を拘束される可能性があるわけです。

通常、在宅事件扱いであれば捜査が終わり次第、勾留中であれば勾留期間が終わる前に、検察は起訴か不起訴かの判断を下します。不起訴処分となれば、本人の身柄は解放され、前科はつきません。当然、実刑判決を受けることもありません。

他方、起訴されると刑事裁判へと移行し、判決を受けます。前述したように、初犯だからといって必ずしも重い刑を免れるとは限りません。懲役刑はもとより、罰金刑であっても前科がつくことになります。また、執行猶予つき判決であっても、有罪判決が下りている以上、前科がつくことに変わりはありません。

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4、不起訴処分を得るために重要なこと

窃盗罪で起訴されてしまうと、高い確率で有罪となり、前科がついてしまいます。これを防ぐためには、不起訴処分を得ることが極めて重要です。

まずは、できるだけ早いタイミングで弁護士へ相談することです。弁護士による迅速かつ適切な対応が、不起訴処分となる可能性を高めます。具体的には、弁護士を通じて次のような活動を行い、更生の見込みがあり、起訴する必要がないことを訴えていきます。

  1. (1)被害の弁償

    窃盗事件の被害者は何よりも弁償を望むことが多くあります。しっかりと弁償すれば被害届や告訴を取り下げてくれる可能性があるということです。

    盗んだ物に相当する金銭を返すだけでなく、盗む際に壊してしまった物があればその修理費用なども負担するべきです。

  2. (2)被害者との示談

    検察官は被害者感情も考慮して処分を決定しますので、被害者と示談をし、宥恕文言(被害者の許すという意思)を得ることができれば、不起訴処分になる可能性が高まります。

    示談交渉においては、窃盗をした事実を認め、おわびと反省の意思をしっかりと伝えることも重要です。ただし、通常、窃盗の被害者が加害者の交渉に直接応じてくれることは期待できません。ご家族であっても同様ですので、弁護士に依頼して示談交渉を進めることをおすすめします。

  3. (3)クレプトマニアの治療

    繰り返し窃盗を犯しているような場合、クレプトマニア(窃盗症)と呼ばれる精神症状の可能性もあります。この場合、刑事罰を科すだけでは改善されず、専門家による治療も必要となるでしょう。クリニックへの通院を誓うなどし、再犯のおそれがないことを主張します。

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5、まとめ

今回は窃盗罪の処罰について、実刑や執行猶予の可能性、不起訴処分を得るためにすべきことや必要なことなどを解説しました。

窃盗は、人の財産を不当に侵害する重大な犯罪です。初犯だからといって刑が軽減されることに期待はできません。初犯かどうかはあくまでも量刑判断のひとつの材料にすぎず、窃盗の被害額や犯行の悪質性も考慮される点を忘れてはならないでしょう。

とはいえ、不相応に重い罰を科されることは、本人の更生を考えても避ける必要があります。弁護士は、不当に重い罪を科されないために弁護活動を行える唯一の存在でもあります。

家族が窃盗事件を起こしてしまいお困りであれば、ベリーベスト法律事務所へご相談ください。窃盗事件に対応した実績が豊富な弁護士が、不起訴処分や刑の軽減に向けて力を尽くします。

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本コラムを監修した弁護士
萩原 達也
ベリーベスト法律事務所
代表弁護士
弁護士会:
第一東京弁護士会

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※本コラムは公開日当時の内容です。
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