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暴行罪の慰謝料の相場を知りたい! 示談金との違いも弁護士が解説します
警察庁の統計によると、平成30年中に暴行罪で検挙された人員は2万6622人で、刑法犯全体の検挙人員の約13%を占めています。
司法手続を受ければ重い処罰が下されることもあるので、早急に慰謝料を支払って、検察官による起訴を回避する必要があります。
ここでは、暴行罪の解決に向けた慰謝料の内容や相場について解説します。
1、暴行罪とは
暴行罪とは、刑法第208条に規定されている粗暴犯のひとつです。まずは暴行罪の条文を確認してみましょう。
刑法 第208条
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金または拘留若しくは科料に処する。
刑法の条文を読み解くと、つまり「暴行」とみなされる行為をはたらいたうえで、被害者が負傷しなかった場合は暴行罪が適用されることになります。
ここでいう暴行には、2つの考え方があります。
まずは「狭義の暴行」です。狭義の暴行とは、他人の身体に対して不法な有形力を行使する行為を指します。
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狭義の暴行
- 顔面を殴る
- 髪の毛を引っ張る
- 胸ぐらをつかむ
これらの行為は、すべて不法な有形力の行使とみなされ、暴行罪の対象となります。
もうひとつは「広義の暴行」です。広義の暴行は、必ずしも他人の身体に対して不法な有形力を行使することを要しません。
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広義の暴行
- 足元に石を投げつける
- 耳元で大きな音を鳴らす
- 強い光をあてて目をくらませる
これらの行為も、広い意味で暴行罪が適用されます。
たとえ初犯だったとしても、懲役刑や罰金刑の判決が下され、前科がつく可能性はあります。
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2、慰謝料とは? 示談金との違い
暴行罪において起訴の回避を目指すなら、被害者との間で示談を成立させ、被害者に対して被害届の取り下げを請う必要があります。また、被害届の取り下げがされなくても、示談が成立しているということは、被害者も示談による解決に納得していることを意味するため、事件として立件される可能性は低くなるでしょう。
また、示談における「慰謝料」と「示談金」についてですが、どちらも加害者から被害者へと支払われる金銭なので、同じ意味の金銭だと考えている方がいますが、実は慰謝料と示談金とでは意味が異なります。
慰謝料とは、暴行被害を受けたことによって被害者が負った精神的苦痛について賠償する金銭を指します。
一方、示談金とは、慰謝料のほか、暴行を受けたために病院に行って支払った診察料や検査料、暴行時に壊してしまった持ち物などの弁償金、休業損害など、実損額を賠償するものも含みます。
示談の場では、真摯に謝罪の意を示すのはもちろんですが、同時に慰謝料と示談金の金額についても話し合いがおこなわれます。
示談金のうち実損額にあたるものは明らかにしやすい部分ですが、慰謝料は明確な基準があるわけではないので争点になりやすい部分となります。
慰謝料と示談金は意味合いが異なる金銭ですが、慰謝料と示談金を分けて支払いがおこなわれることは稀です。
通常、示談交渉の場において慰謝料を含む示談金の話し合いがおこなわれ、一括で示談金として支払うことで示談が成立します。
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3、暴行罪の慰謝料、示談金の相場
暴行事件の慰謝料と示談金については、決まりや相場が明確になっているわけではありません。
慰謝料の金額は、暴行の程度、被害者が被った精神的苦痛の度合いによって変動します。たとえば、1回の暴行があった場合と、長時間にわたって複数回の暴行を加えられた場合とでは、明らかに後者のほうが強い精神的苦痛を受けたと判断されるでしょう。
また、加害者と被害者の間に著しい体格差があった、被害者が女性や未成年者であったなどケースでは、重きにとらえられる場合があります。
慰謝料以外の示談金は、発生した実損に対する弁済となりますので、実際にどのような損害が発生したのかによって金額に差が生じます。
病院の受診や物品の損壊などの実損がなければ僅少になりますが、念のために精密検査を受けた場合や暴行被害のショックによって長期的に仕事を休む事態になった場合などでは、ある程度まとまった金額になることもあります。
暴行罪が成立するには「負傷を伴わない」ことが条件となり、不法行為の程度も比較的に軽い場合が多いため、示談金は他の重大犯罪に比べれば低くなる傾向にあります。
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4、慰謝料は示談が成立しない場合にも支払いが必要
暴行事件の加害者となった方の中には「示談が成立しなかったら、被害者に金銭を支払う必要はない」と考えている方がいますが、これは間違いです。たとえ金額の折り合いがつかず示談が成立しなかった場合でも、慰謝料の支払義務が消えるわけではありません。
示談不成立後、被害者が慰謝料の支払いを求めて民事裁判を起こし、損害賠償を請求すれば、支払いを命じられるおそれがあります。
また、暴行罪は親告罪ではないため、被害者からの告訴がなくても、警察は暴行事件として立件することは可能です。被害届の取り下げがなされていなければ、立件される可能性はあるでしょう。
刑事裁判に発展して前科がつくことを回避したいのであれば、被害者に対して可能な限りの誠意を尽くして示談を成立させることが重要となります。
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5、暴行罪により前科をつけず、スムーズな示談交渉をするには弁護士への依頼を!
暴行罪で起訴され有罪判決が下された場合、たとえ刑罰が軽かったとしても前科がついてしまいます。前科がつかないようにするには、示談を成立させて不起訴を目指す必要があります。
示談をより確実に成立させるには、暴行事件の解決実績が豊富な弁護士を選任してサポートを受けるべきでしょう。弁護士であれば、被害者側と冷静に示談交渉を進められることが可能です。
また、数多くの暴行事件を取り扱ってきた弁護士であれば、相手が高額の慰謝料を請求していたとしても、今まででの経験や判例などと照らして相当な程度の慰謝料に抑えることも期待できます。暴行罪の加害者となった場合は、できるだけ早く弁護士事務所に相談しましょう。
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6、まとめ
暴行罪は刑法犯の中では比較的に処罰が軽い犯罪ですが、処罰を受ければ前科がついてしまい、その後の社会生活にも不利益をもたらすおそれがあります。
ご家族が暴行事件を起こしてしまったが、なんとかして前科がついてしまうのを防ぎたいとお悩みの方は、ベリーベスト法律事務所までご相談ください。
暴行事件の解決実績が豊富な弁護士が、不起訴を目指しながら、スムーズに被害者と示談が成立するように全力でサポートいたします。
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