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刑事弁護の用語集

未成年者とは

読み方 みせいねんしゃ

未成年者(みせいねんしゃ)とは、民法が定める成年年齢に達していない人をいいます。
現行法下では、成年年齢は20歳です。ただし、2022年4月1日より民法が改正され、成年年齢が18歳に引き下げられることになっています。

民法上、未成年者は成年被後見人・被保佐人・被補助人と同様に「制限行為能力者」に分類されます。
未成年者は社会における経験や知識が少なく、取引に関する意思決定を適切に行う能力がない場合が多いと考えられています。
そのため、未成年者自身を保護する観点から、民法は未成年者が単独で確定的に有効な法律行為を行うことを認めていないのです。

すなわち、未成年者が法律行為をするには、原則として法定代理人の同意を得なければなりません(民法第5条第1項)。
なお、未成年者の法定代理人は基本的に親権者ですが、親権者がいない場合には、未成年後見人が選任されて法定代理人としての役割を果たします。

そして、未成年者が法定代理人の同意を得ずに行った法律行為は、未成年者本人または法定代理人が取り消すことができます(同条第2項)。

ただし、法定代理人の同意がない未成年者の法律行為の取り消しについては、例外的にできない場合がいくつかあります。

一つ目は、未成年者が婚姻した場合です。
未成年者が婚姻をしたときは、婚姻によって成年に達したものとみなされます(民法第753条、婚姻による成年擬制)。
そのため、婚姻後にした法律行為については、たとえ行為当時20歳未満だったとしても、法定代理人の同意がないことを理由とした取り消しは認められません。

なお、2022年4月1日以降は、成年年齢が18歳に引き下げられると同時に、婚姻開始年齢が男女ともに18歳以上となるため、「未成年者が婚姻をする」という事態が生じることがなくなります。
そのため、婚姻による成年擬制の規定は削除される予定です。
二つ目は、法定代理人が財産の処分を許していたケースで、当該財産を処分する場合です(民法第5条第3項)。
この場合は、未成年者による法律行為について、あらかじめ法定代理人による同意が存在していたものと考えられるので、取り消しを認める必要がありません。
なお、法定代理人が処分の目的を定めていた場合には、その目的の範囲内においてのみ、未成年者が単独で有効な法律行為をすることができます。

三つ目は、未成年者が法定代理人から営業の許可を得ていたケースで、当該営業に関して法律行為をする場合です(民法第6条第1項)。

未成年者といえども、事業を営む場合には、タイムリーに対等な立場で第三者と取引を行う必要があります。その際、逐一法定代理人の同意が必要としてしまうと、意思決定の機動性に欠けますし、また取引相手としても安心して取引に参加することができません。こうした事態は、未成年者本人にとってもデメリットが大きいといえます。
そもそも未成年者が自分で主体的に取り組んでいる営業については、法定代理人よりも未成年者の方がよく理解していると考えられます。したがって、法定代理人の同意を必要とせず、未成年者単独で営業に関する法律行為ができるとした方が実態に即しているといえるでしょう。

上記のような考慮から、法定代理人から営業を許された未成年者は、当該営業に関しては、成年者と同一の行為能力を有すると定められています。
ただし、未成年者がその営業に堪えることができない事由があるときは、法定代理人は営業の許可を取り消し、または制限することができます(同条第2項)。

四つ目は、未成年者が成年者であることを取引相手に信じさせるための詐術を用いた場合です(民法第21条)。
未成年者が取引相手を騙して法律行為を行った場合にまで取り消しを認めてしまうのは、取引相手にとって酷です。そのため、未成年者が成年者であることを信じさせるため詐術を用いたときは、その法律行為を取り消すことはできません。
未成年者が「詐術」を用いたといえるのは、積極的詐術を用いた場合に限られず、未成年者であることを黙秘することであっても、未成年者の他の言動などと相まって相手方を誤信させ、または誤信を強めたものと認められるときも含まれます(最判昭和44年2月13日)。

なお、最近はインターネット上において、契約の条件として成年者であることを確認するために、年齢や生年月日の入力などを求められる場合が増えています。
この場合、未成年者が単に虚偽の年齢や生年月日を入力したという事実のみをもって「詐術を用いた」とは断定できず、事業者の設定した年齢確認や親の同意確認の障壁を容易にかいくぐることができるものであったかなどの他の要素も併せて考慮されます(電子商取引及び情報財取引等に関する準則I-4)。

成年年齢が20歳であることに対応して、民法以外にも、20歳未満と20歳以上で取り扱いを分けている法律が多数存在します。
2022年4月1日から成年年齢は18歳に引き下げられますが、その際に取り扱いのボーダーラインを民法改正に合わせて18歳に下げる法律と、20歳を維持する法律に分かれます。

成年年齢の引き下げに伴う年齢要件の変更について、主な法律上のルールにおける変更の有無は以下のとおりです。

18歳に引き下げ 帰化要件(国籍法)
10年パスポートの取得(旅券法)
性別の取り扱いの変更の審判(性同一性障害者の取扱いの特例に関する法律)
分籍(戸籍法)
公認会計士、医師、歯科医師、獣医師、司法書士、土地家屋調査士、行政書士、薬剤師、社会保険労務士などの資格・免許取得
20歳を維持 養子をとることができる年齢(民法)
喫煙年齢(未成年者喫煙禁止法)
飲酒年齢(未成年者飲酒禁止法)
公営ギャンブル(競馬・競輪・モーターボート競走・オートレース)の投票権の購入年齢
猟銃の所持の許可(銃砲刀剣類所持等取締法)
国民年金の被保険者資格(国民年金法)
大型、中型免許等(道路交通法)
なお、少年法における「少年」は20歳に満たない者をいい、民法上の未成年者とパラレルな設定となっています(少年法第2条第1項)。
少年法上の成人年齢を民法に合わせて18歳に引き下げるかどうかは、現在立法内容の検討中であり、依然として結論は出ていません。

20歳未満の「少年」が罪を犯した場合、成人と同様に逮捕されることがあります。

しかし、成人が罪を犯した場合とは異なり、罪を犯した少年についてはまず家庭裁判所に通告され(少年法第6条)、調査の結果審判不開始とならない限り、家庭裁判所での審判に付されます(同法第3条第1項第1号)。

少年審判では、家庭裁判所調査官による調査が行われた後、各事情を総合的に考慮したうえで、家庭裁判所により処分の有無や内容が決定されます。

事件の内容・少年の性格・心身の成熟度などから、刑事罰を科すのが相当と判断される場合には、家庭裁判所は事件を検察官に送致します(少年法第20条第1項)。
その後検察官が少年を起訴した場合、成人と同様に刑事裁判が行われることになります。

一方、検察官送致を必要とするまでには至らない事案については、家庭裁判所により保護処分の決定が行われます。
保護処分には、以下の3種類があります。

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