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弁護士コラム

2020年01月07日
  • 性・風俗事件
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  • 逮捕

合意があったはずなのに準強制わいせつ罪で逮捕! 逮捕後の流れと示談の効果を解説

合意があったはずなのに準強制わいせつ罪で逮捕! 逮捕後の流れと示談の効果を解説
合意があったはずなのに準強制わいせつ罪で逮捕! 逮捕後の流れと示談の効果を解説

「酒に酔った異性に対して、わいせつな行為におよび逮捕された」という報道を目にすることがあります。

令和元年11月には、会社役員の男が酒に酔って抵抗できない状態の女性に対して、胸や下半身を触った罪で逮捕されました。逮捕された男は「合意の上だった」と容疑を否認しているということです。

このようなケースでは、わいせつ行為におよんだ加害者は「準強制わいせつ罪」に問われます。罪名は「強制わいせつ罪」と似ていますが、成立する要件や刑罰に違いはあるのでしょうか?

今回は「準強制わいせつ罪」に焦点をあてて、逮捕後の流れや逮捕・刑罰を回避するためのポイントを解説していきます。

令和5年7月13日に準強制わいせつ罪は「不同意わいせつ罪」へ、準強制性交等罪は「不同意性交等罪」へ改正されました。
この刑法改正によって、犯罪が成立する要件が明文化され、処罰の対象となる行為が拡大されました。

目次

  1. 1、準強制わいせつ罪が成立する要件とは?
    1. (1)準強制わいせつ罪の構成要件
    2. (2)準強制わいせつ罪と強制わいせつ罪の違い
  2. 2、準強制わいせつ罪で逮捕された場合の流れ
    1. (1)逮捕の種別
    2. (2)逮捕後の刑事手続の流れ
    3. (3)未成年が逮捕された場合の流れ
  3. 3、準強制わいせつ罪における示談交渉
    1. (1)準強制わいせつ事件における示談の効果
    2. (2)示談交渉を成功させるためのポイント
  4. 4、準強制わいせつ罪にみられる合意認識の相違
    1. (1)合意の有無は慎重に判断される
    2. (2)証拠があれば合意が証明できる可能性あり
  5. 5、まとめ

1、準強制わいせつ罪が成立する要件とは?

準強制わいせつ罪に該当する行為とはどのようなものでしょうか。
まずは、準強制わいせつ罪が成立する要件や強制わいせつ罪との違いについて解説します。

  1. (1)準強制わいせつ罪の構成要件

    準強制わいせつ罪は刑法第178条1項に規定されているわいせつ犯罪です。
    条文では「人の心神喪失もしくは抗拒不能に乗じ、または心神を喪失させ、もしくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者」がこれにあたるとされています。

    「心神喪失の状態」とは、睡眠状態や泥酔状態に陥っているなど、被害者が自己に対してわいせつな行為が行われていることが認識できない状態をいいます。
    「抗拒不能(こうきょふのう)」とは、物理的・心理的にわいせつな行為に対抗することが著しく困難な状況をいいます。たとえば、犯人を夫と誤信していた場合や医療行為だと誤信していた場合がこれに当たります。
    「わいせつな行為」とは、性欲を刺激し、興奮または満足させ、かつ人の性的羞恥心を害して善良な性的同義観念に反する行為をいいます。具体的には、胸や性器を触る行為やキスなどが該当します。

    泥酔した異性に対して身体や性器を触った、医師が医療行為と称して身体を触ったなどの行為が準強制わいせつ罪として処罰されています。

  2. (2)準強制わいせつ罪と強制わいせつ罪の違い

    準強制わいせつ罪と刑法第176条に規定されている強制わいせつ罪は「わいせつな行為」におよんでいる点で共通する犯罪です。法定刑も6か月以上10年以下の懲役でまったく同じですから、名称の違いだけで大差がないように感じるでしょう。

    準強制わいせつ罪と強制わいせつ罪の違いは、心神喪失または抗拒不能に乗じてわいせつな行為におよんでいるのか、暴行または脅迫を用いてわいせつな行為におよんでいるのかという点にあります。強制わいせつ罪における暴行または脅迫とは、殴る・蹴るなどの具体的な暴力や「騒いだら殺す」などと脅迫する場合だけを指すものではなく、体格差があり抵抗できない状況などから、暴行または脅迫があったと評価されることもあります。

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2、準強制わいせつ罪で逮捕された場合の流れ

準強制わいせつ罪の容疑で逮捕された場合、どのような流れで手続が進んでいくのでしょうか。逮捕の種別や逮捕後の刑事手続の流れ、成人と未成年の場合の違いなどにも触れていきましょう。

  1. (1)逮捕の種別

    逮捕にはいくつかの種別があります。
    犯行のその場で身柄が確保される現行犯逮捕と、裁判官が発付する逮捕状に基づいた通常逮捕があり、状況に応じてこのいずれかで逮捕が執行されることが大半です。
    準強制わいせつ事件では、犯行のその場で身柄が確保されるケースはごくまれです。被害者が事後的に警察に被害届を出し、被害者からの詳しい事情聴取の後、逮捕状の発付を受けたうえで通常逮捕されるケースが多いといえます。

  2. (2)逮捕後の刑事手続の流れ

    準強制わいせつ罪で逮捕されると、48時間を上限とした警察による取調べを受けた後に検察庁へと送致されます。検察官はさらに24時間以内に、継続捜査の必要があると判断すれば裁判所に勾留を請求し、それを裁判所が認めれば身柄拘束が延長されます。最長20日間の勾留が終了するまでに、検察官が起訴・不起訴を決定し、起訴されれば刑事裁判へと移行、不起訴処分となれば釈放されます。起訴後は被告人へと立場が変わり、引き続き身柄を拘束されながら刑事裁判で審理されます。裁判では、判決が言い渡されて処分が決定します。

  3. (3)未成年が逮捕された場合の流れ

    未成年の少年が準強制わいせつ事件を起こした場合、年齢によって刑事手続が変わります。14歳以上では成人と同じく逮捕されることがありますが、14歳未満では触法少年(しょくほうしょうねん)として逮捕されません。

    未成年に対する刑事手続は、刑罰を科すことではなく更生を目的としているため、成人の場合と手続が異なります。
    成人の場合、勾留が決まると警察署の留置場や拘置所で身柄を拘束されますが、未成年の少年は勾留に代わって少年鑑別所での観護措置が取られることがあります。また、成人の事件では検察官が起訴・不起訴を判断しますが、未成年の場合、事件はすべて検察官から家庭裁判所に送致され、家庭裁判所が少年審判を開いて処分を決定します。

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3、準強制わいせつ罪における示談交渉

準強制わいせつ罪に該当する事件を起こしてしまった場合、何よりも早急に対処すべきは被害者となる相手との示談交渉です。被害者に謝罪や被害弁償を行い、示談が成立すれば、起訴を回避したり刑罰が軽減される場合があります。

  1. (1)準強制わいせつ事件における示談の効果

    示談とは、加害者と被害者との話し合いによって事件を解決する裁判外の和解のひとつです。
    被害者に対する謝罪と共に、加害者の行為による精神的な損害に対しての慰謝料や治療費などの実費を含めた示談金を支払うことで、逮捕や刑罰を回避できる場合があります。

    わいせつ事件は、捜査や裁判の過程で被害者が事件の記憶を想起してしまうばかりか、世間の好奇の目にさらされてしまう場合もあります。そのため、準強制わいせつ罪や従前の強姦(ごうかん)罪などは、告訴がないと起訴できない「親告罪」とされていましたが、平成29年の改正によって非親告罪となりました。
    非親告罪では、検察官による起訴にあたっては被害者の告訴を要しません。そのため、示談が成立しても検察官の判断によって起訴することが可能です。

    ただし、被害者に対して真摯(しんし)に謝罪して相応の示談金を支払い、示談を成立させていれば、被害者には「すでに加害者を罰してほしいという感情はない」と判断され、不起訴処分となる場合があります。
    また、たとえ起訴されたとしても、すでに謝罪と被害弁償が完了しているとして刑罰が軽減される可能性があるので、刑事手続が進んでいる段階でも示談成立を目指すべきでしょう。

  2. (2)示談交渉を成功させるためのポイント

    準強制わいせつ事件の示談を成功させるには、弁護士のサポートを受けるのが賢明です。
    わいせつ事件の被害者は、わいせつ行為におよんだ加害者に対して恐怖と嫌悪を抱いています。示談交渉を持ちかけても相手にしてもらえないケースが多いので、第三者である弁護士が代理人となるほうが、抵抗感が薄れてスムーズな交渉が可能になる場合が多いでしょう。
    また、加害者本人では被害者の連絡先さえ知ることができませんが、弁護士であれば警察・検察官に働きかけて示談交渉のためのアポイントメントを取ることができます。

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4、準強制わいせつ罪にみられる合意認識の相違

準強制わいせつ事件で非常に多いのが、「合意があった」「無理やりだった」と、当事者間で合意の有無についての認識がかみ合わないケースです。合意のうえで行為におよんだと思っていても、後日になって「無理やり身体を触られた」などと主張されるケースも少なくありません。
もし、加害者と被害者との間で合意についての認識が相違している場合、どのような結果になるのでしょうか?

  1. (1)合意の有無は慎重に判断される

    準強制わいせつ罪は、双方が合意のうえで行為におよんだ場合は罰せられません。心神喪失や抗拒不能に乗じたとはいえないからです。そのため、準強制わいせつ事件では、加害者としては「合意があった」として無罪を主張し、被害者としては「無理やりだった」と処罰を求める衝突が起きやすくなります。

    検察官や裁判官においても、合意についての認識が衝突している場合には、慎重な判断が求められます。事前に合意を示すやり取りがあったのか、目撃者は存在するのか、心神喪失や抗拒不能が証明できるのかなどがポイントになります。

  2. (2)証拠があれば合意が証明できる可能性あり

    わいせつ犯罪では、「被害者が有利」と言われることがあります。証拠もなく目撃者もいない密室で起きたわいせつ行為は、被害者の証言が重視される傾向にあるからです。

    ただし、証拠が存在すれば「合意があった」と認められ、刑罰を回避できる可能性があります。
    たとえば、行為があった直後に被害者から「昨日は楽しかったね」とメッセージが送信されている、ホテルの従業員が仲むつまじい姿を目撃しているといった状況は、合意があったことを推認させる事情として加害者にとって有利に働くでしょう。

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5、まとめ

準強制わいせつ罪は、被害者が昏睡(こんすい)・泥酔などしている状態や物理的・心理的に抵抗できない状況に乗じてわいせつな行為をする犯罪です。暴行・脅迫を用いることで成立する強制わいせつ罪と同じく悪質なものとされ、同様の罰則が科せられます。
準強制わいせつ事件で逮捕や重たい刑罰を回避するには、被害者に謝罪し示談を成立させることが必須とも言えます。スムーズな示談成立を目指して、早急に弁護士へ相談しましょう。
ベリーベスト法律事務所では、準強制わいせつ事件をはじめとしたわいせつ事件の解決実績を豊富に持つ弁護士が、容疑をかけられてしまった方を強力にサポートします。示談成立による逮捕や刑罰の回避を目指している方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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監修者
萩原 達也
弁護士会:
第一東京弁護士会
登録番号:
29985

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※本コラムは公開日当時の内容です。
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