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弁護士コラム

2020年05月13日
  • 暴力事件
  • 強要
  • 時効

強要罪とはどのような犯罪? 刑罰や時効について解説

強要罪とはどのような犯罪? 刑罰や時効について解説
強要罪とはどのような犯罪? 刑罰や時効について解説

店員に土下座をさせて、その様子を撮影した動画をネット上で公開した事件は、ニュースで目にした方もいらっしゃるでしょう。

とある衣料品店では、購入した衣料品に不具合があったという理由で従業員に謝罪と土下座を要求し、その様子を購入者がSNSで公開しました。その結果、土下座を強要した当事者は、警察に「強要罪」の容疑で逮捕されています。

中には日常のちょっとしたやり取りや行為がエスカレートして強要罪に該当してしまうケースもあり、注意が必要です。本コラムでは、強要罪とはどのような犯罪なのか、刑罰や時効などについて、弁護士が詳しく解説します。

1、強要罪の成立要件と刑罰

強要罪とは、「生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、3年以下の懲役に処する」と規定されている犯罪行為です(刑法第223条)。強要罪が成立するには、次の3つの要件を満たす必要があります。

  • 生命・身体・自由・名誉・財産への危害の告知
  • 生命、身体、自由、名誉、財産に対して、危害を加えることを口頭や文書等で告知したり、態度で示したりすることを指します。

  • 脅迫または暴行
  • 脅迫とは、他人を畏怖させる程度の害悪を加える旨の告知を指します。また暴行とは、人の身体に向けられた不法な有形力の行使を指します。相手の自由な意思決定を妨げ、その行動の自由を制約するに足りる程度のものであることを要します。
    たとえば、「家に火をつける(財産への害意)」「殴ってやる(身体への害意)」「殺してやる(生命への害意)」といった発言等が該当する可能性があります。

  • 義務のないことをさせる、または権利行使を妨害する
  • 「義務のないこと」とは、基本的に法律上の義務を指していると考えて差し支えありません。たとえば、接客態度が悪い店舗従業員に対して客が謝罪を求める行為は、道徳や接客のマナーの上では「当然だ」と思われるかもしれませんが、法律上の義務ではありません。
    また「権利の行使を妨害」にあたる行為としては、借金の帳消しや退職の強要などが挙げられます。退職届を出した従業員を強引に引き止める行為も同様に権利行使の妨害にあたる可能性がでてきます。

  1. (1)強要罪には罰金刑がない

    強要罪には、罰金刑がありません。似ている犯罪行為である脅迫罪(刑法第222条)の場合は「2年以下の懲役または30万円以下の罰金」、暴行罪(刑法第208条)では「2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料」です。

    そのため、有罪判決が下されると懲役刑が言い渡されてしまう強要罪の罰則は類似の犯罪累計に比べに重い法定刑であるということが分かります。

  2. (2)人質による強要は別の犯罪になる

    前述の3つの構成要件を満たせば強要罪が成立しますが、強要が「人質による」場合は別の法律で処罰されます。人を逮捕・監禁した、人質にしたといった状況での強要行為は「人質による強要行為等の処罰に関する法律」によって罰せられ、6か月以上10年以下の懲役刑が科せられます。

    よく刑事もののドラマで人質をとった犯人が「逃走用の車を用意しろ!」と警察相手に要求を突きつけるシーンがありますが、これは人質による強要に該当することが考えられます。

    ちなみに、強要罪のように相手が行動を起こすかどうかは関係なく、要求した時点で成立する点が特徴です。こちらの犯罪行為も罰金刑がないため、有罪になれば確実に懲役刑が科せられます。

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2、強要罪に時効はあるのか

公訴時効は刑事訴訟法という法律によって定められています。「長期5年未満の懲役若しくは禁錮又は罰金に当たる罪」に該当する強要罪の公訴時効期間は3年です。そのため、強要事件が発生して3年を過ぎると検察官が起訴できなくなります。

また、時効は犯罪行為が終わったときを起算点とし、初日を算入して日数でカウントします(刑事訴訟法55条1項但書)。 たとえば、3月1日の午後8時に起きた犯罪であれば、時効期間計算は3月1日からスタートします。強要罪の時効は3年ですから、3年が経過した時点で検察官が起訴できなくなり、いわゆる「時効が成立した」「時効が完成した」といわれる状態になるのです。

なお、時効は「停止」されることがあります。当該事件について公訴が提起されることや、被疑者が国外に逃亡しているまたは国内にいても逃げ隠れしているため、起訴状の謄本の送達や略式命令の告知ができなかった場合等に、その期間は時効が停止します。

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3、強要未遂罪について

強要罪は未遂であっても、刑法第223条3項の規定によって罰せられます。未遂とは、一般的には「犯罪行為が実行されたにもかかわらずその目的が達成されなかった場合」を指します。これを刑法では「障害未遂」と呼びますが、ほかにもいったんは犯罪を決意したが自分の意思で実行をやめた「中止未遂」もあります。

たとえば「借金を帳消しにしてくれないなら殺す」と脅されたため、警察に駆け込み相手が逮捕された場合は、権利行使の妨害という結果が生じていません。

つまり、強要罪の成立要件を満たしておらず、強要罪が成立していません。しかし、被害者が思惑どおりに行動してくれなかっただけで、犯罪行為そのものは存在しているため、強要未遂罪として処罰の対象になります。

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4、逮捕された場合の弁護活動

  1. (1)強要罪を回避できる可能性がある

    強要罪で逮捕されて弁護士に弁護活動を依頼した場合、まず期待できるのは「強要罪の回避」です。事案によっては、強要罪よりも刑罰が軽い脅迫罪や暴行罪の適用が妥当だという主張が可能かもしれません。

    もちろん、検察官や裁判官に主張を認めさせるには具体的な証拠が必要です。そのため、弁護士に依頼すれば、客観的な証拠を集めてそれらを提示し、強要罪が回避される可能性が高まります。

  2. (2)不起訴処分の獲得に向けた活動を期待できる

    また、弁護士に依頼すれば「不起訴処分の獲得に向けた活動」も期待できます。そもそも強要罪に問われて逮捕されても、必ず起訴されて刑罰が科せられるわけではありません。

    確かに日本では起訴されるとほぼ確実に有罪となりますが、場合によっては、検察官が不起訴処分とするということが考えられます。検察統計調査によると、強要罪自体のデータはありませんが、脅迫事件では平成30年の起訴率は脅迫罪を含めて36.1%でした。

    これは、検察官が被害者との示談成立を理由に不起訴処分と判断している背景があると考えられます。示談が成立して被害届や告訴状が取り下げられれば、被害者が「犯人を許した」もしくは「処罰感情が薄れた」という意思を示したことになり、検察官が起訴を見送る可能性が高まります。

  3. (3)被害者と連絡を取れる可能性がある

    被害者は加害者との接触や面会を嫌う傾向があるため、加害者の家族が示談交渉の場を設けようとしても相手にしてもらえないケースは少なくありません。また、知人などでなければ連絡先すら教えてもらえない可能性もあります。

    弁護士であれば、捜査機関を通じて連絡先を教えてもらえる可能性があります。連絡先を知らない場合は、交渉すら始めることができませんので、まずは弁護士を通じて被害者の方と連絡を取る必要があります。

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5、まとめ

強要罪は、日常の生活トラブルや人間関係などによって、誰にでも起こりうる犯罪です。
また、脅迫罪や暴行罪が同時に成立している難しい犯罪ですが、被害者との示談成立が実現すれば、検察官による不起訴処分の獲得も期待できます。

強要罪でご自身やご家族が逮捕されてしまいお悩みの方は、ベリーベスト法律事務所までご相談ください。強要事件をはじめとした刑事事件の弁護実績が豊富な弁護士が強力にサポートします。

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本コラムを監修した弁護士
萩原 達也
ベリーベスト法律事務所
代表弁護士
弁護士会:
第一東京弁護士会

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
当事務所では、元検事を中心とした刑事専門チームを組成しております。財産事件、性犯罪事件、暴力事件、少年事件など、刑事事件でお困りの場合はぜひご相談ください。

※本コラムは公開日当時の内容です。
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