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不法投棄に時効はあるの? 基準や罰則について解説
不法放棄とは一般的に、廃棄物を定められたルールに従わずに、山林や空き地など、処理場以外の場所に捨てたり埋めたりする行為を指します。
不法投棄は、廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)により処罰を受ける行為に該当します。建築廃材や廃油などの産業廃棄物だけでなく、家庭ゴミやタバコの吸い殻などの一般廃棄物も処罰の対象です。個人でもルールを守らずにゴミを処分すると、逮捕されたり、重い処罰を受けたりする可能性があるのです。
今回は、不法投棄の時効や処罰の内容、不法投棄の判断基準、不法投棄が発覚・逮捕された場合の対処方法などについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士がわかりやすく解説します。
1、不法投棄の取り締まりに時効はあるのか?
廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)第16条は、「何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない」として、不法投棄を規制しています。
なお、どのようなものが廃棄物に該当するかについては、廃棄物処理法第2条によって「ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物または不要物であって、固形状または液状のもの(放射性物質及びこれによって汚染された物を除く)」と定義しています。
廃棄物処理法に違反して、処理場や処理施設以外の場所に廃棄物を不法投棄した場合、市町村などによる行政処分(行政指導または許認可取消など)や刑事罰を受けることになり得ます。
時効については、多くの方が「一定の期間気づかれなければ大丈夫、もう処分を受けない」とお考えになっているかもしれません。しかし、結論から言えば、行政処分に時効はありません。発覚すれば処分を受ける可能性があります。他方、刑事罰には時効があります。不法投棄(廃棄物処理法16条違反)の公訴時効は、不法投棄行為が完了してから5年です(刑事訴訟法250条2項5号)。
ただし、共犯者がいる場合で、共犯者が起訴された場合には、共犯者の裁判が確定するまで公訴時効の進行は停止します(刑事訴訟法254条2項)。
また、犯人が国外にいる場合又は犯人が逃げ隠れているため有効に起訴状の謄本の送達若しくは略式命令の告知ができなかつた場合にも、国外にいる期間又は逃げ隠れている期間は、時効の進行が停止します(刑事訴訟法255条1項)。
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2、不法投棄した場合の処罰
不法投棄は、産業廃棄物だけでなく一般廃棄物も対象です。つまり、廃棄物処理業者などの法人だけでなく、個人でも家庭ゴミなどを空き地に捨てれば、不法投棄で処罰されることがあります。
罰則内容については、廃棄物処理法第25条1項14号によって定められています。具体的には、上述した第16条の規定に違反して廃棄物を捨てた者は以下の罰則を受ける可能性があります。
- 5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金
- 上記を併科
さらに、処罰を受ける対象が法人の場合、罰金刑は3億円以下(第32条1号)と非常に高額になることもあります。たとえば、違反行為をした個人に対して1000万円以下の罰金、法人に対しては3億円以下の罰金という重い処罰が下される可能性があるのです。
さらに、不法投棄は、自然環境や衛生環境などに悪影響をおよぼし、原状回復に時間やコストがかかる行為です。そのため、不法投棄を抑止するために未遂行為も処罰の対象となっています(第25条2項)。捨てようとしたところを見られたため捨てるのをやめたというケースでも、罪を問われる可能性があることを知っておきましょう。
また、具体的な状況によっては、威力業務妨害罪等、他の犯罪に該当する可能性があります。さらに、道路、河川、公園等、廃棄物を捨てる場所によっては、道路法や軽犯罪法、自然公園法違反等の罪に問われる可能性もあります。
いずれにしても不法投棄は重い罪であり、警察に逮捕されることも珍しくありません。もし不法投棄が発覚して逮捕された場合には、すみやかに弁護士に相談しましょう。
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3、不法投棄として取り締まりを受ける基準は?
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(1)廃棄物の保管基準
工場など産業廃棄物を排出する事業者には、廃棄物処理業者が運搬するまでの間、法令が定める保管基準にもとづいて、廃棄物を保管することが求められます。掲示板の設置などの保管基準を遵守せずに、廃棄物であると判断される資材などを事業場内に放置した場合には、不法投棄として処罰されるリスクがあるのです。
なお、廃棄物に該当するかどうかは、物の性状、排出の状況、通常の取り扱い形態、取引価値の有無、占有者の意思などの要素を総合的に勘案して決められます。 -
(2)一般廃棄物処理計画
個人が使用しなくなった電化製品を山林に廃棄する、生ごみなどをコンビニのごみ箱に捨てる、空き缶やタバコを路上にポイ捨てするといった行為も不法投棄に該当します。
廃棄物処理法は、家庭ゴミなどの一般廃棄物について、各自治体に「一般廃棄物処理計画」を定め、処理計画にもとづき、収集、運搬、処理をすることを求めています。家庭から出るゴミは、収集方法や収集区分など、処理計画で定められた各自治体のルールに従って処分しなければなりません。
また、引っ越しゴミや粗大ゴミなど個人で廃棄物を処分する場合は、自治体の許可を受けた廃棄物業者に委託する必要があります。
各自治体のホームページには、「一般廃棄物処理計画」の内容や家庭ゴミの処分方法などの情報が掲載されています。廃棄物の処理に関してわからないときは、ホームページで確認するか、居住している自治体に問い合わせましょう。
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4、不法投棄が発覚した場合の対応は?
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(1)不法投棄は発覚する可能性が高い
「誰にも見つからないだろう」と考えて不法投棄を行っても、監視カメラの映像や廃棄物からの証拠や、土地所有者・管理者や自治体のパトロールなどにより、不法投棄が発覚します。不法放棄が発覚した場合は、行政処分や刑事罰を受けるだけでなく、民事上の損害賠償請求をされる可能性もあります。
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(2)違法業者に委託した場合は
工場などで排出される産業廃棄物の処分には膨大なコストが必要です。少しでも安い料金で収集・運搬してくれる業者に委託したいと考える方もいるかもしれません。しかし、そのような業者の中には、自治体から許可を受けていない違法業者が少なからず存在します。
委託した違法業者が不法投棄を行った場合は、委託した側も逮捕されたり、処罰されたりする可能性があります。 -
(3)不法投棄が発覚したら
不法投棄が発覚してしまった場合には、まず土地の所有者や管理者に謝罪を行い、直ちに廃棄現場の原状回復を行いましょう。投棄した廃棄物をすべて撤去し、土壌汚染や水質汚濁をしている場合には無害化をしなければなりません。すでに被害者側で原状復帰を行っている場合には、発生した原状回復費用を弁償しましょう。
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(4)もし逮捕された場合は
不法投棄をくり返し行っていた場合や不法投棄する現場を目撃された場合、警察に通報や刑事告発され、逮捕される可能性があります。警察に逮捕された場合には、疑われている事実が間違いないのであれば、罪を認め、反省の態度を示すことが重要です。
逮捕されたら、検察の起訴・不起訴が判断されるまで、最長23日間も身柄を拘束される恐れがあります。そうなってしまったら、日常におよぼす影響は計り知れないでしょう。
しかし、早く帰りたいという一心で、やってもいない行為にもかかわらず、警察に促されるがまま「やった」とうそをついてしまうと、そのまま調書に取られてしまいます。一度罪を認めてしまえば、状況を覆すことは非常に難しく、過剰に重い罪が問われてしまう可能性が出てきてしまいます。
上記のようなリスクを回避するためにも、あなたのご家族が不法投棄の容疑で警察に身柄を拘束されている場合は、すぐに弁護士に依頼することをおすすめします。特に、逮捕から勾留の有無が決定されるまでの、非常に重要な最長72時間もの間、たとえご家族であっても面会が制限されます。接見を行えるのは弁護士に限られているため、早期に弁護士に依頼し、状況の確認やアドバイスを受けたほうがよいでしょう。弁護士なら逮捕後すぐに、いつでも接見することができます。
もし、不法投棄が事実でないときは、弁護士に事情を説明しましょう。弁護士は警察・検察に事実を伝えるなどして、検察への送致や勾留請求を止めて、早期に釈放してもらうように働きかけることができます。
不法投棄が事実の場合は、弁護士に被害弁償や示談交渉等を進めてもらうのが有効です。事案によっては、早期の身柄釈放や起訴猶予も期待できます。また、たとえ起訴されたとしても、懲役刑でなく罰金刑となる可能性も高まります。
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5、まとめ
不法投棄の法定刑はとても重く、懲役刑にならなくても高額な罰金を科せられる可能性があります。「誰も見ていないから」「少しだけだから」と軽い気持ちで不法投棄を行ってしまうと、取り返しのつかない結果になる恐れがあります。
もし、不法放棄の容疑で警察に逮捕された、あるいは、土地の所有者や管理者から損害賠償請求されたなどの場合には、ベリーベスト法律事務所にご相談ください。実績豊富な弁護士が、示談成立や早期の身柄釈放、刑の軽減をめざして、全力でサポートします。
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※本コラムは公開日当時の内容です。
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