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弁護士コラム

2020年08月11日
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迷惑防止条例は親告罪ではない? 罰則内容や非親告罪との違いを解説

迷惑防止条例は親告罪ではない? 罰則内容や非親告罪との違いを解説
迷惑防止条例は親告罪ではない? 罰則内容や非親告罪との違いを解説

迷惑防止条例は痴漢や盗撮、押し売りなどさまざまな迷惑行為を規制する条例です。家族が迷惑防止条例違反で逮捕されたと聞けば、「どんな罰を受けるのか」「前科はつくのか」など、不安に感じるかと思います。

今回は迷惑防止条例の概要を解説するとともに、親告罪や告訴といった語句の意味、逮捕された場合の対応について弁護士が解説します。

1、迷惑防止条例とは

迷惑防止条例とは、各自治体が制定している条例の総称です。公衆に著しく迷惑をかける行為を防止し、平穏な生活を保持するために設けられています。主体は都道府県や一部の市区町村となり、名称や内容、罰則に多少の違いはありますが、禁止される行為はおおむね共通しています。

たとえば、迷惑防止条例では次のような行為が禁止されています。

  • 痴漢、盗撮
  • ダフ屋行為(転売によって不当な利益を得る行為)
  • つきまとい行為
  • 押し売り行為
  • 客引き
  • ピンクビラ配布 など


「条例」と聞くと、逮捕に至らない比較的軽微な違反行為と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、条例違反も犯罪です。
たとえば、痴漢や盗撮をすれば、迷惑防止条例違反で逮捕されます。捜査機関の取り調べを経て、起訴されると、有罪判決を受ける可能性があります。有罪判決を受ければ、当然、刑罰を受けることになります。行為が悪質だと判断されれば、迷惑防止条例違反としてではなく、別の刑法が適用される可能性もあります。
また、犯罪なので、裁判で有罪判決を受ければ、前科がつきます。たとえば、勤務先の就業規則に、「刑事事件で有罪判決を受けたときは懲戒解雇に処する。」など、懲戒解雇事由が定められていれば、懲戒解雇されるおそれもあります。

刑罰の内容について、地方自治法第14条3項では、条例違反の者に対して「2年以下の懲役・禁固、100万円以下の罰金、拘留、科料、没収の刑または5万円以下の過料」を科すと定めています。
たとえば、盗撮をした場合の刑罰は「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」で、常習の場合は「2年以下の懲役または100万円以下の罰金」です(東京都の場合)。

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2、迷惑防止条例は非親告罪

迷惑防止条例違反は「非親告罪」です。被害者が告訴しなくても捜査が進められ、逮捕・起訴される可能性があります。ここでは親告罪と非親告罪の違いや、告訴の意味などを確認しましょう。

  1. (1)親告罪と非親告罪の違い

    親告罪とは、被害者側からの告訴がなければ起訴できない犯罪です。加害者に対して刑事責任を追及するか否かは、被害者側の意思に委ねられています。
    たとえば、過失傷害罪(刑法第209条)や名誉毀損罪・侮辱罪(同法第230条、231条)、器物損壊罪(同法第261条)などが、親告罪の一例です。
    親告罪における告訴は起訴の要件なので、親告罪だから逮捕されないというわけではありません。しかし、警察官は親告罪で逮捕状を請求する際、告訴権者へ告訴するかどうかを確かめなければなりません(犯罪捜査規範第121条)。したがって、現行犯逮捕はともかくとして、告訴がなされていない状態で逮捕される可能性は低いでしょう。
    なお、親告罪の告訴は、原則として犯人を知った日から6か月以内におこなうものと定められています(刑事訴訟法第235条)。

    一方で、非親告罪とは、起訴にあたり被害者側の告訴を要しない犯罪です。通報や被害届の提出などによって犯罪事実が明らかになった場合、告訴の有無は関係なく、捜査機関の判断で捜査が進められ、検察官は起訴することができます。

  2. (2)被害届と告訴の違い

    被害届とは、犯罪の被害に遭った事実を捜査機関へ申告する手続きです。被害届を端緒として捜査が開始されることは少なくありませんが、捜査機関に捜査義務までは生じません。

    告訴は、捜査機関へ犯罪事実を申告し、さらに加害者への処罰を求める意思表示をする手続きです。捜査機関が告訴状を受理すると、捜査機関には捜査義務が生じます。被害届と比べて告訴のほうが、被害者側の強い処罰感情が反映された厳格な手続きであるといえるでしょう。

    被害届と告訴はどちらも捜査が開始されるきっかけとなりますが、親告罪において両者には大きな違いが生じます。

    親告罪を起訴するときに必要なのは、あくまでも告訴です。被害届が提出されただけでは検察官は起訴できません。告訴があった場合にのみ起訴が可能となります。また、いったんは告訴がなされたものの、取り消された場合、親告罪では起訴できなくなるため、その段階で捜査も終了するでしょう。
    非親告罪の場合は、告訴が取り消されても公訴時効が成立するまでは、捜査が進められ、逮捕・起訴される可能性も残り続けることになります。

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3、親告罪が設けられている理由

親告罪が設けられている理由は、犯罪類型によって異なります。犯罪類型ごとに、主な理由を説明します。

ひとつは、事件の捜査過程や裁判によって被害者が知られたくない事実まで公にされることになり、かえって被害者の不利益となる犯罪です。
たとえば名誉毀損罪や侮辱罪などが該当します。これらは犯罪の性質からして、被害者が望んでいないのに加害者を処罰する必要があるほど法益侵害が大きいともいえず、被害者の意思を確かめることが重要な犯罪だといえるでしょう。

次に当事者間での解決がのぞましい犯罪です。たとえば器物損壊罪では、被害者への謝罪や弁済が済んでいるのであれば、加害者に対してあえて刑事罰を与える必要性は低いと考えられています。

また「相対的親告罪」といい、一定の関係性で起きた場合にのみ親告罪となる犯罪があります。親族間の詐欺や窃盗などが挙げられますが、こういったケースは国家機関が介入するよりも、親族間の話し合いで解決できるケースも多く、「親族内のいざこざを世間に知られたくない」と考える被害者も少なくないので、親告罪とされています。

なお、強制わいせつ罪や強制性交等罪(旧強姦罪)などの性犯罪は以前、被害者のプライバシー保護などを理由として親告罪となっていましたが、平成29年の刑法改正にともない非親告罪へと変更されました。訴追が自らの意思に委ねられることは、被害者の精神的な負担が大きく、加害者からの報復をおそれて泣き寝入りする被害者も多くいたことなどが変更された理由です。
迷惑防止条例違反となる痴漢や盗撮などの性犯罪は、以前から非親告罪だったことから、本改正によって性犯罪はすべて非親告罪となりました。

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4、非親告罪であっても被害者への対応が重要

迷惑防止条例違反は非親告罪なので、被害者からの告訴がなく、あるいは告訴の取り消しがあっても逮捕・起訴される可能性が残ります。そのため「被害者と示談をするなどの対応をしても意味がない」と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、非親告罪でも被害者への対応は極めて重要です。
家族が迷惑防止条例で逮捕された場合には、ご家族がなるべく早く弁護士へ相談し、被害者への対応をおこなうことが必要となるでしょう。

検察官や裁判官は、事件の内容や被害の大きさ、前科の有無などさまざまな点を総合的に判断して処分を決定しますが、被害者のいる犯罪においては「被害者感情」も含まれます。つまり、被害者への対応が今後の処遇に影響を与える可能性があるのです。

特に重要なのが示談です。被害者への真摯な謝罪と被害弁済をおこない、示談書に被害者から「刑事処罰を求めない。」といった宥恕(ゆうじょ)意思を盛り込むことができれば、不起訴処分の獲得や量刑を考慮されることが期待できます。
ただし、加害者自身やその家族が被害者と示談交渉しようとしても、被害者の恐怖心や嫌悪感情をあおりかねません。思うような結果にならないケースも少なくないため、弁護士の介入が不可欠となるのです。

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5、まとめ

痴漢や盗撮などの迷惑防止条例違反は非親告罪なので、告訴がなされなくても逮捕・起訴される可能性があります。しかし、非親告罪においても被害者への誠実な対応が重要である点は変わりません。そのため、今後どう対応するべきかについて、なるべく早く弁護士に相談されることをおすすめいたします。
迷惑防止条例違反で逮捕されてしまった、ご家族が逮捕されてしまった方は、ベリーベスト法律事務所までご連絡ください。事件の解決に向けて力を尽くします。

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監修者
萩原 達也
弁護士会:
第一東京弁護士会
登録番号:
29985

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※本コラムは公開日当時の内容です。
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