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弁護士コラム

2020年10月30日
  • その他
  • 文書捏造

文書捏造はどんな罪に問われるのか? 犯罪の種類と具体例を解説

文書捏造はどんな罪に問われるのか? 犯罪の種類と具体例を解説
文書捏造はどんな罪に問われるのか? 犯罪の種類と具体例を解説

離婚トラブルが深刻化すると、一方が勝手に相手の署名・押印をして離婚届を作成し、役所に提出するといった行動にでてしまうことがあります。このような行為は「文書偽造」の罪に該当し、厳しい処罰を受けます。
文書を捏造する行為は、書類の信用性を損なう重大な犯罪です。

本コラムでは、文書偽造の罪の種類や罰則を解説しながら、「相手に無断で書類を作成した場合」の刑事責任について弁護士が解説します。

1、文書偽造罪とは? どのような罪があるか

「文書捏造」という用語は、法律用語としては正しくありません。一般的に「文書捏造」や「書類捏造」と呼ばれる行為を、刑法では「文書偽造の罪」と規定しています。

  1. (1)文書偽造罪とは

    「文書偽造罪」とは、刑法第17章に規定されている各種の罪の総称です。どのような罪にあたるのかは、書類・不正行為によって異なります。

    さまざまな文書やこれをもとに作成された電磁的記録は、戸籍・住民票・婚姻・離婚などの社会的な証明に用いられる重要な情報です。
    文書の信用性は社会生活を混乱させないためにも非常に重要です。法律によってこれを保護する目的で文書偽造罪が規定されています。

  2. (2)文書偽造の種類

    文書偽造の罪には、刑法第154条から第161条の2までの合計9つの種類があります。ここでは、以下の3つの罪を取り上げて解説します。

    ●有印私文書偽造罪(刑法第159条)
    行使の目的で、他人の印章もしくは署名を使用して、権利・義務・事実証明に関する文書を偽造した場合に問われる犯罪です。
    他人名義で借金を申し込もうと企てて借用書を作成した、交通違反を犯して警察官から違反切符に署名を求められ他人を装って他人の氏名を署名したなどのケースが考えられます。
    法定刑は「3か月以上5年以下の懲役」です。

    ●公文書偽造・同行使罪(刑法第155条・第158条)
    行使の目的で、公務所もしくは公務員の印章もしくは署名を使用して、公務員の作成すべき文書を偽造した場合は「公文書偽造罪」が、これを行使することで「偽造公文書行使罪」が成立します。
    作成権限のない者が公文書を作成・行使した場合に問われる犯罪で、ローン審査のために戸籍謄本や印鑑証明書を偽造したなどのケースに適用されます。
    法定刑は「1年以上10年以下の懲役」です。

    ●電磁的記録不正作出・供用罪(刑法第161条の2)
    人の事務処理を誤らせる目的で、電磁的記録を不正に作った、または人の事務処理の用に供した場合に問われる罪です。
    キャッシュカードやプリペイドカードの改ざんなどには「5年以下の懲役または50万円以下の罰金」が、戸籍・住民票や不動産の登記情報など公的なデータの不正作出には「10年以下の懲役または100万円以下の罰金」が科せられます。

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2、公文書と私文書の違い

文書偽造の罪では、対象が「公文書」であるか、それとも「私文書」であるかによって罰条が異なります。

公文書とは、公務所・公務員がその名義において、権限の範囲内で作成する文書・図画を指します。戸籍謄本や住民票などのほか、運転免許証や旅券などが挙げられます。

私文書とは、権利・義務・事実証明に関する文書または図画のうち、公文書にあたらないものです。
借用書や請求書などのほか、郵便局への転居届や私立大学入試の答案なども文書偽造罪の対象となる私文書であるとされています。

文書偽造罪においては、公文書偽造のほうが私文書偽造よりも重く処罰されます。偽造のみに注目すれば、公文書の場合は1年以上10年以下の懲役、私文書であれば3か月以上5年以下の懲役と規定されており、公文書偽造の方がより重い刑罰を科されることが分かります。
これは、公文書が公務所・公務員の権限において作成される公的なものであり、書類の社会的信用をより強く保護する必要があるからです。

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3、【私文書偽造の例】離婚届に勝手に署名押印をして提出した場合

ここでは、私文書偽造の典型的な事例として、離婚届に勝手に相手の署名・押印をして役所に提出した場合に問われる罪をみていきましょう。

  1. (1)離婚届は「有印私文書」にあたる

    離婚届は離婚をしようとしている夫婦が作成するものです。作成者が私人であるため、文書の種類としては「私文書」にあたります。さらに、離婚届は必要事項を漏れなく記入したうえで、夫・妻がそれぞれ署名し、印鑑を押すことで完成します。
    つまり、完成した離婚届は単なる私文書ではなく「有印私文書」にあたり、相手の同意なしで署名・押印した場合は「偽造」とみなされます。

    なお、戸籍法施行規則第62条によると、相手の同意が得られている場合は署名の代筆も認められますが、押印の代理までは認められていません。
    この規定に照らすと、たとえ同意が得られていたとしても、押印まで代理してしまえば相手が異議を申し立てた場合に離婚が取り消される可能性があります。

  2. (2)提出すれば「行使」にあたる

    偽造した離婚届を役所に提出して係員がこれを受領した時点で「行使」とみなされ、偽造私文書行使罪が成立します。

  3. (3)虚偽内容が記録されると「公正証書原本不実記載」にあたる

    偽造した離婚届をもとに、戸籍など役所のデータに離婚が記録されると「公正証書原本不実記載罪」が成立します(刑法第157条1項)。

    ここまでの一連の流れで、有印私文書偽造・同行使・公正証書原本不実記載が成立していますが、これらにはすべて「手段と結果」としての結びつきがあります。
    刑法第54条1項の後段では「犯罪の手段もしくは結果である行為がほかの罪名に触れるときは、そのもっとも重い刑により処断する」と定められています。
    それぞれの罰則は次のとおりです。

    • 有印私文書偽造罪……3か月以上5年以下の懲役
    • 偽造私文書行使罪……偽造に同じ
    • 公正証書原本不実記載罪……5年以下の懲役または50万円以下の罰金


    このなかでもっとも罰則が重いのは有印私文書偽造・同行使罪です。このケースでは3か月以上5年以下の懲役の範囲で処断されることになります。

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4、文書偽造の罪における弁護活動

文書偽造罪の容疑をかけられてしまい、逮捕や刑罰に不安を抱えている方は、弁護士への相談をおすすめします。

文書偽造罪にあたる各犯罪にはそれぞれ重い刑罰が規定されています。
比較的に刑罰の軽い私文書偽造でも「3か月以上5年以下の懲役」であり、懲役刑しか規定されていません。
原則として3年を超える懲役刑が科せられてしまうと執行猶予が獲得できないので、有罪判決が確実な状況では、悪質性が高い犯行ではなく、本人も深く反省していることを主張して、減刑を目指す必要があります。
また、刑罰が科せられてしまう事態を避けるには、検察官が起訴を避ける不起訴処分を目指すのが第一です。起訴された場合は、裁判で無罪判決の獲得を目指すことになります。

刑の減刑や不起訴処分、無罪を獲得するには、弁護士による弁護活動が欠かせません。捜査機関や裁判官に対して本人が深く反省していることを訴えるとともに、文書偽造に至ってしまった背景・経緯などに悪質性がないことを主張することで、有利な処分が獲得できる可能性が高まります。

文書偽造が捜査機関に認知されていない段階なら、関係者との示談交渉を進めるのも有効です。文書偽造によって損害を被った関係者に謝罪し、賠償金や慰謝料を含めた示談金を支払うことで、捜査機関への届け出を思いとどまってもらえる可能性もあるでしょう。

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5、まとめ

文書偽造罪は、私文書・公文書にかかわらず、書類の社会的信用を確保するためという重大な目的をもっているため、重い刑罰が規定されています。逮捕や刑罰を回避するには、法律の知識と刑事事件について高い解決実績をもつ弁護士のサポートは必須です。
文書偽造罪の容疑をかけられてしまった、文書偽造が発覚したが捜査機関に認知される前にトラブルを解決したいとお悩みなら、ベリーベスト法律事務所にお任せください。

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監修者
萩原 達也
弁護士会:
第一東京弁護士会
登録番号:
29985

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※本コラムは公開日当時の内容です。
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