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弁護士コラム

2021年03月15日
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賭博罪の刑罰とは? 処罰対象になる賭け事とならない賭け事の違い

賭博罪の刑罰とは? 処罰対象になる賭け事とならない賭け事の違い
賭博罪の刑罰とは? 処罰対象になる賭け事とならない賭け事の違い

令和2年5月、元東京高検検事長が新聞記者らと賭けマージャンをしていたとして、常習賭博の疑いで告発される事件がありました。連日テレビのニュース番組などで報道されていたので、記憶に新しい方も多いでしょう。

報道を受け、「賭け事はどこからが違法になるのか」「自分がした賭け事は賭博罪にあたるのか」などの疑問を感じる点があったかもしれません。

このコラムでは、賭博罪の概要や処罰対象となる賭け事・ならない賭け事の境界線について弁護士が解説します。

1、賭博罪とは

賭博とは、財産的な価値のある物を賭けて、偶然の勝敗を争う遊戯のことです。
賭博は原則として違法です。判例によれば、偶然性に左右されるリスクを負ってリターンを得ようとする行為は、怠惰で浪費な習慣を生み、勤労の意欲をそいでしまうので、法律で犯罪だと定められているのです。

賭博の罪は以下の3種類があります。

  1. (1)単純賭博罪

    いわゆる単純賭博罪は、刑法第185条に定められたもっとも基本的な賭博罪です。
    野球賭博や賭け花札、裏カジノのカードゲームなどは違法とイメージしやすいかもしれません。サイコロやじゃんけん、将棋など一般的によく知られた行為でも、金品を賭け行えば単純賭博罪にあたります

    単純賭博罪の法定刑は「50万円以下の罰金または科料」です。罰金と科料はそれぞれ金銭を徴収される財産刑ですが、罰金が1万円以上であるのに対し、科料は1万円未満という違いがあります。

  2. (2)常習賭博罪

    常習賭博罪は、「常習的に賭博をおこなうこと」で問われる罪です(刑法第186条1項)。常習とは、繰り返し賭博を行う習癖(習慣になっている、よくないくせ)がある場合をいいます。常習性は、賭博行為の性質や種類、賭けた金額などをもとに総合的に判断されます

    常習賭博罪の法定刑は「3年以下の懲役」と、単純賭博罪よりも格段に重いものです。罰金や科料は定められていないので、有罪になると必ず懲役刑が言い渡されます。

  3. (3)賭博場開帳図利罪

    賭博場開帳図利罪とは、人を集めて賭博を開催した場合に適用される犯罪です(刑法第186条2項)。

    ギャンブルや賭け事をした人ではなく、賭博場やイベントの運営側を想定し、胴元を処罰の対象としています。賭博の場所については、設備の有無や規模、常設かどうかなどは関係ありません

    賭博場開帳図利罪の法定刑は「3か月以上5年以下の懲役」と、単純賭博罪・常習賭博罪より重く定められています。

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2、賭博罪の成立要件

賭博罪が成立する要件と、賭博罪にあたる行為・あたらない行為について解説します。

  1. (1)賭博罪の成立要件

    賭博罪は、偶然に左右される事象について争い、財物の得失があった場合に成立します。たとえば、公式戦の勝敗の結果によって金銭のやりとりをする「野球賭博」がこれにあたります。

    財物とは、金銭や宝石、ブランド品などはもちろん、土地や車など長期にわたって価値のあるものを指します。形があるものに限らず、債権のような財産上の利益も財物です。

    また、賭博罪が成立するには、主催者と利用者の双方がリスクをとる必要があります。たとえば、豪華賞品を賭けたビンゴゲームや優勝賞金が用意されたスポーツ大会のように、「金銭的な負担が主催者側にしかないケース」は賭博罪にあたりません

  2. (2)公営ギャンブルやパチンコ・パチスロが賭博罪にあたらない理由

    素朴な疑問として「競馬やオートレースなどのギャンブルは賭博罪にあたらないのか」と考える方がいるでしょう。

    一般に、三競オート(競馬・競艇・競輪・オートレース)と宝くじ・スポーツ振興くじ(toto)を公営ギャンブルといいます。これらもギャンブルであることに変わりないですが、法律で特別に定められているため合法です。

    たとえば競輪は自転車競技法という法律で、自転車関連事業の振興に寄与し、地方財政の健全化を図ることを目的として、自転車競争をおこなうことが許されています

    パチンコやパチスロは公営ギャンブルではありませんが、「三店方式」と呼ばれる特殊な営業形態によって、実質は黙認されている状態です

    三店とは「パチンコ店」「景品交換所」「景品問屋」のことで、三店方式とは以下の営業形態を指します。

    • パチンコ店が金銭ではなく価値の低い特殊景品を用意する
    • 顧客が景品交換所で特殊景品を買い取ってもらう
    • 景品問屋が景品交換所から景品を買い取り、パチンコ店に卸す

    ただし、顧客が特殊景品を交換し、最終的には現金を手にしていることから、実質的には賭博罪にあたるという指摘もあります。

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3、オンラインカジノは賭博罪になる?

日本では投資家向け情報提供(IR)整備法にもとづいて設立されたカジノは合法ですが、それ以外のカジノは禁止されています。そのため実店舗のいわゆる闇カジノでの賭博行為は違法です。

では、オンラインカジノはどうなのでしょうか? オンラインカジノは「賭博罪が適用される」という人もいれば、「賭博罪は適用されない」という人もいます。この議論にいまだ結論はでていませんが、それぞれどのような考え方なのかを見ていきましょう。

  1. (1)オンラインカジノとは

    オンラインカジノとは、インターネットサイトにアクセスして、ポーカーやルーレットなどのギャンブルをおこなうことをいいます。

    前提として、オンラインカジノの賭博罪適用について議論があるのは、一部のオンラインカジノが「海外にサーバーを置く」ためです。
    日本国内にサーバーが置かれたオンラインカジノは、無店舗とはいえ日本で違法カジノを運営するのと同じなので、利用者には賭博罪が、運営者には賭博場開帳図利罪が適用される可能性が高いでしょう

    違法かどうかが問題になりやすいのは、海外にサーバーを置くオンラインカジノです。

  2. (2)オンラインカジノに賭博罪が適用されると考える理由

    刑法第1条1項には「この法律は、日本国内において罪を犯したすべての者に適用する」とあります。日本国内というのは、行為の全部が日本国内でおこなわれる場合はもちろん、行為の一部がおこなわれている場合も含まれます

    これをオンラインカジノに照らすと、たとえ海外のサイトであっても、実際にカジノをするときは日本国内の自宅や漫画喫茶などにあるコンピューターからおこなわれています。つまり、行為の一部が日本でおこなわれているとして賭博罪の適用になるという考え方です。

    実際、平成28年には全国で初めて、海外のオンラインカジノで賭博をした個人客が単純賭博罪の容疑で逮捕された事例もあります。

  3. (3)オンラインカジノに賭博罪が適用されないと考える理由

    刑法第3条では日本国民が国外で罪を犯した場合に刑法が適用される犯罪を定めていますが、これに賭博罪は含まれておらず、賭博が合法な国で日本人が賭博をしても罪に問われません。

    またカジノの運営主体が海外にある場合には、運営主体に日本の刑法が適用されません。しかし、賭博とは胴元や賭け仲間がいて初めて成立する行為なので、日本でカジノをした人だけが処罰されれば不均衡になります。

    このような点から、賭博が合法である国にサーバーが置かれたオンラインカジノであれば、賭博罪が適用されないという考え方も存在しています

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4、賭けマージャンはどこから処罰される?

マージャンは勝敗の結果に個人の技能が大きく影響するとはいえ、体調などの偶然に左右される可能性は残ります。そのため、財産的な価値のある物を賭ければ賭博にあたります。

どのような賭けマージャンであれば処罰される・されないという明確な線引きはありません。ただし、処罰されやすいケース、されにくいケースはあります。

  1. (1)処罰されにくいケース

    刑法第185条ただし書きでは、「一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるとき」は単純賭博罪が成立しないとしています

    一時の娯楽に供する物とは、その場で消費できる飲食物などを指し、たとえば「最下位の人が1位の人にジュースをおごる」などのケースが該当します。賭けマージャンでもこのようなケースでは処罰されない可能性が高いでしょう。

    なお、金銭は消費せずためることができるため、少額であっても一時の娯楽に供する物にはあたらないとする見解が有力です。

  2. (2)処罰されやすいケース

    賭けた金額の大きさは違法かどうかに関係しないため、数百円でも賭ければ形式的には賭博罪にあたります。

    ただ、少額の場合と比べると、一晩で大金が動くような場合は、「勤労意欲をそぐ結果」につながり、依存症や破産などの問題も大きいと考えるのが自然です。そのためレートが高い賭けマージャンは処罰されやすいといえるでしょう。

    また、本人の属性や社会的な影響の大きさも関係します。著名人や社会的立場の高い人が賭博をすれば、一般市民よりも社会的影響が大きいため、処罰される可能性は高まります。

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5、単純賭博罪における略式起訴とは

単純賭博罪では略式起訴となる場合があります。

略式起訴とは、正式裁判を開かずに書類審査だけで処分を決定する、簡略化された起訴手続きのことです。100万円以下の罰金または科料に相当する事件で、かつ本人が同意している場合に限って採用されます。

  1. (1)単純賭博罪で略式起訴になる場合

    単純賭博罪は法定刑が50万円以下の罰金または科料なので、略式起訴が選択される可能性があります。

    客としてたまたま賭博行為をしてしまい、常習性がなく、金額が多大などの事情もなければ、略式起訴される可能性は高いでしょう。

    略式起訴されると必ず罰金か科料が言い渡され、逮捕・勾留されていた場合は罰金・科料の支払いをもって身柄を釈放されます。

    ただし、罰金・科料で済まされるといっても懲役の実刑と同様に前科がつくため、賭博行為をしていないなどの事情があれば、同意には慎重になるべきです。

    なお、常習賭博罪・賭博場開帳図利罪には罰金・科料の定めがないため、略式起訴が選択されることはありません。

  2. (2)罰金・科料を納めない場合はどうなるのか

    罰金・科料を納めなかった場合は「労役場留置」となり、労役場(全国の刑務所や拘置所の中に併設)で強制的に働かされます。労役場留置の期間は、罰金の場合は1日以上2年以下、科料の場合は1日以上30日以下です。

    労働が1日あたりいくらに換算されるのかは裁判官が決定しますが、一般的には5000円と評価されるケースが多いでしょう。たとえば50万円以下の罰金を言い渡されて納めなかった場合は、100日間も労役場で働かされる計算になります。

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6、賭博罪で逮捕されてしまった場合は弁護士へ相談

もしも賭博罪で逮捕されてしまったら、弁護士のサポートが不可欠です。弁護士は以下のような活動を通じてサポートします。

  1. (1)早期釈放に向けた活動

    逮捕されると起訴までに最長で23日間もの身柄拘束を受けるおそれがあり、社会生活への影響が懸念されるため、弁護士が早期釈放に向けた活動を実施します。

    たとえば、検察官・裁判官に客観的な証拠を提示しながら、逃亡や証拠隠滅のおそれがないため勾留の必要性がない旨を主張するなどの活動です。

  2. (2)不起訴処分を目指した活動

    起訴されれば高い確率で有罪判決が言い渡されるのに対し、不起訴処分になれば即日で身柄を釈放され、前科がつきません

    弁護士は、常習性がないこと、生活環境を改め二度と賭博をしないと誓っていることなどを示し、不起訴処分を目指します。賭博仲間との交流を絶つことも不起訴処分が下されるためには良い材料となるでしょう。

  3. (3)起訴された後の活動

    勾留されたまま起訴されると裁判まで身柄拘束が続き、心身の負担が大きいため、保釈によってこれを解く必要があります。

    特に常習賭博罪や賭博場開帳図利罪は組織的犯罪も疑われることから保釈が許可されないおそれがありますが、裁判官に対して賭博の金額や店の中での役割を説明するなどして、保釈が認められるよう活動します。

    裁判になった場合も、有効な証拠の提示や再犯のおそれがない旨の主張などによって刑の減軽や執行猶予つき判決の獲得を目指してまでサポートします。

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7、まとめ

金品を賭けて偶然の勝敗を争う賭博は原則として違法ですが、公営ギャンブルのように法律で認められている場合や、その場で消費できる飲食物を賭けた場合などは処罰の対象になりません。

ただし、賭博行為の違法性についてはさまざまな議論が存在しており、賭博行為による処罰の有無に必ずしも明確な線引きがないのが現状です。

賭博行為をして逮捕された場合は弁護士のサポートが必須となるため、刑事事件の経験が豊富なベリーベスト法律事務所へご相談ください。早期釈放や不起訴処分の獲得を目指し、力の限りサポートします。

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監修者
萩原 達也
弁護士会:
第一東京弁護士会
登録番号:
29985

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
当事務所では、元検事を中心とした刑事専門チームを組成しております。財産事件、性犯罪事件、暴力事件、少年事件など、刑事事件でお困りの場合はぜひご相談ください。

※本コラムは公開日当時の内容です。
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