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弁護士コラム

2021年03月15日
  • その他
  • 略式起訴

前科はつく? 釈放の可能性は? 略式起訴に関する疑問に答えます

前科はつく? 釈放の可能性は? 略式起訴に関する疑問に答えます
前科はつく? 釈放の可能性は? 略式起訴に関する疑問に答えます

刑事事件の容疑で逮捕された被疑者は、身柄を拘束されたのちに、捜査機関による捜査を経たうえで、検察官が起訴・不起訴を決定します。犯罪の被疑者が起訴されると通常は裁判が開かれ、ここで有罪または無罪が、有罪の場合は刑の重さが言い渡されます。
しかし、一定の条件を満たした事件では裁判が開かれずに書類審査のみで刑の重さが決定する場合があります。この手続きを、「略式起訴」といいます。

本コラムでは、略式起訴の概要や要件を説明したうえで、前科がつくのか、釈放されるのかなどの疑問について、ベリーベスト法律事務所の弁護士が回答いたします。

1、略式起訴とは? 起訴との違いについて

まず、略式起訴とはどのような手続きであるか、通常の起訴とは何が違うのかという点について、解説いたします。

  1. (1)起訴とは

    検察官が特定の刑事事件について裁判所の審判を求めることを「起訴」といいます。検察官は裁判所に対し、被告人の氏名や事件の内容、罪名などが記載された起訴状を提出することによって事件を起訴します。

    起訴には、公開の法廷で裁判が開かれる公判請求と、裁判によらず書類審査のみで刑が言い渡される略式命令請求(略式起訴)の2種類があります。

    公判請求によって事件が起訴されると裁判が開かれ、冒頭手続き、証拠調べ、意見陳述を経たのちに、最終的に裁判官が判決を言い渡すという流れなのです。

  2. (2)略式起訴とは

    略式起訴とは、裁判を開かず簡略化した手続きで終わらせる起訴手続きのことを指します。

    公開の裁判は開かれず、非公開の書類審査のみによって裁判官が「略式命令」を出します。略式命令とは、正式裁判におけり「判決」にあたるものです。

    つまり、通常の起訴では「起訴→裁判→判決」という流れで手続きが進められるところ、略式起訴では「起訴→書類審査→命令」という簡略化された流れで手続きが進められることになるのです。

    正式裁判が開かれると法廷で時間をかけて審理が尽くされるため、事件が結審するまでに数カ月や場合によっては数年という長期の年月を要します。その間、被告人は原則として身柄を拘束され、事件の結果に不安を抱えながら過ごさなければなりません。これに対して、略式起訴では手続きの開始からおよそ2週間で略式命令が出されるため、ごく短期間で事件が結審することになります。

    以上のように、略式裁判は非常に簡潔な手続きであるため、すべての事件で選択できるわけではありません。略式起が採用されるためには、厳格な要件があるのです。

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2、略式起訴の要件

略式起訴は、以下の要件を満たした場合に限って採用されます。

  1. (1)100万円以下の罰金・科料に相当する事件であること

    略式起訴とは、正式裁判を請求しないことで、事件を迅速に処理することを目的とした制度です。裁判での審理が尽くされるべき複雑な事件や、懲役・禁錮・死刑が予定されるような重大な事件には適用されません

    略式起訴が適用される可能性があるのは、比較的軽微な事件になります。ここでいう軽微な事件とは、「100万円以下の罰金または科料」に相当する事件のことをいい、たとえば初犯の痴漢や盗撮、万引き事件などのうち、被害の程度が低いものが「軽微な事件」に該当するのです。

  2. (2)簡易裁判所が管轄する事件であること

    通常の刑事事件では地方裁判所が第一審の審理を担当しますが、罰金以下の刑にあたる罪や窃盗などの比較的軽微な罪の事件については、簡易裁判所で審理されます。
    略式起訴の対象になるのは、簡易裁判所が管轄する事件です

  3. (3)被疑者の同意があること

    略式起訴には被疑者の同意が必要です。自分の罪を認め、罰金・科料の刑を受け入れなければいけません。
    一方、被疑者が自分の罪を否認している事件では、正式裁判で被告人の言い分も審理されなくてはならないため、略式起訴は採用されません。

    また、検察官が略式起訴するときには、被疑者に対して、制度の内容や趣旨を説明し、正式裁判を受けることができる旨を告げる必要があります。そのうえで、略式起訴をしてもよいのかの確認があり、被疑者に異論がなければ書面に署名や捺印をすることになるのです

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3、在庁略式とは

被告人に略式命令を告知するための略式命令書は、基本的に自宅へ郵送されます。同居の家族が事件のことを知っている場合には、とくに問題ありませんが、家族に知られたくないなどの事情を抱えている場合は、略式命令書が届くことで、家族に知られてしまう可能性が生じるでしょう。このような心配があるときには、「在庁略式」を申請することができます。

  1. (1)在庁略式とは

    勾留されたまま略式起訴が選択された場合、被告人は検察庁で待機して、略式命令が出ると裁判所へ行って直接書面を受け取ります。これを在庁略式といいます。

    略式起訴が通常の起訴と比べて迅速化された手続きであるとはいえ、略式命令書が手元に届くまでには、命令から2週間程度の時間がかかります。
    しかし、在庁略式では略式起訴された当日に裁判所から略式命令書を手渡しで受け取れるため、略式起訴の中でもっとも迅速的に事件の手続きを終わらせることができるのです

    一方、勾留されていない事件では、略式命令書は原則として郵送されます。重要な書類なので郵便ポストにそのまま投函されることはなく、特別送達という特別な郵便で届きます。なお、本人が不在の場合には、同居している家族に渡されます。
    また略式命令書を受け取ると、およそ1週間後に、検察庁から罰金や科料の納付書が届くことになるのです。

  2. (2)事前申請により在庁略式にすることが可能

    勾留されていない事件でも、事前に検察官へ申請することにより在庁略式にしてもらうことが可能です。在庁略式になれば、検察庁へ出頭する日を調整したうえで裁判所から略式命令書を受け取り、その日のうちに検察庁で罰金や科料を支払えば、手続きが完了します。
    裁判所や検察庁からの書類が自宅に届くことがないため、事件について同居の家族などに知られずに済ませられるのです

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4、略式起訴に関するよくある疑問

以下では、略式起訴された後の被告人の扱いについての、よくある疑問について回答いたします。

  1. (1)釈放されるのか?

    逮捕・勾留後に釈放されるタイミングはいくつかありますが、略式起訴もそのひとつです。勾留されたまま略式起訴されると、その日のうちに裁判所から略式命令が出ます。言い渡された罰金や科料の額を支払うと、その時点で釈放されます。
    罰金や科料の納付をしたことで「刑が執行された」と見なされるために、納付後には、身柄を拘束される理由が存在しなくなるのです。

  2. (2)前科はつくのか?

    「前科」とは、有罪となって刑罰を科された経歴のことを指します。
    略式命令が出された場合は、これに不服があって正式裁判の申し立てをしない限り、前科がつきます
    略式命令により言い渡される罰金・科料はいずれも刑罰です。略式起訴はあくまでも裁判が開かれないだけであって、刑罰を科さないという意味ではありません。

    前科がついたといっても、ただちに生活上の不利益が生じるわけではありません。しかし、一定の職業で制限がかかる、再犯した場合に不利にはたらくなどの悪影響が存在します。また、前科があるという情報が漏れてしまった場合は、周囲から前科者であるとのイメージをもたれて不利益な扱いを受けるおそれもあるのです。

  3. (3)罰金を納付しないとどうなる?

    略式命令が言い渡されたにもかかわらず、指定された期日までに罰金や科料を支払わないでいると、検察庁から督促状が送られてきます。これに応じない場合は財産に対して強制執行が行われて、強制執行できる財産がない場合には労役場留置となるのです

    労役場留置とは、刑事裁判で確定した罰金・科料を納付できないときに、強制的に労役場に留置されて、労役を課される処置のことを指します。
    裁判官が労役場での労働1日あたりの金額を決定し(一般的には5000円)、確定した刑の金額に到達する日数分、強制的に労働に従事させられることになるのです。

    どうしても罰金・科料を支払えない理由がある場合には、納付書や督促状を無視するのではなく、必ず管轄の検察庁に相談して、丁寧に事情を説明しましょう。支払いが免除されることはないですが、状況によっては分割や納期限の延長などに応じてくれる可能性があります。

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5、略式起訴には同意すべきか?

略式起訴では長期間の身柄拘束を受けることなく早期に事件が解決するため、検察官から説明があった際には、正式裁判に比べて魅力的なものに感じるかもしれません。
しかし、略式起訴には一長一短があり、同意するべきかどうかは状況によって異なります。検察官から略式起訴を持ちかけられても、安易に判断せず、弁護士に相談したうえで慎重に検討しましょう

以下では、同意の有無を判断する際に考慮するべき点について、解説いたします。

  1. (1)身柄を釈放されるため社会復帰しやすい

    略式起訴では正式裁判が開かれた場合と比べると身柄の拘束期間が短いため、社会復帰にしやすくなります。
    逮捕・勾留されたまま起訴された場合、逮捕から起訴までの最長23日間に加え、起訴から裁判開始までの約2か月、さらには裁判中にも身柄の拘束が続きます。これだけ長い間社会から隔離されてしまえば、職場を解雇されるおそれも大きくなるでしょう。

    これに対して、略式起訴では裁判を待つことなく罰金・科料を支払って釈放されるため、短期間の身柄拘束で済むことになります。そのため、解雇されずに、同じ職場で働きつづけられる可能性も高められるのです。

  2. (2)前科がつく

    略式起訴は罪を認めて有罪判決を受け入れることが前提となるので、必ず、前科がつきます。
    したがって、略式起訴を受け入れるかどうかの判断をする際には、「早期の身柄釈放」というメリットと「前科がつく」というデメリットを天秤にかけて、判断することになるでしょう。

    ただし、早期の身柄釈放は、略式起訴以外のほかの方法でも実現できる可能性があります

    代表的な方法は、「不起訴処分」を得ることです。検察官が不起訴処分を言い渡せば、即日で身柄を釈放され、前科もつきません。
    傷害など、被害者のいる事件では、被害者に謝罪と損害賠償を行って「示談」を成立させることで、不起訴処分となる可能性があります。

    ただし、不起訴処分を得るためには、相応の準備が必要となります。
    略式起訴の説明があるよりも前の段階から弁護士に連絡して、不起訴処分に向けた活動を依頼しましょう

  3. (3)裁判を受けたほうがよい場合もある

    正式裁判では被告人に意見を述べる機会が与えられますが、略式起訴にこのような機会はありません。
    無罪を主張する場合や、情状を主張して刑を減軽してもらいたい場合などには、裁判を受けたほうがよいでしょう。

  4. (4)不服があれば裁判を請求できる

    略式命令の内容に納得できないときは、命令から2週間内に正式裁判の申し立てができます。

    ただし、略式命令を受け入れる予定だった以上、犯罪の事実を認めていることになるため、判決の結果が大きく変わる望みは薄いです。この意味でも、略式命令に同意するべきかについては、熟考が必要となるでしょう

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6、まとめ

略式起訴では、通常の起訴と比べて早期に身柄を釈放されるための社会生活への影響は少なく済みますが、必ず前科がつきます。
検察官から略式起訴を持ちかけられた場合にも、同意するべきかどうかは個別の事件によって異なるため、弁護士のアドバイスを受けたうえで慎重に判断しましょう
略式起訴を受け入れるか迷っている、不起訴処分に必要な対応を知りたいといったお悩みがあれば、ベリーベスト法律事務所へご相談ください。刑事事件の解決実績が豊富な弁護士が、状況に応じたアドバイスやサポートを実施いたします。

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監修者
萩原 達也
弁護士会:
第一東京弁護士会
登録番号:
29985

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※本コラムは公開日当時の内容です。
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