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弁護士コラム

2021年03月15日
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  • 保釈とは

保釈が認められる条件とは? どのような手続きが必要になる?

保釈が認められる条件とは? どのような手続きが必要になる?
保釈が認められる条件とは? どのような手続きが必要になる?

自分の家族が刑事事件の被告人となったとき、残されたご家族は「少しでも早く保釈してほしい」と考えるでしょう。

しかし保釈は請求すれば必ず認められるわけではなく、請求できるタイミングや条件があります。速やかな保釈を実現させるためには、保釈制度について詳しく知っておかなければなりません。

本コラムでは保釈とはどのような制度なのか、釈放とは何が違うのかを説明したうえで、保釈が認められるための条件や必要な手続についてベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、保釈とはどのような制度か

「保釈」という言葉を聞いたことはあっても、詳しい意味までは分からない方が多いかもしれません。まずは保釈制度の内容や目的、保釈中の制限事項などについて解説します。

  1. (1)保釈とは

    保釈とは、保釈保証金の納付を条件に、起訴された被告人の勾留を一時的に解く制度です

    保釈について「お金を払って許してもらえる制度」と誤解している人がいますが、保釈されたからといって犯した罪が消えるわけでも、刑が免除されるわけでもありません。

    保釈中の遵守事項を守らなければ保釈が取り消されますし、保釈中に開かれた刑事裁判で実刑判決がくだれば身柄を拘束され、刑務所へ収監されます。

  2. (2)保釈の目的

    保釈の目的は、被告人の社会生活を維持しながら、裁判所への出廷を確実なものとすることです。

    刑事裁判では、有罪が確定するまでは「罪を犯していない人」として扱わなければならないとする原則があります(無罪推定の原則)。

    しかし起訴後の勾留は起訴から初公判までのおよそ2か月に加え、判決が出るまで続くことになります。

    数か月、数年単位で身柄を拘束されることになるため、被告人が受ける心身への負担と社会生活への影響は甚大です。会社へ行くことはできず、場合によっては解雇され生活の基盤を失うおそれもあります。

    本来であれば、無罪推定の原則によって「罪を犯していない人」として扱われるはずなのに、このような長期にわたって身柄拘束を受け、職を失うおそれまで生じるのは非常に酷な扱いだといえるでしょう。また、起訴されると基本的に取り調べは実施されないため、出廷さえ約束されれば、身柄を拘束する必要性は小さくなります。

    そこで、裁判所への確実な出廷を条件に、裁判で判決が出るまでの期間は暫定的に身柄を釈放しようとするのが保釈の趣旨です

    保釈が認められると長期の身柄拘束を回避し、会社へ行くこともできるため、社会復帰が円滑に進みやすくなります。

  3. (3)勾留とは

    保釈は一時的に勾留を解かれる制度なので、「そもそも勾留とは何か」を知っておく必要があります。

    勾留とは、刑事事件の被疑者・被告人の身柄を拘束する手続をいいます。あくまでも逃亡または証拠隠滅を防ぐための措置であり、刑罰ではありません。

    勾留されるのは、罪を犯したと疑うに足りる相当な理由があり、以下のいずれかに該当した場合です(刑事訴訟法第60条)。

    • 定まった住居を有しないとき
    • 証拠隠滅を図るおそれがあるとき
    • 逃亡を図るおそれがあるとき


    勾留には、被疑者の段階で勾留される「起訴前の勾留」と、被告人となった段階で勾留される「起訴後の勾留」があります

    ●起訴前の勾留
    刑事事件の被疑者が逮捕されると、警察および検察官から72時間を上限に取り調べを受け、検察官によって起訴・不起訴が判断されます。

    しかし72時間では十分に捜査が尽くされなかった場合は、検察官が裁判官に対して、被疑者の身柄を引き続き拘束する許可を求めます。これを勾留請求といい、裁判官が請求を認めると被疑者は勾留されることになります。

    起訴前の勾留期間は原則勾留請求の日から10日間ですが、やむを得ない事情があると10日間の延長が認められるため、最長で20日間です。勾留期間の満期を迎える前に、検察官は再び起訴・不起訴を判断します。

    ●起訴後の勾留
    起訴されると被疑者から被告人へと呼び名が変わり、刑事裁判を待つ身となります。起訴後の勾留期間は原則2か月間ですが、証拠隠滅のおそれがある場合などには1か月ごとの更新が認められています。更新回数に制限はないため、起訴後の勾留は実質的に期限がありません。

    仮に裁判で実刑判決がくだると、逮捕から刑期を終えて出所するまで一般の社会生活には戻れなくなってしまいます。

    そこで請求できるのが保釈です。保釈は起訴後の勾留段階に入ってからのみ請求でき、起訴前の勾留段階では請求できません

  4. (4)保釈期間中の制限

    保釈期間中は基本的に普段どおりの生活を送ることができます。家族と自由に過ごしたり、会社や学校に行ったりすることも可能です。弁護士と打ち合わせをするなど刑事裁判に備えることもできます。

    ただし完全に自由というわけではなく、必ず遵守するべき事項が設けられています。違反すれば保釈保証金を没取されたうえで保釈を取り消されます

    刑事訴訟法第96条では、保釈が取り消される5つのケースを定めています。

    • 裁判所からの呼び出しがあったのに正当な理由なく出頭しない
    • 逃亡を図るおそれが生じた
    • 証拠隠滅を図るおそれが生じた
    • 事件の関係者やその親族の身体・財産に危害を加えようとし、または畏怖させる行為をした
    • 住居の制限など、裁判所が定めた条件に違反した


    たとえば保釈中に引っ越しをする場合や、長期の出張や海外旅行、3日以上の国内旅行をする場合には、事前に裁判所に申請する必要があります。被害者に謝ろうと思って会いにいったり、共犯者と接触を試みたりすることも、してはいけません。

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2、保釈と釈放の違い

保釈と混同しやすい言葉に「釈放」があります。両者にはどのような違いがあるのでしょうか?

  1. (1)釈放とは身柄を解放されること

    釈放とは、刑事事件の被疑者・被告人・受刑者が、身柄の拘束を解かれることを幅広く指す言葉です

    刑事手続の中で釈放されるタイミングとしては、次のようなケースが考えられるでしょう。

    • 逮捕の後に誤認逮捕だと分かったため釈放された
    • 逮捕されたが勾留されずに在宅捜査に切り替わった
    • 逮捕・勾留されたが勾留の理由や必要性がなくなったため釈放された
    • 逮捕・勾留されたが不起訴処分になったため釈放された
    • 逮捕・勾留の後に起訴されたが略式起訴だったため罰金・科料を納付したうえで釈放された
    • 逮捕・勾留の後に起訴され有罪判決となったが執行猶予がついたため釈放された
    • 受刑者が刑の満期前に仮釈放された
    • 受刑者が刑の満期を迎えて釈放された
  2. (2)保釈と釈放の違い

    保釈も釈放の一部ですが、釈放と比べると限定的な範囲で認められる制度です。以下、両者の違いを見ていきましょう。

    ●タイミングの違い
    釈放と保釈の大きな違いは、身柄を解放されるタイミングです。釈放されるタイミングは逮捕後や勾留後、刑の執行が終わった後などさまざまにあります。

    一方、保釈されるタイミングは「起訴された後から裁判で判決が出るまでの間」のみです。逮捕直後や起訴される前に身柄の拘束を解かれるのは釈放であって保釈ではありません。

    ●身柄拘束を解かれる期間の違い
    「釈放」の場合、その期間は、一時的である場合も、永久的である場合もあります。たとえば逮捕されたが勾留されずに在宅捜査に切り替わったときは、刑事裁判で懲役の実刑判決を受ければ再び身柄を拘束されるため「一時的な釈放である」といえるでしょう。

    これに対して勾留されたが不起訴処分になったときは、そこで刑事手続が終了し、同じ事件で再び身柄を拘束されることはありません。つまり「永久に釈放された」といえます。

    一方、「保釈」の場合、裁判で判決が出るまでの一時的なものであり、永久に続くことはありません。裁判で実刑判決がくだった場合や、保釈期間中の遵守事項に違反した場合には再び身柄を拘束されます。

    ●請求の有無
    釈放されるかどうかは検察官や裁判官などの決定にかかっています。被疑者や被告人が請求したから釈放されるという性質のものではありません。

    これに対して保釈は被告人の権利として請求することができます

    ●保釈保証金の有無
    釈放されるために金銭の支払いは必要ありません。一方、保釈されるには保釈保証金が必要です

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3、保釈の種類

保釈には「権利保釈」「裁量保釈」「義務的保釈」の3種類があります。それぞれの保釈が認められるケースを見ていきましょう。

  1. (1)権利保釈が認められるケース

    権利保釈とは、法律上の除外事由に該当しない限り、必ず認められる保釈をいいます

    具体的には、下記の6つの要件にひとつも該当しなければ認められます。ひとつでも当てはまれば認められません(刑事訴訟法第89条)。

    ●重大犯罪であること
    死刑または無期懲役もしくは短期1年以上の懲役もしくは禁錮にあたる罪を犯したものであるとき

    ●重大犯罪の前科があること
    前に死刑または無期懲役もしくは長期10年を超える懲役もしくは禁錮にあたる罪で有罪判決を受けたことがあるとき

    ●常習犯であること
    常習として長期3年以上の懲役または禁錮にあたる罪を犯したものであるとき

    ●証拠隠滅のおそれがあること
    罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき

    ●被害者や証人などに危害を加えるおそれがあること
    被害者や証人、その親族の身体や財産に危害を加え、または畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき

    ●被告人の氏名または住居が分からないこと
    ホテルに仮住まいしていたり、知り合いの家を泊まり歩いていたりなど、定まった住居地がないこと


    たとえば初犯で、殺人や強盗などの重大事件ではなく、同居の家族がいる場合には、上記に該当せず権利保釈となる可能性が高いと考えられます。

    ただし注意が必要なのが「証拠隠滅のおそれがあること」です。この点については検察官や裁判官は幅広く捉えるため、事件を否認している場合などで該当する可能性があります。

    もちろん事実でないことを認める必要はありませんが、事実なのにむやみに否認すれば、保釈が認められにくくなる可能性があるわけです。

  2. (2)裁量保釈が認められるケース

    権利保釈が認められない場合でも、裁判所の職権により保釈が認められる場合があります。これを「裁量保釈」といいます(刑事訴訟法第90条)。

    裁判所が裁量保釈を認めるかどうかは、犯罪の軽重や前科前歴、身元引受人の有無や職業、健康状態など、さまざまな点を考慮して決定します。たとえば勾留されると持病が悪化するおそれがある、会社の経営者なので経営が立ち行かなくなるといった事情がある場合には、裁量保釈が認められる可能性があります。

  3. (3)義務的保釈が認められるケース

    義務的保釈とは、勾留が不当に長くなったときに、被告人や弁護士などからの請求により、または裁判所の職権により認められる保釈をいいます(刑事訴訟法第91条)。

    もっとも、勾留を許可するのは裁判官なので、勾留が不当に長くなるケース自体が考えにくいものです。そのため義務的保釈が認められるケースはほとんどありません。

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4、保釈されるまでの流れ

どのような手続を経て保釈が認められるかを見ていきましょう。あわせて、保釈保証金の額を決める基準についても解説します。

  1. (1)保釈の手続

    保釈の手続は起訴された後から開始します。通常は弁護士が手続を進めることになるでしょう。

    まずは弁護士が裁判所に対し、保釈請求書を提出します。その際に身元引受書や示談書の写し、親族や会社関係者からの嘆願書などの書類も添付します。

    次に裁判官が保釈の可否を決定するために審査します。このとき担当の検察官に対し、保釈に関する意見を求めます。弁護士と面会する場合もあります。

    検察官の意見も踏まえ、裁判官が保釈の可否を決定します。決定が出る時期は事件や請求のタイミングによって異なりますが、請求した翌日から2日以内、土日祝日をはさむと1週間以内が目安となるでしょう。

    保釈が許可されると、保釈保証金の金額と保釈中の制限事項が伝えられます。弁護士を通じて裁判所に保釈保証金を納付し、保釈されるという流れです。

  2. (2)保釈保証金の額を決める基準

    保釈保証金とは一般にいう保釈金のことです。保釈保証金の額は被告人の経済力や想定される判決によって大きく異なります

    被告人にとって逃亡を思いとどまらせるほどの金額である必要があるため、経済力の大きさに左右されます。たとえば年収1億円の被告人と年収200万円の被告人を比べたときには、前者の保釈保証金が高額になりやすいということです。

    また重大事件や再犯で厳しい量刑が予想される場合には、逃亡したいとの考えに至りやすいため高額になります。

    もっとも保釈保証金は、保釈期間中の遵守事項を守っている限り、刑事裁判で判決が出た後に返金されます。有罪・無罪は関係ないので、仮に有罪の実刑判決を受けた場合でも返金されます。

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5、保釈請求をしたい場合はどうするべき?

自分の家族が被告人となり保釈を請求したい場合は、早急に弁護士へ相談しましょう。以下のサポートを依頼できます。

  1. (1)保釈請求の手続を依頼する

    保釈の請求ができるのは、被告人本人または弁護人、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族もしくは兄弟姉妹です(刑事訴訟法第88条)。

    そのため本人や親族が保釈の請求をすること自体は可能ですが、法的な要件などを精査する必要があるので、現実的には難しいでしょう。保釈を請求する法的な理由を明らかにしたうえで、裁判官に逃亡・証拠隠滅のおそれがない旨を理解してもらう必要があるからです。

    本当に保釈を望むのであれば、手続は弁護士へ依頼するべきです。弁護士であれば保釈が認められやすい請求書の書き方を理解し、身元引受人の用意など保釈に有効な対策も心得ています。担当の裁判官と面接して意見を述べ、保釈の可能性を高めることもできます。

  2. (2)証拠隠滅や逃亡のおそれがない旨を主張する

    保釈は被告人の証拠隠滅や逃亡を防いで裁判所に出廷させることが目的なので、証拠隠滅や逃亡のおそれがないことが極めて重要となります。

    弁護士が裁判官に対し、適切な身元引受人がいること、本人が罪を認めて深く反省していること、被害者に謝罪文を書いたことなどの客観的な根拠をもとに、証拠隠滅・逃亡のおそれがない旨を主張します

  3. (3)被害者との示談を成立させる

    被害者のいる事件では、被害者との示談が裁判でよい事情として考慮される可能性が高くなります。そのため示談が成立しているケースでは、被告人が保釈保証金を没取されるリスクを冒してまで逃亡や証拠隠滅を図るとは考えにくくなります。したがって保釈が認められやすくなるでしょう。

    ただし勾留中の本人が被害者と直接会って示談交渉するのは現実的ではありません。ご家族による交渉も拒否される可能性が高く、そもそも被害者の連絡先を知らないというケースも多数です。

    弁護士であれば検察官を通じて被害者の連絡先を入手し、被害者の警戒心を和らげたうえで示談交渉を開始できる期待があります。できるだけ早く保釈されるには、速やかに示談を成立させることが重要なので、示談交渉の経験のある弁護士に任せるのがよいでしょう。

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6、まとめ

保釈は被告人の身柄拘束を一時的に解く制度です。保釈の請求は被告人に認められた権利ですが要件を満たす必要があり、保釈保証金を預ければ必ず保釈されるわけではありません。速やかな保釈を望むのであれば法的な知識をもとに適切に請求する必要があるため、弁護士に依頼するのが賢明です。

保釈の請求は刑事事件の解決実績が豊富なベリーベスト法律事務所にお任せください。裁判官への主張や示談交渉などの活動を通じて早期の保釈に向けてサポートするとともに、刑事裁判での対応にも力を尽くします。

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監修者
萩原 達也
弁護士会:
第一東京弁護士会
登録番号:
29985

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
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※本コラムは公開日当時の内容です。
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