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弁護士コラム

2021年03月15日
  • その他
  • 懲役とは

懲役とは具体的にどのような刑罰? 懲役刑を言い渡されたらどうなる?

懲役とは具体的にどのような刑罰? 懲役刑を言い渡されたらどうなる?
懲役とは具体的にどのような刑罰? 懲役刑を言い渡されたらどうなる?

令和元(平成31)年の司法統計によると、刑事事件を起こして全国の地方裁判所と簡易裁判所における第一審で「懲役刑」の判決を受けた人の数は、1年間で4万2702人でした。
懲役刑といえば、一般的には「刑務所に収監される」というイメージがある刑罰ですが、期限の定めによる区別があったり、刑務所に収監されなかったりする場合もあります。

本コラムでは、刑罰のひとつである「懲役刑」について、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、懲役刑とは

まずは「懲役刑」がどのような刑罰なのかを確認していきましょう。

  1. (1)わが国における刑罰の種類

    わが国における刑罰は、刑法第9条に定められています。
    まず「主刑」として、死刑・懲役・禁錮・罰金・拘留・科料が定められており、これに加えて科すことのできる「付加刑」として没収が存在しています。

    主刑となる刑罰は、その性質によってさらに「自由刑」と「財産刑」に区別されます。

    • 自由刑……懲役・禁錮・拘留
    • 財産刑……罰金・科料


    死刑は「生命刑」と呼ばれるもっとも重い刑罰です。
    死刑以外は、懲役>禁錮>罰金>拘留>科料の順で刑罰の重さが評価されます。

  2. (2)懲役刑が「自由刑」と呼ばれる理由

    懲役刑は刑罰の性質から自由刑に分類されます。自由刑とは、受刑者から身体の自由を奪うことを刑罰とするものです。

    日本国憲法では、第11条から第13条で国民の人権保障を定めています。誰もが自由な生活を保障されているなか、刑務所という閉鎖的な施設に拘束し、社会から隔離することは、国民としての自由権を強く制限されているといえるでしょう。

    懲役刑は、まさに国民としての自由権を著しく制限する刑罰であるため、自由刑に分類されているのです。

  3. (3)懲役の目的|隔離・抑止・矯正

    懲役刑には3つの目的と役割があります。

    ●隔離
    犯罪者を刑務所に隔離することで、社会の安全を維持・向上させます。

    ●抑止
    国民としての自由権が制限されることを快く感じる人はいません。「罪を犯せば刑務所に収監される」という意識を広く浸透させることで、新たな犯罪を抑止します。

    ●矯正
    刑務所内において、規律を順守し、労働に励む日々を送ることで矯正を施し、社会に復帰した際の再犯防止に効果を発揮することが期待できます。
  4. (4)有期懲役と無期懲役

    懲役刑は、刑法第12条1項の規定を根拠としています。

    【刑法第12条1項】
    懲役は、無期および有期とし、有期懲役は一月以上二十年以下とする。


    懲役刑には「有期」と「無期」が規定されています。

    有期懲役とは、期限が定められた懲役刑です。刑法第12条1項に明示されているとおり、最短で1か月、最長20年の範囲内で刑務所に収監され、満期を迎えれば釈放されます。

    一方の無期懲役は、その名のとおり刑期が定められていません。有期懲役の上限が20年であることに照らすと、実質的には20年以上の長期にわたって刑務所に収監されると考えておけばよいでしょう
    ただし、期限の定めがないだけで、収監されたが最後、生涯にわたって釈放されないという意味ではありません。生涯にわたって釈放されない自由刑を「終身刑」といいますが、わが国の刑罰制度には終身刑はありません。つまり、自由刑のなかでもっとも重いのは無期懲役となります

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2、懲役と執行猶予

懲役刑が下されるとき、同時に言い渡されることがあるのが「執行猶予」です。執行猶予の意味や効果を確認しておきましょう。

  1. (1)執行猶予とは

    執行猶予とは、刑罰の執行を一定期間に限って猶予する制度です。猶予を与えられている期間は刑罰が執行されないため、懲役刑を言い渡されても執行猶予が付されていれば刑務所には収監されません。

    懲役刑の言い渡しを受けながらも、自由を大きく奪われることなく社会生活をとおして更生を目指すことになるため、家族と離ればなれになることはなく、会社や学校に通い続けることも可能です。

  2. (2)執行猶予の効果|全部執行猶予

    言い渡された懲役刑のすべてについて執行を猶予することを、「全部執行猶予」といいます。全部執行猶予を受けた場合、執行猶予の期間を満了すれば刑務所に収監されることはありません。

    令和元年の司法統計によると、第一審で懲役刑を言い渡された4万2702人のうち、2万5715人が全部執行猶予となっています。

  3. (3)執行猶予の効果|一部執行猶予

    「一部執行猶予」は、平成28年6月に施行された比較的に新しい制度です。一部執行猶予では、文字通り刑罰の一部に限って執行が猶予されます。

    たとえば「懲役2年のうち、6か月の執行を2年間猶予する」といった場合、まず猶予されなかった1年6か月の懲役が執行されます。1年6か月の懲役刑が満了すると刑務所から釈放され、残り6か月の刑期に対する2年間の執行猶予がスタートします。

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3、懲役刑と禁錮刑の違い

自由刑には、軽重の序列としては懲役の次に重たい刑罰として「禁錮」が設けられています。自由が大幅に制限されるという意味では懲役刑との差は大きくありませんが、いくつかの相違点もあるので、ここで確認しておきましょう。

  1. (1)禁錮刑とは

    禁錮刑とは、懲役刑と同じく刑務所に収監される刑罰です。
    刑法第13条を根拠とし、無期・有期があり、有期の場合は1か月以上20年以下が範囲です。禁錮刑は刑務所内の独房に拘置される刑罰で、刑務作業を課せられないという点が大きな特徴です。

    禁錮刑に処された受刑者は、刑務官の監視を受けながら独房で生活を送ることになるため、考え方次第では懲役刑と同等、またはそれ以上の精神的な苦痛を伴う刑罰だといわれています。

  2. (2)懲役刑との違い

    禁錮刑と懲役刑の違いでもっとも特徴的なのが「刑務作業の有無」です。禁錮刑では、刑務作業に従事する必要はありません。ただし、受刑者自身が希望すれば軽作業への従事は認められています。

    また、懲役刑の受刑者は複数名が同部屋で生活することになりますが、禁錮刑では独房での生活を強いられます。話し相手もいないので、肉体的な自由を奪われていることよりも精神的な面で苦痛を強く感じる受刑者も少なくありません。

    なお、禁錮刑にも懲役刑と同じように無期の定めがありますが、過去に「無期禁錮」が言い渡された事例は存在していません。

  3. (3)禁錮刑が規定されている犯罪

    刑法において、禁錮刑が規定されている犯罪には、次のようなものがあります。

    • 内乱罪(第77条)
    • 公務執行妨害罪(第95条)
    • 騒乱罪(第106条)
    • 業務上失火罪(第117条の2)
    • 業務上過失往来危険罪(第129条2項)
    • 虚偽診断書等作成罪(第160条)・同行使罪(第161条)
    • 公務員職権濫用罪(第193条)
    • 自殺関与罪・同意殺人罪(第202条)
    • 業務上過失致死傷等罪(第211条)
    • 名誉毀損(きそん)罪(第230条)
    • 信書隠匿罪(第263条) など


    このほかにも、「公職選挙法」や「政治資金規正法」などの耳なじみがあるものや、「日本国憲法の改正手続に関する法律」といった法律において、禁錮刑が規定されている罪があります。

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4、無期懲役と終身刑の違い

「無期懲役」については、生涯にわたって刑務所で生活することになり、死亡するまで出所できない刑罰だという誤解をもっている人も少なくありません。死亡するまで出所できない、つまり今後の生涯すべての時間を刑務所で過ごすことになる刑罰を「終身刑」といい、無期懲役とは区別されています。

  1. (1)終身刑とは

    終身刑とは、刑務所に収監される期間が「終身」にわたる刑罰です。現在のわが国の法制度では、終身刑は存在しません

    諸外国の終身刑制度をみると、一切の釈放の可能性が廃除されている「絶対的終身刑」を設けている国と、刑期を終身としながらも仮釈放の可能性を認めている「相対的終身刑」を設けている国があります。

    アメリカ(一部の州を除く)など、絶対的終身刑が採用されている国もあります。絶対的終身刑を採用している背景には、死刑の撤廃にあわせて新たに導入しているケースが多いようです。ただし、採用している国でも減刑・恩赦によって仮釈放を受ける可能性を認めている場合があります。

    終身刑を採用している国の多くは、相対的終身刑を採用しています。刑期を終身としながらも、国によって10~25年程度で仮釈放を受ける可能性が認められています。

  2. (2)無期懲役と終身刑の違い

    日本の無期懲役と海外の終身刑の違いは、刑期が「定められていない」のか、それとも「終身」なのかという点です。

    無期懲役には刑期の定めがないうえに、有期懲役の上限よりも短くなることはないと考えれば、最低でも20年以上は刑務所に収監されると考えられるので、刑務所で生涯を閉じてしまう受刑者も少なからず存在するでしょう。
    ただし、刑法第28条の規定によると、無期懲役の受刑者であっても、10年を経過すれば仮釈放の対象となります。これは、海外の相対的終身刑と近い運用ともいえるので、日本における無期懲役と終身刑の間に実質的な大差はないといえます。

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5、懲役刑と死刑の判断基準とは?

懲役刑とともに「死刑」が規定されている犯罪では、厳しく処断されて死刑となるのか、それとも懲役刑で済まされるのかは大きな問題です。最高刑である死刑と懲役刑のどちらを下すのが適切なのかは、さまざまな要素から総合的に、かつ慎重に判断されます

これまでに死刑の適否が争われた事例を読み解くと、次の点が判断に影響を与える材料になると考えられるでしょう。

  1. (1)殺害した人数

    死刑が規定されている犯罪は、殺人罪や強盗致死罪などのように故意の犯罪行為によって人を死亡させるもののほか、内乱罪や航空機強取等致死罪など、多数の人の生命を奪うものばかりです。

    犯罪によって死に至らしめた人数が多数になればなるほど、死刑が下されるおそれが高まります。一方で、殺害した人数が1人だったような事件では、そのほかの事情などから総合的に勘案して、死刑が選択されにくい傾向があります。

    ただし「1人の場合は死刑を下さない」あるいは「◯人以上を殺害すれば死刑」といった明確な基準はありません。あくまでも裁判官・裁判員が判断する材料のひとつであると考えておくべきです。

  2. (2)殺害の動機や態様、事件の背景など

    なぜ人の生命を奪う選択をしたのか、相手との間にどのような関係があったのか、どのような方法で殺害したのかといった事情も死刑・懲役を判断する材料になります。
    身勝手な犯行である、残虐な方法で恐怖を与えて殺害したといった場合は死刑に傾きやすく、決して許されるわけではないが酌むべき事情があったと認められれば、懲役刑に傾きやすくなると考えられます。

  3. (3)更生の余地の有無

    逮捕後の取り調べの対応や公判における態度などから、本人の反省度合いや更生の可能性が判断されます。
    ただし、いくら反省の言葉を口にして真摯(しんし)な態度を見せていても、以前に粗暴犯罪を起こした経歴があるなど、前科・前歴があれば更生が期待できないとして死刑が選択されることも否定できません。

  4. (4)遺族の被害感情や社会的影響

    殺害された被害者の遺族が厳しい処罰を望んでおり、被害者が亡くなったことで生じる遺族の精神的苦痛や経済的な困窮が強ければ、死刑が選択される可能性が高まります。
    また、世間の注目を集める事件では、その結果が社会に与える影響も考慮されるでしょう。犯罪予防の立場からも、厳しく処断すべきだと判断されれば死刑が下されるおそれが高くなると考えておくべきです。

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6、懲役刑が科される犯罪

懲役刑が設けられている犯罪を、無期・有期にわけてみていきましょう。

  1. (1)無期懲役が規定されている犯罪

    無期懲役は、自由刑のなかでもっとも重い刑罰です。犯行の結果が重大で、悪質であると判断されやすいものに規定されています。

    刑法で無期懲役が規定されている犯罪には、次のようなものがあげられます。

    • 現住建造物等放火罪(第108条)
    • 強制わいせつ等致死傷罪(第181条1項)
    • 強制性交等致死傷罪(第181条2項)
    • 殺人罪(第199条)
    • 強盗致死傷罪(第240条)
    • 強盗・強制性交等及び同致死罪(第241条3項)
    • 身代金目的略取等罪(第225条の2) など
  2. (2)有期懲役が規定されている犯罪

    有期懲役が規定されている犯罪は、刑法の条文で次のように明示されています。

    「◯年以上の有期懲役」
    「◯年以下の懲役」
    「◯年以上◯年以下の懲役」

    一般的によく知られている次のような犯罪に、有期懲役が規定されています。

    • 傷害罪(第204条)
    • 暴行罪(第208条)
    • 脅迫罪(第222条)
    • 名誉毀損(きそん)罪(第230条)
    • 窃盗罪(第235条)
    • 詐欺罪(第246条)
    • 恐喝罪(第249条)
    • 横領罪(第252条)
    • 業務上横領罪(第253条) など
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7、執行猶予つき判決を得るために必要な要件

前述したように、刑事裁判で懲役刑の判決が言い渡された場合でも、執行猶予が付されると一定期間に限って懲役の執行が猶予されます。
ただし、すべての刑罰について、執行猶予が付される可能性があるわけではありません。執行猶予が付されるためには、刑法第25条の規定に従い、次の要件を満たしている必要があります。

  • 言い渡しを受けた刑罰が3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金である
  • 以前に禁錮以上の刑罰を受けたことがない
  • 以前に禁錮以上の刑罰を受け、刑の執行が終わった日、または執行の免除を得た日から5年以内に禁錮以上の刑罰を受けていない


なお、これらはあくまでも法的な要件であり、要件を満たしているだけで執行猶予が付されるわけではありません。
法的な要件を満たしたうえで、次のような要素も判断基準となります。

  • 被害の程度や犯行の態様
  • 被害者との示談成立の有無
  • 反省の有無
  • 更生の余地の有無 など


刑法第25条では、「執行を猶予することができる」と明示しているため、最終的には裁判官の判断次第で、執行猶予を付するか、付さないかが決定されることになります。

なお、執行猶予つきの判決を獲得するのは、個人の力だけでは難しいことが多いため、弁護士のサポートが必須といえるでしょう

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8、懲役中の生活

「刑務所に収監される」と聞くと、映画などに登場するような監獄に閉じ込められてしまい、看守から拷問を受けるなどの仕打ちを受けるのでは……と誤解する方がいるかもしれません。
では、懲役刑を言い渡されて刑務所に収監されると、どのような生活を送ることになるのでしょうか?

  1. (1)規則正しい生活を送る

    刑務所内では、1日のすべてをスケジュールにそって規則正しく生活します。起床は午前6時台、就寝は午後9時台なので、早寝・早起きの生活を徹底されるでしょう。
    また、食事は栄養価のバランスが整った、朝食・昼食・夕食の3食が提供されます。夕食後から就寝までは自由時間で、読書をしたり、手紙を書いたりして過ごすことができます。

  2. (2)刑務作業の概要

    懲役刑では、矯正指導をおこなう時間と合算して、1日につき8時間程度の刑務作業に従事することになります。刑務作業の種類は、次の4つです。

    ●生産作業
    物品の製作や労務を提供する作業です。
    国や一般企業、個人からの発注を受け生産するケースと、矯正協会刑務作業協力事業部からの原材料提供によって生産するケースがあります。各地の刑務所によって生産する製品はさまざまで、たんすや畳などのほか、地方の特産品や子ども用のおもちゃを生産している刑務所もあります。

    ●社会貢献作業
    労務提供の作業で、受刑者が社会貢献を実感できる作業内容が選別されています。作業内容としては、通学路の除雪作業や植生保全のための除草作業などです。
    令和2年度には、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い不足した、感染予防用のアイソレーションガウンを製作したそうです。

    ●職業訓練
    出所後の就労にむけて、職業に関する免許・資格・知識・技能を習得させます。溶接や建設、フォークリフト運転、自動車整備、介護福祉など、さまざまな技能を習得することで、社会復帰の足がかりを築くのが目的です。

    ●自営作業
    炊事・洗濯・建物の修繕・畳替えなど、刑務所内の生活に必要な作業をおこないます。

    なお、これら4つの刑務作業に加えて、一定の要件を満たしている受刑者が職員の同行なしで外部の事業所に通勤して労務を提供する「外部通勤作業」もあります。

  3. (3)作業報奨金が得られる

    刑務作業に従事すると「作業報奨金」が支給されます。原則として釈放の際に本人に支給されますが、刑務所内での物品購入や家族の生計援助にあてることも可能です。法務省が公開している資料によると、受刑者1人あたりの月額の平均支給額は4000円程度で、作業内容や年数などによって上下します。

    なお、受刑者の刑務作業によって生じた利益は、すべて国庫に帰属します。平成30年度の全国の収入額は約38億円でした。

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9、懲役期間中に面会はできるのか?

懲役刑を受けて刑務所に収監された場合、家族などとの面会が可能なのかは気になるところでしょう。

  1. (1)手続きをとれば面会は可能

    受刑者と一定の関係にある人からの申し出がある場合は、原則として面会が認められます。面会が認められるのは、受刑者の親族、婚姻関係の調整や事業の維持など重大な利害にかかる用務のために面会が必要である人、更生保護に関係がある、または改善更生に資すると認められる人です。
    これらの要件に合致しない場合でも、交友関係の維持や面会を必要とする事情がある場合は面会が認められる可能性があります。

    面会の際には、身分を明らかにするための証明書の提示を求められるほか、面会の目的や受刑者との関係などを詳しく説明しなくてはなりません。

  2. (2)面会の回数

    面会の回数は、受刑者が指定されている優遇区分によって異なります。

    • 第1類……毎月7回以上で刑務所が定める回数
    • 第2類……毎月5回以上で刑務所が定める回数
    • 第3類……毎月3回以上で刑務所が定める回数
    • 第4類・第5類……毎月2回以上で刑務所が定める回数


    刑務所内での生活が模範的であるなど一定の評価を得ている場合は、月々の回数が増えて、家族などとの面会の機会がより多くなるわけです。

  3. (3)面会時は差し入れも可能

    面会の際には、受刑者に対する差し入れも認められています。現金・日用品・書籍などの差し入れが可能ですが、食料品の差し入れはできません。
    日用品の場合は品目や規格、一度に差し入れができる数量などに制限があります。保管できる物品の量を超えると受刑者自身に廃棄処分を求めることがあるので、面会の機会や手紙を通じてあらかじめ相談したうえで差し入れをするほうがよいでしょう。

    なお、差し入れは原則として誰でも可能です。ただし、親族以外の人が差し入れをする場合は、受刑者との関係を刑務所側が確認したうえで制限を受けることがあります。また受刑者に直接渡すことはできないため、刑務所の窓口で申し込む必要があります。

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10、懲役刑を回避するなら弁護士に相談

懲役刑が下されてしまうと、刑務所での規律正しく厳しい生活を強いられることになります。家族とも離ればなれになり、一般社会から隔離されてしまうため、懲役刑が下されてしまう事態はできる限り回避したいと考えるのも当然でしょう。

懲役刑の回避を目指すのであれば、弁護士のサポートを得ることが得策といえます。

  1. (1)逮捕直後の接見が可能

    刑事事件を起こして警察に逮捕されると、逮捕直後から勾留が決定するまでの72時間以内は家族であっても面会は認められません。この期間において逮捕された本人と面会できるのは、接見交通権をもつ弁護士だけです。

    弁護士による接見は、回数・時間などの制限がなく、警察官の立ち会いもありません。逮捕の状況や犯罪の事実を確認したうえで、取り調べに際しての適切なアドバイスが得られます。特に、逮捕直後の取り調べにおける供述内容は信用性が高いと判断されやすいため、逮捕直後から弁護士のアドバイスを受けてれば適切な対応策を講じることができるでしょう

  2. (2)被害者との示談成立が期待できる

    被害者が存在する事件では、弁護士に被害者との示談交渉を一任することができます。示談が成立し被害届や告訴が取り下げられると、早期釈放や不起訴処分の獲得にも大きく影響するでしょう。

  3. (3)執行猶予の獲得が期待できる

    検察官の起訴が避けられず、刑事裁判に発展するおそれが高いケースでは、特に弁護士の存在が重要な意味をもちます。弁護士は、本人に深い反省があることや、更生にむけて家族のサポートが得られるといった、有利となる事情や情報を提示し減刑を求めます。これらの活動は弁護士にしかできません。

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11、まとめ

懲役刑が言い渡されて刑務所に収監されると、厳しい規律のもとで更生と社会復帰を目指した生活を送ることになります。短くても数か月、長ければ数年・数十年にわたって社会から隔離されてしまうため、懲役刑が規定されている罪を犯してしまった場合は、不起訴処分・執行猶予の獲得を目指すことが重要です

ベリーベスト法律事務所には刑事事件専門のチームがあるので、迅速かつ適切なサポートが可能です。刑事事件を起こしてしまった方だけではなく、ご家族からのご相談も受け付けています。数多くの刑事事件を解決してきた弁護士が全力でサポートしますので、ぜひご相談ください。

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監修者
萩原 達也
弁護士会:
第一東京弁護士会
登録番号:
29985

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
当事務所では、元検事を中心とした刑事専門チームを組成しております。財産事件、性犯罪事件、暴力事件、少年事件など、刑事事件でお困りの場合はぜひご相談ください。

※本コラムは公開日当時の内容です。
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