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弁護士コラム

2021年07月29日
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警察から電話がきたらどうなる? 逮捕されるケースとその対応方法とは

警察から電話がきたらどうなる? 逮捕されるケースとその対応方法とは
警察から電話がきたらどうなる? 逮捕されるケースとその対応方法とは

ある日突然警察から電話があれば、心臓が跳ね上がる思いをするかもしれません。家族が事故や犯罪に巻き込まれたのかなど、多くの不安が頭をよぎることでしょう。しかし警察から電話がくるのは捜査協力の依頼や落とし物の連絡などさまざまなパターンがあるため、過度に心配する必要はありません。

一方で、事件を起こした心当たりがある人は、警察からの電話に適切に対応しなければ、不当に重い罪を科されるなどのおそれがあります。任意の呼び出しに応じない場合、どのような影響が想定されるのでしょうか?

本コラムでは、警察から電話がくる理由や電話で呼び出された場合の対応方法、逮捕されるケースや取り調べ後の流れなどについて解説します。

1、警察から電話がくる理由

警察から電話がくると、身に覚えがなくても「何らかの事件の犯人として疑われているのでは?」などと不安になるものです。しかし、必ずしも事件の被疑者として連絡が入るわけではありません。

  1. (1)警察から電話がくるのはどんなケース?

    警察から電話がくるケースはさまざまです。たとえば次のようなケースが考えられるでしょう。

    • 家族が事件の被害者になった
    • 家族が事件の被疑者として逮捕された
    • 知人が起こした事件について何らかの情報を持っている
    • 事件の目撃者になった
    • 自分の落とし物が警察署に届けられた
    • 知らない間に盗撮の被害者になっていた など


    もちろん、事件の被疑者として扱われ、電話がくる場合もあります。電話で出頭を要請された段階では任意捜査ですが、安易に拒否すると後日に逮捕状を請求され、逮捕されるおそれがあります。日程の調整に応じてもらえる場合があるので、出頭要請には応じるのが賢明です。

  2. (2)詐欺の場合もあるので注意

    警察官を装った詐欺の場合もあります。千葉県警察では警察官を名乗る詐欺電話の音声を公開しており、たとえば次のような詐欺電話が実際にあったようです。

    • 「犯人を逮捕したら所持品の中に名簿があり、あなたの名前が載っていた」
    • 「あなたのキャッシュカードが偽造されている」
    • 「詐欺グループを逮捕したらあなたの個人情報を持っていた」 など


    このような電話があったらうのみにせず、本当に相手が警察かどうかを確認しましょう。警察署の名前と担当部署を聞いて電話を切り、電話番号を調べてからかけ直す、着信があった電話番号をインターネットで検索するなどの方法があります。

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2、呼び出しに応じなかった場合

警察から電話がかかってきても呼び出しに応じなかった場合は、どのような影響が想定されるのでしょうか?

  1. (1)被疑者としての呼び出しに応じなかった場合

    犯罪の被疑者としてされていても、必ずしも逮捕されるというわけではありません。逮捕されずに捜査が進められることを在宅事件といいます。

    自宅で社会生活を送りつつ、警察から呼び出しがあれば、その都度取り調べを受けますが、この場合の呼び出しは任意なので拒否できます。

    しかし警察は諦めずに何度も電話をかけてくるでしょう。再三の呼び出しにも応じなければ、逃亡や証拠隠滅のおそれありと判断され、逮捕される危険が生じます。犯罪の心当たりがあるのなら、任意であっても応じるべきだと考えられます。

    なお、すでに逮捕されている場合は、そもそも呼び出しに応じないということはできません。警察の取り調べは拒否できないので素直に応じるしかないでしょう。ただし、黙秘権は認められているので、言いたくないことは言わなくても構いません

  2. (2)参考人としての呼び出しに応じなかった場合

    目撃者や被疑者の知人、事件に関する専門的知識を持っている人など、捜査機関が事件の情報を提供してほしいと考えている人を参考人と呼びます。参考人も警察から呼び出されて話を聞かれる場合がありますが、呼び出しは任意なので拒否できます。応じなかったからといって何かの罰を受けることはありません

    もっとも、地域の安全のためにも捜査に協力するほうが望ましいのはいうまでもないでしょう。指定の期日に応じるのが無理でも日程の調整はある程度応じてもらえるので、警察から電話があったときに相談してみてください。

  3. (3)身元引受人としての呼び出しに応じなかった場合

    家族が被疑者として警察に身柄を確保されたケースでは、身元引受人として呼び出される可能性があります。

    身元引受人になるかどうかは任意なので、呼び出しに応じないことは可能です。しかしほかに適切な身元引受人がいなければ、家族が身柄拘束を受ける期間が長引くおそれが高まってしまいます。

    反対に、身元引受人としての呼び出しに応じれば、逃亡や証拠隠滅のおそれがないとして、家族の身柄が解放される可能性が生じます。

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3、取り調べの流れ

被疑者として警察からの呼び出しに応じると、取り調べが行われます。取り調べを受けた後は、自宅へ帰されることなくそのまま逮捕されてしまうのでしょうか?

取り調べから刑事裁判まではどのような流れで手続きが進められるのでしょうか?

  1. (1)取り調べに応じると逮捕されてしまうのか?

    取り調べに応じた後に逮捕されるかどうかは、取り調べの内容や、逃亡または証拠隠滅のおそれがあるかどうかで変わります。

    取り調べで重大な事実を自白したような場合には、そのまま逮捕されてしまうおそれがあります。

    一方で、電話での呼び出しに素直に応じたことが逃亡や証拠隠滅のおそれはないと評価され、引き続き在宅のまま捜査が進められる可能性もあるでしょう。

  2. (2)逮捕された場合の流れ

    取り調べの後に逮捕された場合は、逮捕後48時間以内に検察へ送致されます。さらに検察官からも取り調べを受け、留置の必要があると判断された場合には、検察官は裁判官に対し、送致から24時間以内に勾留請求がなされます。

    この勾留請求を受けた裁判官が勾留を認めると原則10日間、延長でさらに10日間、合計で最長20日間の身柄拘束を受けます

    勾留が満期を迎えるまでに、検察は起訴または不起訴を判断します。起訴された場合は刑事裁判を待つ立場となり、不起訴になれば身柄を釈放されます。

  3. (3)逮捕されなかった場合の流れ

    取り調べの後に逮捕されなかった場合は、そのまま自宅へ帰されます。しかし、これで捜査が終了するとは限りません。取り調べの回数には制限はないため、後日に再度呼び出される場合があります。次回に再度の取り調べがある旨を告げられる場合もあるでしょう。

    在宅捜査の場合は、逮捕された場合のように起訴・不起訴が決定するまでの期限が定められていないため、捜査が終わるまで何度も呼び出しを受けるケースも想定されます
    また、期限がなくても検察官は最終的には起訴・不起訴を決定するので、起訴された場合は刑事裁判を受けることになります。

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4、刑事事件で逮捕されるケース

ここで、そもそも逮捕はどのような場合になされるのかを確認しておきましょう。

逮捕には主に通常逮捕と緊急逮捕、現行犯逮捕の3種類があります。

● 通常逮捕
通常逮捕とは、裁判官が発付する逮捕状にもとづく逮捕のことです。通常逮捕されるのは、「被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」(刑事訴訟法第199条)があり、かつ「逮捕の必要」がある場合です。たとえば客観的な証拠があるのに警察からの呼び出しを拒否し続けているようなケースでは、通常逮捕されるおそれがあります。

● 緊急逮捕
緊急逮捕とは、死刑または無期もしくは「長期三年以上の懲役若しくは禁錮にあたる罪を犯したことを疑うに足りる充分な理由」(刑事訴訟法第210条)があり、逮捕状を請求する時間がない場合の逮捕です。

逮捕の時点では逮捕状はありませんが、逮捕後直ちに逮捕状が請求されます。

● 現行犯逮捕
現行犯逮捕されるのは、「現に罪を行い、又は現に罪を行い終わった者」(刑事訴訟法212条1項)である場合です。現行犯の場合は犯人を取り違えるおそれが小さいため、逮捕状がなくても逮捕が認められています。警察から電話で呼び出された場合は犯行と時間的・場所的接着性がないので、現行犯逮捕されることは考えにくいでしょう。

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5、取り調べでの注意点、弁護士への相談は必要?

取り調べを受けるときにどんな点に気をつければよいのか、取り調べ前に弁護士へ相談する必要はあるのかについて解説します。

  1. (1)取り調べにおける注意点

    取り調べで供述した内容は供述調書としてまとめられ、後の裁判で証拠として扱われる可能性があります。取り調べで何を供述するのかは極めて重要なことだと心得ておき、慎重に発言するように注意しましょう。記憶が曖昧な場合や何を供述すればよいのか分からない場合など、黙秘権を行使したほうがよい場合もあります。

    また、いったん署名押印した供述調書の内容を後で覆すのは困難です。取調官から署名押印を求められたら内容をよく確認してください。供述調書は取調官が作成しますが、供述内容を整理してまとめ書きするものなので、供述の一言一句がそのまま記載されるわけではありません。

    自分が知る事実と少しでもニュアンスが違えば後の処分に悪影響を与えるおそれがあるため、内容の訂正を求めるか、署名押印を拒否するようにしましょう。

  2. (2)弁護士へ相談しておくべきケース

    犯罪行為に身に覚えがある人は弁護士へ相談しておくべきです。取り調べの注意点や供述内容が与える影響などを把握したうえで取り調べに臨むことができ、不利な供述調書を作成されずに済みます。

    また、長時間にわたり取り調べが続く場合や、威圧的な取り調べを受けている場合などには弁護士が抗議することもでき、警察からのプレッシャーによる不用意な供述を避けられる可能性があります。供述の様子を録音するなど自分で対策しようとするとトラブルのもとなので、不安があれば、先に弁護士へ相談してください。

    また、弁護士が捜査機関に対して逃亡・証拠隠滅のおそれがないことを客観的に示せば、逮捕を回避できる可能性が高まります。

    ほかに、えん罪だが犯行を疑われている人も弁護士のサポートを受け、犯人ではないと立証してもらうことが大切です。犯人であることを前提に厳しく取り調べられ、やってもいないことを認めてしまうおそれもあるため、取り調べの対応についてもアドバイスを受けましょう。

  3. (3)弁護士への相談が不要なケース

    事件の目撃者や被疑者の友人、知人など参考人として取り調べを受ける場合は、弁護士へ相談する必要性は低いでしょう。知っていることをありのままに話す、というスタンスでいればよく、仮に勘違いで真実とは異なる供述をしてしまっても、それをもって罪になることはありません。しかし、意図的に記憶に反する事実を伝え、犯人を隠避するような場合には、罪にあたる場合がありますので注意してください。

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6、まとめ

警察から電話がくるケースはいくつものパターンが考えられるため、まずは慌てずに電話の目的を確認しましょう。犯罪に身に覚えがある場合は呼び出しに応じないと逮捕要件を満たして逮捕されるおそれがあるため、直ちに弁護士へ相談することをおすすめします。

警察からの電話で不安に感じている方は、刑事事件の解決実績が豊富なベリーベスト法律事務所へご相談ください。状況を見極め、適切なアドバイス・サポートを行います。

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本コラムを監修した弁護士
萩原 達也
ベリーベスト法律事務所
代表弁護士
弁護士会:
第一東京弁護士会

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※本コラムは公開日当時の内容です。
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