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弁護士コラム

2021年07月29日
  • その他
  • 業務上過失傷害

仕事中の事故は業務上過失傷害罪で逮捕されるのか。

仕事中の事故は業務上過失傷害罪で逮捕されるのか。
仕事中の事故は業務上過失傷害罪で逮捕されるのか。

建設現場や工場、医療現場などで業務を行う人が不注意で人に怪我を負わせてしまうと、「業務上過失傷害」の罪に問われる場合があります。傷害罪などのように、故意に人を傷付ける犯罪ではありませんが、業務上の地位にもとづく罪であることから重い刑罰が定められています。また自動車の運転をともなう業務に従事している場合は自動車運転死傷処罰法が定める過失運転致傷が適用されますが、刑罰に違いはあるのでしょうか?

本コラムでは、業務上過失傷害の成立要件を確認しながら、刑罰の内容や類似する犯罪について解説します。逮捕を回避できるケースや逮捕を回避するための有効な方法についても確認しましょう。

1、業務上過失傷害の成立要件

最初に、業務上過失傷害が成立するための要件を確認しましょう。

  1. (1)成立要件

    業務上過失傷害は、業務上必要な注意を怠ったために人を負傷させた場合に成立する罪です(刑法第211条1項前段)。

    業務とは、「人が社会生活上の地位に基づき反復継続して行う行為であって、かつ、その行為は他人の生命身体等に危害を加えるおそれのあるもの」(昭和33年4月18日最高裁判決より)をいいます。反復継続する意思があれば、最初の1回目の行為で人を負傷させてしまっても、業務上過失傷害が成立します。

    過失とは、危険を予見することができ、事故発生を防ぐ義務があったのに、必要な注意を怠ることをいいます。つまり故意はなく、不注意によって結果を生じさせてしまった場合が過失です。

  2. (2)業務上とみなされるケース

    たとえば次のような行為をしているときが業務上とみなされます。

    • 建設現場や工場などにおける作業
    • トラックや電車、航空機などの運転
    • 食品や医薬品の製造
    • 医師や看護師の医療行為
    • ホテルやビル、店舗の施設管理


    業務は職業として行われる仕事が典型ですが、収入を得る目的である必要はないため、一般にいう仕事よりも幅広い概念です。たとえば、営利目的のないNPO法人の活動なども業務とみなされます。

  3. (3)業務上過失傷害の刑罰

    社会生活上の地位に基づき人の生命や身体に危険を生じさせる行為を反復継続する者(業務者)には、高度の注意義務が課せられます。そのため業務上過失傷害の刑罰は「5年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金」と、非常に重く定められています。

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2、業務上過失傷害と類似する犯罪

業務上過失傷害と同じく「過失傷害の罪」に分類される犯罪があります。それぞれの犯罪の成立要件や刑罰の内容を見ていきましょう。

  1. (1)過失傷害

    過失傷害は、過失により、人を傷害した場合に成立する罪です(刑法第209条1項)
    たとえば、スマートフォンを操作しながら歩道を歩いていて、前から人が来るのに気づかずぶつかり、相手が転倒して怪我をしてしまったケースが該当するでしょう。

    業務上過失傷害との違いは、過失が業務上であるか否かです。過失傷害は業務上過失傷害ほどの高度の注意義務は要求されません

    刑罰は「30万円以下の罰金または科料」と比較的軽く定められており、略式起訴により処理され裁判が開かれないケースも多くあります。

  2. (2)過失致死

    過失致死は、過失により人を死亡させた場合に成立する罪です(刑法第210条)。

    業務上過失傷害とは、業務上の過失であるかどうか、また結果が死亡か負傷かという点が異なります。

    人の死亡という重大な結果を生じさせてしまう罪ですが、人を死亡させる故意がないため、刑罰は「50万円以下の罰金」と、罰金刑のみが定められています。刑務所に収監されることはありません。

  3. (3)重過失致死傷

    重過失致死傷は重大な過失により人を死亡または負傷させた場合に成立する罪です(刑法第211条後段)。
    重大な過失とは、注意義務違反の程度が著しい場合をいいます。

    たとえば放し飼いにしていた土佐犬が人を襲って死亡させたケース、耳にイヤホンをつけた状態でスマートフォンを操作しながら自転車を運転し、歩行者に衝突して死亡させたケースなどで重過失致死の罪に問われた事例があります。

    業務上過失傷害とは、業務上の過失か、重過失かどうかという点で違いがありますが、いずれも刑罰は同じ「5年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金」が適用されます。

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3、自動車運転事故と業務上過失傷害

業務の中でも、長距離トラックやタクシーの運転など、自動車の運転をともなう業務によって人を負傷させた場合は、業務上過失傷害ではなく、自動車運転死傷処罰法の「過失運転致傷」の罪で処罰されます

かつては、業務上の過失にもとづき自動車の運転事故を起こした場合には、刑法の業務上過失傷害が適用されていました。
しかし悪質・危険な運転による痛ましい交通事故が相次いで発生し、国民から厳罰化を望む声が多く寄せられたことなどを受け、政府は実態に即した罰則の強化を含む法改正を進めてきました。

平成19年6月には刑法に自動車運転過失致死傷の罪が創設され、罰則も業務上過失傷害の「5年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金」よりも重い「7年以下の懲役・禁錮または100万円以下の罰金」が規定されました。

さらに平成26年5月に「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」(略称:自動車運転死傷処罰法)が施行されたのにともない、自動車運転過失致死傷は刑法から削除され、自動車運転死傷処罰法第5条の「過失運転致傷」として処罰されることになったのです。

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4、被害者がいる刑事事件で逮捕されないのはどんなとき?

業務上必要な注意を怠り、人を負傷させてしまった場合は、刑事事件として扱われます。場合によっては逮捕されてしまうおそれもあるわけですが、どのようなケースであれば逮捕を回避できるのでしょうか?

  1. (1)示談が成立したとき、逮捕を回避できることがある

    被害者との示談が成立すると、逮捕を回避できることがあります

    示談が成立すると、被害者が被害届や告訴状を提出せず、そもそも事件化されない可能性があります。
    また事件化された後でも、被害届や告訴状の取り下げを含めて示談が成立すれば、警察も逮捕まではする必要がない、と判断する可能性があります。

    このような場合には、被害者の処罰感情が緩和されたとして、検察官が不起訴とする傾向もあります。

    特に、被害者の傷害の程度が軽いケースであれば、示談によって逮捕を回避できる可能性はあるでしょう。

    もっとも、示談が成立したからといって、必ず逮捕を回避できるわけではありません。被害者の傷害の程度が重い場合や加害者の過失の程度が著しい場合などには、示談が成立しても逮捕・起訴されるおそれがあります。

  2. (2)逮捕されるおそれのあるケース

    逮捕は、被疑者が罪を犯したと疑うに足りる相当な理由があり(逮捕の理由)、逃亡や証拠隠滅を図るおそれがある場合(逮捕の必要性)に実行される手続きです。

    業務上過失傷害事件であれば、自分の過失を認めず事件を否認している場合や、被害者の傷害の程度が重く、処罰感情も強いため量刑も重くなると予想される場合などには、逃亡や証拠隠滅を図るおそれがあるとして逮捕される危険が高まります。

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5、業務上過失傷害で逮捕されそうなときは、弁護士に相談を

業務上過失傷害で逮捕されそうな場合は、早急に弁護士へ相談しましょう。弁護士へ相談するべき理由を解説します。

  1. (1)示談交渉を依頼できる

    刑事事件の示談交渉は、被害者の処罰感情が高くて加害者からの交渉には応じてもらえない、示談しようにも被害者の連絡先が分からないといった難しさがあります。

    また逮捕を避けるには、示談書の中に被害者が処罰を望まない旨の文言を含めること、示談書を捜査機関に提示したうえで、逮捕せず事件の捜査が可能であると主張することなどが必要です。

    しかし、加害者やその家族が、これらの事情を踏まえて示談交渉を進めるのは困難でしょう。

    弁護士であれば、被害者の感情に十分な配慮をしながら示談を進めたり、捜査機関を通じて被害者の連絡先を入手したりすることが可能です。また逮捕の回避につなげるにはどんな内容の示談書を作成するべきかを把握しており、捜査機関に対しても適切な主張を行えます。

  2. (2)不起訴処分や執行猶予を目指せる

    業務上過失致傷は最大で5年の懲役が規定されている重罪です。何の行動も起こさなければ起訴され、実刑判決を受けるおそれがあります。そうなれば会社を解雇されるおそれが高く、社会生活から完全に隔離された生活を送るため、社会復帰も難しくなってしまうでしょう。

    そのため弁護士が不起訴処分や、起訴された場合でも執行猶予付き判決を目指して活動します。たとえば、被害者との示談交渉のほかに、検察官や裁判官に対して過失の度合いが低く被害結果も小さいことを主張する、同じ事故を起こさないための環境面の整備を行うといった活動があります。

    適切な弁護士活動によって検察官が不起訴処分を下せば前科を回避でき、裁判官が執行猶予付き判決を下せば直ちには刑務所に収監されず、社会生活を送りながら更生を図ることができます。

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6、まとめ

業務上過失傷害は、人の生命や身体に危険をおよぼすおそれがある業務に従事している場合に、不注意によって人を負傷させてしまう罪です。故意に人を傷付ける犯罪ではないですが、高度の注意義務があるにもかかわらず人の生命・身体に危険をおよぼす罪であることから、法定刑は重く定められています。

逮捕や起訴を回避したい、被害者と穏便に解決したいとお考えの方は弁護士のサポートが欠かせません。刑事事件の解決実績が豊富なベリーベスト法律事務所が力を尽くしますので、まずはご相談ください。

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監修者
萩原 達也
弁護士会:
第一東京弁護士会
登録番号:
29985

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