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弁護士コラム

2024年02月27日
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信書開封罪とは|家族や他人宛ての手紙を勝手に開封すると犯罪?

信書開封罪とは|家族や他人宛ての手紙を勝手に開封すると犯罪?
信書開封罪とは|家族や他人宛ての手紙を勝手に開封すると犯罪?

家族や他人宛ての郵便物や手紙などを本人の承諾なく勝手に開封すると、刑法が定める「信書開封罪」に問われるおそれがあります。家族同士であっても個人の秘密は保護されるべき対象になるからです。

ただし一律に罪になるわけではなく、開封することにつき正当な理由が認められれば罪には問われません。もっとも、正当な理由があるかどうかについては微妙なケースも少なくないため開封に当たっては注意が必要です。また信書開封罪は親告罪と呼ばれる犯罪なので、差出人や受取人などの告訴があって初めて刑事事件として扱われます。

家族や他人宛ての信書を勝手に開封してしまい、「自分は罪に問われるのだろうか?」と気になっている方もいるでしょう。またもし信書開封罪の疑いで逮捕されるとどのような刑罰を受ける可能性があるのでしょうか。

本コラムでは、信書開封罪の概要や成立要件、罪になるケース・ならないケースについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、信書開封罪とは

  1. (1)信書開封罪とは

    信書開封罪とは、正当な理由がないにもかかわらず、封がなされている信書を開封することで成立する犯罪です(刑法第133条)。個人の秘密を保護するために設けられた罪であり、秘密漏示罪とともに刑法に「秘密を侵す罪」として規定されています。たとえば他人宛てに送られてきた手紙を勝手に開封する行為は「1年以下の懲役または20万円以下の罰金」となる可能性があります。

  2. (2)信書開封罪の成立要件

    信書開封罪は次の要件を満たすことで成立します。

    ①封がされている信書を開封する
    封がなされている信書を開封することが必要です。「封をしてある」とは、封筒がのり付けされている、ステープラーやセロハンテープで留められているなど、信書の内容を見られないようにしていることを指します。

    封がされていない手紙を読んだ場合や、封筒の口をクリップで留める、ひもで結ぶなど簡単に開封できる状態にしてある場合は、封をしてあるとはいえないため、信書開封罪は成立しません。

    「開封する」とは、物理的に封を破り、信書の内容を閲覧可能な状態に置く行為を指します。たとえば封を切らずに光に透かして中身を見ようとしても、開封したことにはならないため、同罪にはあたりません。一方、開封行為それ自体が処罰の対象となるため、開封したが中身は読んでいない場合でも同罪は成立します

    ②正当な理由がないこと
    正当な理由がある場合とは、法令上、信書の開封が認められている場合をいいます。たとえば破産した人宛ての信書を破産管財人が開封する行為、捜査機関が犯罪捜査の必要性があって令状にもとづき被疑者宛ての郵便物を確認する行為などが該当します。

    ③故意があること
    信書開封罪は故意犯を処罰の対象としています。たとえば自分宛ての郵便物だと見間違えて開封してしまった場合は、故意がないので罪に問われることはありません。

  3. (3)信書開封罪は親告罪

    信書開封罪は親告罪です(刑法第135条)。親告罪とは、検察官が起訴するために告訴権者からの告訴を要する犯罪です

    つまり、差出人や信書を受け取った後の受取人などの告訴権者が告訴しない限り、起訴されることはなく、刑事裁判にかけられることもありません。親告罪である理由は、信書の存在が公になり秘密が人に知られることを、被害者が望んでいないケースに配慮したものと考えられています。

2、信書とは

信書開封罪における「信書」とはどのようなものを指すのでしょうか?具体例を交えて紹介します。

  1. (1)信書とは

    信書とは、特定の人から特定の人に差し出された、自分の意思を伝達する文書のことです。また郵便法で郵便事業者以外による配達が禁止される信書とは、「特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、または事実を通知する文書」と定義されています(第4条第2項)。もっとも、信書は一般に郵便物として配達されますが、必ずしも郵便物である必要はありません。郵便物に限らず、手渡しされた場合も含みます

    また、文書とは、文字や記号、符号など、人の知覚で認識できるものを用いてある程度永続すべき状態において情報が記載された紙などを指します。

  2. (2)特定の受取人とは

    「特定の受取人」とは、差出人がその意思や事実の通知を受け取ってほしいと指定した人のことです。自然人はもちろん、法人その他の団体も含むとされています。したがって、信書開封罪は、会社宛ての文書を、郵便物を部署別に仕分けする総務課のスタッフなど開封の権限がある人以外が開封した場合にも成立します。

    国や公共団体が特定の受取人にあたるのかについては争いがありますが、特定の人が国・公共団体に宛てた場合は個人的秘密を記載するケースが多いため、信書にあたるとする説が有力です。

  3. (3)信書に該当するもの

    たとえば次のようなものは、受取人に対して意思を表示し、または事実を通知するため、信書となります。

    • 書状
    • 請求書の類い(請求書、申込書、契約書など)
    • 会議招集通知の類い(結婚式の招待状など)
    • 許可証の類い(免許証、認定書など)
    • 証明書の類い(印鑑証明書、住民票など)
    など


    ダイレクトメールも、文書に受取人が書かれているなら信書に該当します

  4. (4)信書に該当しないもの

    以下のようなものは、特定の受取人ではなく広く一般に向けられた文書なので信書に該当しません。

    • 書籍の類い(新聞、雑誌、会報、研究論文など)
    • カタログ
    • 説明書の類い(取扱説明書、仕様書など)
    • 街頭で配ることや新聞に入れることを前提として作成されたチラシ、店頭配布を前提として作成されたパンフレット
    など


    また、以下のようなものも、意思の表示や事実を通知する文書ではないため、信書にあたりません。

    • 小切手の類い(手形、株券など)
    • プリペイドカードの類い(商品券、図書券など)
    • 乗車券の類い(航空券、定期券など)
    • クレジットカードの類い(キャッシュカード、ローンカードなど)
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3、信書開封罪にあたるケース

信書開封罪にあたる具体例を2つ紹介します。

  1. (1)家族に届いた手紙を開封した

    家族に届いた封がしてある手紙などを正当な理由なく開封すると、信書開封罪が成立します。夫婦間や親族間であっても通信の秘密が重視されているからです。たとえば自分の子どもに届いた、友人からの手紙を興味本位で開封する行為、妻宛てに届いた結婚式の招待状を夫が勝手に開封する行為などがこれにあたります。

    ただし、未成年の子ども宛ての信書を保護者が開封する行為は、親権の行使(民法第820条)の範囲で正当な理由があると認められます。つまり信書開封罪に該当しません。また夫宛てに届いた請求書を妻が開封する行為も、夫婦は生計を同一にすると考えられているため、正当な理由があると判断される場合があります

  2. (2)前の住人に届いた郵便物を開けた

    引っ越し直後などに前の住人に届いた郵便物を勝手に開封すれば信書開封罪が成立します。誤配達の場合は、最寄りの郵便局へ知らせるなど適切な措置をとらなければなりません。もっとも、自分宛ての郵便物だと誤解して開けた場合は、過失にとどまるため同罪は成立しません

4、信書開封罪にあたらないケース

信書開封罪にはあたらないケースを2つ確認しましょう。

  1. (1)家族に届いた電子メールを開いた

    家族の携帯電話やパソコンに届いた電子メールやオンラインのメッセージを見ても信書開封罪は成立しません。単なるデータにすぎず物理的に封ができない電子メールなどは信書には該当しないからです。

    ただし、無断でログインしてメールボックスを開き受信メールを閲覧するなどの行為は、不正アクセス禁止法違反にあたる可能性はあります

  2. (2)親からの遺言書を開封した

    遺言書は、遺言者が自分の意思を文書で書き残したものであって、特定の人から特定の人に対して意思を伝達する文書とは異なります。つまり信書開封罪における信書にはあたらず、遺言書を開封しても同罪は成立しません。

    ただし、遺言書は偽造や変造を防ぐために家庭裁判所で検認手続きをとる必要があるため、封をしてある遺言書を勝手に開封すると民法第1005条の規定により過料に処せられる場合があります

5、まとめ

信書開封罪は、正当な理由なく封をしてある信書を開けた場合に成立します。たとえ家族宛ての信書であっても通信の秘密は保護されることから、信書開封罪に該当してしまう場合があり注意が必要です。もっとも、信書開封罪は親告罪であるため、被害者との話し合いや示談など適切な対応をとることで刑事事件化を回避できる可能性があります。とはいえ、事案によっては当事者同士で示談交渉を行うことは困難なケースもあるため、弁護士に依頼するほうが安心です。

家族や他人宛ての信書を開けてしまい、告訴されそう・告訴されたなどでお困りであれば、刑事事件の解決実績が豊富なベリーベスト法律事務所へご相談ください。

監修者
萩原 達也
弁護士会:
第一東京弁護士会
登録番号:
29985

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※本コラムは公開日当時の内容です。
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