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迷惑防止条例違反で適用される刑罰とは? 違法になる行為を紹介
痴漢や盗撮をはじめとした破廉恥な行為やつきまといなどの迷惑行為は犯罪です。ニュースに目を向けると「テレビ局の社員が痴漢で逮捕」や「女子高生のスカートの中を盗撮して逮捕」といった見出しで大々的に報道されており、逮捕される可能性が高い行為であることがうかがえます。
痴漢・盗撮・つきまといなどの行為を罰する代表的な法律が「迷惑防止条例」です。本コラムでは、迷惑防止条例違反にあたる行為や刑罰について解説します。
1、迷惑防止条例とは
迷惑防止条例とは、公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為などを防止するために制定されている条例です。その目的は、住民生活の平穏を保持することとされています。
「条例」とは地方自治体が自治権にもとづいて制定する法規で、迷惑防止条例は全国の47都道府県すべてで設けられています。一部ですが、独自に本条例を制定している市町村も存在します。
正式名称は自治体によって異なりますが、おおむねが「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」や「迷惑行為等防止条例」とされています。
自治体によって異なるのは正式名称だけではありません。処罰の対象となる行為や罰則にも若干の差があるので、たとえば「A県では処罰されるがB県では処罰されない」といった状況が生じることもあります。
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2、迷惑防止条例違反に該当する行為
迷惑防止条例による処罰対象は、都道府県によって若干の違いがあるもののおおむね一致しています。迷惑防止条例違反に該当する代表的な行為を確認していきましょう。
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(1)痴漢
迷惑防止条例に違反する行為の最たる行為が「痴漢」です。痴漢行為が犯罪であることは多くの方が当然に知るところですが、実は「痴漢罪」といった名称の犯罪は存在しません。痴漢行為は、迷惑防止条例違反か、あるいは刑法第176条の強制わいせつ罪のいずれかによって処罰されます。
- 迷惑防止条例違反となるケース
公共の場所や公共の乗り物において、着衣の上から人の身体に触れるなどの卑猥な行為をした場合 - 強制わいせつ罪となるケース
場所を問わず、13歳以上の者に対して暴行・脅迫を用いてわいせつな行為をした場合、または暴行・脅迫を用いなくても13歳未満の者にわいせつな行為をした場合
たとえば、公園や電車内で衣服の上から胸・尻を触るといった行為は、迷惑防止条例違反となるおそれが高いでしょう。
一方で、衣服の中に手を入れて陰部や、尻等の性的部位を直接触る、無理やりキスをするといった行為は、行為そのものが暴行にあたり強制わいせつ罪が適用されます。 - 迷惑防止条例違反となるケース
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(2)盗撮
「盗撮」という用語には「被撮影者の同意を得ず隠れて撮影する」といった意味があります。たとえば、更衣室をカメラで撮影するのも、配偶者の不倫現場を隠れて撮影するのも、友人の寝顔をこっそりスマホで撮影するのも、すべて盗撮と呼ばれる行為です。
「盗撮は犯罪になる」という認識は社会に広まっていますが、盗撮行為のすべてが犯罪になるわけではありません。盗撮を処罰対象とする迷惑防止条例では、通常は衣服で隠されている下着や身体を写真機などで撮影する行為を盗撮と定義しています。
また、住居・トイレ・浴場・更衣室などのように「人が通常は衣服の全部または一部を着けない状態でいるような場所」や公共の乗り物・学校・事務所・タクシーなど「不特定または多数の者が利用し、または出入りする場所・乗り物」における盗撮のみが処罰対象です。自治体によっては、実際に撮影していなくてもカメラなどを設置する行為があっただけで処罰の対象となります。
盗撮を試みたが実際に盗撮行為をはたらく前に発見されて迷惑防止条例が適用できないといった場合でも「のぞき見」として軽犯罪法違反となるほか、盗撮目的での侵入行為について刑法の住居侵入罪・建造物侵入罪が適用されることもあります。いずれの場合でも、現場において被害者や目撃者、巡回中の警察官などに発見され、現行犯逮捕される危険が高いでしょう。
なお、映画などの盗撮は知的財産権を保護する著作権法違反となるため、迷惑防止条例は適用されません。 -
(3)つきまとい
「つきまとい」とは、特定の人物やその家族など密接な関係にある者を対象に、尾行・待ち伏せ・進路に立ちふさがるといった行為を指します。つきまとい行為を規制する代表的な法律は「ストーカー規制法」ですが、ストーカー規制法による処罰対象は、つきまとい行為が恋愛感情や恋愛感情が成就しないことに対する怨恨の感情に起因している場合に限定されます。迷惑防止条例では、そのほかの怨恨・ねたみ・いやがらせといった感情に起因したつきまといが処罰の対象です。
被害者がつきまとい行為について警察に被害届を提出し、捜査によってつきまとい行為が確認されれば、逮捕状にもとづいて通常逮捕されることになる可能性があります。 -
(4)そのほかの迷惑行為
迷惑防止条例は、粗暴行為や風紀を乱す行為も規制・処罰の対象としています。
- 公共の場所・乗り物において多数で群がり、周囲の人にいいがかりをつける「ぐれん隊行為」
- コンサートやスポーツの試合会場の周辺で入場チケットを通常価格より高値で転売する「ダフ屋行為」
- 飲食街で通行人を居酒屋やカラオケ店等へ誘う「客引き行為」
- ホステス・ホストとしての勤務を勧める「スカウト行為」
- 街頭や電柱・電話ボックスなどに性風俗店などのチラシを貼り付ける「ピンクビラ配布行為」
これらの行為は自治体によって扱いが異なることが多く、規制の有無や罰則にも差があります。大規模な飲食店街をもつ地域では客引き・スカウトといった行為を対象とした逮捕事例が多く、風俗営業に対する取締りにも活用されているケースが多数です。
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3、迷惑防止条例に違反した場合の刑罰
迷惑防止条例に違反し、刑事裁判で有罪判決を受けると、刑罰が科せられます。ここでは、痴漢・盗撮・つきまといに対する罰則を確認していきましょう。
自治体によって罰則に若干の差があるので、東京都・大阪府・北海道・福岡県の4都道府県における罰則を挙げていきます。
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(1)痴漢に対する罰則
痴漢行為に対する罰則は次のとおりです。
- 東京都・大阪府・北海道・福岡県
6か月以下の懲役または50万円以下の罰金
常習として違反した場合は1年以下の懲役または100万円以下の罰金
いずれの都道府県においても罰則は6か月以下の懲役または50万円以下の罰金で、常習と認められた場合は1年以下の懲役または100万円以下の罰金に加重されます。
- 東京都・大阪府・北海道・福岡県
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(2)盗撮に対する罰則
盗撮行為に対する罰則は次のとおりです。
- 東京都・大阪府
1年以下の懲役または100万円以下の罰金
常習として違反した場合は2年以下の懲役または100万円以下の罰金 - 北海道・福岡県
6か月以下の懲役または50万円以下の罰金
常習として違反した場合は1年以下の懲役または100万円以下の罰金
従来は公共の場所・乗り物における盗撮行為のみが処罰の対象で、学校や職場などにおける盗撮行為は規制されていませんでした。
そこで、さまざまな場所における盗撮行為を規制対象とするため、平成30年に東京都が規制場所の拡大を盛り込んだ改正を実施したことを皮切りに、全国で規制対象の拡大が進んでいます。あわせて罰則も強化されており、今後も全国的に改正がおこなわれていく見通しです。 - 東京都・大阪府
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(3)つきまといに対する罰則
つきまとい行為に対する罰則は次のとおりです。
- 東京都・大阪府・北海道
1年以下の懲役または100万円以下の罰金
常習として違反した場合は2年以下の懲役または100万円以下の罰金 - 福岡県
6か月以下の懲役または50万円以下の罰金
常習として違反した場合は1年以下の懲役または100万円以下の罰金
つきまとい行為も、盗撮と同じく規制対象の拡大と厳罰化が進んでいます。
全国的に改正が進む見通しなので、まだ改正が実施されていない地域でも自治体からの公報に注意しておくべきです。 - 東京都・大阪府・北海道
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(4)迷惑防止条例の時効
犯罪には「公訴時効」が存在します。刑事訴訟法第250条に規定に照らすと、痴漢・盗撮・つきまといの公訴時効はいずれも3年です。行為の日を起算点に3年が経過すると検察官は起訴できなくなるため、訴追される危険はなくなります。
ただし、捜査の対象となったうえで3年にわたって逃亡・潜伏するのは困難です。捜査対象になっているのかどうかもわからず、不安な状態で3年を過ごすのも想像を絶する苦痛となるため、これらの行為があった場合は公訴時効の成立に期待することなく解決策を講じたほうが賢明です。
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4、迷惑防止条例違反で逮捕された場合の流れ
痴漢・盗撮は現行犯逮捕される可能性の高い行為ですが、その場から逃げ切れても事後の捜査によって通常逮捕される危険もあります。
では、迷惑防止条例違反で逮捕されると、その後はどのような流れで刑事手続きが進んでいくのでしょうか?基本的な刑事手続きの流れについて、順を追って確認していきます。
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(1)逮捕による身柄拘束
被疑者として警察に逮捕されると、その時点でただちに身柄拘束を受けます。逮捕を告げられたその瞬間から自由な行動が制限されるため、会社への通勤途中でも、学校からの帰宅中でも、どんなに大切な要件の最中でも、警察署へと連行されてしまいます。電話・メール・チャットアプリなどによる連絡も許されないので、逮捕された被疑者本人から家族や職場などに「逮捕された」と連絡することも不可能です。
警察署に連行されると、逮捕事実に対する弁解録取や取り調べが実施されます。当日の取り調べが終わっても警察署の留置場や警察本部の留置管理センターなどへと収容されるため、帰宅することはできません。 -
(2)検察官への送致
警察による身柄拘束の期限は逮捕から48時間以内です。48時間が経過するまでに釈放されなかった場合は、検察官に身柄と捜査書類が引き継がれます。この手続きを「検察官送致」あるいは単に「送致」と呼びます。
犯罪の捜査は、第一次的には警察がおこないますが、被疑者を訴追する権限は検察官にしか与えられていません。 -
(3)勾留による身柄拘束
送致を受けた検察官は、自らも被疑者を取り調べて事実確認をします。検察官に与えられた制限時間は送致を受けた時点から24時間以内で、制限時間内に被疑者を起訴するか、釈放しなくてはなりません。
しかし、逮捕からわずか48時間が経過した時点では、取り調べが尽くされていないうえに証拠も不十分なので、検察官としても判断を下すのは困難です。そこで、検察官は裁判官に対して身柄拘束の延長を求めます。これを「勾留請求」といいます。
検察官が勾留を請求し、裁判官が勾留を許可すると、勾留状が発付されます。勾留状による身柄拘束の限界は初回で10日間までですが、延長によってさらに10日間までの勾留が可能です。つまり、勾留の上限は最長で20日間になります。 -
(4)準抗告による釈放の要求
裁判官が勾留を許可すると、被疑者の身柄は警察へと戻されます。以後、検察官による指揮のもとで警察が捜査を進めることになるので、ふたたび警察官による取り調べを受けながら、留置場での生活を余儀なくされてしまいます。逮捕から勾留満期までの期間は最長で23日間にわたり、仕事・学校・家庭と隔離されてしまうため、解雇・退学・離婚など社会生活への影響は避けられないでしょう。
社会生活への影響を最小限に抑える方策のひとつに、勾留決定の取り消しを求める「準抗告」があります。準抗告は裁判官などが下した処分に対する不服申立ての手続きであり、準抗告が認められれば処分の取り消し・変更が可能です。
勾留決定に対する準抗告が認められるには、被疑者に逃亡のおそれがないこと、すでに証拠が確保されており証拠隠滅の危険がないことといった要件を満たす必要があります。早期釈放が期待できるひとつの方法としておぼえておきましょう。 -
(5)起訴・不起訴の決定
勾留が満期を迎える日までに、検察官は起訴・不起訴を決定します。
検察官が起訴に踏み切った場合は、それまでは被疑者だった立場が被告人へと変わり、刑事裁判を待つ身としてさらに勾留を受けます。
被告人になった段階からは一時的な身柄拘束の解除である「保釈」の請求が可能です。ただし、適切な身元保証人がいないため刑事裁判への出頭が期待できない、被害者への報復が予想されるなどの理由で保釈が認められなかった場合は、刑事裁判が終わるまで勾留が解除されません。
一方で、検察官が不起訴とした場合は、事件がその時点で終了します。勾留期間中であっても釈放となり、刑事裁判も開かれないので、刑罰を受けることはありません。
検察官による不起訴にはいくつかの種類がありますが、主に選択されるのは次の3つのいずれかです。- 嫌疑なし
犯罪の疑いが完全に晴れた場合に下される処分です。犯人ではない明らかな証拠がみつかった、真犯人がみつかったといったケースが考えられます。 - 嫌疑不十分
疑いが完全に晴れたとはいえないものの、有罪といえる証拠が不十分である場合に下されます。 - 起訴猶予
罪を犯した事実は明らかで、刑事裁判でも有罪を証明できる十分な証拠がそろっていても、諸般の事情を考慮してあえて起訴しない処分です。
また、勾留満期の段階でも起訴・不起訴の判断ができない場合は「処分保留」とすることがあります。処分保留となった場合でも、勾留の効力が失われてしまえば釈放されますが、さらに捜査が進んで起訴されてしまう危険は否定できません。
- 嫌疑なし
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(6)刑事裁判における審理
被告人として起訴されると刑事裁判において裁判官による審理を受けます。有罪となれば罰則の範囲内で適切な量刑が下され、実刑判決であれば刑務所へと収監されてしまいます。
ただし、迷惑防止条例違反事件では、公開の法廷で正式な裁判が開かれるケースは多くありません。被疑者が素直に罪を認めており、100万円以下の罰金が予定されている事件では、公判を開かず書面審理のみで刑罰を科す「略式手続」が取られることもあります。
また、正式な裁判が開かれても、これまでに迷惑防止条例違反や類似する犯罪の前科がない初犯である、深い反省が示されているなど、情状面において有利な事情が整っていれば、罰金や執行猶予つきの懲役といった比較的に軽微な処分が下される可能性も高いでしょう。
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5、在宅事件の場合
刑事事件を起こすと必ず逮捕されると考えている方も少なくありませんが、実は捜査の基本は「任意」とされています。
逮捕・勾留は、被疑者の逃亡・証拠隠滅を防止し、刑事裁判への出頭を確保するために身柄を拘束する強制処分です。つまり、逃亡や証拠隠滅をはかるおそれが認められなければ逮捕・勾留されません。
逮捕・勾留による身柄拘束を受けないまま事件が立件されることを「在宅事件」や「任意事件」と呼びます。取り調べなどの日程に応じて警察署に出頭し、必要な捜査を受けて自宅へと帰されるので、社会生活への影響が最小限に抑えられると考えれば被疑者にとっては在宅事件のほうが有利です。
ただし、在宅事件には逮捕・勾留を伴う身柄事件のように48時間・24時間・20日間といった時間制限がないため、捜査が長引き処分の結果が出るまでに数か月の時間がかかってしまうことがあります。
また、在宅事件だからといって刑罰が軽くなるわけではなく、身柄事件と同様で起訴されれば刑事裁判における審理を受けて、実刑判決を受ければ刑務所へと収監されてしまいます。
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6、迷惑防止条例違反の事例
迷惑防止条例違反で立件された実際の事例について、刑事裁判の判決をみていきましょう。
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(1)盗撮で有罪になった事例
【札幌高裁 平成19(う)73 平成19年9月25日】
ショッピングセンターで女性の背後へと近づいた被告人が、至近距離から携帯電話のカメラ機能を使って約11回にわたり臀部などを撮影した事例です。
第一審では「臀部をねらったわけではないので、社会通念上は容認できないほどはなはだしいと認められるような卑猥な行為とはいえない」と無罪判決が下されました。ところが、第二審となる控訴審では、11枚の画像すべてに臀部が写っており全体を撮影したものは1枚も存在しなかったこと、押収された携帯電話には別の女性の臀部が撮影されたものが多数確認されたことなどから「臀部をねらって撮影した」と判断され、有罪が言い渡されています。
ただし、判決において深い反省があり盗撮画像はすべて消去していること、前科前歴がなく真面目に仕事をしていることなどが考慮され、罰金30万円の判決が下されました。 -
(2)痴漢で無罪になった事例
【名古屋地裁 平成23(わ)1578 平成24年2月21日】
歩道上で歩きながら電話をしていた女性の背後からワンピースのすそを手でずらし、臀部を直接手で触った痴漢の事例です。この事例では、痴漢に遭ったことに気づいた被害者が振り返ると50センチメートルくらいの距離に男性がいたため、その男性を犯人だと判断して警察に通報し、警察官が逮捕しました。
裁判では、別の人物が真犯人であり、被害者が後ろを振り返ったときに偶然にもその場にいた被告人のことを犯人だと勘違いした疑いもあるため、被告人と犯人の同一性がないとして、無罪が言い渡されています。
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7、迷惑防止条例違反を疑われたら弁護士へ相談を
迷惑防止条例違反の容疑をかけられてしまった場合は、なるべく早く弁護士に相談されることをおすすめします。
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(1)無実であるなら容疑を認めない
迷惑防止条例事件では、被害者の供述を信用して捜査が進む傾向が強く、警察・検察官による取り調べでも自白を迫られるケースが少なくありません。無実であるのに容疑をかけられてしまった場合でも、やはり容疑を認めるよう自白を迫られてしまう場面が多くなるでしょう。
厳しい取り調べに耐えかねて、事実とは異なるのに「痴漢をした」「盗撮した」と認めた供述をしてしまうと、その内容で供述調書が作成されてしまいます。ひとたび署名・押印した供述調書の内容を、後にくつがえすのは非常に困難なので、無実であるなら容疑を認めず、納得できない内容なら調書への署名・押印も拒否しましょう。 -
(2)罪を認めるなら被害者との示談交渉が重要
実際に迷惑防止条例違反となる行為があった場合は、被害者との示談交渉が重要になります。被害者に対して真摯に謝罪したうえで、精神的苦痛に対する慰謝料や実際に生じた損害への被害弁償などを含めた示談金を支払うことで、被害届・刑事告訴を取り下げてもらいます。被害者との示談が成立すれば検察官が不起訴処分を下す可能性が高まるほか、早期の釈放や厳しい刑罰の回避が期待できるでしょう。
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(3)弁護士による弁護活動
警察に逮捕されてしまうと、警察段階での48時間と検察官の段階での24時間は家族であっても面会が許されないことが大半です。この段階で被疑者と面会できるのは、接見交通権を認められている弁護士だけです。取り調べの初期段階という記憶が新しい大切な場面なので、取り調べにどのような方向で応えていくのかという弁護士のアドバイスは欠かせません。
被害者との示談交渉も、弁護士に依頼したほうが安全です。痴漢や盗撮といった被害に遭った方の多くは、加害者に対して強い嫌悪・怒りといった感情を抱いているので、示談交渉の難航が予想されます。第三者である弁護士が代理人を務めることで、被害者の警戒心をやわらげて、示談成立へとつながる可能性が高まるでしょう。
そのほか、勾留決定に対する準抗告、不当な取り調べに対する抗議、逃亡・証拠隠滅のおそれがないことの主張による在宅事件への切り替えなども期待できます。
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8、まとめ
痴漢・盗撮・つきまといといった行為は、都道府県が定める「迷惑防止条例」に違反します。規制対象の拡大や罰則強化などの改正も進んでおり、厳しい刑罰が下されてしまう危険の高い犯罪です。
無実の疑いをかけられてしまう、不当な取り調べによって自白を迫られてしまう、厳しすぎる判決が下されるといったおそれもあるため、容疑をかけられてしまったらただちに弁護士に相談してアドバイスを受けましょう。
迷惑防止条例違反事件を穏便なかたちで解決したいと考えるなら、刑事事件の解決実績が豊富なベリーベスト法律事務所にお任せください。
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