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弁護士コラム

2022年09月07日
  • その他
  • 名誉毀損罪

名誉毀損罪の判例とは? 侮辱罪との違いや類似する罪を解説

名誉毀損罪の判例とは? 侮辱罪との違いや類似する罪を解説
名誉毀損罪の判例とは? 侮辱罪との違いや類似する罪を解説

SNSやブログで個人・企業などを誹謗中傷する内容を投稿すると、名誉毀損(きそん)罪が成立する可能性があります。たとえ匿名での投稿であっても投稿者の特定は可能なので、ある日突然警察に逮捕されることもあり得るのです。

また、誹謗中傷の内容が名誉毀損罪を構成しなくても、侮辱罪など別の犯罪が成立する場合もあります。いずれにしても人に対する誹謗中傷行為は犯罪にあたる場合があると知っておくべきでしょう。

本コラムでは名誉毀損罪の概要や構成要件を解説しながら、名誉毀損罪に類似する犯罪について弁護士が解説します。あわせて、名誉毀損罪の成立が認められた判例も確認しましょう。

1、名誉毀損罪とは

名誉毀損罪とはどのような犯罪なのか、概要や刑罰について解説します。

  1. (1)名誉毀損罪の定義

    名誉毀損罪とは、公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損することで問われる罪です。刑法第230条に定められているれっきとした犯罪行為であり、逮捕や起訴される場合もあります。

    • ネットの口コミサイトで企業や飲食店を誹謗中傷する内容の投稿をした
    • 同僚に前科があることを職場で言いふらした
    • 人の家の壁に名誉を毀損する文言を記載したビラを貼り付けた


    これらはすべて名誉毀損罪になり得る行為です。

  2. (2)名誉毀損罪の刑罰

    名誉毀損罪で有罪になると「3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金」が科されます

    懲役とは刑務所に収監されて刑務作業に従事する刑、禁錮とは刑務作業はなく刑務所に収監される刑のことです。罰金は1万円以上の金銭を徴収される刑を指します。

    なお、本罪は被害者からの告訴がなければ検察官が起訴できない「親告罪」です。そのため告訴があった場合に限り起訴され、刑罰を受ける可能性が生じることになります。

  3. (3)民事事件として責任を問われることも

    人の名誉を毀損すると、刑罰を科される刑事上の責任とは別に、民事上の責任を果たさなければなりません。

    民事上の責任とは、慰謝料などの損害賠償金を支払ったり、謝罪広告の掲載など相手の名誉を回復するための措置をしたりすることです(民法第709条、723条など)。

    たとえ刑事事件にならなくても、民事事件として被害者から責任を追及されるおそれがある点は心得ておくべきでしょう。

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2、名誉毀損罪と類似する罪

名誉毀損罪には類似する犯罪がいくつかあります。犯罪の定義や名誉毀損罪との違いを確認しましょう。

  1. (1)侮辱罪

    侮辱罪は、事実を適示しなくても公然と人を侮辱した場合に成立する犯罪です(刑法第231条)。

    「侮辱」とは人に対して軽蔑的な価値判断を示すことをいい、「バカ」「ブサイク」「悪徳商法」といった言葉や、身体障害者の前でそのマネをするような行為が該当します。

    名誉毀損罪とのもっとも大きな違いは「事実の摘示の有無」です。事実の適示とは、その内容が真実かどうかはともかくとして具体的な事実を示すことを指します。名誉毀損罪が成立するためには事実の摘示が必要なのに対し、侮辱罪は事実を摘示しなくても成立します。

    刑罰は「1年以下の懲役若しくは禁錮若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」です。
    懲役とは刑事施設で刑務作業を行う刑のこと、禁錮とは刑務作業が身柄が拘束される刑のことです。拘留とは1日以上30日未満を定めて刑事施設に拘置される刑のこと、科料は1000円以上1万円未満の金銭を徴収される刑のことです。
    なお、侮辱罪も起訴するために被害者の告訴が必要な「親告罪」です。

  2. (2)信用毀損罪

    信用毀損罪は、虚偽の風説を流布し、または偽計を用いて人の信用を毀損する犯罪です(刑法第233条前段)。

    「虚偽の風説を流布し」とは、ウソの情報を不特定または多数に広めること、「偽計を用いて」とは相手を欺いたり相手の不知や勘違いを利用したりすることを指します。他方、「信用」とは人の経済的信用を指しますが、近年では商品の品質などに対する社会的信頼を含むとされています(最高裁平成15年3月11日判決(刑集第57巻3号293頁))。

    名誉毀損罪との大きな違いは、名誉毀損罪では摘示した事実が虚偽でも真実でも成立するのに対し、信用毀損罪は広めた内容が虚偽だった場合に限って罪に問われる点です。

    刑罰は「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」です。令和2年9月には、アルバイトを雇い、競合他社の通販サイトのレビュー欄に低評価の投稿をさせた会社役員の男性が有罪判決を受けています。

  3. (3)脅迫罪

    脅迫罪は、相手またはその親族の生命、身体、自由、名誉、財産に害を加える旨を告知して脅迫する犯罪です(刑法第222条)。

    名誉毀損罪は実際に名誉を毀損した場合に成立する犯罪ですが、脅迫罪はただ脅すだけで成立します。たとえば「お金を出さなければお前の不倫行為を社内でバラしてやる」と脅す行為は、相手の名誉に対して害を加える旨の告知にあたる可能性があるといえるでしょう。したがって、たとえ実際に広めていなくても脅迫罪が成立する可能性があります。

    刑罰は「2年以下の懲役または30万円以下の罰金」です。

  4. (4)虚偽告訴等罪

    虚偽告訴等罪は、人に刑罰または懲戒の処分を受けさせる目的でウソの告訴や告発、その他の申告をした場合に成立する犯罪です(刑法第172条)。

    典型的には、示談金の支払いを得る目的で痴漢や強制わいせつ事件をでっちあげて告訴等をするケースが該当する可能性があります。

    なお、「告訴」とは捜査機関に対して被害申告および加害者の処罰を求めること、そして「告発」は告訴権を持つ者以外の第三者による同様の手続きを指します。また、「その他の申告」は行政機関への申し出など告訴・告発以外の方法で相手の処分を求める手続きのことです。

    名誉毀損罪との違いは、告訴や告発などの申告行為をともなうかどうかです。たとえば「○○にわいせつ行為をされた」というウソの情報を周囲に言いふらせば名誉毀損罪が成立しますが、同様の内容で虚偽の告訴や告発をすれば虚偽告訴罪が成立します。

    刑罰は「3か月以上10年以下の懲役」です。

  5. (5)偽計業務妨害罪

    偽計業務妨害罪は、虚偽の風説を流布し、または偽計を用いて、その業務を妨害する犯罪です(刑法第233条後段)。

    平成28年の熊本地震の際には、ツイッターで「動物園からライオンが逃げた」といった趣旨の投稿をした男性が、動植物園の職員に多数の電話対応をさせたとして逮捕された事件がありました。

    信用毀損罪と同じ条文に定められている犯罪ですが、信用毀損罪が信用を失わせるのに対し、偽計業務妨害罪では相手の業務遂行を妨害することで犯罪が成立します。

    偽計業務妨害罪と名誉毀損罪の大きな違いは、信用毀損罪と同様に、流した情報が真実かどうかです。名誉毀損罪は流した情報が真実だった場合でも成立しますが、偽計業務妨害罪は情報が真実であれば成立しません

    偽計業務妨害罪の刑罰は「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」です。

    なお、暴行や脅迫、怒号などの「威力」を用いて業務を妨害した場合は刑法第234条の威力業務妨害罪が成立し、偽計業務妨害罪と同じ刑罰に処せられます。

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3、名誉毀損罪に該当するケース

名誉毀損罪は①公然と②事実を摘示し、③人の名誉を毀損した場合に成立します。それぞれの要件について詳しく見ていきましょう。

  1. (1)構成要件1 公然と

    「公然と」とは、不特定または多数が知り得る状態のことを指します。特定かつ少数の者に対して事実を摘示した場合でも、それが不特定または多数に伝わる可能性(伝播性)があれば「公然と」と判断されます。

    たとえば以下のケースは公然性を満たすでしょう。

    • 公共の施設や駅などで特定の人や企業を誹謗中傷する内容の演説をした
    • SNSやブログで特定の相手の名誉を傷つける文章を投稿した


    一方、1対1の対面や個人宛のメール、DM、手紙などほかの人が確認できない状態で名誉を毀損する内容を送っても「公然と」とはいえません。

  2. (2)構成要件2 事実を適示

    「事実の摘示」とは、具体的事実として周囲に伝えることをいいます。たとえば「前科がある」「借金がある」「不倫している」といった情報が事実にあたります。

    一方、「バカ」「ブス」「能なし」などの言葉は単なる悪口や個人の評価であって具体的な事実を示したとはいえないため、名誉毀損罪にはあたりません。ただし、侮辱罪は事実を摘示しなくても成立するため、これらの言葉は侮辱罪にあたる場合があります。

    また、ここでいう事実は真実であるか否かを問いません。真実であっても、ウソを真実であるように伝えた場合であっても、名誉毀損罪は成立します。

  3. (3)構成要件3 人の名誉を毀損

    「人」とは特定できる相手のことをいい、個人のほかに企業やその他の団体も含まれます。「日本人」や「○○県民」など不特定の集団は該当しません。

    「名誉」とは社会的名誉のことをいいます。個人や企業などが社会から受ける評価だと言い換えられるでしょう。名誉感情、つまりプライドや自尊心といったものはここでいう名誉に含まれません。

    「名誉を毀損」するというのは、特定可能な相手の社会的評価を低下させることを意味します。現実的に社会的評価を低下させることまでは必要ではなく、低下させるおそれがある行為をすれば足ります

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4、名誉毀損罪に該当しないケース

刑法第230条の2では、名誉毀損罪に該当しないケースとして「公共の利害に関する場合の特例」を定めています。

憲法で定められた表現の自由と名誉の保護との調和を図るために設けられている規定で、以下の条件にすべて当てはまると名誉毀損罪の構成要件を満たしても違法性が阻却され、本罪は成立しません。

  1. (1)名誉毀損にならない条件1 公共性がある

    公共性があるというのは、摘示した事実が公的なテーマだった場合を指します。国民の正当な関心を集めるテーマであれば公表することの社会的利益が大きいため、違法性が阻却されます。

    典型的なのが政治家など公人のスキャンダルです。政治家が何をしたかは国民が投票の可否を判断する重要な事実にあたるため公共性が認められます。また民間人であっても大手企業の幹部など社会的影響力がある人に関する事実は、公共性が認められやすいでしょう。

  2. (2)名誉毀損にならない条件2 公益性がある

    公益性とは、事実を摘示した目的がもっぱら公益を図ることにある場合を指します。たとえばある企業の商品の欠陥を公表する場合、商品を購入する一般消費者が受けるべき社会的利益の実現を図る目的があるため公益性が認められます。

    一方、復讐や嫌がらせなど個人的な感情で事実を摘示しても公益性を満たしません。また芸能人のスキャンダルは一般市民の関心を得やすい事実かもしれませんが、それを公表する目的は主として一般市民の好奇心を満たすことにあります。したがって、公益性が認められないケースが大半です。

  3. (3)名誉毀損にならない条件3 真実性・真実相当性がある

    真実性とは、摘示した事実が真実であることを指します。名誉毀損罪は事実が虚偽でも真実でも成立しますが、公共性・公益性がある真実であれば表現の自由が優先され、名誉毀損罪が成立しないケースもあるということです。

    真実相当性とは、真実だと判断するに足りる正当な理由や確実な資料・根拠があった場合を指します。事実が真実ではなかった場合でも、真実だと誤信したことに相当な理由があればやむを得ないものとして名誉毀損罪は成立しません。

    一方、真実だと誤信したとしても、単なるうわさ話を信じた場合や曖昧な情報にもとづき名誉を毀損した場合は、保護に値しないため名誉毀損罪が成立します。

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5、名誉毀損罪に問われた判例

ここで、名誉毀損罪の成立を認めた判例を3つ紹介しましょう。

  1. (1)インターネット上で悪意ある書き込みをした事例

    自身が作成したホームページにおいて、特定のラーメン店がカルト集団であるなど、虚偽の内容を記載した文章を掲載するなどして名誉毀損罪に問われた事例です。

    被告人は、インターネットの個人利用者に対して要求される水準を満たす調査を行ったうえで表現行為をしていました。そこで、インターネットの発達にともなって表現行為を取り巻く環境が変化していることを考慮すれば、摘示した事実を真実と信じたことについては相当の理由があるため名誉毀損罪は成立しないと主張しています。

    しかし、最高裁は、被告人が表現行為の根拠とした資料の中には一方的立場から作成されたにすぎないものもあり、確実な資料や根拠に照らして相当の理由があるとはいえないと判示し、被告人の有罪判決が確定しました(最高裁平成22年3月15日決定(刑集第64巻2号1頁))。

    インターネットでの書き込みは、不特定多数が閲覧可能であって拡散性が高く、被害は深刻なものになり得ることから、名誉毀損罪に問われる可能性が高い行為だといえます

  2. (2)氏名を明示しなくても被害者を特定できる状態で名誉を毀損した事例

    新聞の編集者が身体障害のある議会議員を紙面で誹謗中傷したことについて、被害者の氏名を明示しなくても誰か特定できるとして名誉毀損罪の成立を認めた事例です。

    新聞を編集発行していた被告人は、当該の議会議員を批判するにあたり、「肉体的の片手落は精神的の片手落に通ずるとか、ヌエ的町議がある」などと新聞へ執筆掲載しました。

    この記事は被害者の氏名こそ明示していないものの、その内容から被害者の特定は容易であり、また公務とおよそ関係のないことを執筆掲載することは身体障害者である被害者を公然と誹謗中傷するものであるとして有罪判決が確定しました(最高裁昭和28年12月15日判決(刑集第7巻12号2436頁))。

    名誉毀損罪の相手方となる「人」とは、特定できる自然人や法人などを指しますが、たとえ氏名を明示しなくても特定可能な場合であれば名誉毀損罪が成立し得ます

  3. (3)ヘイトスピーチが名誉毀損罪にあたるとされた事例

    朝鮮学校の跡地の近くでヘイトスピーチを行い、学校の名誉を害したとして名誉毀損罪に問われた事例です。

    被告人は京都市内の公園で、かつて同公園に隣接して所在していた学校を指し、拡声器を使って元校長は日本人拉致を行った国際指名手配されているなどと発言し、それを撮影した動画をインターネットで配信しました。

    弁護側は、被告人の発言内容は公共の利害に関するものであり、かつ、その目的がもっぱら公益を図ることにあると主張しました。さらには、被告人が摘示した事実は真実であるから、「公共の利害に関する場合の特例」にあたり無罪であると主張しています。

    この事例では、日本人拉致という事柄は公共性・公益性があるという主張については認められました。しかし、被告人の発言には真実性も真実相当性もなく「公共の利害に関する場合の特例」にあたらないと判断されています。結果、名誉毀損罪が成立するとして、最高裁で有罪判決が確定しました(最高裁令和2年12月14日決定(令和2年(あ)第1374号))。

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6、名誉毀損罪による逮捕の流れ

名誉毀損事件では、誹謗中傷行為を何度も行っている、行為様態が悪質であるなどのケースでは逮捕に至る場合があります。

逮捕されるとどのような流れで刑事手続きが進められるのでしょうか?

  1. (1)逮捕

    警察に逮捕されると、警察署の留置場に身柄を置かれながら、必要に応じて取り調べを受けます。取り調べでは、被害者との関係性や動機、被疑者自身の認識などを質問されるでしょう。

    警察官は取り調べで聞いた内容を供述調書としてまとめます。供述調書は後に証拠として扱われる重要な書面なので、被疑者は慎重に発言しなければなりません。

    警察は最長で48時間を上限に取り調べを行い、被疑者の身柄と捜査資料を検察官に引き継ぎます。これを送致といいます。

  2. (2)送致

    送致された被疑者は、検察庁で検察官による取り調べを受けます。検察官の持ち時間は最長で24時間です。ここまでの間に、検察官は被疑者を起訴するか、釈放するかを決定しなければなりません。

    しかし逮捕から72時間で起訴するべきか否かを判断するための材料がそろわない場合には、検察官は裁判官に対して勾留を請求します。勾留とは、被疑者の逃亡や証拠隠滅を防ぐために行われる身柄拘束の手続きのことです。

    なお、被疑者となり逮捕された場合、勾留の有無が決定するまで最長72時間は外部と連絡を取ることも面会することもできません。ご家族や職場とも連絡が取れない状態に置かれることになります。

  3. (3)勾留

    裁判官が勾留を認めると、原則10日間、やむを得ない事情があればさらに10日間、最長で20日間の身柄拘束が続きます。つまり、逮捕からの身柄拘束期間は最長で23日間です。勾留期間中は検察官の指揮のもと警察官による取り調べが再度行われます。

    また、逮捕段階では外部の人との面会が許されませんが、勾留段階に入ると家族や友人などと面会できるようになります。ただし、組織的な犯罪の場合は面会の制限を受ける可能性があるでしょう。

  4. (4)起訴

    検察官は勾留が満期を迎えるまでに被疑者を起訴するか不起訴にするのかを判断します。

    検察統計によれば、令和元年における名誉毀損罪の起訴率は30.5%です。刑法犯全体の起訴率が32.9%なので、名誉毀損罪の起訴率は高いとはいえません。しかし3割もの人が起訴されている事実は無視できないでしょう。

    もっとも、名誉毀損罪では略式起訴される可能性もあります。略式起訴とは、公開の裁判によらず書面のみでの審理を求める簡易的な起訴手続きのことです。略式起訴されると罰金の納付をもって刑事手続きは終了しますが、懲役・禁錮の場合と同様に前科はついてしまいます。

  5. (5)公判

    正式起訴されると、起訴から約1~2か月後に公開の裁判を受けることになります(公判)。勾留されたまま起訴された場合は、保釈されない限り、公判期日まで引き続き身柄拘束が続きます(起訴後勾留)。

    公判では、被告人が有罪か無罪か、有罪の場合の量刑はどのくらいなのかを決めるために審理が行われます。日本の司法における起訴後の有罪率は99%以上です。したがって起訴された場合、有罪判決はほぼ免れないでしょう

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7、名誉毀損にあたる行為をしてしまったら

名誉毀損にあたる行為をしてしまい、逮捕・勾留や起訴を回避するにはどのような対応が必要なのでしょうか?

  1. (1)示談をする

    刑事事件の示談とは、被害者に謝罪し、誓約事項を取り決めたうえで慰謝料を含む示談金を支払い、問題の解決を図る裁判外の手続きのことです。

    名誉毀損罪は親告罪なので、被害者が告訴しない、または起訴前に告訴を取り消せば刑罰を受けることはありません。そこで、告訴しない、または告訴の取り消しを含めた示談を成立させることが極めて重要です。

    また、民事上の賠償問題が解決した旨の内容(清算条項)を盛り込むことで、今後被害者から損害賠償を請求されるおそれもなくなります

    このように、刑事上、民事上ともに示談の成立が事件の早期解決の大きな鍵を握ります。

  2. (2)弁護士に相談する

    名誉毀損事件では加害者が被害者と直接の示談交渉をすることは避ける必要があります。被害者は加害者に対して強い怒りの感情を抱いていることが多く、被害者から交渉を拒否されたり交渉が難航したりするおそれが大きいからです。むやみに交渉すれば脅迫などと捉えられ、逮捕の危険を高めてしまいかねません。

    そのため被害者との示談交渉は弁護士に一任するべきです。公平中立な立場の弁護士であれば被害者の警戒心をやわらげ、交渉に応じてもらえる可能性が高まります。

    また弁護士に相談すれば捜査機関の取り調べに関する重要なアドバイスを受けられるため、不利な供述調書を作成されるのを回避できます。弁護士が捜査機関や裁判官に対し、逃亡や証拠隠滅のおそれがない旨を的確に主張することで、逮捕や勾留を回避できる可能性も生じるでしょう

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8、まとめ

名誉毀損罪は不特定または多数の人が知り得る状態で、個人や企業などの社会的評価を低下させた場合に成立する犯罪です。行為内容によっては侮辱罪など別の犯罪が成立する場合があります。

もし名誉毀損にあたる行為をしてしまったら、事件の早期解決や精神的な負担軽減のためにも弁護士へ相談し、被害者との示談を含めた対応を依頼しましょう。刑事事件の解決実績が豊富なベリーベスト法律事務所がサポートします。おひとりで悩まず、まずはご相談ください。

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監修者
萩原 達也
弁護士会:
第一東京弁護士会
登録番号:
29985

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
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※本コラムは公開日当時の内容です。
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