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弁護士コラム

2022年01月13日
  • その他
  • 騒乱罪

騒乱罪とは? 構成要件や罰則、過去の事例、関連する犯罪を解説

騒乱罪とは? 構成要件や罰則、過去の事例、関連する犯罪を解説
騒乱罪とは? 構成要件や罰則、過去の事例、関連する犯罪を解説

刑法に規定されている犯罪のなかには、近年では適用された事例が少ないものも存在します。そのひとつとして代表的なものが「騒乱罪」です。

騒乱罪が適用された過去の事件をみると昭和20年代~昭和40年代のものが多く、近年では適用事例がほとんど存在しません。とはいえ、犯罪が成立する要件は昔と変わらないので、現代でも状況次第では騒乱罪に問われるおそれがあります。

本コラムでは、多くの方が聞き慣れない「騒乱罪」の概要や構成要件、刑罰などを解説していきます。

1、騒乱罪が適用された事件とは

まずは過去に騒乱罪が適用された事件にはどのようなものがあるのかを紹介していきましょう。なお、後に触れるとおり、当時は「騒擾罪」になります。

● 新宿騒乱
昭和43年、新宿駅で過激派左翼がベトナム戦争に反対するデモを開催し、約4600人の学生デモ隊が警察の機動隊と衝突した事例です。この事件では、合計734人が騒乱罪で逮捕されました。

● 大須事件
昭和27年、ソビエト・中国を視察した議員の帰国を歓迎するために、愛知県の大須球場で何千人ものデモ隊が無届けで集結した事例です。警察と衝突したデモ隊は、火炎瓶や投石などによる警察官への攻撃を繰り返し、警察官・消防士・デモ隊員などを含めて多数の負傷者が出ました。この事件では150人が起訴され、99人に騒乱罪が適用されています。

● 阪神教育事件
昭和23年、連合国軍総司令部(GHQ)の指令を受けた日本政府が朝鮮人子弟を日本人学校に就学させるよう通達を出し、朝鮮人学校の閉鎖を発令したことから、大阪・兵庫において在日朝鮮人らがこれに反対するために集結し、警官隊と衝突した事例です。

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2、騒乱罪とは

では、「騒乱罪」とはどのような犯罪なのでしょうか?犯罪が成立するための構成要件や刑罰などを確認していきましょう。

  1. (1)騒乱罪とは

    騒乱罪は、刑法第106条に定められている犯罪です「多衆で集合して暴行又は脅迫をした者」を罰する旨が明記されています

    騒乱罪は、そもそも自由民権運動や社会運動の鎮圧を目的として誕生したもので、明治15年施行の旧刑法では兇徒聚集罪(きょうとしゅうしゅうざい)と呼ばれていました。明治40年に制定された現在の刑法では騒擾罪(そうじょうざい)に改正され、さらに平成7年の刑法改正によって現在の騒乱罪に変更されています。

  2. (2)騒乱罪の構成要件

    騒乱罪が成立するのは次の3つの要件を満たす場合です。

    • 多衆であること
    • 集合していること
    • 暴行又は脅迫があること


    「多衆」とは、大勢の人が集まった状態です。人数の明確な基準はありませんが「一地方の公益の静謐を侵害するに足りる程度の人数」が基準となります。

    「集合」とは、読んで字のとおり一定の場所に集まることを意味します。ただし、組織性は問いません。

    「暴行又は脅迫」とは、殴る・蹴る・物を壊す・危害を加える旨を告知するといった行為などが該当します。

    なお、上記の「暴行・脅迫」は、多衆に支持容認されたものといえなければならないため、多衆の間に多数人の合同力を利用して共同して暴行・脅迫を加えるという「共同意思」を必要とします。

  3. (3)騒乱罪の刑罰

    騒乱罪の刑罰は、騒乱行為における立場によって変化します

    • 首謀者
      1年以上10年以下の懲役または禁錮
    • 他人を指揮し、または他人に率先して勢いを助けた者(指揮者・率先助勢者)
      6か月以上7年以下の懲役または禁錮
    • 付和随行した者
      10万円以下の罰金


    騒乱の中心人物や集合した人たちをあおった立場にあると、より厳しく処罰されます。また、自らが暴行・脅迫を行ったわけではなくても、暴行・脅迫が行われることを認識しながら参加者(=不和随行者)は処罰の対象です。

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3、警察官に従わなければ「多衆不解散罪」になるおそれも

デモ・集会といった機会は、多数が集まっており群集心理もはたらくことから現場の警察官の指揮を無視してしまうこともあります。もし現場警察官の指示に従わないと、騒乱罪ではなく「多衆不解散罪」に問われることもあるので注意が必要です。

● 多衆不解散罪とは
多衆不解散罪は刑法第107条に規定されている犯罪です。暴行・脅迫を目的とした「多衆が集合した場合において、権限ある公務員から解散の命令を3回以上受けたにも関わらず、なお解散しなかったとき」に成立します。

騒乱罪の予備的な段階を罰するもので「解散しなかった」という行為が処罰の対象です。ここでいう「解散」とは、集団から任意で離脱することを意味しており、その場から離れただけでは「解散した」とはいえません。

「解散の命令を3回以上受けた」については、解散を単に3回連呼しただけでは足りず、それぞれの命令にある程度の時間的な間隔が必要とされています。

このように、曖昧な点が多い犯罪ですが、少なくとも複数回の解散命令を無視すれば処罰の対象となるという程度の認識はもっておくべきでしょう。

● 多衆不解散罪の刑罰
多衆不解散罪も、その立場によって刑罰が変化する犯罪です。首謀者の場合は3年以下の懲役または禁錮、その他の者は10万円以下の罰金が科せられます。

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4、騒乱罪に関連する罪とは

騒乱罪が成立する機会では、ほかの犯罪が成立することもあります。騒乱罪に関連する罪についても確認しておきましょう。

  1. (1)暴行罪・脅迫罪

    暴行・脅迫は騒乱罪の構成要件であるため、基本的には騒乱罪に吸収され、別個に暴行罪・脅迫罪は成立しません。ただし、多衆・集合などの要件に合致しない場合は騒乱罪が成立しないため、暴行罪又は脅迫罪のみが成立することになるでしょう。

  2. (2)恐喝罪

    脅迫に際して財物を交付させた者や、財産上不法の利益を得た者、あるいは他人にこれを得させた者は、刑法第249条の恐喝罪によって罰せられますもっとも、脅迫は騒乱罪の手段でもありますので、観念的競合となります
    観念的競合とは、ひとつの行為がふたつ以上の犯罪にあたる状態をいい、最も法定刑が重い罪によって処罰されます。

    恐喝罪の法定刑は10年以下の懲役です。そのため、首謀者の場合は犯情(犯行の態様等)によって決まり、指揮者(率先助勢者)又は不和随行者の場合は恐喝罪が適用されます。

  3. (3)傷害罪

    暴行をはたらいて相手に怪我を負わせると、刑法第204条の傷害罪が成立します。騒乱罪において手段となる暴行罪は騒乱罪に吸収されますが、傷害罪は結果において騒乱罪の手段となる暴行とは異なるため、観念的競合となります。

    法定刑は15年以下の懲役または50万円以下の罰金で、騒乱罪よりも罪が重いため、騒乱行為によって他人に怪我を負わせれば傷害罪で処罰されます。

  4. (4)殺人罪

    殺意をもって他人を死亡させると、刑法第199条の殺人罪に問われます法定刑は死刑または無期もしくは5年以上の懲役です

    こちらも観念的競合にあたり、殺人罪のほうが重い罪のため、騒乱行為によって人を死亡させれば殺人罪による処罰を受けます。

  5. (5)住居侵入罪

    騒乱行為において他人の住居や建物、敷地などに無断で立ち入れば、刑法第130条の住居侵入罪・建造物侵入罪に問われます。法定刑は3年以下の懲役または10万円以下の罰金です。

    住居侵入罪も、騒乱罪と観念的競合にあたります。本人が首謀者・指揮者(率先助勢者)であった場合は騒乱罪が適用され、付和随行者であれば法定刑が重い住居侵入罪が適用されます。

  6. (6)強盗罪

    騒乱に乗じて相手から金品などを強取すれば、刑法第236条第1項の強盗罪が成立します財物の強取は騒乱と同じ行為とはいえないため、個別の刑事責任を問われることになります

    法定刑は5年以上の懲役であり、騒乱罪と同時に罪を問われると併合罪として刑の長期に2分の1が加重されます。強盗罪の上限は20年の懲役なので、この場合の法定刑は5年以上30年以下の懲役です。

  7. (7)公務執行妨害罪

    騒乱の現場には警察官が出動している事態も多いはずです。公共施設が現場となれば、自治体職員などが解散を求めて交渉の場に立つこともあるでしょう。

    公務に従事している公務員に対して暴行・脅迫を加えると、刑法第95条の公務執行妨害罪が成立します法定刑は3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金です。

    公務執行妨害罪も、騒乱罪と観念的競合の関係にあります。首謀者などでは騒乱罪のほうが重い刑罰を科せられることになりますが、付和随行者の場合は法定刑が重い公務執行妨害罪によって処罰されます。

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5、まとめ

騒乱罪は、過去において多数によるデモ活動などに適用されてきた犯罪です。日本国憲法においては「集会の自由」が認められていますが、その目的や手段に違法だとされれば、騒乱罪が適用されるおそれがあります。

騒乱罪が適用されなかった場合でも、多数であることに乗じて暴力的な行為をはたらけば厳しく罰せられることになるでしょう。刑事事件の加害者として容疑をかけられれば、逮捕・勾留による身柄拘束を受けてしまいます。その事態を解決するには、弁護士のサポートが欠かせません。

騒乱罪をはじめとして、犯罪の容疑をかけられてしまった場合は、刑事事件の解決実績が豊富なベリーベスト法律事務所にご相談ください。

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本コラムを監修した弁護士
萩原 達也
ベリーベスト法律事務所
代表弁護士
弁護士会:
第一東京弁護士会

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※本コラムは公開日当時の内容です。
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