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弁護士コラム

2022年01月27日
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児童相談所による一時保護措置の対応を弁護士に任せるべき理由とは?

児童相談所による一時保護措置の対応を弁護士に任せるべき理由とは?
児童相談所による一時保護措置の対応を弁護士に任せるべき理由とは?

総務省のまとめによると、児童相談所が一時保護した児童の数は平成30年度で4万7453人でした。また一時保護の要因別人数を見ると全体の54.2%を「虐待」が占めており、児童虐待を理由とする一時保護が多いこともわかっています。

一時保護は児童相談所が行う行政上の処分なので、解除を希望しても個人の力だけで対応するのは困難です。また、一時保護の理由が児童虐待にある場合は犯罪の加害者として逮捕されるおそれがあるため、その解決も個人で対応できる問題ではありません。もし自分の子どもが一時保護されたら、まずは弁護士に相談してアドバイスを仰ぐことが大切です。

本コラムでは児童相談所の一時保護をテーマに、一時保護の概要や期間、児童虐待にあたる行為や該当し得る犯罪などについて解説します。

1、児童相談所の一時保護とは?

児童相談所の一時保護とは、子どもの生命身体の安全を確保するため緊急に子どもを保護者と分離する必要がある場合など、児童相談所長が必要であると認めるときに、子どもを一時保護所に入所させ、あるいは適当な第三者に委託する処分をいいます(児童福祉法33条1項)。一時保護の目的やどのような場合に一時保護されるのかを解説します。

  1. (1)一時保護の目的

    一時保護の目的は、①児童の安全を迅速に確保して適切な保護を図ること、②児童の心身の状況、その置かれている環境その他の状況を把握することにあります(児童福祉法第33条1項)。

    一時保護の対象になる児童は、保護者から虐待を受けているなど、生命の危険が生じているため、第一にその安全を確保しなければなりません。また、一時保護によって一時的に児童と保護者との物理的距離をとることで、児童の安全を確保した状態で保護者に対する調査・指導を進めたり、保護者が落ち着いて問題と向き合えたりすることが可能になります。

  2. (2)一時保護の判断基準

    一時保護が開始される要件は、児童の安全を迅速に確保して適切な保護を図ること、児童の心身の状況、その置かれている環境その他の状況を把握することに照らし、「必要があると認めるとき」(児童福祉法33条1項)です。

    児童と保護者の関係性や虐待の状況などは家庭によってまったく異なるため、個別具体的な事情にもとづき判断されることになりますが、「児童相談所運営指針」では、おおむね以下の基準が定められています。

    ① 緊急保護
    • 棄児、迷子、家出した子ども等現に適当な保護者または宿所がないために緊急にその子どもを保護する必要がある場合
    • 虐待、放任等の理由によりその子どもを家庭から一時引き離す必要がある場合
    • 子どもの行動が自己または他人の生命、身体、財産に危害を及ぼしもしくはそのおそれがある場合

    ② 行動観察
    • 適切かつ具体的な援助指針を定めるために、一時保護による十分な行動観察、生活指導等を行う必要がある場合

    ③ 短期入所指導
    • 短期間の心理療法、カウンセリング、生活指導等が有効であると判断される場合であって、地理的に遠隔または子どもの性格、環境等の条件により、他の方法による援助が困難または不適当であると判断される場合


    なお、一時保護に際して児童や保護者の同意を要する規定はないため、保護者が一時保護を拒否したとしても児童相談所が必要であると判断すれば、一時保護が実施されます

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2、一時保護の期間

児童が一時保護された場合、保護者はいつまで児童と離れて生活する必要があるのでしょうか?一時保護の期間と、一時保護が終わったあとの措置について解説します。

  1. (1)原則として2か月を超えない期間

    児童福祉法33条3項は、一時保護の期間は、一時保護を開始した日から2か月を超えてはならないと規定しています。

    児童は、一時保護されている間、学校に通うことができないため、学習に遅れが生じたり、友人と離れることで心理的な疎外感を抱いたりするなど、さまざまな影響が生じることがあります。このような影響を避けるためにも一時保護は2か月を超えないように期間制限が定められています。

    しかし、同法4項は、「必要があると認めるときは」2か月を超えて引き続き一時保護できる規定しており、実際には多くの案件で2か月を超える一時保護が実施されています。総務省のまとめによれば、2か月を超える一時保護は平成30年度において5770件ありました。

    ただし、2か月を超える一時保護が保護者等の意に反するときは、原則として家庭裁判所の承認が必要です(同法5項)。

  2. (2)一時保護期間が過ぎたらどうなる?

    一時保護期間の経過後は、児童が家庭に戻されて児童・保護者に対する在宅指導などが行われます。しかし、児童は必ず家庭に戻されるわけではありません。

    児童相談所は、家庭環境の調査や社会診断、心理診断などをおこなった結果、家庭に戻せない事情がある児童については、児童福祉施設(児童養護施設、児童自立支援施設等)への入所や里親への委託などをおこないます(児童福祉法27条1項1号ないし3号、同法28条)。
    総務省のまとめによると、平成30年度においては、一時保護を受けた児童の51.6%が家庭に戻っていますが、18.1%が児童福祉施設へ入所、3.6%が里親などへ委託されています。

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3、児童虐待にあたる行為

一時保護の理由でもっとも多いのは児童虐待です。児童虐待の定義は児童虐待の防止等に関する法律(略称:児童虐待防止法)第2条各号で以下のように定められています。

  • 1号:児童の身体に外傷が生じ、または生じるおそれのある暴行を加えること
  • 2号:児童にわいせつな行為をすることまたは児童をしてわいせつな行為をさせること
  • 3号:児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食または長時間の放置、保護者以外の同居人による前二号または次号に掲げる行為と同様の行為の放置その他の保護者としての監護を著しく怠ること
  • 4号:児童に対する著しい暴言または著しく拒絶的な対応、児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力その他の児童に著しい心理的外傷を与える言動をおこなうこと


これらの行為を厚生労働省では「身体的虐待」「性的虐待」「ネグレクト」「心理的虐待」に分類し、具体的な行為の例を示しています。

【身体的虐待】
殴る、蹴る、叩く、投げ落とす、激しく揺さぶる、熱湯をかけてやけどさせる、風呂で溺れさせる、首を絞めるなどの行為が該当します。

【性的虐待】
子どもへの性的行為、性的行為を見せる行為、性器を触るなどの行為が該当します。自らが直接的に子どもと性的行為をする以外にも、ほかの者と性的行為をさせる、子どもを裸にさせて写真を撮って販売する、といった行為も含まれます。

【ネグレクト】
ネグレクトとは、育児放棄や保護の怠慢のことです。家に閉じ込める、食事を与えない、病院に連れて行かない、車の中に放置するといった行為のほか、子どもが性的虐待を受けていると知りながら放置することもネグレクトに該当します。

【心理的虐待】
言葉で脅す、無視する、子どもの存在を否定する言葉を使う、ほかのきょうだいと差別的な扱いをするなどの行為のほか、子どもの前で配偶者やきょうだいに暴力をふるう行為も該当します。
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4、児童虐待で問われる罪

児童虐待防止法では接近禁止命令に違反した場合の罰則が設けられていますが、児童虐待をしたことに対する直接的な罰則はありません。では児童虐待をしても何の罰も受けないのかといえばそうではなく、行為内容によって刑法を中心とした別の法律で処罰されることになります。

児童虐待で適用され得る犯罪は、たとえば以下のものがあります。

  1. (1)暴行罪(刑法208条)

    児童に殴る、蹴る、首を絞めるなどの暴力を与えたものの、児童が怪我をしなかった場合に成立します。刑罰は2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料です。

  2. (2)傷害罪(刑法204条)

    児童に暴力を与えて怪我をさせた場合は傷害罪が成立します。刑罰は15年以下の懲役または50万円以下の罰金です。

  3. (3)脅迫罪(刑法222条)

    生命、身体、自由、名誉、財産に対して危害を加える旨を告げると成立します。事案にもよりますが、児童に対し「殴るぞ」「死ね」などの言葉を投げかける場合などが考えられるでしょう。刑罰は2年以下の懲役または30万円以下の罰金です。

  4. (4)強要罪(刑法223条1項)

    暴行や脅迫を加えて義務のないことを強要する犯罪です。たとえばしつけと称して冬場に戸外に長時間放り出すなどの行為で成立する場合があります。刑罰は3年以下の懲役です。

  5. (5)強制わいせつ罪、強制性交等罪、監護者わいせつおよび監護者性交等罪(刑法176条、同法177条、同法179条)

    13歳以上の児童に対し暴行または脅迫を用いてわいせつな行為をした場合、強制わいせつ罪が成立します。13歳未満の児童に対し、わいせつな行為をした場合も同様です。刑罰は、6か月以上10年以下の懲役です。

    また、13歳以上の児童に対し暴行または脅迫を用いて性交等(性交・肛門性交・口腔性交)を強要した場合、強制性交等罪が成立します。13歳未満の児童に対し、性交等をした場合も同様です刑罰は、5年以上の懲役です。

    保護者としての影響力に乗じて同様の行為をすれば監護者わいせつ罪、監護者性交等罪(刑法179条)にあたります。刑罰はいずれも、わいせつ行為をした場合が6か月以上10年以下の懲役、性交等をした場合が5年以上の懲役です。

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5、児童虐待はどのように発覚するのか

児童虐待が発覚するケースの多くは「通告」をきっかけとしています。近年、児童相談所が受け付けた通告・相談件数は右肩上がりで推移しており、平成20年度から平成30年度までの10年間で約4倍に増加しています。

すべての国民には、児童虐待を受けたと思われる児童を発見した場合に児童相談所や福祉事務所などに通告する義務が課せられています(児童福祉法25条、児童虐待防止法6条)。

具体的には以下のような人、場所からの通告により発覚します。

●学校や病院などの機関
学校の教職員や医師、看護師など児童虐待を発見しやすい立場にある人は、より積極的な児童虐待の早期発見や通告義務があります(児童虐待防止法5条)。特に医師や看護師は職業の特性上、身体的虐待を発見しやすいため、病院などの医療機関から通告されるケースは多いでしょう。

●近所の人
児童虐待は自宅でおこなわれるケースが多く、子どもの泣き声や保護者の怒鳴り声を実際に聞く可能性が高いのは自宅の近所の人です。

●親族、友人
虐待をしている人や虐待を見て見ぬふりをしている人の親族、友人など身近な人が通告するケースもあります。

●子ども自身
子ども自身が虐待を受けていることに悩み、身近な大人や学校などに相談した結果、相談を受けた人が通告するケースも考えられます。
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6、一時保護命令を受けてしまったら弁護士に相談を

児童虐待をしている人は、自分が虐待をしている認識はなく、「しつけ」の一環だと考えているケースが往々にしてあります。また、一時保護は保護者の許可なく児童相談所の職権でおこなうことが可能なので、突然の一時保護を受け、「なぜ自分と子どもが離ればなれにならないといけないのか」とひどくショックを受けてしまい、冷静でいられなくなる場合があります。

しかし、一時保護を拒んで抵抗したり、解除を求めて児童相談所に押しかけたりしていると、状況が悪化し、子どもとの面会の制限や接近禁止命令を受ける可能性が生じます。児童虐待が事実であれば、むやみな行動により、逃亡・証拠隠滅のおそれがあるとして警察に逮捕される危険も生じるでしょう。

そのため、一時保護が実施された場合、まずは客観的に法的なアドバイスをしてくれる弁護士に相談しましょう。弁護士と話をすることで、自身の行動や周囲の環境を冷静に見つめ、児童虐待を本当にしていないのかをあらためて考えることができます。

一時保護は、児童相談所長という行政機関による行政処分であることから、不服申立てとして、行政審査法に基づく審査請求が可能です。しかし、触法調査のために一時保護されている期間はごく短期間であることから、審査請求はそこまで有効な手段とはいえません。

弁護士であれば、付添人としては、生活環境の整備や周囲のサポート体制の構築など、何をすれば児童相談所が安心・納得して一時保護を解除してくれるのかをアドバイスしてくれるでしょう。また、児童相談所との一時保護解除のための交渉、児童虐待による逮捕を回避するための活動も期待できます。

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7、まとめ

児童相談所による一時保護は、何よりも児童の安全を確保するためにおこなわれます。一時的とはいえ保護者と児童を分離することはさまざまな影響が生じることになるため、児童相談所は一時保護するべきかを慎重に判断しています。何の理由もなく一時保護することは考えにくいでしょう。

一時保護の解除や逮捕の回避などを個人だけで達成するのは困難なので、児童虐待を理由に自分の子どもが一時保護された場合には早急にベリーベスト法律事務所へご相談ください。

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監修者
萩原 達也
弁護士会:
第一東京弁護士会
登録番号:
29985

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
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※本コラムは公開日当時の内容です。
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