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弁護士コラム

2022年03月31日
  • その他
  • 保釈金の決め方

刑事事件における保釈金の決め方とは? 種類や相場を解説

刑事事件における保釈金の決め方とは? 種類や相場を解説
刑事事件における保釈金の決め方とは? 種類や相場を解説

ニュース番組や新聞などのマスコミは芸能人やスポーツ選手ら著名人の刑事事件を大々的に取り上げますが、その際に世間の関心を集めやすい情報が保釈金の額です。何千万円、何億円といった高額な保釈金によって保釈されたという報道を見聞きすると、もしも自分や家族が刑事事件の被告人だったらいくらになるのだろうと、疑問を持つ方も少なくないでしょう。

保釈金は誰が何を基準に決めるのでしょうか?また、なぜ人によって金額に大きな差があるのでしょうか?

本コラムでは、保釈金の決め方や保釈金の相場、返還の有無などを解説しながら、保釈金を用意できない場合の対処法についても紹介します。

1、保釈には2種類がある

刑事事件の被疑者として逮捕・勾留され、そのまま起訴された場合は、裁判が終わるまで身柄拘束が続いてしまい、大変な負担となります。そこで利用できるのが、起訴後に被告人の身柄を一時的に釈放する制度である「保釈」です。

保釈には大きくわけて「権利保釈」と「裁量保釈」の2種類がありますので、概要を解説しましょう。

  1. (1)権利保釈

    権利保釈とは、保釈の請求があったときに、法定の除外事由に該当しない限り、裁判所が必ず許可しないとならない保釈のことです。必要的保釈ともいいます。

    法定の除外事由は刑事訴訟法第89条の1号から6号までに示されています。

    • 被告人が死刑・無期・短期1年以上の懲役・禁錮に当たる罪を犯した
    • 被告人が前に死刑・無期・長期10年を超える懲役・禁錮に当たる罪で有罪判決を受けたことがある
    • 被告人が常習として長期3年以上の懲役・禁錮に当たる罪を犯した
    • 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由がある
    • 被告人が、被害者や事件の証人になり得る人、またはその親族の身体や財産に危害を与えたり、これらの人を怖がらせたりすると疑うに足りる相当な理由がある
    • 被告人の氏名または住居が分からない


    6つのうちどれにも当てはまらなければ保釈が必ず認められます。一方で、6つのうち1つにでも該当すれば保釈は却下されます。特に「罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由」に該当するとして権利保釈が認められないケースが多くあります。

  2. (2)裁量保釈

    裁量保釈とは、法定の除外事由のいずれかに該当するため権利保釈が認められない場合であっても、裁判所が適当と認めるときに職権で許可する保釈のことです。裁判所はまず権利保釈の要件を満たすかどうかを検討し、権利保釈を許可できない場合に裁量保釈を検討することになります。

    どのような場合に「適当と認める」のかについて、刑事訴訟法第90条には「保釈された場合に被告人が逃亡しまたは罪証を隠滅するおそれの程度のほか、身体の拘束の継続により被告人が受ける健康上、経済上、社会生活上または防御の準備上の不利益の程度その他の事情を考慮し」とあります。

    逃亡や罪証隠滅のおそれについては、抽象的可能性では足りず、具体的・現実的な可能性が必要とされています。

    被告人が受ける健康上、経済上、社会生活上または防御の準備上の不利益の程度その他の事情とは、例えば以下のような事情がある場合を指します。

    • 重い病気にかかっていて身柄を拘束されたままだと治療を受けられない(健康上の不利益)
    • 被告人が会社の社長なので保釈されないと会社の事業に影響が出てほかの従業員や取引先に悪影響がある(経済上の不利益)
    • 母子家庭でまだ小さい子どもへの影響が大きい(社会生活上の不利益)
    • 複雑な事件なので保釈されて弁護士と綿密な打ち合わせをしないと自己の利益や権利を防御できない(防御の準備上の不利益)


    もっとも、上記のような事情があっても保釈が必ず認められるわけではありません。そもそも裁量保釈が検討されるのは権利保釈が認められないケースなので、認められるハードルも高めです。

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2、保釈金の決め方

権利保釈や裁量保釈が認められても、実際に保釈されるためには裁判所に保釈金を納めなければなりません。刑事訴訟法第93条1項も「保釈を許す場合には、保証金額を定めなければならない」と定めています。

では保釈金の額はどのように決められるのでしょうか?保釈金の決め方や相場、保釈金は返還されるのかについて解説します。

  1. (1)保釈金の決め方

    保釈金は保釈中に被告人が逃亡や証拠隠滅を図ることを防ぎ、裁判に出頭させる担保となるものです。罰金のように制裁的な意味合いや、お金を払うから釈放してもらうといった対価としての意味合いはありません。

    保釈中に逃亡や証拠隠滅を図ったり、そのほかに保釈の際に課せられた条件を破ったりすれば保釈金は没取されてしまいます。つまり、被告人にとって「没取されたら困る」と思わせるだけの心理的なプレッシャーを与えられる金額が必要です

    保釈金の額は裁判所が決定しますが、その決め方については刑事訴訟法第93条2項が「保証金額は、犯罪の性質および情状、証拠の証明力並びに被告人の性格および資産を考慮して、被告人の出頭を保証するに足りる相当な金額でなければならない」と述べています。

    具体的には以下のようなさまざまな点が考慮されます。

    ● 犯罪の性質や犯罪の情状
    厳罰が予想される重大犯罪や悪質性が高い事件では、厳罰を避けるために被告人が逃亡や証拠隠滅を図るおそれが大きいので、保釈金も高額になります。

    ● 被告人の職業や資産状況
    年収が高い職業に就いている、資産額が多いといった場合は保釈金が高額になります。

    ● 共犯者の有無
    共犯者がいると保釈中に接触して口裏合わせをするおそれが大きいので高額になります。

    ● 前科前歴の有無
    前科前歴があると実刑判決を受けやすいため、逃亡や証拠隠滅を図るおそれが大きいと判断されて高額になります。

    ● 身元引受人の有無
    身元引受人がいないと保釈が認められないケースも多いですが、保釈が認められるとしても保釈金は高額になります。

    ● 否認事件か自白事件か
    否認事件で保釈される場合はありますが、逃亡のおそれが大きいので保釈金の額が高額になります。
  2. (2)保釈金の相場

    保釈金の相場は、一般的な会社員や公務員であれば150万~300万円だといわれています。無職で経済的に困窮している場合などはさらに低いこともありますが、100万円を下回ることはほぼありません。ただし、一般人でも会社役員や医師など年収が高い職業であれば相場より高額になる場合があります。

    芸能人や起業家、政治家などで一般人よりはるかに高い収入を得ている被告人は、保釈金が桁違いに高額になる場合があります。近年では日産自動車の前会長カルロス・ゴーン氏(特別背任事件)の保釈金が15億円だったと報道され、社会の関心を集めました。

    ほかにも、過去には浅田満氏(ハンナングループ牛肉偽装事件)の20億円、堀江貴文氏(ライブドア粉飾決済事件)の3億円、田中角栄元首相(ロッキード事件)の2億円、清原和博氏(覚醒剤取締法違反事件)の500万円といった保釈金の額が報道されています。

    このように保釈金は被告人ごとに大きく異なるため、このケースなら保釈金はいくらになると断定することはできません。

  3. (3)保釈金は返還されるのか

    保釈金は被告人を出頭させるための担保なので、裁判が終われば全額返還されます。無罪判決になった場合だけでなく、実刑判決や執行猶予つき判決などの有罪判決であっても同様です。判決の言い渡しを受けてから数日から1週間程度すれば、事前に指定した入金口座に振り込まれます。

    ただし、逃亡や証拠隠滅を図った、保釈の際に決められた条件を守らなかった、裁判に出頭しなかったなどのケースでは保釈金の全部または一部が没取されます。保釈も取り消されるので、再び身柄拘束を受け、自由の制限された生活を送らなければなりません

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3、保釈金が払えない場合はどうすればいい?

保釈金は被告人にとって没取されたら困ると感じるだけの金額が設定されるので、非常に高額です。また保釈金は一括で納付する必要があり、納付期限もないので保釈金の額が決定したらすぐに納めなければなりません。では資力がないなどの理由で保釈金が払えない場合は保釈を諦めるしかないのでしょうか?

  1. (1)保釈金が払えないとどうなるのか

    保釈されるのは、保釈許可が出て実際に保釈金を預けたあとです。したがって保釈金を納付できないと保釈されません。逮捕のときから数えると数カ月にわたり社会と隔離された生活を送るので、会社を解雇される、学校を退学になるといったおそれも大きくなります。会社を解雇されなくても、身柄拘束中は仕事に行くことができないので収入が途絶え、被告人が家計を支えていた場合は家族にも苦労をかけてしまいます。

  2. (2)保釈金が払えない場合の対処法

    保釈金が払えない場合は、以下の方法を検討しましょう。

    ● 弁護士に相談する
    弁護士を通じて裁判所に交渉すると保釈金が減額される場合があります。弁護士は例えば、身元引受人がいて生活環境も整っているので逃亡するおそれがない、資力がないといった点について客観的証拠をもとに裁判所に交渉します。
    減額されなかった場合でも、次に挙げるいくつかの方法があるので弁護士に相談してどの方法をとるべきかアドバイスを受けるとよいでしょう。

    ● 日本保釈支援協会の立替制度を利用する
    日本保釈支援協会の「保釈保証金立替システム」を利用すると、500万円を限度に保釈金を立て替えてもらうことができます。立替期間は2カ月ですが、延長も可能です。利用できるのは被告人本人以外の人なのでご家族などが利用することになるでしょう。

    ● 全国弁護士協同連合会の保釈保証書事業を利用する
    裁判所の許可を受けた場合には、保釈保証書を提出することで保釈金を納付したときと同じ扱いを受けることができます。保釈保証書を発行する事業を行っているのが全国弁護士協同連合会です。ご家族などが弁護人に依頼することで事前申し込みができるので、まずは弁護人に相談してみてください。

    ● 親族や知人に借りる
    審査に通らない、手数料を負担できないなどの理由で上記の制度を利用できない場合もあります。そのときは親族や知人に借りるのもひとつの方法です。保釈金は返還されるので、保釈のために必要だと丁寧にお願いすれば借りられるかもしれません。

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4、まとめ

保釈金は裁判所が決定しますが、金額を決めるにあたっては犯罪の性質や被告人の収入・資産状況などさまざまな事情が考慮されます。一般の方が何千万、何億といった高額な保釈金になることはまれですが、いくらだとしても没取されたときに本人が困る額であることは変わりません。保釈金が用意できないケースも想定されるので、保釈金について悩んだら弁護士に相談しましょう。

刑事事件の弁護実績が豊富なベリーベスト法律事務所が力になります。保釈金に関するアドバイスや保釈請求を含めてサポートしますので、まずはご相談ください。

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監修者
萩原 達也
弁護士会:
第一東京弁護士会
登録番号:
29985

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※本コラムは公開日当時の内容です。
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