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弁護士コラム

2022年03月31日
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名誉毀損罪の示談書を作成するとき、加害者側が気をつけるべきポイント

名誉毀損罪の示談書を作成するとき、加害者側が気をつけるべきポイント
名誉毀損罪の示談書を作成するとき、加害者側が気をつけるべきポイント

名誉毀損(きそん)罪の加害者になってしまい事件の早期解決を望むなら、被害者と示談をした上で示談書を作成することが大切です。

とはいえ、示談書にはどのような内容を記載すればよいのか、ほとんどの方が詳しくはご存じないでしょう。

本コラムでは名誉毀損事件の示談書をテーマに、記載すべき内容や作成時の注意点を解説します。あわせて、示談書の作成を弁護士に依頼するべき理由も確認しましょう。

1、示談書とは

最初に、示談の意味や示談書の効果について解説します。

  1. (1)示談の意味

    示談とは、トラブルの当事者が裁判外で話し合い、合意事項を定めてトラブルの解決を図る手段のことをいいます。

    刑事事件における示談の本質は、加害者から被害者へ謝罪をし、被害者の被害回復を図ることにありますが、その結果として加害者の刑事処分が軽減されるなどのプラスの効果も生じることになります。

    示談が成立すると当事者双方は合意事項を守らなければならず、原則として一度成立した示談のやり直しはできません

  2. (2)示談書を作成する効果

    示談書とは、示談で話し合った結果を記載した書類をいいます。示談は口頭でも成立しますが、合意事項を示談書として残しておくことが重要です。それにより、トラブルの蒸し返しを回避することや、示談に置いて取り決めた以上の被害者からの過大な要求を防ぐことができるからです。裁判で事実関係を確認する際の証拠としても扱われるため、確実に作成しておきましょう。

  3. (3)公正証書との違い

    公正証書とは公証役場にいる公証人が作成する公文書のことです。公正証書は本人確認が厳格なので裁判になったときに高い証明力を発揮します。また金銭債務については「強制執行認諾文言」を入れることで、裁判の判決を得なくても相手の財産を差し押さえる等の強制執行をすることができます。

    示談書も証明力のある書類ですが、強制執行認諾文言付公正証書のように強制的に財産を差し押さえる効果はありません。もっとも、示談書を公正証書にすることもできます。名誉毀損事件の被害者が「加害者が約束を守るか不安」と感じている場合は利用する可能性があるでしょう。

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2、名誉毀損で示談成立が重要な理由

名誉毀損事件を起こしてしまったら被害者と示談を成立させることが重要です。被害者に真摯(しんし)に謝罪をして金銭で賠償することで、以下の結果に結びつく可能性が高まるからです。

  1. (1)不起訴処分になる可能性が高い

    告訴の取り消しを約束する内容を含めて示談が成立すると、被害者が告訴を取り消します。そして名誉毀損罪は「親告罪」です。親告罪とは、検察官が起訴する際に被害者の告訴を必要とする犯罪のことです。告訴が取り消されると検察官は起訴することができず、不起訴処分を下すこととなります。

    不起訴処分になれば前科がつかないため、前科による不利益を回避することができます。前科による不利益とは、一定の職業や資格で欠格事由に該当したり、海外渡航の際に制限を受けたりすることを指します。

  2. (2)身柄を拘束されていた場合は釈放される可能性が高まる

    逮捕・勾留を受けると、社会から隔離されたまま逮捕から最大で23日間も身柄を拘束されてしまいます。

    しかし示談が成立して検察官が不起訴処分を下すと、被疑者の身柄は釈放され、社会生活へ復帰することができます。早期に釈放されれば会社や学校、家庭への影響を最小限に抑えられるでしょう。

  3. (3)重すぎる罪が科される事態を回避できる

    検察官が起訴・不起訴を決定するまでに示談が成立せずに起訴されてしまった場合でも、被害者との示談は裁判の量刑判断でよい事情として扱われます。

    刑法第230条によると名誉毀損罪の刑罰は「3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金」です。裁判官が示談したことを被告人の有利な事情として評価すると懲役や禁錮ではなく罰金刑が選択される、懲役刑や禁錮刑でも執行猶予がつくなどの可能性が高まります。

  4. (4)民事訴訟を起こされなくなる可能性が高まる

    加害者がいくら重い刑事処分を受けても、被害者に対する損害賠償が必ずしも行われるわけではありません。加害者が刑罰を受ける刑事責任と、被害者に金銭で賠償する民事責任は全く別の責任だからです。そこで被害者は民事訴訟を提起する等して、加害者に対して損害賠償を請求することができます。

    しかし、示談の成立そのものが当事者の損害賠償問題が解決したことを意味することが通常であり、被害者から新たに損害賠償を請求されるおそれが低くなります。刑事事件で示談をすることで、あわせて民事上の賠償問題も解決できることが多いのです

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3、示談書の書き方

示談書に法律で定められた形式はありませんが、法的に効果のある内容でまとめる必要があります。一般的に記載することが多い項目や作成時の注意点を確認しましょう。

  1. (1)示談書に記載する項目

    名誉毀損事件の示談書で盛り込むべき項目は以下のとおりです。

    • タイトル……示談書、合意書などとするのが一般的です。
    • 事件の事実内容……事件が発生した日時、発生した場所、内容などを記載します。
    • 示談金について……示談金の額や支払い方法(一括か分割かなど)、支払期限を記載します。
    • 事件の当事者の確定……当事者の氏名、住所を記載します。
    • 謝罪条項……加害者が被害者に謝罪する旨の条項です。名誉毀損事件では謝罪広告の掲載を約束する内容を入れる場合があります。
    • 清算条項……示談において定めたもののほかには、お互い権利義務がないことを、当事者双方が確認する条項です。
    • 宥恕条項……被害者が加害者を許すという意味の条項です。
    • 違約条項……加害者が示談書の内容を守らなかったときのために、違約金や遅延損害金、期限の利益の喪失(分割払いをやめて一括で支払う)などのペナルティーを盛り込む場合があります。
    • そのほかの合意事項……事件のことを第三者に口外しない旨の守秘義務条項や加害者が被害者に今後一切接触しない旨の接触禁止条項などを入れる場合があります。


    最後に示談の成立日を記載し、当事者同士が署名・押印をして示談書が完成します。

    用紙のサイズは公的機関で作成される文書にあわせてA4サイズとするのが一般的です。当事者の人数分作成するので、一般的な名誉毀損事件では加害者の分と被害者の分のあわせて2部作成します。

  2. (2)示談書を作成する際の注意点

    名誉毀損事件の加害者が示談書を作成する際に特に重要なのは清算条項と宥恕(ゆうじょ)条項です。清算条項によって、トラブルの蒸し返しや新たな損害賠償請求を防ぐことができます。また宥恕条項を入れることで検察官や裁判官に「被害者が加害者を許した」と示すことができ、不起訴処分や刑事処分の軽減につながりやすくなります。

    示談および示談書の作成は、早ければ早いほど高い効果を発揮します。被害者が告訴する前に示談が成立すれば、被害者の告訴を防いで刑事事件化を回避できる可能性があるのです。たとえ告訴されてしまった後でも、検察官に起訴される前に告訴の取り消しを含めた内容の示談書を示せば、不起訴になる可能性が非常に高いでしょう。

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4、名誉毀損の示談書(作成例)

ここまでの内容を踏まえ、名誉毀損事件における示談書の作成例として、どのような順番で記載すべきかについて一例をご紹介します。

ただし、多くの事件で個々の事情が異なるものです。ネット上ではテンプレートを多数見つけることができますが、そのまま使用することは推奨しません。弁護士に相談してあなた自身や被害者の事情や状況に適した示談書を作成することを強くおすすめします

① タイトルとして「示談書」と明記し、双方の住所などを記すとともにどのような書類なのかについて記述します。

<一例>
示談書

被害者○○を甲、加害者○○を乙として、甲と乙は、令和○年○月○日に東京都○○で発生した乙の甲に対する名誉毀損事件について、以下のとおり示談をした。

② 示談の内容について記載していきます。「第○条」として順に合意した内容を中心に記載していくケースが一般的です。

名誉毀損事件の多くでは、謝罪、具体的な示談金(振込先や支払期日、振込手数料の扱いなどを含む)、示談書で交わした内容以外の債権債務を負わないことなどを明記した清算条項、刑事処罰は望まないことや告訴取り下げを明記した宥恕条項などを順に記載していきます。

場合によっては、被害者側に今後一切の接触を行わないことを約束する「接触禁止条項」を求められることもあるでしょう。また、本件について今後一切口外しないことを約束しあう「守秘義務条項」を求められるケースもあります。さらに、当該示談書の内容を違反した場合に備え、「違約条項」をつけることも多いでしょう。

最後に、「本示談契約を証するため本書を2通作成し、各自1通を所持する」といった一文を入れ、示談書を交わした年月日とそれぞれの住所などを署名し、互いに押印します。

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5、示談書の作成を弁護士に任せるべき理由

示談書は事件の当事者で作成することもできますが、弁護士へ作成を依頼するべきです。その理由を解説します。

  1. (1)被害者との直接の交渉が困難だから

    名誉毀損事件の加害者が被害者と直接示談交渉を行うのは、困難なケースが多々あります。

    まず警察から連絡があった場合、示談をしようにも被害者の連絡先はわからないケースが多々あります。例えばSNS上で誹謗(ひぼう)中傷したケースでは、被害者のアカウントは知っていても本名や電話番号などの個人情報は知らないということが多々あります。個人情報保護の観点から、捜査機関が被害者の連絡先を教えてくれることはありません。

    しかし、弁護士であれば捜査機関を通じ、被害者の承諾を得たうえで連絡先を入手できる可能性があります。加害者には伝えない約束で「弁護士にだけなら」と、連絡先を教えてくれる被害者は少なくありません。

    また、相手側から直接内容証明郵便が届いた、そもそも知り合いだったなど、直接のコンタクトが可能な場合でも、被害者の処罰感情の高さから示談交渉を拒否されるケースが多くあります。無理に交渉を求めれば脅迫事件など別のトラブルに発展するおそれがあるため、避けるべきです。

    客観的な立場である弁護士からの働きかけであれば、加害者本人からの働きかけに比べ、被害者の警戒心が和らぎ、示談交渉に応じてもらいやすくなることがあります。

  2. (2)妥当な金額で示談を締結できるから

    怒りの感情から法外な示談金を請求してくる被害者も少なからず存在します。個人で交渉すると、示談金の適正額がわからずに被害者からの過大な請求を受け入れてしまうか、示談金の額で折り合いがつかずに示談が成立しないおそれがあるでしょう。

    示談が成立しなければ不起訴処分や刑の減軽といった刑事処分への影響が期待できず、厳しい処分が下される危険が高まります。この点、弁護士なら判例の知識や示談金の相場観があるため、妥当な金額で示談を締結できます

  3. (3)法的に意味のある示談書を作成できるから

    示談書の内容に不備があるとトラブルが再発するおそれがあります。また個人で示談書を作成するとどの条項にどんな意味があるのかを正しく理解できず、刑事処分へのよい影響がほとんどない示談書になってしまう可能性があります。

    しかし弁護士が示談書を作成すれば刑事処分への影響を最大限に考慮するとともに、民事上の賠償問題も解決できる内容でまとめることができます

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6、まとめ

名誉毀損事件における示談書は、被害者に対して謝罪の意思を表明し、示談金の支払いを誓約する内容の書類です。また清算条項や宥恕条項などを記載することで、刑事処分へのよい影響にも期待できます。

示談書は事件の当事者が作成することも可能ですが、事件の早期解決につなげるためには実務に詳しい弁護士へ作成を依頼するのが賢明です。名誉毀損事件の加害者として罪に問われたり、損害賠償請求をされたときは、刑事事件の解決実績が豊富なベリーベスト法律事務所へお任せください。

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監修者
萩原 達也
弁護士会:
第一東京弁護士会
登録番号:
29985

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
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※本コラムは公開日当時の内容です。
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