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知らない間に法律違反! 軽犯罪でも逮捕される? 身近な違反行為に要注意
日常生活のなかでは、自分でも知らないうちに法律違反を犯してしまうこともあります。たとえば、懐中電灯を持ち歩くこと自体は、ごく普通の行為と考えられるでしょう。
しかし、夜明け前に路上で正当な理由なく懐中電灯を持っていたという容疑で、現行犯逮捕されたという事案も存在しています。
本コラムでは、法律違反と知らずに犯してしまいやすい典型的な行為に注目しながら、適用される法律、罰則、逮捕された場合の流れを解説します。容疑をかけられてしまった場合はどうするべきなのかについても確認していきましょう。
1、軽犯罪法に関する身近な法律違反
「軽犯罪法」は、軽微な秩序違反行為を禁止する法律です。
軽犯罪法の規定をみると、刑法などで処罰される行為と比べれば『そんな内容でも犯罪になるの?』と疑問になるようなものも少なくありません。
冒頭で紹介した懐中電灯の事案も、軽犯罪法違反が適用されたケースでした。
まずは、どのような行為が軽犯罪法違反にあたるのか、よくある罪について身近な事柄を例にして確認してきましょう。
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(1)使わない武器や凶器を持っておく
軽犯罪法では、正当な理由なく武器や凶器を携帯する行為が禁じられています(1条2号違反)。
条文で列挙されているのは「刃物・鉄棒」ですが、人の生命や身体に害を加える方法で使用できる器具が対象です。
たとえば、野球の試合や練習がないにもかかわらず、車のトランクに野球のバットを隠し持っておく行為は、正当な理由のない武器の携帯にあたるため処罰されるおそれがあります -
(2)住宅の近くでたき火を行う
相当の注意をしないで建物・森林・その他燃えるような物の付近でたき火をしたり、ガソリンなど引火しやすい物の付近で火気を用いたりする行為が禁止されています(第1条9号違反)。
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(3)行列への割り込み
公共の場所において、多数の人に対して著しく粗野・乱暴な言動で迷惑をかけたり威勢を示したりして、行列に割り込む行為が禁じられています(第1条13号違反)。
条文で例示されているのは、汽車・電車・乗合自動車・船舶など公共の乗り物、演劇などの催し物、割り当て物資の配給などで切符や証票を得るための行列です。 -
(4)道端に痰(たん)や唾(つば)吐く
街路または公園などのように公衆が集合する場所において、痰(たん)や唾(つば)を吐いたり、大小便をしたり、またはこれをさせたりした者を罰する旨が明記されています(第1条26号違反)。
実際に令和3年5月31日には、店とトラブルになった男が店先に唾を吐いた行為が軽犯罪法違反にあたるとして書類送検された事例もあります。 -
(5)配達員にうその道を教える
郵便や宅配便の配達員に宛所を尋ねられた際にうその情報を教える行為は、「他人の業務に対して悪戯(いたずら)などでこれを妨害した者」にあたります(第1条31号)。
業務妨害といえば刑法にも別の定めがありますが、軽犯罪法が処罰の対象としているのは偽計や威力を手段としているとまではいえず、目的も、動機も、実際の被害程度もごく軽微なものに限ると考えるのが通説です。
当然ですが、正直に言ったつもりが道を間違えて教えてしまっていた場合には軽犯罪法違反になりません。わざとうそをついた行為に限定されます。
2、知らずにやっていた! 罪になる可能性がある法律違反
自分でも知らないうちに罪を犯してしまう危険があるのは、軽犯罪法違反だけではありません。
次に挙げるような行為も、実は法律違反になってしまいます。
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(1)ごみの不法投棄|廃掃法違反
廃棄物の処理及び清掃に関する法律(通称:廃掃法)の第16条は、誰であってもみだりに廃棄物を捨ててはならない旨が定められています。
ここでいう「廃棄物」とは汚物や不要物などのあらゆるごみを指すため、工場や店舗などから排出される産業廃棄物だけでなく、家庭ごみも対象です。
法律で定められている方法に従わずに廃棄物を捨てると不法投棄になります。 -
(2)釣り銭を多くもらって返さない|占有離脱物横領罪
コンビニのレジなどで、店員のミスによって釣り銭を多く渡されてしまった経験がある方も多いでしょう。当然、その場で間違いに気づいたときは、申告して余分なお金を返すものです。
しかし、その場で間違いに気づいているのに『得をした』『黙っていればわからない』などと考えて返さずに自分のものにすると、刑法246条1項の詐欺罪に問われるおそれがあります。
別のケースとして、その場では気づかなかったけれども、後で余分にお金を受け取っていたことに気づいた場合には、気づいてから速やかに返金すればいいのですが、そのままお金を返さずにいると刑法第254条の「占有離脱物横領罪」に問われるおそれがあります。 -
(3)処方された薬を他人に貸す|薬機法違反
病院で処方された薬が余ったからといって、家族や友人などに与える行為は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(通称:薬機法)」に違反するおそれがあります。この法律は、以前は「薬事法」と呼ばれていた法律です。
第24条に、薬局開設者または販売の許可を得ている者以外が、業としての医薬品を販売・授与するなどの行為を禁止しています。
処方箋の種類によっては違法薬物を禁じる法律に違反したり、医療行為にあたると解釈されてしまったりすることもあるので、たとえ家族・友人などの親しい間柄でも授受は禁物です。 -
(4)無断で友人のSNSにログインする|不正アクセス禁止法違反
ログインIDやパスワードを知っているからといって、LINEなどのチャットアプリやSNSなどに、他人のアカウントを使用して無断でログインするのは、不正アクセスとみなされます。
不正アクセスは「不正アクセス行為の禁止等に関する法律(通称:不正アクセス禁止法)」第3条の違反になるほか、実際に不正アクセスをしていなくても、他人のIDやパスワードを不正に取得・保管しただけでも犯罪になるので要注意です(第4条違反)。
罰則
不正アクセス禁止法第3条に違反して不正アクセスをした場合は、3年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられます。
悪質なケースは厳しい処罰もあり得る
初犯であり、悪質性が高くないケースであれば、いきなり刑務所に収監される事態にはならないかもしれません。
しかし、嫌がらせや性的な目的といった悪質なケースで、何度も不正アクセスを繰り返してきたといった事実があるような場合は、厳しい処罰を受ける危険があります。 -
(5)SNSでデマを拡散する|信用毀損(きそん)罪
TwitterやInstagram、FacebookといったSNSのほか、5ちゃんねる(2ちゃんねる)などの掲示板サイト、口コミサイトなどで事実ではない情報を拡散し、他人の経済的な信用をおとしめると、刑法第233条の「信用毀損罪」が成立するおそれがあります。
罰則
刑法の信用毀損罪が成立した場合は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。
実害が生じた場合、厳しい処罰もあり得る
内容の悪質性や実際の経済的な損失の程度などを総合的に評価したうえで、量刑が決定します。そのため、支払い能力に対する社会的な信頼を毀損した時はもちろんですが、客足が激減した、商品の返品騒ぎが起きたという実害が生じたにはより厳しい判断が下される可能性があります。
- ※お電話は事務員が弁護士にお取次ぎいたします。
- ※被害者からのご相談は有料となる場合があります。
3、軽犯罪法違反
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(1)軽犯罪法違反の罰則
軽犯罪法第1条各号の違反には「拘留または科料」の罰則が設けられています。
・拘留
拘留とは1日以上30日未満の期間を定めて刑事施設で身柄を拘束する刑です(刑法16条)。
ごく短期版の懲役といえばわかりやすいかもしれませんが、懲役のように刑務作業という労役を課せられることはありません。勾留と読み方は同じですが全く異なる言葉です。
・科料
科料とは1000円以上1万円未満の金銭を徴収される刑です(刑法17条)。
こちらは少額の罰金と考えればわかりやすいでしょう。
いずれも、わが国の法律が定める刑罰としてはごく軽微なものです。
ただし、懲役や罰金と同じように『前科』がついてしまいます。
「軽犯罪法」意義と目的、処罰の対象となる行為について詳しくみていきましょう。 -
(2)軽犯罪法の意義と目的
軽犯罪法は、昭和23年に制定された比較的古い法律です。日常における身近な道徳律に違反する軽い犯罪の類型と、それに対する刑罰を定めた法律として制定されました。
処罰の対象としている行為も刑法などで罰するものよりも軽微なものばかりです。
主な目的
軽犯罪法の主な目的は、刑法犯ほど重大ではなくても、誰もが迷惑であり、道徳に反する行為を処罰することにより、国民生活の秩序を維持すること、より重い犯罪に発展する恐れのある軽微な行為を処罰することにより、重大犯罪を未然に防止することにあります。
国民の権利を不当に侵害しないように留意が必要
このように、軽犯罪法は、刑法と、処罰されない道徳との中間に位置する軽微な犯罪を規定するものですから、たとえ処罰の対象とする行為があったとしても、適用にあたっては国民の権利を不当に侵害しないように留意することが定められています。
また、警察などの捜査機関が、軽犯罪法がもつ本来の目的を逸脱してほかの目的のために乱用することがないよう規定されているため、いわゆる「別件逮捕」などのための適用は認められません。 -
(3)軽犯罪法が処罰の対象とする行為
軽犯罪法では、第1条において「33の行為」が処罰対象に掲げられています。
制定当時は34でしたが、動物愛護法の制定に伴い「動物虐待」の行為が削除されたため、現在のかたちにおさまったという経緯があります。
軽犯罪法第1条が処罰の対象としている33の罪となる行いのうち、いくつかを挙げてみましょう。軽犯罪法の一例
- 廃屋など、人が住んでいない建物などに無断で入り、隠れる行為(1号)
- 正当な理由なく刃物・鉄棒など、人の身体に危害を加えることができるような器具を隠して携帯する行為(2号)
- 正当な理由なく合鍵・のみ・ガラス切りなどの侵入器具を隠して携帯する行為(3号)
- 働く能力があるのに仕事をせず、一定の住居もなくうろつく行為(4号)
- 劇場や飲食店などの公共の場や、電車や飛行機などの公共交通機関で、周囲の人に対して著しく粗野または乱暴な言動をする行為(5号)
- 風水害や地震、交通事故などの現場で、警察官・消防士・自衛官などの指示に従わなかったり、協力要請を無視する行為(8号)
- 周囲に燃え移らないように相当の注意をすることなく、建物や森林などの付近でたき火をする行為(9号)
- 公務員の制止をきかずに拡声器や楽器などで異常に大きな音を出して近隣に迷惑をかける行為(14号)
- 現実には存在しない犯罪や災害を公務員に申告する行為(16号)
- 正当な理由なく人の住居・浴場・更衣場・便所など、人が衣服をつけないでいるような場所をのぞき見する行為(23号)
- 街路や公園などでたん・つばを吐く、大小便をするなどの行為(26号)
いずれもひとつひとつの行為は凶悪であったり、著しく反社会的とまではいえないものばかりですが、凶器の携帯や住居への侵入、火災、わいせつ犯罪といった重大犯罪に結びつく行為も対象に含まれています。
4、軽微な法律違反で逮捕されることはある?
軽微な法律違反でも、発覚すれば警察に逮捕されてしまうこともあります。
実際に、冒頭で紹介した懐中電灯を正当な理由なく持っていたというケースでは、容疑者が逮捕されています。
では、警察に逮捕されると、その後はどうなるのでしょうか。
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(1)逮捕されると身柄拘束を受ける
警察官に「逮捕」を告げられると、その時点から身柄拘束が始まります。
自由な行動は許されず、警察署で取り調べを受けたうえで、48時間以内に検察官のもとへと「送致」されます。
検察官による取り調べを受けたのち、24時間以内に「勾留」の要否が検討されます。
勾留とは、被疑者の身柄を引き続き拘束する手続きです。勾留請求が認められると、最長で20日間にわたって身柄拘束が続きます。 -
(2)検察官が起訴・不起訴を決定する
勾留が満期を迎える日までに、検察官が「起訴」「不起訴」を決定します。
- 起訴:検察官が刑事裁判を提起することです。
- 不起訴:起訴を見送ることを意味します。不起訴になれば、前科はつきません。
起訴されると刑事裁判へと移行し、不起訴になれば刑事裁判は開かれず事件が終了します。
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(3)略式起訴は必ず前科がつく
刑事裁判といえば、法廷で裁判官・検察官・被告人・弁護人が一堂に会して開かれるイメージがありますが、必ずそういったシチュエーションで進むわけではありません。「略式起訴」を受けた場合は書面のみで審理されます(刑事訴訟法461条)。
ただし、略式起訴になるのは、100万円以下の罰金または科料に相当する事件で、本人が罪を認め、略式手続きにすることに異議がない場合のみです。
迅速に処理されるため長く不安を抱えなくても済む一方で、必ず有罪となり罰金刑が言い渡されるという点には注意が必要です。
つまり、前科がつく事態を避けられないので、検察官による略式起訴を受け入れるかどうかは慎重に判断しなくてはなりません。
5、少年事件における軽犯罪法違反
軽犯罪法は、ナイフなどの隠匿携帯や廃屋・廃虚への立ち入り、火遊び、公衆の場所における「たむろ」など、未成年の少年が犯しやすい行為についても処罰対象としています。
少年が軽犯罪法に違反した場合でも、やはり処分を受けるのでしょうか?
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(1)少年でも逮捕されるおそれがある
14歳以上の少年が軽犯罪法に違反する行為をはたらいた場合は、成人と同様に事件化されます。
警察からの出頭要請に応じない、住居・氏名を明かさないといった状況があれば、成人と同じように逮捕され、勾留による身柄拘束を受けるおそれがあります。
ただし、少年が起こした事件では、成人のように刑罰は科せられません。
少年院送致や保護観察など、更生を目指した保護処分を受けることになります。 -
(2)被害者がいる場合は示談交渉が重要
軽犯罪法違反となる33の行為のなかには、のぞきやつきまとい行為、儀式妨害や業務妨害といった被害者が存在するものもあります。
被害者が存在する内容の事件であれば、被害者に謝罪したうえで慰謝料・賠償金を支払い、示談成立を目指すのが最善策でしょう。
少年事件では「全件送致主義」が採用されているため、すでに事件化されているのであれば示談成立をもって事件が終了するわけでもありませんが、真摯(しんし)に反省していることは家庭裁判所にも伝わるはずです。 -
(3)少年事件における弁護活動のスタンス
少年が軽犯罪法違反を犯した場合の弁護活動は「まだ被害届が提出されていない段階」と「すでに被害届が提出された段階」とで大きくわかれます。
・被害届が提出されていない段階
弁護士が被害者と少年の間に立って誠実な謝罪と更生に向けたアクションを主張し、事件化を見送るよう交渉を進めることになります。
・すでに被害届が提出されている段
少年にとって有利な証拠や事情をそろえたうえで付添人として家庭裁判所に主張し、不処分や保護観察処分といった軽い処分で済まされるように努めます。
6、法律違反行為をしてしまった場合は弁護士に相談したほうが良い?
法律違反にあたる行為をしてしまった場合、法的にサポートできるのが弁護士です。
弁護士に依頼することで、どのようなサポートを得られるのでしょうか。
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(1)早期の示談成立で不起訴の可能性が高まる
弁護士に相談すれば、容疑をかけられている方の代理人として被害者との示談交渉をまかせることが可能です。
早い段階で被害者との示談が成立し、被害届や刑事告訴が取り下げられれば、逮捕を回避できる可能性があるほか、検察官が不起訴処分を下すことも期待できます。
不起訴となれば刑事裁判が開かれないので、刑罰を受けることもありません。 -
(2)逮捕を回避するためのサポート
法律違反行為のなかには、刑罰の軽い軽犯罪法違反にあたるのか、厳しい処分になるおそれのある、ほかの犯罪に該当するのかの区別が難しいものも存在します。
たとえば、業務妨害にあたる行為では、軽犯罪法違反にあたるのか、刑法の信用毀損罪にあたるのかによって、刑罰の重さは大きく異なります。
弁護士は、これらの事柄も考慮したうえで事案を分析し、少しでも刑罰が軽くなるよう捜査機関にはたらきかけを行います。
また、逃亡、証拠隠滅のおそれがない根拠を示し、逮捕の必要性がないことを主張するなど、実生活への影響を最小限におさえられるようにサポートします。
刑事事件に発展してしまった場合でも、適切な対応をとることができれば、その後の影響を最小限におさえることができます。
そのため、弁護士のサポートを得て、対策を講じることをおすすめします。
7、軽犯罪で逮捕された、前科が付きそうな場合は弁護士へ相談を
日常生活におけるちょっとした行為でも、法律に照らせば犯罪になることもあります。
逮捕されてしまうと、長期にわたって社会から隔離されるため、日常生活に大きく影響してしまいます。また、有罪になれば、たとえ罰金で済んだとしても前科がついてしまいます。
軽犯罪でトラブルになった場合は、ベリーベスト法律事務所にご相談ください。
経験豊富な弁護士が事件解決に向けて全力でサポートします。まずは、ご相談ください。
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