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略式起訴とは? 正式起訴との違いや流れ、注意点などを徹底解説
略式起訴とは、簡略化された手続きにより罰金または科料を科す起訴方法です。正式裁判に比べて短期間で刑事手続きから解放されますので、被告人にとっては負担の少ない手続きといえるでしょう。
しかし、略式起訴されると必ず有罪になり、無罪を争うことはできないといったデメリットもあります。そのため、略式起訴への同意は慎重に判断する必要があります。
今回は、略式起訴とは何か、略式起訴の流れや注意点などについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
この記事で分かること
- 通常の正式起訴と略式起訴との違い
- 略式起訴になり得るケース
- 略式起訴に同意するべきかどうか?
1、略式起訴とは?
略式起訴とはどのような手続きなのでしょうか。以下では、略式起訴の概要について説明します。
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(1)略式起訴とはどのような手続き?
略式起訴とは、検察官が、簡易裁判所に簡略化した手続きで、罰金または科料の刑罰の言い渡し(略式命令)を求めることを指しています。略式起訴から略式命令までの一連の手続きを「略式裁判(略式手続き)」と呼びます。
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(2)略式起訴の要件
検察官が事件を略式起訴するためには、以下の要件を満たす必要があります。
① 簡易裁判所管轄の事件であること
略式起訴をするためには、対象の事件が簡易裁判所管轄であることが必要です。
簡易裁判所は、罰金以下の刑にあたる罪、および窃盗・横領など比較的軽微な罪に関する刑事事件について、第一審の裁判権を持っています。簡易裁判所では、通常は禁錮以上の刑を科すことはできませんが、法律で特別に規定された罪に限っては3年を超えない範囲で懲役を科すことが可能です。
② 100万円以下の罰金、または科料が科される事件であること
裁判所が略式命令で科すことが可能な刑罰は、100万円以下の罰金、または科料(刑罰の一種。金額は1000円以上1万円未満)に限られます。
これは、刑法に書かれている法定刑を基準にするのではなく、実際の事件を鑑みて考慮された量刑が基準になります。検察官が事件の量刑として100万円以下の罰金または科料が相当と判断すれば、略式起訴が選択されるのです。
③ 略式起訴にすることに被疑者が同意していること
略式起訴は、被疑者の同意が条件となる手続きです。なぜなら、略式起訴されると必ず有罪になり、被疑者には争う機会が与えられなくなってしまうからです。被疑者の権利保障の観点から、被疑者の同意(書面での同意)が要件となります。 -
(3)略式起訴と正式起訴との違い
検察官が裁判所に対して通常の公判手続きを請求することを「正式起訴(公判請求)」といいます。略式起訴と正式起訴では、主に以下のような違いがあります。
① 審理の方式
正式起訴は、公開の法廷で裁判が行われますが、略式起訴は非公開で検察官から提出された書類のみに基づいて審理されます。
② 反論の機会の有無
正式起訴では、被告人に反論の機会が与えられ、それを裏付ける証拠の提出も可能です。しかし、略式起訴では、被告人には反論の機会は与えられず、必ず有罪となります。
③ 刑罰
正式起訴では、法定刑の範囲内であれば被告人に科す刑罰に制限はありません。しかし、略式起訴では、100万円以下の罰金、または科料に制限されています。
2、略式起訴の流れ
略式起訴となった場合、以下のような流れで手続きが進みます。
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(1)検察官による略式手続きの説明
事件を担当する検察官が略式起訴を相当だと判断した場合、まずは被疑者に対して、略式手続きの説明が行われます。その際、検察官は、被疑者に対して正式起訴により審理を受けることができることも告げなければなりません。
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(2)被疑者による略式手続きへの同意
検察官から略式手続きに関する説明を受けた被疑者は、略式手続きに同意するかどうかを検討します。
略式手続き同意する場合には、略式起訴の同意書に署名・押印を行います。略式起訴のためには、口頭での同意では足りず、必ず書面により被疑者の同意を得る必要があります。 -
(3)略式起訴
被疑者による略式手続きへの同意が得られたら、検察官は簡易裁判所に対して略式起訴を行います。略式起訴の際には、起訴状に略式命令を請求する旨の文言が記載され、被疑者の同意書が添付されます。
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(4)裁判所による略式命令
裁判官は、検察官から出された書類を基に審理を始めます。裁判官が「略式命令が相当だ」と判断すれば、略式起訴から14日以内に略式命令が下されます。
これに不服のある被告人は、略式命令の告知を受けたときから14日以内であれば、正式な裁判をするよう求めることができます。 -
(5)罰金の納付
身柄を拘束されている被告人は、略式命令に従い罰金または科料の支払いをすれば、刑の執行は完了し、直ちに釈放されます。
在宅事件の場合には、裁判所から略式命令書謄本と罰金・科料の納付書が送られてきますので、期限内に罰金の納付を行います。弁護士との電話相談が無料でできる
刑事事件緊急相談ダイヤル- お電話は事務員が弁護士にお取次ぎいたします。
- 警察が未介入の事件のご相談は来所が必要です。
- 被害者からのご相談は有料となる場合があります。
3、略式起訴に同意する場合の注意点
略式起訴に同意する場合には、以下の点に注意が必要です。
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(1)略式起訴に同意すると必ず前科がつく
略式起訴に同意をすると、必ず有罪となり、罰金または科料の支払いが命じられます。懲役刑や禁錮刑が言い渡されて刑務所に行くという心配はありませんが、罰金または科料も「前科」にあたりますので、前科がつく事態を避けることはできません。
前科がつくのを回避するためには、略式起訴に同意せず、正式な公判手続きにより無罪判決を獲得するか、不起訴処分の獲得を目指すしかありませんが、略式手続きに同意してしまうとその可能性は失われてしまいます。 -
(2)略式起訴では事実関係を争えない
略式起訴されると、検察官が提出した書類のみに基づいて審理が行われますので、被告人には事実関係を争う機会は与えられません。無罪を争う機会だけでなく、有利な情状を争う機会もありませんので、量刑に関しても被告人側の事情は一切考慮してもらえません。
もっとも、略式命令で科される刑罰は、100万円以下の罰金、または科料という比較的軽微な刑罰ですので、犯罪事実に間違いがなければ、早期解決の観点から略式起訴に同意することも検討すべきでしょう。 -
(3)罰金が支払えないと労役場に留置される
略式命令により科された罰金または科料の支払いができないときは、労役場留置という処分が言い渡されます。
労役場留置とは、刑務所などの刑事施設内にある労役場という場所に収容され、罰金額に達するまで強制的に働かされることをいいます。労役場での作業は、1日あたり5000円として計算され、最大で2年間収容されることになります。
4、刑事事件で警察から呼び出しを受けたら早めに弁護士に相談を
刑事事件で警察から呼び出しを受けたときは、早めに弁護士に相談するのがおすすめです。
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(1)取り調べにどう対処するかのアドバイスができる
警察から犯罪の嫌疑をかけられ呼び出されると、警察署内で被疑者としての取り調べが行われます。ほとんどの方は警察で取り調べを受けるのは初めての経験になりますので、どのように対応すればよいかわからず不安を感じることでしょう。
弁護士に相談をすれば、警察の取り調べの流れや具体的な対処法などについてアドバイスをしてもらうことができますので、不安なく取り調べに臨むことができます。 -
(2)略式起訴になりそうな場合にそれを受け入れるべきか判断ができる
検察官から略式起訴の打診を受けた場合、それに同意するかどうかは慎重に判断する必要があります。略式起訴に同意せずに、被害者との示談を成立させることができれば、起訴猶予となり不起訴処分に至る可能性もあります。
そうなれば前科を回避することができますので、略式起訴に同意するよりも有利な結果となるでしょう。
検察官から略式起訴を打診されたときは、具体的な状況に応じて同意すべきかどうかの判断が変わりますので、まずは専門家である弁護士に相談してアドバイスしてもらうとよいでしょう。
基本的には、事件の内容から検察庁に呼ばれるまでに略式起訴の対象になるかどうかは予測できることが多いです。そして、検察官も呼び出し時点で結論を決めていることも多いです。そのため、呼び出しまでにどのような調整ができるかが重要といえます。 -
(3)被害者との示談交渉などにより不当に重い処分を回避できる
被害者がいる犯罪であれば被害者との示談を成立させることにより、不当に重い処分を回避できる可能性があります。示談を成立させるなら、検察官による起訴または不起訴の判断が出る前に行う必要がありますので、迅速に示談を成立させるためにもまずは弁護士に相談するとよいでしょう。
弁護士であれば被害者との示談交渉の代理人になれますので、被害者としても安心して示談交渉に応じてくれるはずです。また、被害者の連絡先がわからないような場合でも弁護士であれば捜査機関を通じて被害者と連絡を取ることも可能です。
5、まとめ
略式起訴をされると正式裁判とは異なり、簡略化された手続きにより審理が行われ、罰金または科料が言い渡されます。早期に刑事手続きから解放されるなどのメリットもありますので、検察官から略式起訴の打診を受けたときは、手続きへの同意を検討してみるとよいでしょう。
身に覚えがあってもなくても刑事事件にかかわってしまった可能性があるなら、まず弁護士に相談するようにしてください。弁護士には守秘義務があり、相談の内容が外に漏れることはありませんので、まずはベリーベスト法律事務所までお気軽にご相談ください。
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