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弁護士コラム

2021年01月28日
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横領して返済できないとどうなる? 罰則と逮捕回避のためにすべきこと

横領して返済できないとどうなる? 罰則と逮捕回避のためにすべきこと
横領して返済できないとどうなる? 罰則と逮捕回避のためにすべきこと

令和2年11月、会社の資金を着服したとして会社員の女性が業務上横領罪で逮捕されました。女性は経理担当者として勤務する会社から1億5600万円を横領し、高級ブランドや宝飾品の購入に充てていたという嫌疑がかけられました。

このように会社の大金を横領し、すでに使ってしまった場合、一般人の資力で一括返済するのは極めて困難でしょう。もし横領したお金を返済できない場合、逮捕されるのでしょうか。

本コラムでは業務上横領罪に着目し、横領したお金を返済できない場合の逮捕の可能性やとるべき行動について解説します。

1、会社のお金を横領したら問われる罪

「横領」は一般に「人のお金を自分の物にしてしまう行為」と解されることが多い言葉ですが、刑法では3種類の横領罪を定めています。

単純横領罪(刑法第252条1項) 自己の占有する他人の物、または公務所から保管を命じられた自己の物を横領する罪
業務上横領罪(刑法第253条) 業務上、自己の占有する他人の物を横領する罪
遺失物等横領罪(刑法第254条) 遺失物、漂流物など占有を離れた他人の物を横領する罪


経理や管理者など金銭の管理を任されている社員が「勤めている会社のお金を勝手に使い込んでしまう行為」は、業務上横領罪にあたります

  1. (1)業務上横領罪とは

    業務上横領罪は、① 業務上 ② 自己の占有する他人の物を ③ 不法に領得することで成立します。

    ① 業務とは
    人がその社会生活上の地位に基づき反復継続して行う事務をいいます。また、本条の「業務」は、委託信任関係に基づき、金銭などの他人の財物を保管することを内容とするものでなければなりません。

    ② 占有とは
    物を事実上支配している状態のことです。業務上横領罪は「自己の」占有する物を取得する犯罪である点で、「他人の」占有する物を取得する窃盗罪(刑法第235条)と区別されます。

    ③ 不法に領得するとは
    委託信任関係を裏切り、占有者でなければできない処分をする意思のことです。

    業務上横領罪にあたるのは次のようなケースです。


    • 会社の経理担当者が経費を使い込む
    • 銀行員が顧客の預金を自分の口座に移す
    • 質屋の店員が顧客から預かった品物を勝手に売りに出す
  2. (2)業務上横領罪の罰則と時効

    業務上横領罪の罰則は「10年以下の懲役」です業務者が委託信任関係を裏切る重大な行為であるため罰則も重くなっており、執行猶予がつかない限りは刑務所に収監されます

    業務上横領罪の公訴時効は7年です(刑事訴訟法第250条2項4号)。犯罪行為があってから7年が経過すると検察官が起訴できなくなります。

    ただし業務上横領をした者は刑事責任だけでなく、不法行為として民事上の損害賠償責任も負います(民法第709条)。不法行為による損害賠償請求権の消滅時効は、被害者が損害および加害者を知ったときから3年または不法行為のときから20年です(民法第724条)。
    つまり、仮に公訴時効が成立しても、損害賠償を請求される可能性は残るということです。

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2、横領してしまったらどう対応すべきか?

会社のお金を横領してしまったら、どのような行動をとるべきなのでしょうか。

  1. (1)横領が発覚している場合

    被害者(会社)との示談交渉を進めることが重要です。

    被害額や迷惑料などを含む示談金を支払うことが大前提ですが、逮捕・起訴され、有罪になったときの影響を考えれば必要な行動でしょう。もちろん、被害者に対して誠実に対応するという意味でも大切です。示談が成立すれば、被害届や告訴状が提出されない可能性や、すでに提出されていても不起訴処分で済む可能性が生じます。

    もっとも、示談が成立しても犯した罪が消えるわけではないため、示談をした後に刑事告訴、逮捕される可能性は残りますしかし示談の成立は検察官および裁判官から「被害者から一定の許しを得ている」と評価されます不起訴処分や刑の減軽となる可能性も高いといえるでしょう

  2. (2)横領が発覚していない場合

    横領の発覚を回避したいと考えるのなら、少なくとも今すぐ全額補塡(ほてん)をおこなうことが必須です。横領のような犯罪行為はいずれ知られ、責任を問われる可能性が高いでしょうが、その際にも全額補填されているかどうかによって被害者の対応も変わってくる可能性があります。

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3、横領したお金を返済できない場合は逮捕される?

横領した額の返済と逮捕の有無は直接の関係にないため、返済できないからといって必ず逮捕されるわけではありません逮捕されるかどうかは、「被害者が捜査機関に被害を申告するかどうか」と「捜査機関が逮捕に踏み切るかどうか」の2つの視点から見ていく必要があります

  1. (1)被害届が出される可能性

    業務上横領で被害届が出される可能性は、ある程度低いと考えられます。理由は2つあります。

    ひとつは、対外的な信用が低下するリスクを懸念するためです。業務上横領は内部犯行であるため、事件が公になることで、自社のセキュリティーの不備や金銭管理の甘さを露呈することになります。対外的な信用を失うリスクもあることから、あまり公にしたくないと考え、被害届を出さずに内々での解決を望む被害者は少なくないのです。

    もうひとつは、被害額の返済を重視する被害者が多いからです。加害者が逮捕・起訴され、有罪になったとしても、それをもって被害額が返済されるわけではありません。むしろ、加害者が刑務所に入れば収入がなくなるため返済のめどが立たず、民事訴訟を起こして被害額を取り返そうとすれば膨大な時間と費用が必要になります。そのため被害額の返済につながるのであれば、あえて被害届を出さないという対応をとることも珍しくありません。

    示談が成立し、被害額の返済またはその約束がなされていれば、被害届の提出が回避され、逮捕にもいたらない可能性があります。

  2. (2)逮捕は何のためにされるのか

    逮捕とは、罪を犯したと疑われる人の身体を拘束する手続きをいいます。身体の自由を奪う強制処分である以上、逮捕には要件があります。


    逮捕の要件
    • 被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があること(刑事訴訟法第199条)
    • 逃亡または証拠隠滅のおそれがないこと(刑事訴訟規則第143条の3)


    逮捕の目的は処罰ではなく、捜査などに際して身柄を確保することです。罪を犯したからといって必ず逮捕されるわけではなく、逮捕されずに在宅のまま捜査が進められる場合もあります逮捕を回避するには、捜査機関から逃亡や証拠隠滅のおそれがないと判断される必要があるため、素直に罪を認めて捜査に協力する姿勢を見せることも重要です

  3. (3)返済や示談ができない場合に逮捕される可能性

    返済の見込みがないのに示談が成立するとは考えにくいため、被害届が提出され、事件化は免れない可能性が高いでしょう。また返済できたとしても、それは単に不法に得た金銭を返すだけであって、被害者の処罰感情が高ければ示談が成立するとも限りません。被害者が示談を拒否する姿勢を示したことは、すなわち加害者の処罰を望むという意思表示です。検察官や裁判官もこれを重視します。

    このようなケースではもはやご自身だけで対応するのは困難です。早急に弁護士へ相談し、返済方法や示談の交渉を一任するべきでしょう。

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4、自己破産すれば返済責任には問われない?

自己破産をすると借金などの債務の支払いが免除されますが、「非免責債権」といって免責の効果がおよばない債権があります。租税や罰金などのほか「破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権」もこれにあたります(破産法第253条1項2号)。業務上横領は悪意で加えた不法行為にあたるため、自己破産をしても損害賠償の支払い義務からは逃れられません

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5、横領をしたときに弁護士に相談すべき理由

業務上横領罪は、気づけば多額のお金を横領しており、自分ではどうしようもできない状況に陥っているケースが多数です。早急に弁護士へ相談してサポートを依頼することをおすすめします。

  1. (1)分割などの交渉

    横領した金額が大きく一括返済が困難な場合は、分割や返済日の調整を打診する方法があります。もちろん応じてもらえるかどうかは被害者次第ですが、交渉によっては応じてもらえる可能性もでてくるでしょう。

    ただし、横領をした本人の交渉では信用してもらえない可能性があるため、弁護士を介して交渉することをおすすめします弁護士が入れば被害者の安心につながり、分割などに応じる可能性も高まるでしょう

  2. (2)被害額の認識のすり合わせ

    業務上横領は複数回にわたっておこなわれ、合計でいくら横領したのかを加害者自身が正しく認識していないケースが多々あります。
    そうなると、加害者が認識している金額と、被害者が認識している金額が合致せず、場合によっては横領した額以上の額を求められるおそれが生じます。弁護士が客観的な証拠をもとに横領にあたる額を明らかにすれば、主張の食い違いも解消され、事実に即した額を返済できます。

  3. (3)理不尽な要求をされたときの相談

    横領は紛れもない犯罪で許されない行為ですが、その事実を逆手にとって理不尽な要求をする被害者も少なからず存在します。
    自分ひとりで対応しようとしても事態が悪化するおそれが高いので、早急に弁護士へ相談して対応しましょう。

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6、まとめ

管理を任された立場を利用して会社のお金を横領する行為は、業務上横領罪にあたります。返済できないからといって逃亡や証拠隠滅をはかれば逮捕・起訴され、厳しい罰を受けるおそれが高いでしょう。

しかし事件化を望まない被害者も多いため、返済の意思を示して示談交渉をすることで早期に解決できる可能性があります。横領事件の解決実績が豊富なベリーベスト法律事務所が迅速な解決に向けて全力でサポートしますので、おひとりで悩まずご相談ください。

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監修者
萩原 達也
弁護士会:
第一東京弁護士会
登録番号:
29985

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※本コラムは公開日当時の内容です。
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