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弁護士コラム

2023年08月31日
  • 財産事件
  • 器物損壊
  • 現行犯

器物損壊罪で現行犯逮捕された! 逮捕後の流れや不起訴の可能性

器物損壊罪で現行犯逮捕された! 逮捕後の流れや不起訴の可能性
器物損壊罪で現行犯逮捕された! 逮捕後の流れや不起訴の可能性

器物損壊罪は刑法に定められた犯罪のなかでも特に検挙率が低い犯罪です。令和4年版の犯罪白書によると、5万6925件の認知に対して検挙はわずか8463件で、検挙率は14.9%でした。刑法犯全体の検挙率が46.6%であることを考えると、器物損壊事件の検挙率は極めて低いといえます。

しかし、どうせ見つからないだろう、証拠もないから捕まらないだろうなどと考えるのは間違いです。他人の物を壊したり傷つけたりしているところを持ち主や通行人、警戒中の警察官に見つかってしまえば「現行犯逮捕」されることもあります。

器物損壊の被疑で現行犯逮捕されると、その後はどうなるのでしょうか? 現行犯逮捕された後の流れや起訴・不起訴の割合などを、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、器物損壊罪とは? 成立の要件や刑罰の重さ

器物損壊罪とはどのような犯罪なのか、どのような刑罰が科せられるのかを確認します。

  1. (1)器物損壊罪とは? 成立の要件

    器物損壊罪は刑法第261条に定められている犯罪です。
    条文によると「他人の物を損壊し、または傷害した者」を罰するとされています。

    「他人の物」とは、他人が所有するすべての有体物のことを指します。
    公文書・私文書・電磁的記録・建造物などは個別に損壊を罰する犯罪が存在するので器物損壊罪の対象にはなりません。

    「損壊」とは単純には壊す・傷つけるといった行為が考えられますが、法的には「物の効用を失わせる行為」を指します。
    たとえば、飲み物を入れるコップに小便を注ぐといった行為は、コップそのものは壊れていなくても衛生的に、あるいは人の感覚として使用できない状態になるので損壊にあたるとするのが定説です。

    「傷害」とは、動物を傷つけたり、生命を奪ったりする行為を指します。
    ペット・家畜を問わず、他人が所有している動物は法律上「他人の物」に該当するため、本罪による処罰の対象です。

    器物損壊罪が成立するには、これらの行為に「故意」が必要となります
    本罪における故意とは、他人の物を損壊・傷害するとわかって受け入れていること、すなわち犯罪行為の認識・認容があるという意味です。誤って損壊・傷害してしまった場合は故意ではなく「過失」となりますが、過失による物の損壊・傷害を罰する犯罪は存在しないので処罰されません。

    一連の行為によって、実際に物の損壊・傷害が発生すると器物損壊罪が成立します。
    器物損壊罪には未遂を罰する規定はないので、たとえば他人の車に傷をつけようとしていたところを持ち主に見つかってしまい、やめさせられたといったケースは処罰の対象になりません。

  2. (2)器物損壊罪の刑罰

    器物損壊罪の法定刑は3年以下の懲役または30万円以下の罰金もしくは科料です

    懲役や罰金の上限は数ある刑法犯のなかでは特別に重いものではなく、科料という1万円未満の金銭徴収を受ける刑も設けられていることから、刑罰は比較的に軽いといえるでしょう。
    ただし、裁判官の判断によっては懲役を科せられる可能性もあるうえに、罰金・科料でも前科がついてしまうので「軽い罪だ」などと軽視してはいけません。

2、実際に器物損壊の被疑で現行犯逮捕された事例

器物損壊は、いたずらや嫌がらせといった理由でおこなわれることが多いため、犯行時は被害者や目撃者が周囲にいるケースは少ないでしょう。
器物損壊事件で逮捕される場合、被害者からの申告によって警察が捜査し、被疑者を特定して後日逮捕するという流れが一般的ですが、現行犯逮捕できないわけではありません。

ここでは、器物損壊の被疑で現行犯逮捕された実例を紹介します。

  1. (1)パトカーの上に登って現行犯逮捕

    停車中のパトカーの上に登るなどしてボンネットを損壊させた被疑で20代の男が現行犯逮捕された事例です。

    当時、男は酒に酔っていました。事件の経緯は詳しく報じられませんでしたが、何らかのトラブルの通報を受けて警察官が臨場したところパトカーのドアを蹴ってへこませたなどのケースは現行犯逮捕される可能性が高いでしょう。

  2. (2)店舗出入り口のガラスドアを蹴り割って現行犯逮捕

    DVDレンタル店でガラスドアを足で蹴り割った男が現行犯逮捕された事例です。

    事件の直前、男は同店でDVDをレンタルしようとしていましたが、会員証が見当たらずDVDを借りられなかったため立腹していた様子だったとのことでした。
    退店する際に店舗の内側からガラスドアを蹴り割り、通報を受けて駆け付けた警察官に現行犯逮捕されましたが、男は「つま先がドアに当たっただけで、わざと蹴ったのではない」と被疑を否認しています。

    この主張が真実なら、故意がないので器物損壊罪は成立しませんが、もちろん犯罪捜査ではそのまま受け入れはしません。ガラスが割れるだけのキックにどの程度の力があるか、足の勢いと差し出し方、そこからドアに当たることを認識認容できていたら、故意はあったと評価されます。

  3. (3)タクシーのドライブレコーダーを壊して現行犯逮捕

    料金トラブルが原因でタクシーのドライブレコーダーを壊し、現行犯逮捕された事例です。

    40代の客がタクシーを利用した際に運転手と料金について口論となり、客が自ら警察に通報しました。
    客は、駆け付けた警察官にドライブレコーダーの映像の確認を求めましたが、その場にモニターがないので映像を確認できなかったことに立腹し、ドライブレコーダーを壊したとのことです。
    逮捕された客は泥酔状態でした。

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3、器物損壊の被疑で現行犯逮捕された場合の流れ

では、器物損壊の被疑で警察に逮捕されると、その後はどのような手続きを受けるのでしょうか?刑事手続きの流れを確認します。
なお、現行犯逮捕は一般の人にも可能なので、その場合は警察に引き渡されることになって逮捕としての手続きが進みます。

  1. (1)「現行犯逮捕」と「任意同行」

    現行犯逮捕がおこなわれる場合、警察官から、逮捕の理由となる犯罪や逮捕を執行した日時とあわせて「現行犯逮捕する」と告げられます
    犯行現場で、そのとき・その場で警察官から逮捕を告げられていなければ逮捕されていない可能性が高いでしょう。

    逮捕されたのかどうかわかりにくい状況として考えられるのが「任意同行」です。
    警察官には、何らかの罪を犯した疑いのある者について停止を求め質問するという「職務質問」の権限があり、その場で職務質問を継続することで対象者が衆人環視の目に触れたり、交通の妨害になったりする状況があれば、付近の警察署などに同行を求めることが認められています。

    器物損壊の現場に警察官が駆け付けて、パトカーに乗せられ警察署に連れていかれたといった状況があると、多くの人が「逮捕された」と感じますが、その場で逮捕を告げられていなければ現行犯逮捕ではなく任意同行を求められた可能性が高いでしょう。

    任意同行を求められると、警察署や交番などで取り調べを受けます。
    その後、逃亡や証拠隠滅を図るおそれがあると判断されると逮捕状が請求されて通常逮捕されることがありますが、当日の取り調べを終えて帰宅を促された場合は逮捕を伴わない「在宅事件」として処理されることになるでしょう。
    もっとも、在宅事件として処理される方針になった場合でも、警察からの呼び出しを受けたのに応じない、連絡を無視するなどの状況があれば逮捕される可能性があるという点は覚えておきましょう

  2. (2)逮捕・勾留による最大23日間の身柄拘束を受ける

    警察に逮捕されると、警察署に連行されて48時間を限度とした身柄拘束を受けます。
    期間中は厳しい取り調べが続くうえに、警察署内の留置場に収容されるので、自宅に帰ることも、会社へ行くことも許されません。

    逮捕後48時間以内に、逮捕された被疑者の身柄は検察官へ引き継がれます。
    この手続きを送致といいますが、ニュースなどでは送検とも呼ばれています。
    送致を受理した検察官は自らも取り調べをおこない、送致から24時間以内に被疑者を釈放するか、勾留を請求しなければなりません。

    ここで検察官が勾留請求を選択すると、裁判官による審査がおこなわれます。
    裁判官が許可すると10日間の勾留が決定し、被疑者の身柄は警察へと戻されて検察官による指揮のもとで警察が取り調べなどの捜査を進めます。10日間で捜査を遂げられなかった場合は、一度に限り10日以内の延長請求が可能です。

    つまり、逮捕の段階で最大72時間、勾留の段階で最大20日間、あわせると最大23日間にわたる身柄拘束を受けることになります

  3. (3)検察官が起訴・不起訴を判断する

    勾留が満期を迎える日までに、検察官が起訴・不起訴を判断します。
    起訴は刑事裁判を提起すること、不起訴は刑事裁判の提起を見送るという処分です

    起訴されると、被疑者の立場は刑事裁判の被告人となり、警察署の留置場から拘置所へと移送されてさらに勾留されます。保釈が認められない限り、刑事裁判が終了するまで勾留が継続されるので、長期にわたって社会から隔離された生活が続くことになるでしょう。

    一方、不起訴になった場合は刑事裁判が開かれないので勾留の必要もなくなり、即日で釈放されます。たとえ器物損壊罪にあたる行為があったとしても、刑事裁判が開かれない以上は刑罰を科せられません。

  4. (4)刑事裁判が開かれる

    刑事裁判は起訴からおよそ1~2か月後に開かれます。
    初回の公判後は、おおむね1か月に一度のペースで公判が開かれます。その後、数回の審理を経て判決が言い渡されるので、刑事裁判が終了するのは起訴から数か月後です。

    最終回となる公判では判決が言い渡され、有罪・無罪の別と、有罪の場合は法定刑の範囲内で適切な量刑が言い渡されます。

4、器物損壊事件で不起訴になる可能性は? 不起訴の可能性を高める方法

器物損壊事件を起こしても、必ず刑罰を受けるわけではありません。
刑事裁判における有罪率は99%以上といわれているので、起訴されれば有罪判決が下される可能性が高くなります。
ただし、日本の法律では刑事裁判を経なければ刑罰を科せられないので、刑罰を回避できるかどうかは、検察官が起訴するか、不起訴とするかにかかっているといえます。

  1. (1)器物損壊事件の起訴率

    器物損壊事件だけの起訴率は明らかではありませんが、器物損壊罪を含めた「毀棄(きき)・隠匿の罪」に関する統計は存在します。

    令和3年分の検察統計によると、同年中に全国で毀棄・隠匿の罪で起訴された被告人の数は1610人でした。この数字は、全国の検察庁が取り扱った毀棄・隠匿の罪に関する事件の総数の22.4%にあたります。つまり、器物損壊罪を含めた毀棄・隠匿の罪の起訴率は30%以下です。

    たとえば、刑法犯の大部分を占める窃盗罪の起訴率は43.6%、人から金品などをだまし取る詐欺罪では52.7%という数字になっていることを考えると、器物損壊事件の起訴率は低いといえるでしょう。

  2. (2)器物損壊罪は「親告罪」

    器物損壊事件の起訴率が低いひとつの要因として、器物損壊罪が「親告罪」である点が挙げられます。

    親告罪とは、検察官が起訴する際の要件として、被害者からの「告訴」を要する犯罪です。
    告訴とは、犯罪の被害者が捜査機関に対して犯人の処罰を求める刑事手続きで、単に被害が発生したことを申告する被害届と比べると、被害者の強い処罰意思を表すという点で大きく異なります。
    親告罪にあたる事件は、被害者が告訴すれば厳しい処分を受ける危険が高まるともいえますが、一方で、被害者との間で示談が成立して告訴の取り消しが実現すれば検察官は起訴できなくなるという点をみると、加害者にとって有利ともいえるでしょう

  3. (3)被害者との示談交渉は弁護士に一任したほうが安全

    早期のうちに示談が成立すれば、被害者が警察に告訴をする前に事件を解決できます
    被害者が告訴の意思を示さなければ検察官の段階で不起訴になるのは確実なので、検察官への送致を見送って警察限りで処理が終了する可能性も高まるでしょう。
    また、検察官に送致されたとしても、勾留が満期を迎えるまでに示談が成立すれば起訴の要件を満たさないので不起訴になります。

    このように考えれば、器物損壊事件を起こして起訴されるか、不起訴で済まされるかは、被害者との示談交渉の結果次第です。

    とはいえ、被害者との示談交渉は容易ではありません。
    理不尽な破壊などに強い怒りを抱いている被害者のなかには、加害者からの示談の申し入れをかたくなに拒絶する者も少なからず存在します。
    加害者本人が何度も連絡していると、被害者に「脅されている」と誤解されて深刻なトラブルに発展してしまう危険もあるので、公平な第三者である弁護士に、対応を一任したほうが安全といえます
    経験豊富な弁護士に対応を任せれば、不当に過大な示談金の請求も回避できる可能性が高まるので、まずは弁護士への相談を急ぎましょう。

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5、まとめ

器物損壊事件を起こして現行犯逮捕されると、最長23日間にわたる身柄拘束を受けてしまいます。
器物損壊罪の起訴率は決して高くありませんが、何ら対策を講じなくても不起訴が期待できると考えるのは間違いです。積極的に被害者との示談交渉を進める必要があるので、事件を起こしてしまった場合は直ちに弁護士に相談してサポートを依頼しましょう。

器物損壊事件の穏便な解決を目指すなら、ベリーベスト法律事務所にご相談ください。
逮捕・勾留による身柄拘束からの早期釈放や不起訴などの有利な処分を目指して、刑事事件の解決実績が豊富な弁護士が全力でサポートします。

監修者
萩原 達也
弁護士会:
第一東京弁護士会
登録番号:
29985

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
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※本コラムは公開日当時の内容です。
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