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弁護士コラム

2024年01月23日
  • 財産事件
  • 遺失物等横領罪

遺失物等横領罪とは|落とし物を自分のものにしたら罪に問われる?

遺失物等横領罪とは|落とし物を自分のものにしたら罪に問われる?
遺失物等横領罪とは|落とし物を自分のものにしたら罪に問われる?

令和4年版の犯罪白書によると、令和3年中に全国の警察が認知した遺失物等横領事件の認知件数は1万1746件でした。そのうち検挙に至ったのは9056件で検挙率は77.1%でした。刑法犯全体の検挙率が46.6%だったことに照らすと、警察に検挙される可能性は高いといえるでしょう。

他人の落とし物を自分のものにしたり、他人に対して売ったりする行為には「遺失物等横領罪」が成立し、刑罰を受けるおそれがあります。もし遺失物等横領罪の責任を問われてしまった場合は、速やかに弁護士へご相談ください。

本記事では遺失物等横領罪について、刑罰・構成要件・成立するケースの例・弁護士ができることなどを、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

この記事で分かること

  • 遺失物等横領罪とはどのような犯罪?
  • 遺失物等横領罪が成立するケース
  • 遺失物等横領罪に問われた場合に弁護士ができること

目次

  1. 1、遺失物等横領罪とは? 科される刑罰
  2. 2、遺失物等横領罪の構成要件
    1. (1)客体が占有離脱物であること
    2. (2)客体が他人の所有物であること
    3. (3)横領したこと
  3. 3、遺失物等横領罪が成立するケースの例・横領罪や窃盗罪との違い
    1. (1)遺失物等横領罪が成立するケースの例
    2. (2)遺失物等横領罪と横領罪の違い
    3. (3)遺失物等横領罪と窃盗罪の違い
  4. 4、遺失物等横領罪に問われた場合に弁護士ができること
  5. 5、まとめ

1、遺失物等横領罪とは? 科される刑罰

遺失物等横領罪とは、「遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領」する行為に成立する犯罪です(刑法第254条)。「遺失物横領罪」や「占有離脱物横領罪」とも呼ばれます。

遺失物等横領罪の法定刑は「1年以下の懲役または10万円以下の罰金もしくは科料」で、窃盗・詐欺・横領など他の財産犯に比べると軽く設定されています。他の財産犯は他人の占有を奪取・詐取などするものであるのに対して、遺失物等横領罪はもともと他人の占有を離れた物を横領するものにすぎないからです。

2、遺失物等横領罪の構成要件

遺失物等横領罪は、以下の構成要件をいずれも満たす行為について成立します。



  1. (1)客体が占有離脱物であること

    遺失物等横領罪の客体(対象物)となるのは、所有者の占有を離れた物(=占有離脱物)です。占有離脱物には、以下の物が含まれます。


    ① 誰の占有にも属さない物
    • 遺失物
    • 漂流物
    など

    ② 委託に基づかないで横領行為者が占有するに至った物
    • 誤って払い過ぎた金銭
    • 誤配達された郵便物
    • 落ちている財布
    など


    これに対して、占有離脱物ではない物については、窃盗罪や横領罪などが成立することがあります(後述)。

  2. (2)客体が他人の所有物であること

    遺失物等横領罪の客体は、他人の所有物でなければなりません。
    たとえば所有権が放棄された物や、当初から所有者がいない物(無主物)のように財産的に保護する必要のないものについては、遺失物等横領罪は成立しません。

    他人の所有物か無主物かの区別は、遺失物等横領罪その他の財産犯の成否について問題となることがあります。たとえば判例では、区別が難しい事案について以下のとおり判断がなされています。


    • 岩石に付着自生した海草(大審院大正11年11月3日判決)
    • →岩石から剥離して採取することにより先占取得されるため、岩石の加工者の所有には属さない

    • ゴルフ場の人工池の底にあるロストボール(最高裁昭和62年4月10日決定)
    • →ゴルフ場の所有に属する

    • いけすから逃げ出した養殖色鯉(最高裁昭和56年2月20日決定)
    • →回収が困難であるとしても、飼養主の所有に属する


    なお、遺失物等横領罪には「親族間の犯罪に関する特例」が準用されています(刑法第255条、第244条)。
    親族間の犯罪に関する特例に基づき、配偶者・直系血族・同居の親族の所有物について遺失物等横領罪に当たる行為をしたときは、その刑が免除されます(刑法第244条第1項)。
    また、上記以外の親族の所有物に関する遺失物等横領罪については、被害者などの告訴がなければ公訴を提起することができません(=親告罪。同条第2項)。

  3. (3)横領したこと

    「横領」とは、「自己に領得する意思(=不法領得の意思)を外部に発現する行為」を意味すると解されています(最高裁昭和27年10月17日判決)。

    不法領得の意思とは、他人の物につきその権限がないにもかかわらず、所有者でなければできない・許されないような処分をする意思です。たとえば、以下のような行為は不法領得の意思の発現行為であるため、横領に当たります。


    • 物の売却、贈与、質入れ
    • 金銭の使い込み
    など


    これらの横領行為がなされた時点で、遺失物等横領罪は直ちに既遂となります。

3、遺失物等横領罪が成立するケースの例・横領罪や窃盗罪との違い

遺失物等横領罪が成立するケースの例や、遺失物等横領罪と横領罪・窃盗罪の違いについて解説します。

  1. (1)遺失物等横領罪が成立するケースの例

    遺失物等横領罪が成立するのは、以下のようなケースです。


    • 他人が落とした財布を拾って自分のものにした。
    • 駅のホームに置き忘れられたかばんを自分のものにした。
    • 店員が誤ってお釣りを多く渡し過ぎたことを認識しながら、そのことを告げずにお釣りを全額自分のものにした。
    • 誤って配達された郵便物を、郵便局や宛先とされている人に連絡せず自分のものにした。
    など


    特に、落とし物を拾って自分のものにすることは、遺失物等横領罪が成立する行為の典型例です(いわゆる「ネコババ事件」)。防犯カメラが設置されている箇所においてこのような行為をすると、遺失物等横領罪の責任を問われる可能性が高いでしょう。

  2. (2)遺失物等横領罪と横領罪の違い

    遺失物等横領罪とは別に、刑法では通常の横領罪(単純横領罪)と業務上横領罪が定められています。

    通常の横領罪は、委託信任関係に基づいて自己の占有する他人の物を横領する行為について成立する犯罪です(刑法第252条第1項)。また、自己の所有物であった場合でも、公務所から保管しておくように言われた物の横領については、横領罪が成立します。

    遺失物等横領罪と通常の横領罪の違いは、所有者と横領者の間における委託信任関係の有無です。通常の横領罪は、横領者が所有者の委託・信任を裏切る行為について成立するため、遺失物等横領罪と比べて、法定刑が重く設定されています(5年以下の懲役)。

    業務上横領罪は、「業務上自己の占有する他人の物を横領」する行為について成立する犯罪です(刑法第253条)。
    「業務」とは、委託を受けて反復・継続して物を管理する事務のことをいいます。たとえば、管理職や経理担当者などのように職務として会社の金銭を管理・保管する者などが業務上の占有者に当たります。

    業務上横領罪は、業務者として通常よりも高度に期待される委託信任関係を裏切る行為について成立するため、通常の横領罪よりもさらに法定刑が重く設定されています(10年以下の懲役)。

  3. (3)遺失物等横領罪と窃盗罪の違い

    遺失物等横領罪・通常の横領罪・業務上横領罪は、所有者の占有を離れた状態の客体(対象物)について成立します。

    これに対して窃盗罪(刑法第235条)は、他人が占有する物を窃取する行為について成立する犯罪です。「窃取」とは、他人の意思に反して物の占有を奪取する行為をいいます。

    遺失物等横領罪・通常の横領罪・業務上横領罪とは異なり、窃盗罪の場合は、他人が占有した状態の物を奪い取ります。物の所有権だけでなく占有も侵害される点で、法益侵害の程度が深刻であることから、窃盗罪の法定刑は重く設定されています(10年以下の懲役または50万円以下の罰金)

    なお窃盗罪のほかに、他人が占有する物の占有取得について成立する犯罪として、詐欺罪(刑法第246条)や恐喝罪(刑法第249条)が挙げられます。
    詐欺罪や恐喝罪は、他人に不当な働きかけをして物の占有を取得する行為に成立しますが、その非難の程度は窃盗罪と同等と考えられるため、いずれも窃盗罪と同等の法定刑が設定されています(10年以下の懲役)。

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4、遺失物等横領罪に問われた場合に弁護士ができること

遺失物等横領罪で取り調べの対象になった場合は、逮捕・起訴されて刑事罰を受けるおそれがあります。
身柄を拘束されれば学業や仕事のキャリアに大きな影響が出てしまったり、家族にも迷惑をかけたりすることになるでしょう。また、有罪判決が確定して前科が付けば、その後の社会生活においても、さまざまな場面で不利益を被ることになりかねません。

遺失物等横領罪について、起訴や重い刑罰を避けるためには、早い段階で弁護士へ相談することが大切です。弁護士は、以下の対応などを通じて依頼者をサポートし、身柄拘束や起訴を回避できるように尽力いたします。

① 被害者との示談
被害者に対して賠償を行って許しを得ることができれば、被疑者に有利な事情として考慮され、身柄拘束や起訴が行われる可能性が低くなります。しかし、示談交渉は加害者本人などが直接行うことは難しいため、弁護士に一任するほうが安心です。

② 取り調べに関するアドバイス
捜査機関が行う取り調べへ臨むに当たり、黙秘権や話すべきこと・話してはいけないことなどについてアドバイスし、心構えと準備ができるようにサポートいたします。

③ 検察官との交渉
被疑者にとって有利な事情を多角的に主張し、検察官に対して起訴をしないように働きかけます。


遺失物等横領罪の疑いで取り調べを受けることになったら、お早めに弁護士へご相談ください。

5、まとめ

道端や駅などで拾った物を自分のものにすると、遺失物等横領罪の責任を問われることがあります。遺失物等横領罪で逮捕・起訴されて刑事罰を受けると、社会生活上大きな不利益が生じるおそれがあるので注意が必要です。もし捜査機関から取り調べを要請されたら、速やかに弁護士へ相談してアドバイスを受けましょう。

ベリーベスト法律事務所は、刑事弁護に関するご相談を随時受け付けております。
被害者との示談や検察官との交渉などを通じて、起訴や重い刑罰を避けられるように尽力いたします。刑事事件の経験を豊富に有する弁護士が丁寧にご対応いたしますので、安心してご依頼いただけます。

遺失物等横領罪に当たる行為をしてしまい、警察に逮捕されるのではないかと不安に感じている方は、ベリーベスト法律事務所にご相談ください。

監修者
萩原 達也
弁護士会:
第一東京弁護士会
登録番号:
29985

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
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※本コラムは公開日当時の内容です。
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