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弁護士コラム

2019年01月14日
  • 性・風俗事件
  • 痴漢
  • 逮捕

痴漢で後日逮捕? 痴漢行為に適用される刑罰や構成要件、慰謝料や示談について

痴漢で後日逮捕? 痴漢行為に適用される刑罰や構成要件、慰謝料や示談について
痴漢で後日逮捕? 痴漢行為に適用される刑罰や構成要件、慰謝料や示談について

自分や家族の誰かが痴漢で逮捕された……。
突然のことで動揺してしまうかもしれませんが、すばやく対応することが求められます。

そもそもどういった行為が痴漢にあたるのか、後日逮捕や逮捕後の流れについて、また起訴・不起訴や前科がつく可能性など、痴漢で後日逮捕された場合の対処方法についてベリーベスト法律事務所の弁護士が詳しく解説します。

1、痴漢行為は「迷惑防止条例違反」や「強制わいせつ罪」に該当する

痴漢を行うと、「迷惑防止条例違反」や「強制わいせつ罪」の犯罪が成立します。
では、それぞれどのように振り分けされるのでしょうか?

  1. (1)迷惑防止条例違反

    痴漢を行うと、「迷惑防止条例違反」で逮捕されるケースも多いです。

    どのような行為が迷惑防止条例違反に抵触するかは、各都道府県の規定によって定められていますが、その内容に大きな違いはありません。

    たとえば、東京都における「迷惑防止条例」では、以下のように規定されています。

    「何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であって、次に掲げるものをしてはならない。(第5条1項)」

    「公共の場所又は公共の乗物において、衣服その他の身に着ける物の上から又は直接に人の身体に触れること。(第5条1項1号)」

    「前2号に掲げるもののほか、人に対し、公共の場所又は公共の乗物において、卑わいな言動をすること。(第5条1項3号)」


    以上の通り、禁止される内容としては、電車・バス・公共の施設などで相手の体に触れる、卑猥な言動をするといった形で、性的嫌がらせを行った者に対し、迷惑防止条例が適用されます。

    上記条項の迷惑防止条例違反による罰則は、「6か月以下の懲役または50万円以下の罰金」となりますが、地域によって罰則が大きく異なることはありません。

  2. (2)強制わいせつ罪

    強制わいせつ罪は、迷惑防止条例違反よりも重い法定刑が定められています。
    強制わいせつ罪(刑法176条)は以下の通りに規定されています。

    「13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。(刑法176条)」

    迷惑防止条例違反と強制わいせつ罪との区別についてですが、要件上は「暴行又は脅迫を用いたわいせつな行為」の有無がポイントとなります。「暴行」という言葉は一般的に「殴る・蹴る」というイメージがありますが、痴漢行為における「暴行」は被害者の意思に反してわいせつ行為を行うに足りる程度という意味で用いられます。
    そのため、たとえ殴ったり蹴ったりしていなくても、不意であったり、満員電車などで身動きが取れない状態で触るなどの行為は、それ自体が強制わいせつ罪にいう「暴行」になりえます。

    また、強制わいせつ罪の「わいせつな行為」とは、性欲を刺激する等し、かつ、普通人の性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反する行為のことです。このわいせつな行為に当たって強制わいせつ罪が適用されるか、迷惑防止条例が適用されるかが問題となるのは、着衣の上から触る行為です。この場合、衣服の厚さや薄さ、触った部位や態様等をもとに判断されることになります。
    上記のような観点から、下着の中に直接手を差し込んで性器に触れるなどの悪質な行為はもちろん、下着の上からでも、強制わいせつ罪が適用される可能性があります。
    強制わいせつ罪の法定刑は、「6か月以上の懲役または10年以下の懲役」となります。
    罰金刑は規定されてされず、迷惑防止条例違反と比較すると強制わいせつ罪の方が罪は重くなる傾向にあります。

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2、痴漢行為を発見~逮捕されたあとの流れ

  1. (1)事実確認と警察での取り調べ

    痴漢行為の嫌疑がかけられた場合、被害者や目撃者などにより現行犯逮捕されることが多いです。
    その後、警察官が呼ばれそのまま警察署に連行され、担当刑事による取り調べが行われ、調書が取られます。

    逮捕されると、通常警察から被疑者の家族へ電話で連絡が行われます。ご家族の方はすぐにでも面会したいと思うかもしれませんが、逮捕後72時間以内は、被疑者との面会は制限されることがあります。制限がされた場合、面会が可能なのは弁護士だけとなります。

  2. (2)送致・勾留

    逮捕後48時間以内に、事件書類と被疑者の身柄が検察庁に送致されます。送致されると、24時間以内に検察官は被疑者から話を聞いたうえで勾留請求するかどうかの判断を行います。

    勾留請求されると被疑者は裁判所に連れて行かれ、裁判官が勾留するかどうかの判断を行います。勾留が決定した場合、その日から10日間警察署にて身柄が拘束されます。

    この期間内に細かな取り調べが行われ、検察官は被疑者を起訴するか不起訴にするかを判断します。取り調べ等の捜査が10日間では不十分と判断される場合、勾留期間が最大で10日間延長されることもあります。

  3. (3)起訴・不起訴

    不起訴が決定すると釈放となりますので、前科はつきません。
    しかし起訴されてしまうと、刑事裁判になるため身柄はそのまま拘束され、裁判を待つことになります。100万円以下の罰金刑・科料に相当する事件の場合、略式起訴となり釈放されます。略式起訴の場合、有罪の判決を受けていることになりますので、前科がつくことになります。

  4. (4)裁判

    起訴後、約1か月後に刑事裁判が開かれ、有罪もしくは無罪の判決が下されます。

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3、痴漢で後日逮捕のケースは?

痴漢は現行犯逮捕がほとんどですが、後日逮捕されるケースもあります。

後日逮捕されるケースでは、被害者からの申告があり、捜査機関が防犯カメラなどから被疑者を特定し、揃えた証拠をもとに裁判所に対して逮捕状を請求します。

また、痴漢行為の嫌疑がかけられ駅員と話しているうちに隙を見て逃げたものの、捜査機関が駅に設置された防犯カメラなどから、犯人の身元を特定した場合は後日逮捕される可能性があります。

また、被害者が「相手の肌の一部をひっかいた」ということであればDNA採取がなされてそれが証拠となるケースもあります。

痴漢を行った当日に逮捕されなくとも、事件から数日後、ある日突然警察が訪ねてきて逮捕される可能性はありますので、決して安心はできないでしょう。

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4、痴漢で不起訴処分となるためには

こちらでは不起訴処分を獲得するための方法について説明いたします。

  1. (1)被害者との示談成立

    被害者と示談が成立すれば、結果的に「刑事裁判にならない」「不起訴になり前科がつかない」という可能性は十分に高くなります。
    民事上においても、一度示談が成立すれば示談金以上の金額を請求されることはなくなります。よって示談は加害者にとって民事および刑事の両方において大きなメリットになります。

    示談が成立した場合は、のちのちのトラブルを防ぐためにも示談書は作成しましょう。

  2. (2)反省の態度を示す

    被疑者本人がしっかりと反省し、二度と同じ過ちを犯さないと誓っていることを捜査機関に理解してもらうことが重要となります。

  3. (3)家族が被疑者をしっかりと監督する

    家族がいれば、被疑者が再犯に及ばないようにしっかりと家族が監督することを期待できます。
    そのことを捜査機関に理解してもらうために、しっかりと主張しましょう。

  4. (4)初犯や行為の程度について

    初犯であること、または行為の程度が悪質ではないことを示し、検察官に不起訴処分の申し入れを行うことで、不起訴処分を獲得できる可能性が高くなります。

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5、痴漢における示談金の相場について

痴漢事件の示談金の相場は、ケースバイケースになります。
初犯だからといって示談金が安くなるということはなく、被害や行為の程度によって金額が決まります。
いずれにしても事件内容によって示談の金額は異なりますので、妥当な示談金額や相場を知りたい場合は弁護士にご相談ください。

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6、痴漢事件における解決事例

痴漢事件における解決事例をいくつかご紹介します。

  1. (1)早期に示談を成立させ不起訴処分となったケース

    被疑者がコンビニエンスストアで痴漢行為をし、その犯行の様子が店内の防犯カメラに写っていたため警察に呼び出しを受けました。被疑者とそのご家族から相談を受けた弁護士は、検察官から被害者の連絡先を聞き、ただちに示談交渉を行いました。早期の謝罪と誠意のある対応をしたことで被害者側も納得し、示談が成立し不起訴の結果となりました。

  2. (2)反省の態度を示し、被害者との示談が成立。不起訴処分となったケース

    被疑者が通学途中の電車内で痴漢行為をし、被害者によって現行犯逮捕されました。
    被疑者の家族から相談を受けた弁護士は被疑者と接見。被疑者は容疑を認め、深い反省の態度を示していました。弁護士は捜査機関の力を借りて被害者側の連絡先を確認し、すぐに示談交渉を行いました。最初はなかなか示談交渉に応じなかったものの、被疑者の反省文を被害者に読んでもらったところ、被害者側と最終的に示談が成立し、被害届は取り下げられることになりました。

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7、まとめ

たとえ痴漢で逮捕・勾留されたとしても、不起訴処分となれば前科もつかずに済みます。

不起訴処分を獲得するためには、被害者との示談成立が重要となります。
しかし、当事者が被害者に対して直接示談交渉を行うことは、被害者の気持ちを考えると難しいケースも多く、一般的には弁護士などの第三者を通じて示談交渉を行います。
そのため、痴漢で逮捕されてしまったらなるべく早く弁護士に相談されることをおすすめいたします。

痴漢事件でお困りの方はベリーベスト法律事務所までご相談ください。担当の弁護士が的確なアドバイスを行い、全力でサポートいたします。

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本コラムを監修した弁護士
萩原 達也
ベリーベスト法律事務所
代表弁護士
弁護士会:
第一東京弁護士会

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※本コラムは公開日当時の内容です。
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