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弁護士コラム

2019年03月04日
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盗撮の慰謝料に支払い義務はあるの? 民事裁判での相場と判例について

盗撮の慰謝料に支払い義務はあるの? 民事裁判での相場と判例について
盗撮の慰謝料に支払い義務はあるの? 民事裁判での相場と判例について

電車などで女性の下着など衣服で隠れている箇所を、本人や周りの人間に気づかれることなく、こっそりと盗み撮り・隠し撮りすることを「盗撮(とうさつ)」といいます。もちろんこの盗撮行為は、れっきとした犯罪行為であることはいうまでもありません。

近年、盗撮行為での検挙者が急増しています。犯罪白書(法務省)によれば、平成24年には2,408件であった盗撮の検挙件数が、平成26年には3,265件まで増加しています。この実態の裏にはスマートフォンの普及が関係しており、気軽にいつでも撮影できることが盗撮という犯罪行為につながりやすくなっているといえるでしょう。

盗撮行為をしてしまった場合、裁判を免れることはできるのか、慰謝料を支払わなくてはならないのか、などについて詳しく解説します。

1、盗撮で民事裁判になるのはどのようなケース?

  1. (1)盗撮行為の罰則(条例)

    あらかじめ、盗撮行為をした場合、どのような罰則が適用されるかについて知っておきましょう。

    刑法に「盗撮罪」という規定があるわけではありません。しかし、公共の場で行われる盗撮行為は、各都道府県で規定されている「迷惑防止条例」に抵触する可能性があります。

    条例とは、都道府県議会がごとに定められた自主法です。
    たとえば、東京都を例にすると、「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」があり、その第5条に「何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であって、次に掲げるものをしてはならない。」と規定されています。

    不安を覚えさせるような行為の具体例として、盗撮行為があげられています。東京都内の公共の場で盗撮行為を犯した場合には、この東京都の迷惑防止条例の第5条を根拠に罰せられることになります。

    盗撮容疑で逮捕されたことが初めてで、常習性はないと判断されれば、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が、罰則として設定されています。
    ただし、カメラやパソコン内に多数の盗撮の写真があった場合など「常習」と判断された場合には、2年以下の懲役または100万円以下の罰金に科せられる可能性があります。

    なお、同じ迷惑防止条例違反で逮捕されたとしても、条例の罰則規定は都道府県ごとで差があります。該当の地域で設定されている条例に基づいた処罰を受けることになるでしょう。

  2. (2)盗撮行為の罰則(軽犯罪法)

    盗撮した現場が、公共の場ではなかった場合、「軽犯罪法」という法律によって取り締まりを受ける可能性があります。

    軽犯罪法の1条には、「左の各号の1に該当する者は、これを拘留又は科料に処する」と記されています。以降に、その具体例が明記されているのです。

    中でも盗撮は、軽犯罪法第1条23号に規定されている、「正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者」として罪を問われる可能性があります。

    「のぞき見た者」という表現が「盗撮」とは違うのではないか? と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、盗撮をする際に、レンズなどを通して被写体を「のぞき見」するわけですから、盗撮行為もこの23号に該当すると判断されています。

    この軽犯罪法に該当した場合には、拘留(1日~30日未満の身柄拘束)又は科料(1000円~1万円未満)が科せられます。

  3. (3)条例と軽犯罪法の違い

    条例と軽犯罪法のどちらの規定が適用されるかは、盗撮行為が行われた場所によって判断されます。電車など不特定多数の人間が出入りする箇所で盗撮行為が行われた場合には条例が適用されます。
    他人の家などプライベートスペースに忍び込んで盗撮をした場合、家には不特定多数の人間が出入りするわけではないので、軽犯罪法が適用されます。状況によっては、住居侵入罪などに問われることもあるでしょう。なお、東京都迷惑防止条例では、同様の規定が条例内にあります。

    ほかにも、被写体が未成年である場合には、児童ポルノ禁止法違反に関する罪に問われる可能性もあります。

  4. (4)民事裁判になるケース(示談の不成立)

    盗撮した結果、民事裁判になってしまうケースは、加害者が民事責任を果たしていないケースです。示談が成立しなかった場合、あるいは示談が成立したにも限らず加害者がその損害賠償を実行しなかったケースが該当します。被害者が加害者の行為によって発生した苦痛などの慰謝料や、実際に発生した費用の請求を求め、民事裁判を提起することがあるでしょう。

    なお、「示談」とは、裁判ではなく、被害者と加害者同士で話し合って解決を目指すことをさします。

    刑事事件における示談では、加害者が苦痛を与えた事実に対する慰謝料(示談金)を払うとともに、被害者に許しを請い、それに対して被害者に損害賠償金を受け取ってもらい「宥恕(ゆうじょ)」を得ることを目指します。宥恕とは、「罪を問わない」、「加害者を許す」ことです。

    つまり、示談が成立すれば、もしくは宥恕はされなくても慰謝料を受け取ってもらえたのであれば、「民事で発生する損害賠償責任を果たした」ということになります。
    示談がまとまれば前述のとおり民事裁判になる可能性はない上、刑事事件においても情状が酌量され、起訴を回避できる可能性があります。

    他方、被害者と連絡が取れないときはもちろん、被害者が加害者を許す気持ちが一切ない場合は示談が成立する余地はありません。加害者側におわびや謝罪の気持ちが見られない場合や、金銭的余裕がない場合も示談が成立する見込みは低いでしょう。

    日本の刑事事件においては、この示談が成立している・しないという実態が、処罰の重さを左右することがよくあります。
    それは裁判所が、被害者の処罰感情を非常に重視しているためです。なお、加害者が示談をすることによって、刑事裁判で罰の軽減を求める場合は、刑事裁判が終了する前に示談が成立していることや、その示談過程で決めた、たとえば金銭の支払いなどが完了していなければならないことはいうまでもありません。

    また、示談が成立した場合には話し合いによって事件は解決していて、民事責任は果たしていると考えられます。
    したがって、被害者が加害者に対して、慰謝料を請求して民事裁判を提起する理由はなくなります。

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2、民事裁判の慰謝料を払う義務はあるの?

  1. (1)民法で慰謝料の支払いが定められている

    たとえ刑事罰が決定して罰金を支払ったとしても、加害者は被害者に対して賠償責任を果たしたとはいえません。したがって、請求を受ければ慰謝料を払う義務があります。

    民法710条には「他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。」と、慰謝料についての規定が明文化されています。

    つまり、民事裁判の判決で慰謝料の支払いが命じられれば、加害者はその内容に従う義務を負います。もし、加害者が仮に支払いを拒んだ場合、被害者は、加害者の同意なく加害者の財産、たとえば預貯金や不動産などを強制的に差し押さえることができる「強制執行手続き」を申し立てることも可能となります。

    もちろん被害者が合意すれば、被害者に対して支払う慰謝料の金額は交渉することは可能です。ただし、現実的には、加害者が提示した金額で合意ができるならば、民事裁判に至らなくとも話し合いの時点で示談が成立しているものです。

    民事裁判を起こされてしまったケースで請求金額の減額を求める場合は、少なくとも示談時に提示した金額を上回る金額を提示しなければ合意を得ることは難しいかもしれません。

    加害者からすれば、示談金の相場が気になるところですが、こればかりは犯行の内容によって異なる上、被害者の合意が大前提となるので、具体的な金額の基準はありません。
    数十万で合意することもあれば、たとえ数千万払うと提示した場合でも、被害者の感情によっては示談が成立しないこともあるためです。

  2. (2)慰謝料請求の時効

    なお、被害者が加害者に対して慰謝料を請求するには時間的制限があります。つまり「時効」です。

    時効は、被害者が被害による損害もしくは加害者を知ってから3年を経過すると成立します。したがって、事件から3年が経過する間に一切請求されなければ時効が成立したといえるでしょう。

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3、慰謝料請求に応じたら示談できる?

加害者が慰謝料の請求に応じても、刑事事件上で情状酌量に大きく関係する「宥恕文言」を得られるとは限りません。

また、実際に示談が成立するためには、精神的苦痛を与えた場合の慰謝料のほかにも、たとえば、盗撮行為によって、何か被害者の持ち物が壊れた場合にはその弁償も支払う必要があります。金銭以外にも、謝罪や、盗撮の画像の削除を求めてきたら、加害者は被害者が求めてきたことにはきちんと応じなければ示談が成立する可能性が低くなるでしょう。

示談は被害者と加害者の両方が合意しなければ成立しません。
よって、被害者からすれば、加害者が自分の要望に応じなかったら示談に応じなければよいのです。「加害者を許すことはないが、慰謝料請求は行う」というケースももちろんあります。その場合は、民事責任を果たしたという姿勢についてのみ情状を酌量されることもあるでしょう。

いずれにしても、示談を行わなかったり、慰謝料請求に応じなかったりした場合は、反省をしていないとみなされ、科せられる刑罰が重くなる可能性が高まります。
もちろん、民事裁判も起こされる可能性もあるため、よほど法外な請求をしてこない限り、加害者としてはなるべく示談に応じるように努めることをおすすめします。
なお、加害者が被害者の要望に応じることも大事ですが、弁護士にきちんと示談交渉を依頼することによっても、示談成立の可能性が高まります。刑事事件にまつわる示談に対応した経験が豊富な弁護士であれば、過去の判例や事例などの知識もあるため、適切な交渉を行うことができるためです。

そもそも盗撮のケースでは加害者と被害者が知り合いではないケースも多く、示談そのものが始められないこともあります。
また、たとえ知り合いであったとしても、加害者と被害者のふたりだけで交渉すると、感情的になって話がこじれることが考えられます。

示談が成立しなかったとしても、弁護士に弁護活動を依頼しておくことによって、加害者が示談をまとめるために努力していたことを証明します。

さらに、二度と過ちを犯さないようにカウンセリングを受けるなど加害者自身が努力をしていれば、その事実を捜査機関に伝えることも可能です。これらの努力は、刑事裁判の判断にも左右され、情状酌量されることにもつながります。

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4、まとめ

盗撮行為には、盗撮した場所や状況において適用される法律が異なります。
いずれにせよ、被害者と示談を成立させることが重要です。示談が成立していれば、情状が酌量されるため、刑事罰が軽減される、あるいは不起訴となる可能性が高まります。

また、あらかじめ示談を成立させることによって、民事責任を果たすことができるため、のちのち民事裁判を起こされ、損害賠償を請求されてしまう可能性がなくなります。

起訴された場合、約99%は有罪となります。つまり、いったん起訴されてしまえば、ほとんどのケースで前科がついてしまうという事です。今後の生活にも影響が出る可能性は否定できません。

盗撮で逮捕された場合は、少しでも早くベリーベスト法律事務所へご相談ください。実績が豊富な弁護士が状況を見極め、適切な示談と弁護活動を行います。

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監修者
萩原 達也
弁護士会:
第一東京弁護士会
登録番号:
29985

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※本コラムは公開日当時の内容です。
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