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痴漢行為がバレて現行犯逮捕!? 逮捕後の流れや示談方法・判例について解説
電車など公共交通機関での痴漢被害は、度々ニュースでも取り上げられています。平成29年に法務省で公表された「犯罪白書」によると、平成28年における痴漢行為を含む強制わいせつ罪での認知件数は6188件にものぼります。
痴漢被害はバスや電車といった大勢の人が密集しているような状況で起こることが多いため、日常生活の中において身近な性犯罪です。そのため、自分だけでなく家族や身内、又は友人が痴漢の加害者に問われてしまう可能性も十分にあり得るのです。
今回は、痴漢行為で逮捕された場合何罪に当たるのか、逮捕後の流れ、またどのような判例があるのかなどを、弁護士が丁寧に解説していきます。
1、痴漢とは何罪に当たるのか
痴漢については、具体的には「痴漢罪」という罪は規定されておらず、「迷惑防止条例違反」または「強制わいせつ罪」などにより、痴漢の加害者は処罰されることになります。
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(1)迷惑防止条例
迷惑防止条例違反とは、各都道府県で定める条例において痴漢などの迷惑行為を処罰する規定のことをいいます。
各都道府県で定めるためその内容は各都道府県によって異なりますが、大きな違いはありません。
東京都の「迷惑防止条例」では、下記のように定められています。「何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であって、次に掲げるものをしてはならない。(第5条1項)」
「公共の場所又は公共の乗物において、衣服その他の身に着ける物の上から又は直接に人の身体に触れること。(第5条1項1号)」
「前2号に掲げるもののほか、人に対し、公共の場所又は公共の乗物において、卑わいな言動をすること。(第5条1項3号)」
上記の通り、電車などの公共の場所や乗り物で、衣服の上から相手の身体に触れたり、卑猥な言動などをすると「迷惑防止条例」が適用される可能性があります。
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(2)強制わいせつ罪
強制わいせつ罪は、迷惑防止条例と比較するとより重い刑罰が定められており、以下のように規定されています。
「13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6ヶ月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。(刑法176条)」
強制わいせつ罪に規定されている「暴行又は脅迫」は、被害者の意思に反する行為などを行う場合に認められやすいです。「暴行」というと、直接相手を殴るようなイメージがありますが、殴るなどの暴行を加えなくても、満員電車で身動きが取れない状態で触ると、それ自体が強制わいせつにおける「暴行」となる可能性があります。
また、強制わいせつ罪の「わいせつ行為」についてですが、下着の中に直接手を差し込んで性器に触れるなどの悪質なケースが多い傾向にありますが、強制わいせつ罪かどうかは、その衣服の厚さや薄さ、触った部位などさまざまな事情から考慮されますので、たとえ衣服の上からだったとしても、強制わいせつ罪で逮捕される可能性があります。
強制わいせつ罪の法定刑は、6ヶ月以上10年以下の懲役となります。罰金刑はありません。
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2、痴漢は現行犯だけではなく通常逮捕(後日逮捕)のケースもある
一般的に、痴漢で逮捕される場合は、その場で逮捕される「現行犯逮捕」が多い傾向にあります。
しかし痴漢は現行犯逮捕だけでなく、痴漢行為をした後に逮捕される通常逮捕(後日逮捕)となるケースもあります。
通常逮捕(後日逮捕)の場合、痴漢行為が発生した後に被疑者が逃走するなどして、現行犯で逮捕されないケースがあります。
このようなケースですと、被害者から申告があり、捜査機関が駅の監視カメラやその他の情報から被疑者を特定し、後日揃えた証拠をもとに逮捕状を請求することがあります。
痴漢行為の証拠となるものですが、被害者に付着した被疑者の衣服の繊維や、犯行現場にいた目撃者の証言、また被害者の証言などがあり得ます。
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3、痴漢で逮捕された場合の流れ
痴漢で逮捕された後から裁判までの流れについてですが、具体的には下記の通りに進みます。
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(1)逮捕
痴漢として逮捕された場合、まずは警察による取り調べなどを受けて、調書を取られることになります。
通常、逮捕されると警察から被疑者の家族に連絡が行われますが、逮捕後72時間は被疑者とご家族の面会が制限されることがあります。逮捕後すぐに被疑者と面会できるのは弁護士のみです。 -
(2)送致、勾留
逮捕後48時間以内に検察官へ身柄を送致されます。送致されると、検察官は被疑者を勾留するかどうかの判断を行います。
勾留が必要と判断されると、検察官は裁判官に対して勾留請求を行います。勾留請求が認められると、10日間身柄を拘束されることになります。またさらに必要と判断されれば、最大でさらに10日間勾留の延長が認められることがあります。
勾留されている間に、取り調べなどが行われて、検察官は被疑者を起訴するかどうかを判断します。不起訴処分となれば、身柄は解放されます。 -
(3)起訴・不起訴の決定
不起訴処分となれば、そのまま身柄を解放されることになります。前科もつきません。
しかし起訴されてしまうと、基本的に刑事裁判が行われますので引き続き身柄が拘束される可能性が高いです。100万円以下の罰金刑・科料に相当する事件の場合は、略式起訴で釈放されますが、前科がつくことになります。 -
(4)裁判
起訴されると、約1ヶ月後に刑事裁判が開かれます。裁判では、被告人を有罪とするのか無罪とするのか判決が下されます。
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4、痴漢の解決事例をご紹介
こちらでは、痴漢で逮捕された方の解決事例についていくつかご紹介いたします。
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(1)酔って女性の身体に触り逮捕。示談が成立し、不起訴となったケース
お酒を提供する店の中で被疑者が酔った勢いで、女性の身体を触り迷惑防止条例違反に問われたケースです。
お酒を飲みすぎたあまり気が強くなってしまい、嫌がる女性の身体を無理に触ってしまい迷惑防止条例違反に問われました。被疑者はわいせつ行為におよんだ直後に警察に逮捕され、釈放はされたものの起訴の可能性が残りましたが、後日、被害者との示談が成立し、不起訴処分となりました。 -
(2)電車内で痴漢をして逮捕。すぐに示談交渉を行い、不起訴となったケース
被疑者は電車内で痴漢行為をしたため、その場で現行犯逮捕されました。
こちらのケースでは警察の取り調べを受けた後に釈放されていたため日常生活において不自由はなかったものの、検察官による捜査は粛々と進んでいましたが、被害者との示談交渉の末に示談が成立し、不起訴処分となりました。 -
(3)痴漢で再犯。被疑者のご家族からのご依頼で早期に示談成立、不起訴となったケース
電車内で女学生の服の上から身体を触るといった痴漢行為で逮捕された被疑者は、翌日釈放されたものの、在宅で取り調べを受けることになりました。被疑者は以前にも同様の罪で警察に逮捕されたことがあったため刑が重くなる可能性もありましたが、被害者との示談が成立したため、不起訴処分となりました。
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5、痴漢の示談を成立させるために必要なこととは
痴漢行為により起訴されるかどうかや処罰の内容などは、逮捕から起訴されるまでに被害者との間に示談が成立しているかどうか、が重要な要素になります。
通常、示談は弁護士が被害者と交渉を行います。
被害者への謝罪の言葉と共に、以下の内容を記載した示談書を提案し、示談交渉を行うことがあります。
- ①痴漢行為の日時場所等の概要
- ②加害者と被害者の名前
- ③示談金の金額
- ④誓約事項(被害者へ今後接触しないことなど) など
示談金の額は、事件の状況や態様の悪質性を考慮して、弁護士が算出した適切な金額を被害者に提示することもありますが、最終的には被害者との交渉の中で決定いたします。
被害者の方は、非常に傷つき辛い思いをしていますので、特に性犯罪に関しては示談交渉を拒否されるケースも少なくありません。
しかしベリーベスト法律事務所では、豊富な解決実績やノウハウをもとに、誠実に被害者へ対応し示談に応じてもらえるように取り組んでいます。
もしご家族やご友人が痴漢行為の被疑者として逮捕された場合は、なるべく早く弁護士にご相談ください。
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6、まとめ
万が一、ご自身やご家族、身内などが痴漢行為をして逮捕されてしまい、どうするべきか迷っているのであれば、まずは弁護士に相談されることをおすすめします。早めの弁護活動により不起訴となるケースもあります。
おひとりで悩まず、どんな些細なことでもご相談に応じますので、是非ベリーベスト法律事務所にご相談ください痴漢をはじめとした刑事事件の知識が豊富な弁護士が、親身に対応いたします。
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※本コラムは公開日当時の内容です。
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