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痴漢での示談の重要性や示談金の相場について
家族が痴漢で逮捕されたと聞けば、本人がどのような罰を受けるのか、家族として何かできることがないかなど、疑問や不安がつきまとうでしょう。痴漢事件で早期の身柄釈放を目指したり、処分を軽くしたりするためには被害者との示談成立が鍵を握ります。しかし、示談の重要性や示談金の相場、方法など、示談については知らないことが多いのではないでしょうか。
そこで、ここでは痴漢行為の概要を解説しつつ、痴漢事件の示談と示談金の相場について紹介します。
1、痴漢とは
痴漢とは、相手の意に反して性的な行為をすることです。 痴漢は電車やバス、駅のエスカレーターや階段、路上などさまざまな場所で発生しており、特に電車は大勢の人が密集するため、痴漢が発生しやすい場所とされています。
以下のような行為が痴漢に該当します。
- 衣服の上から身体をさわる、なでまわす。
- 下着の中に手を入れる。
- 自分の身体や股間を押しつける。
- 背後から抱きつく、無理やり密着する。
- 衣服のボタンやスカートのファスナーを外す。
痴漢行為をすると、地方自治体が定める迷惑防止条例違反か、刑法の強制わいせつ罪で処罰されます。どちらで罰せられるのかは行為の内容によって異なりますが、悪質性が高くエスカレートした行為に対しては強制わいせつ罪が適用される可能性が高くなります。
いずれにしても痴漢は犯罪にあたり、他人をいたずらに辱め、尊厳を傷つける行為として罰を受けるだけでなく社会的な批判にさらされます。一方で、被害者が犯人を誤認しやすく、冤罪が発生しやすい側面があることも特徴です。
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2、迷惑防止条例違反にあたるケース
迷惑防止条例違反にあたる痴漢とは、①公共の場所や公共の乗り物などで、②人を恥ずかしいと思わせたり、不安を覚えさせたりする卑わいな言動を伴う行為のことです。 公共の場所には路上や公園、駅、空港など、公共の乗り物には電車やバス、飛行機などが該当し、いずれも不特定多数の人が利用できます。したがって、個人宅や飲食店の個室などでわいせつ行為におよんだ場合は迷惑防止条例違反ではなく、強制わいせつ罪にあたる可能性があります。
また、被害者となる「人」は男女を問いません。痴漢は一般的に男性が女性に対して行う犯罪というイメージがありますが、女性から男性、あるいは男性から男性に対する痴漢行為も犯罪にあたります。
迷惑防止条例は各自治体で制定されており、名称や内容、罰則も異なります。東京都では「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」の第5条で、粗暴行為の禁止として定められています。東京都で痴漢行為をすると「6ヶ月以下の懲役又は50万円以下の罰金」、常習の場合は「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」に処されます。実際の量刑は行為の内容や前科、示談の有無、本人の反省の度合いなどによって左右されます。
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3、強制わいせつ罪にあたるケース
強制わいせつ罪には、①13歳以上の者に暴行や脅迫を用いてわいせつな行為をすること、②13歳未満の者にわいせつな行為をすることが該当します。
暴行とは殴る蹴るなどの乱暴を働くこと、脅迫とは大声で怒鳴ったり弱みを握ったりして脅すことをイメージするかもしれません。しかし、強制わいせつ罪における暴行や脅迫は、被害者の意思に反してわいせつな行為をするに足りる程度でよいとされているため、身体を押さえる、抱きつく、服を引っ張るといった行為も該当します。たとえば電車の中で痴漢を行い、被害者が怖くて抵抗できなかったような場合は強制わいせつ罪にあたると考えられます。また、性的保護の観点から13歳未満の者に対するわいせつな行為は、暴行や脅迫を用いなかったとしても強制わいせつ罪に問われます。
強制わいせつ罪で有罪になると「6ヶ月以上10年以下の懲役」に処されます。迷惑防止条例違反のように罰金刑がないので、執行猶予が付かない限り刑務所に収監されます。
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4、示談の重要性や示談金について
示談とは裁判によらず当事者同士の話し合いによって和解する方法です。一般的に痴漢の示談は、被害者に謝罪を行い、被害届を取り下げてもらうことを目的とします。
示談成立は被害者の処罰感情が薄れたことの証明になるため、処分を判断する際の判断材料として効果を発揮します。特に初犯の迷惑防止条例違反の場合は、早期の身柄釈放や不起訴処分となる可能性が高くなります。不起訴処分になれば前科が付かないので、加害者が日常生活に戻る大きな助けとなります。また、必ずしも不起訴になるわけではありませんが、起訴されたとしても執行猶予付き判決や減刑、保釈につながりやすいので、やはり示談を成立させておくべきです。もし、起訴段階で示談が成立していなければ、処分決定で考慮される情状が減ることになり、処分が厳しくなる可能性が高くなります。
また、痴漢の示談金は被害者の精神的苦痛に対する慰謝料としての意味合いがある一方、加害者が今後新たに損害賠償を請求されないための役割も果たすため、支払っておくことをおすすめします。
なお、痴漢冤罪で逮捕された場合、多くのケースで弁護士が被害者と示談交渉を行います。
痴漢は被害者の証言のみに頼らざるを得ない側面があり、たとえ事実ではなくても長期間身柄を拘束されることがあるためです。身柄拘束が長引けば会社や学校への影響は必至ですから、示談によって早期の事態収束を図ります。裁判になれば冤罪でも有罪となってしまうおそれがあり、時間や費用もかかります。
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5、痴漢の示談金の相場は?
示談金は当事者の合意によって決められるので、示談金の相場とかけ離れた金額になることも珍しくありません。具体的な行為の内容や状況によって金額が大幅に変わることがあるので、弁護士へ相談し、適切な金額での示談を目指しましょう。
一般的に痴漢行為の悪質性が高く、被害の程度が重いと示談金の額が高くなる傾向があります。痴漢行為を繰り返している場合や前科がある場合も同様です。また、加害者の社会的立場や職業などによっては、示談不成立の際に失うものが大きいことから、高額になるケースがあります。そのほか、被害者が未成年の場合は精神的苦痛の度合いが大きく、被害者家族の処罰感情も高くなりやすいので示談金の額が跳ね上がる可能性があります。一方、初犯で行為の内容が軽微である、本人が深く反省しているなどの場合は、交渉によって少額の示談金で済むことがあります。
なお加害者が逮捕され、身柄を拘束されている場合、加害者家族などが示談金を代わりに支払います。
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6、痴漢の示談交渉なら弁護士へ
痴漢をした加害者のために加害者家族が示談交渉を試みるケースがありますが、痴漢の示談交渉は弁護士へ依頼することをおすすめします。
そもそも捜査機関は性犯罪の加害者に対して、被害者の連絡先を教えることはないので、加害者や加害者家族が被害者と連絡をとることができません。仮に連絡先を知っていたとしても、被害者の処罰感情が強く、直接会えなかったり示談自体を拒否されたりすることが想定されます。本人からの接触はもちろんのこと、その家族であっても同様に拒否されるおそれがあります。
しかし、弁護士は検察官に依頼し、被害者の了承を得たうえで連絡先を知ることができます。また、弁護士は守秘義務があり、事件の第三者として冷静に話し合いができるので、被害者が示談交渉に応じてくれやすくなります。交渉力もあるので、不相当に高額な示談金を請求されずに済むのもメリットでしょう。
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7、まとめ
今回は、痴漢事件の示談をテーマに、示談の重要性や示談金の傾向、犯罪行為の概要などをお伝えしました。
痴漢事件では示談成立の影響は大きく、示談成立によって早期の身柄釈放や不起訴処分の獲得などにつながる可能性が高くなります。しかし、被害者感情を鑑みると本人や家族が被害者と直接示談交渉をすることは困難です。やはり、できるだけ早く弁護士に相談することが得策です。
ベリーベスト法律事務所の弁護士も早期釈放や、不起訴処分を目指した弁護活動を行っています。家族が痴漢で逮捕されたとお困りの方は、一度ご連絡ください。
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※本コラムは公開日当時の内容です。
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