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弁護士コラム

2019年08月20日
  • 性・風俗事件
  • 強制性交等罪
  • 集団強姦罪

集団強姦罪は強制性交等罪へ改正! 不起訴や執行猶予になる可能性は?

集団強姦罪は強制性交等罪へ改正! 不起訴や執行猶予になる可能性は?
集団強姦罪は強制性交等罪へ改正! 不起訴や執行猶予になる可能性は?

有名大学の学生による集団強姦事件はたびたび発覚し、世間に衝撃を与える事件のひとつかもしれません。いわゆる「集団強姦罪」は、くしくも同じく有名大学の大学生らによる集団強姦事件がきっかけとなり、平成16年に新設された犯罪です。

しかし、平成29年の刑法改正に伴い、この「集団強姦罪」は廃止されていることをご存じでしょうか。

では、令和元年現在、集団強姦の現場にメンバーとして加わっていたとしたらどのような罪に該当し、どのような処罰を受けるのでしょうか? たとえば見張り役などをしていたというケースでも処罰を受けることになるのかなど、気になる方もいるでしょう。

ここでは、平成29年に改正された「強制性交等罪」と集団強姦の関係について、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

令和5年7月13日に強制わいせつ罪は「不同意わいせつ罪」へ、強制性交罪は「不同意性交等罪」へ改正されました。

目次

  1. 1、集団強姦罪とは?
  2. 2、強制性交等罪の共同正犯が成立する具体的な事例
  3. 3、5年以上の懲役なら実刑確実?
  4. 4、実刑判決を回避するためにできることは?
    1. (1)被害者との示談の成立
    2. (2)再犯防止の対策
  5. 5、まとめ

1、集団強姦罪とは?

集団強姦罪とは、かつて刑法第178条の2に規定されていた性犯罪のひとつです。強姦罪と密接な関係にあるので、まずはそれぞれの条文を確認してみましょう。

【刑法第177条(旧)】
暴行または脅迫を用いて13歳以上の女子を姦淫した者は、強姦の罪とし、3年以上の有期懲役に処する。13歳未満の女子を姦淫した者も、同様とする。

【同第178条の2(旧)】
2人以上の者が現場において共同して第177条または前条第2項の罪を犯したときは、4年以上の有期懲役に処する。


旧刑法では、以下の内容で構成されていました。

  • 第177条……強姦罪
  • 第178条2項……準強姦罪
  • 第178条の2……集団強姦罪


強姦罪の法定刑が3年以上の懲役であったところ、集団強姦罪では、犯罪の悪質性に鑑みて、さらに重たい4年以上の懲役が規定されていました。

ところが、平成29年の刑法改正では第177条が次のとおり改められました。

【刑法第177条(新)】
13歳以上の者に対し、暴行または脅迫を用いて性交、肛門性交または口腔性交(以下「性交等」という)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。


条文をみると明らかですが、強姦罪は「強制性交等罪」へ名前を変え、法定刑が3年以下から5年以下に引き上げられました。

より重きに処するべきである集団強姦罪の法定刑を超えたので、集団強姦罪は強制性交等罪に吸収されるかたちで刑法から削除されています。つまり、複数人による強姦加害者の一員となれば、全員が強制性交等罪の刑罰を科せられることになります。

また、改正前の強姦罪は、起訴の条件として被害者による告訴が必須となる「親告罪」でした。つまり、示談によって告訴の取り下げがなされれば起訴や処罰は回避できていたという状況があります。結果、加害者らが告訴の取り下げを強く求め、被害者がさらに精神的に疲弊してしまったり、捜査機関が「捜査のためには告訴が必要」と申し向けて被害者に適切な対応を取らなかったりしたケースが問題視されました。これらが背景になり、現行の「強制性交等罪」では、告訴がなくても検察は起訴できる「非親告罪」となっています。

2、強制性交等罪の共同正犯が成立する具体的な事例

改正前、「姦淫」とは男性の陰茎を女性の膣内に没入させる行為に限られ、強制的に肛門や口腔内への陰茎を挿入する行為は「強制わいせつ罪」が適用されていました。しかし、強制わいせつ罪の罰則は6ヶ月以上10年以下の懲役刑であり、強姦罪との刑罰の差は歴然です。そこで、本改正で肛門性交や口腔性交も強制性交等として処罰の対象となりました。

また、旧集団強姦罪では「強姦の現場において共同する」という条件がありました。これによって、たとえばある1名が姦淫中に残りの数名は見張り役に徹してその場を離れ、これを全員が役割を交代しながら輪姦した場合には、集団強姦罪ではなく強姦罪の共犯とみなされてしまうケースがあったのです。しかし、旧集団強姦罪と強姦罪では罰則に差があります。そこで改正後の強制性交等罪ではこのようなケースも共同正犯として男女問わず処罰の対象となっています。

具体的に複数人による犯行が処罰対象となるケースを挙げてみましょう。

  • 複数人が共謀共同のうえ、本人が性交または肛門性交や口腔性交をした場合は「正犯」となる
  • 複数人が現場にいる状況で、他の共犯者が性交しやすいように被害者を押さえつけるなどした場合は「共同正犯」になる
  • 複数人が現場にいる状況で、自分は見張り役にまわって性交しなかった場合も「共同正犯」とみなされる


これらのケースは、すべて強制性交等罪の正犯または正犯と同じ扱いを受けます。「その場にいただけ」だと主張しても、見張り役や連絡役などとして協力していたという実態であれば、実際に姦淫した者と同じように5年以上の懲役刑が科せられることになるでしょう。

3、5年以上の懲役なら実刑確実?

刑法改正によって、強姦罪や集団強姦罪は「強制性交等罪」に統一され厳罰化されました。この改正には非常に大きな意味があります。

改正前の法定刑が強姦罪は3年以上、集団強姦罪では4年以上だったので、裁判で有罪判決を受けたとしても、執行猶予付きの判決が下される期待がありました。ところが、本改正によって厳罰化されたことで、減刑されない限り、執行猶予付きの判決が期待できなくなったのです。

執行猶予とは、文字通り「刑の執行を猶予すること」を意味します。たとえば「執行猶予4年」であれば、判決の日から4年の間、一切の罪を犯さず過ごせば刑罰が消滅します。執行猶予の期間中は、身柄の拘束を受けず会社や学校に通うことができます。したがって、日常生活の平穏を勝ち取るためにも非常に重要な意味がありました。

ただし、執行猶予を付すためには刑法第25条の規定によって一定の条件があります。執行猶予が付される条件は「3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金」に該当する場合です。つまり、最低でも5年の懲役刑が科せられる強制性交等罪は、執行猶予の対象外になったのです。

単純に法定刑が重くなったのではなく、原則的には執行猶予が許されないという重いペナルティーが科せられた点も厳罰化のひとつだといえます。

実際の刑事裁判では、犯行の悪質性、計画における主体性や役割の軽重のほか、示談や再発防止策、周囲の管理・監督の有無などによって量刑が判断されることになるでしょう。とはいえ、単に見張り役に徹しただけであってもなにもしなければ5年以上の懲役刑となり、実刑は免れません。複数人による犯行はより重い刑罰が科せられるおそれは高く、捜査の手も厳しいものになるでしょう。

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4、実刑判決を回避するためにできることは?

集団強姦に協力して刑罰の対象となった場合、実刑判決を避けるためには次の2点が重要です。

  • 被害者との示談の成立
  • 再犯防止の対策

  1. (1)被害者との示談の成立

    示談とは、当事者同士が話し合い事件の解決を目指すものです。集団強姦を行ってしまったときのように明確な被害者がいる刑事事件における示談では、被害者に誠心誠意の謝罪を行うとともに、精神的苦痛を与えてしまった賠償としての慰謝料と、病院の受診料や物の損壊、休業損害などを補償する示談金を支払うことによって民事的な責任を果たすとともに、許してもらえるよう働きかける必要があります。

    前述のとおり、集団強姦の容疑で逮捕されたケースであっても、改正によって非親告罪になったため、検察官の判断で起訴できます。とはいえ、示談が成立していれば、すでに被害に対する弁済がなされて加害者の反省が受け入れられたとして起訴を避ける方向に動くでしょう。これによって、事件化や起訴の回避が期待できます。

  2. (2)再犯防止の対策

    性犯罪は再犯防止に対してどのような対策を講じたのかが重く評価される特徴があります。たとえば、カウンセリングを受診して自分自身を見つめなおす対策も優位に評価されるでしょう。また、特に若年層の集団強姦は「仲間外れにされたくない」「友人がやっているから自分も大丈夫だろう」という誤った集団心理が強く働いているケースが多々あります。

    再犯防止のために友人、知人関係などを整理して、悪い関係からはきっぱりと離別し、その意思や行動を検察官や裁判官に示すことが大切です。

5、まとめ

複数人による強制性交等事件では、たとえ見張り役などに徹していた場合でも正犯として扱われ、重い処罰を受けます。また、刑法の改正によって集団強姦罪は姿を消しましたが、強姦罪と集団強姦罪の関係のように、より重きに処断される可能性があります。

ご自身や家族が強制性交等事件の加害者となった場合は、速やかに弁護士に相談し、被害者との示談を成立させることをおすすめします。ベリーベスト法律事務所は、改正前の強姦・集団強姦事件の豊富な取り扱い実績をベースに、強制性交等事件にも適切に対応します。被害者との素早い示談や捜査機関への働きかけが重要となるため、弁護士の選任は必須です。強制性交等事件の加害者側としてお困りのことがあれば、まずは迷わず弁護士に相談しましょう。

監修者
萩原 達也
弁護士会:
第一東京弁護士会
登録番号:
29985

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※本コラムは公開日当時の内容です。
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