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弁護士コラム

2024年01月11日
  • 性・風俗事件
  • 強制性交等致死傷
  • 致傷

不同意性交等致死傷罪(旧強制性交等致死傷罪)とは? 逮捕後の流れや弁護活動

不同意性交等致死傷罪(旧強制性交等致死傷罪)とは? 逮捕後の流れや弁護活動
不同意性交等致死傷罪(旧強制性交等致死傷罪)とは? 逮捕後の流れや弁護活動

令和5年(2023年)7月13日に改正刑法が施行され、「強制性交等致死傷罪」は「不同意性交等致死傷罪」へと変わりました。

刑法などに定められている罪の名称には難しいものもあり、どういった行為が何の罪に当たるのかがわかりにくい場合も少なくありません。特に性犯罪に関して、不同意性交等致死傷罪がどのような行為で成立するかわからない方もいるでしょう。

ただ、ご自身や身内が罪を犯して逮捕されそう、または逮捕された状況では、なるべく速やかに適切な対応をとる必要があります。そのためには、具体的な罪名や刑罰の重さを早めに知っておくにこしたことはありません。

本コラムでは、不同意性交等致死傷罪が成立する行為の内容や刑罰の重さについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。さらに、ご自身や身内が逮捕された場合の対処法に関しても要点を説明しますので、ご確認ください。

1、強制性交等致死傷罪は不同意性交等致死傷罪へ改正

令和5年(2023年)7月13日に施行された改正刑法により、従来の強制性交等致死傷罪は「不同意性交等致死傷罪」に改められました。

  1. (1)不同意性交等致死傷罪が成立する要件

    不同意性交致死傷罪は、不同意性交等罪を犯し、その結果、人を死傷させた場合に成立します(刑法第181条第2項、177条)。そのため、まずは不同意性交等罪が成立する要件を確認しておきましょう。

    不同意性交等罪は、以下の①および②の要件をいずれも満たす行為について成立します(刑法第177条第1項)。


    ① 対象行為やこれらに類する行為のうちいずれかをし、または対象事由やこれらに類する事由のうちいずれかが存在すること

    <対象行為>
    • (a)暴行または脅迫を用いること
    • (b)心身の障害を生じさせること
    • (c)アルコールまたは薬物を摂取させること
    • (d)睡眠やその他状況で意識が明瞭でない状態にさせること
    • (e)予想と異なる事態に直面させて恐怖や驚愕(きょうがく)させること
    • (f)虐待に起因する心理的反応を生じさせること
    • (g)経済的または社会的地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること

    <対象事由>
    • (a)被害者が暴行もしくは脅迫を受けたこと
    • (b)被害者に心身の障害があること
    • (c)被害者にアルコールまたは薬物の影響があること
    • (d)被害者が睡眠やその他状況で意識が明瞭でない状態にあること
    • (e)被害者が同意しない意思を形成し、表明しまたは全うするいとまがないこと
    • (f)被害者が予想と異なる事態に直面し恐怖や驚愕(きょうがく)していること
    • (g)被害者において、虐待に起因する心理的反応があること
    • (h)被害者が経済的または社会的地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮していること

    ② 上記①の行為または事由により、被害者が「同意しない意思を形成、表明し、もしくは全うすることが困難な状態にさせ、またはその状態にあることに乗じて」以下の行為(=性交等)をしたこと
    • (a)性交
    • (b)肛門性交
    • (c)口腔(こうくう)性交
    • (d)膣(ちつ)または肛門に、身体の一部(陰茎を除く)や物を挿入する行為であってわいせつなもの


    なお判例上は、処女膜裂傷も傷害に含まれ、軽度の傷害であっても不同意性交等致死傷罪が成立すると解されています(最高裁昭和25年3月15日判決、最高裁昭和24年7月26日判決)。

  2. (2)強制性交等致死傷罪から不同意性交等致死傷罪への変更点

    今回の刑法改正による変更点は名称や成立要件だけでなく、以下の各点についても変更されています。


    ① 対象行為・対象事由の拡大
    従来の強制性交等致死傷罪の対象行為・対象事由は、暴行または脅迫を用いて反抗できない状態にさせて性交等をした場合と、心神喪失または心理的・物理的に抵抗できない状態に乗じて、またはその状態にさせて性交等をした場合のみでした。

    不同意性交等致死傷罪では、対象事由・対象行為が具体的に列挙され、その範囲も大幅に拡大されました(前記参照)。

    ② 相手の「誤信」を利用して性交等を行うこと
    改正刑法では、その行為がわいせつではないと誤信をさせたり、その行為の相手について人違いをさせたり、または被害者が誤信や人違いをしていることに乗じて性交等を行うことも処罰の対象となります

    ③ 性交同意年齢の引き上げ
    「性交同意年齢」とは、有効に性的な同意をすることができる年齢を意味します。

    従来の刑法では、性交同意年齢を13歳とする考え方の下で、13歳未満の者に対する性交等が一律処罰の対象とされていました。

    これに対して改正刑法では、性交同意年齢を16歳とする考え方の下で、16歳未満の者に対する性交等が、原則として同意の有無や手段を問わず処罰の対象とされました
    ただし、13歳以上16歳未満の者に対する性交等は、行為者が被害者よりも5年以上年長である場合に限って処罰されます。

2、不同意性交等致死傷罪で問われる刑罰と時効

不同意性交等致死傷罪は、被害者の人格的尊厳を傷つけたうえにケガをさせ、または死亡させる重罪であり、法定刑は非常に重く、公訴時効期間は非常に長く設定されています。

  1. (1)不同意性交等致死傷罪の法定刑

    不同意性交等致死傷罪の法定刑は「無期または6年以上の拘禁刑」です(刑法第181条第2項、177条)。該当する行為をした場合には、初犯でも実刑判決になるおそれがあります。

    特に複数の人に対して不同意性交等致死傷罪に当たる行為をした場合や、あまりにも残虐な方法で性交等をした場合などには、無期懲役となる可能性が高いと考えられます。

    なお、傷害または死亡の結果を伴わない「不同意性交等罪」の法定刑は「5年以上の有期拘禁刑」とされています(刑法第177条第1項)。

    拘禁刑は、令和7年6月1日施行予定で、それまでの期間は従来の懲役刑が法定刑となります。

  2. (2)不同意性交等致死傷罪の公訴時効期間

    不同意性交等致死傷罪の公訴時効期間は、以下のとおりです。


    • 被害者を負傷させた場合:20年(刑事訴訟法第250条第3項第1号)
    • 被害者を死亡させた場合:30年(同条第1項第1号)


    従来の刑事訴訟法では、改正前の強制性交等致傷罪について、被害者を負傷させた場合の公訴時効期間は15年とされていました。
    しかし、性被害を告発するまでには時間がかかるケースも多いことを踏まえて、刑法改正に伴い刑事訴訟法も改正され、不同意性交等致傷罪の公訴時効期間が20年に延長されました。

3、不同意性交等致死傷罪の被疑による逮捕後の流れ

不同意性交等致死傷罪の被疑で逮捕された場合の、逮捕後の流れを解説します。

  1. (1)逮捕後の流れ

    不同意性交等致死傷罪で逮捕されると、まずは警察での取り調べが行われ、送検(検察への送致)を行うかどうかが48時間以内に判断されます。警察の取り調べで無実と判明した場合は釈放されますが、そうでなければ送検されます。

    送検された場合、検察官も自ら取り調べを行い、24時間以内(かつ逮捕から72時間以内)に留置の必要があるかを判断します。そして、検察官が留置の必要があると判断した場合、裁判官に勾留請求をします。
    勾留期間は原則10日間ですが、初回の10日間で捜査が終わらなかった場合には、一度に限り10日間の延長が認められるため、最長で20日間に及ぶ可能性があります。その間は留置場または留置施設に留め置かれ、自由に出歩くことはできません。そのため、会社や学校など、社会生活にも大きな影響を及ぼすことになってしまいます。

  2. (2)起訴されたらどうなる? 不同意性交等致死傷罪は裁判員裁判の対象

    被疑者に不同意性交等致死傷罪の十分な嫌疑があると判断した場合、検察官は被疑者を起訴します。

    起訴された被疑者の呼称は「被告人」となり、被告人の罪状について刑事裁判(公判手続)による審理が行われます。刑事裁判で有罪判決が確定すると、その内容に従って刑罰を受けることになります。

    不同意性交等致死傷罪は無期懲役に当たる罪であるため、裁判員裁判の対象です(裁判員の参加する刑事裁判に関する法律第2条第1項第1号)。裁判員裁判では、有罪・無罪および量刑が裁判官および裁判員の合議によって決まります

    被告人としては、裁判官だけでなく裁判員に与える印象も意識して、刑事裁判における主張を行わなければなりません。
    弁護士のサポートを受けながら、十分な準備を整えたうえで刑事裁判に臨むことが大切といえます

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4、不同意性交等致死傷罪で逮捕された場合の弁護活動

逮捕されて弁護士に依頼すると、段階に応じて早期釈放や、不起訴、無罪もしくは執行猶予付き判決を求めて弁護活動が行われます。罪を認めない場合と認める場合で対応も変わってくるので、順に見ていきましょう。

  1. (1)罪を認めていない場合

    罪を認めないとは、要するに無実を主張するということです。この場合、弁護士はまず不起訴を目指して活動し、起訴された場合は無罪判決を目指します。
    不起訴を目指すには、取り調べの対応と証拠の吟味が重要となります。たとえば、被害者や目撃者の証言が信用できるか、人違いの可能性はないか、主張におかしな点がないかといったことを確かめ、嫌疑なしか嫌疑不十分の状態に持っていきます。
    裁判となった場合は、法律に基づきながら裁判員にもわかりやすいように、無実である根拠や主張を伝えていきます。

  2. (2)罪を認めている場合

    これに対し罪を犯したことが事実で、それを認める場合には、被害者との示談および反省を示すための活動が主体となります。
    強制性交等致死傷罪のように性犯罪で、かつ相手を傷つけているケースでは、被害者との示談も慎重に行う必要があります。
    また、反省を示す活動としては、反省文の作成のほか、医療機関での治療、監督者の選任など、再犯を防ぐ取り組みも含まれます。

5、まとめ

令和5年7月13日に改正刑法が施行され、強制性交等致死傷罪は不同意性交等致死傷罪へと変わりました。強制性交等致死傷罪から厳罰化され、処罰の対象となる行為や範囲が拡大されました不同意性交等致死傷罪の疑いで逮捕されれば、勾留、起訴される可能性も高いといえます。そのため、早急に弁護士に相談し、サポートを受けることが重要です。

もし不同意性交等致死傷罪に当たる行為をしてしまい、逮捕される、もしくは逮捕されそうであれば、一刻も早くベリーベスト法律事務所の弁護士までご相談ください。刑事事件の解決実績を豊富にもつ弁護士がサポートいたします。

監修者
萩原 達也
弁護士会:
第一東京弁護士会
登録番号:
29985

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
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※本コラムは公開日当時の内容です。
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