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弁護士コラム

2020年04月15日
  • 性・風俗事件
  • 盗撮
  • 起訴猶予
  • 確率

盗撮で起訴猶予処分になる確率と逮捕後の対応について

盗撮で起訴猶予処分になる確率と逮捕後の対応について
盗撮で起訴猶予処分になる確率と逮捕後の対応について

盗撮をして逮捕された場合、前科がつくのを避けるためには、不起訴処分(起訴猶予)の獲得が極めて重要です。

では、どのような場合に起訴猶予処分が得られ、その確率はどの程度あるのでしょうか。

本コラムでは、盗撮の加害者となってしまった方に向けて、盗撮事件と起訴猶予処分の関係、起訴猶予となる確率などについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。基本的な知識として、盗撮とはどのような犯罪か、起訴猶予とは何か、逮捕後の流れなども確認しましょう。

盗撮行為は令和5年7月13日に新設された「撮影罪(性的姿態等撮影罪)」によって処罰の対象となります。

目次

  1. 1、【基礎知識】盗撮と起訴猶予
    1. (1)盗撮とは
    2. (2)起訴猶予とは
  2. 2、盗撮で逮捕された後の流れと起訴猶予となる確率
  3. 3、盗撮で起訴となる可能性
  4. 4、盗撮事件において弁護士ができること
  5. 5、まとめ

1、【基礎知識】盗撮と起訴猶予

まずは、盗撮と起訴猶予について、基本的な意味を知っておきましょう。

  1. (1)盗撮とは

    盗撮はケースによっては犯罪になりますが、盗撮罪という罪名はありません。盗撮とは一般に、本人に気づかれないようにこっそりと撮影する行為を指します。

    たとえば、以下のような行為が盗撮とみなされます。

    • 女性のスカートの中にスマートフォンのカメラを差し向ける
    • 他人のマンションの1室を隠し撮りする
    • 駅のトイレに小型カメラを設置する
    • 映画館等において有料上映中の映画や無料試写会で上映中の映画について、著作権者の許諾を得ずにその映画の影像の録画または音声の録音をする


    カメラの設置や差し向け行為など、実際には撮影できていなくても、撮影しようとした場合に盗撮とみなされて逮捕されることがあります。また、映画館などで映画作品を許可なく撮影したり、音声の録音をしたりする行為も盗撮にあたります。映画の盗撮行為は、海賊版の流出などによって多大な被害が発生していることから、「映画の盗撮の防止に関する法律」で規制されています。

    このように、盗撮した場所や行為様態によって、適用される法令が異なります。以下、盗撮に適用される可能性がある法令および罰則です。


    • 都道府県の迷惑防止条例:1年以下の懲役または100万円以下の罰金(たとえば東京都が定める「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」の第8条2項・第5条1項2号。なお、同条例においては、常習の盗撮行為に対する罰則として、2年以下の懲役または100万円以下の罰金(同条例第8条7項)を定めている)
    • 軽犯罪法:拘留もしくは科料またはこれらの併科(軽犯罪法第2条、第1条23号)
    • 映画の盗撮の防止に関する法律:10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金またはこれらの併科(映画の盗撮の防止に関する法律第4条1項、著作権法第119条1項)


    このほか、盗撮する目的で他人の住居や施設に侵入した場合には、刑法の住居侵入罪にあたり得ます。罰則は、3年以下の懲役または10万円以下の罰金です(刑法第130条)。

  2. (2)起訴猶予とは

    盗撮が事件化したのち、起訴されてしまうと、統計上、ほとんどのケースで有罪となります。したがって、起訴された時点で前科がつくことを覚悟すべきです。冒頭で述べたとおり、起訴猶予をはじめとした不起訴処分となるか否かで、あなたやご家族が受ける将来への影響が大きく変わる可能性が高いでしょう。

    起訴猶予とは、不起訴処分の理由のひとつです。不起訴処分とひとくちにいっても、次のようにさまざまな種類があります。

    • 起訴猶予
    • 証拠が十分にあり、起訴することもできるが、あえて起訴しないときなど


    • 嫌疑なし
    • たとえば、新犯人がほかに見つかった場合、被疑者にアリバイが存在する場合、被疑者が犯罪行為をしていないことが明白なとき、犯罪の成否を認定すべき証拠のないことが明白なときなど


    • 嫌疑不十分
    • たとえば、一定の疑いはあるが、裁判で有罪になるほどの証拠がない場合など


    • 罪とならず
    • たとえば、心神喪失状態などで罪に問えない場合、被疑者の行為が刑法等に規定されている条文に該当しない場合など


    つまり、盗撮行為をしたことが事実であり、その証拠が十分にあっても、起訴猶予で不起訴になる可能性があるのです。不起訴になれば通常は即日に釈放され、刑事裁判にかけられることも、前科がつくこともありません。厳密にいえば無罪放免とは異なりますが、実質的にはほぼ同じ結果となる側面があります。

    したがって、盗撮で逮捕された場合、今後の社会的リスクを最小限にとどめるためには、不起訴処分を得ることが極めて重要だといえます。

2、盗撮で逮捕された後の流れと起訴猶予となる確率

盗撮で逮捕されると、まずは原則として、48時間の制限時間内に警察から取り調べを受け、その後、身柄と証拠書類などが検察庁へ送られます(送致)。次に、24時間の制限時間内に検察官から取り調べを受けます。

ここまでの72時間以内に、検察官は、被疑者を釈放するか、起訴して裁判にかけるのかまたは裁判官に対して勾留請求をするのか等を判断します。勾留請求は、被疑者が罪を犯したことが疑われ、かつ、証拠の隠滅をしたり逃亡したりするおそれがあるなどの理由がある場合に行われます。72時間以内に起訴しない場合または裁判官に対して勾留請求をしない場合には、検察官は直ちに被疑者を釈放します。

勾留が認められた場合、被疑者は身柄を拘束されます。身柄の拘束期間は、検察官が勾留の請求をした日から、原則として10日間、やむを得ない事情がある場合に、さらに最長10日間の延長が認められます。

裁判官が勾留請求を却下すればすぐに釈放されますが、勾留が認められると、身柄の拘束が続きます。勾留期間が満了するまでに検察官は起訴・不起訴の判断をします。起訴されるとおよそ2か月後に行われる刑事裁判を待つ身となるか、略式命令で罰金刑を支払ったうえで釈放されます。

日本の刑事裁判は、起訴後の有罪率が約99%と非常に高いため、起訴されると大半は有罪判決を受けることになります。

盗撮は、複数の法令違反に該当する可能性があるため、盗撮で起訴猶予となる確率は公表されていません。ここでは参考までに、刑法犯全体における起訴率や、どのくらいの割合で起訴猶予となるのかを見てみましょう。

平成30年版犯罪白書によれば、平成29年中における刑法犯の起訴率は37.5%、不起訴率は62.5%と、不起訴となる確率のほうが高いことがわかります。また、起訴・不起訴全体のうち、起訴猶予となった人の割合は42.0%、不起訴のうち起訴猶予となった人の割合は67.2%となります。起訴猶予となる確率は意外にも高いといえるでしょう。

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3、盗撮で起訴となる可能性

罪に問われている盗撮行為が性犯罪に類する犯行であれば、軽犯罪法や迷惑防止条例違反に該当する可能性が高いと考えられます。たとえば、処罰が6か月以上10年以下の懲役が設定されている強制わいせつ罪などそのほかの性犯罪と比較すれば、法定刑は軽いため、不起訴になりやすいのではないかと考える方もいるようです。

しかし、起訴・不起訴の判断は、個別の事件に応じて検察官が判断しています。したがって、盗撮行為で事件化した場合、確実に不起訴処分になる方法はありません。初犯であっても起訴される可能性があることも覚悟しておくべきでしょう。

盗撮で起訴される可能性が高いのは、事件が悪質な場合、被害が大きい場合などです。たとえば、次のようなケースです。

  • 盗撮事件を繰り返していて余罪が多い、被害者が大勢いる
  • 以前にも盗撮容疑で逮捕され、刑事罰を受けている
  • 特定の人を狙って執拗に盗撮している
  • 盗撮した相手が児童や未成年の学生だった
  • 被害者の精神的苦痛が大きく、処罰感情も強いため示談が成立していない


また、盗撮以外の犯罪容疑がかかっている場合も起訴されるおそれが高いといえます。

  • 盗撮をする際に住居侵入や器物損壊を行った
  • 盗撮した写真や動画をインターネットやSNSで公開した、販売した
  • 盗撮だけでなく痴漢行為もした

4、盗撮事件において弁護士ができること

盗撮事件を起こした場合は、弁護士に相談するべきです。弁護士は、さまざまな角度から、逮捕・勾留の回避や起訴猶予処分の獲得に向けて活動できます。

まず、起訴を回避したいのであれば、被害者と示談交渉をすることが有効です。盗撮を犯した事実があっても、示談が成立し、被害者から宥恕(寛大な心で許すこと)意思が得られれば、起訴猶予処分となる可能性を高めることができます。なぜなら、警察や検察をはじめとした捜査機関は、被害者の処罰感情を非常に重視するためです。

しかし、盗撮の被害者は、加害者へ嫌悪感情を抱き、直接の接触を拒否するケースが大半です。そもそも、被害者と面識がない場合には、直接交渉することすらできないでしょう。捜査機関は、被疑者本人やそのご家族に被害者の個人情報を教えることはないためです。それでも、弁護士が間に入ることで、被害者との交渉が実現できるケースは多々あります。被害者側から法外な示談金を請求されるといった事態も避けられる可能性が高まります。

被害者が示談に応じない場合や、不特定多数の人に盗撮していて示談の相手方が明らかにならない場合でも、弁護士は検察官にはたらきかけ、起訴猶予を求めます。たとえば、次のような点を主張します。

  • 深く反省していて繰り返し謝罪の言葉を述べている、二度と盗撮しないと誓っている
  • 同居の家族が身元引受人となり、本人を監督する環境が整っている
  • 性依存症(認知のゆがみ)治療のクリニックに通っている、カウンセリングを受けている


このほか、取り調べへの対処法をアドバイスしてもらうのも有効です。早く釈放されたいからといって取り調べ中に事実と異なる供述をすれば、供述調書をとられているため、後になって覆すのは困難となります。こうした事態を避けるには、弁護士から正しい対処法を聞いておくことが非常に大切です。

5、まとめ

盗撮をしてしまった場合、速やかに対処することで社会生活への影響を最小限に抑えることができます。特に不起訴(起訴猶予)となれば前科がつかず、社会復帰もしやすくなるため、被害者との示談交渉などを通じて不起訴を目指すべきでしょう。

ただし、逮捕されている間は当然ながら、在宅のまま捜査が進められている場合でも、本人がやみくもに動くのは賢明な方法とはいえません。まずは弁護士へ相談し、今後の流れや対処法についてアドバイスを仰ぐことを強くおすすめします。

あなた自身やご家族が、盗撮容疑で捜査されている状態でお悩みであれば、ベリーベスト法律事務所にご連絡ください。状況を丁寧にお伺いし、最善の方法でサポートします。

本コラムを監修した弁護士
萩原 達也
ベリーベスト法律事務所
代表弁護士
弁護士会:
第一東京弁護士会

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
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※本コラムは公開日当時の内容です。
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