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強制性交等罪に示談は有効? 示談内容や手続きについて解説
強姦罪と呼ばれていた犯罪は、平成29年の刑法改正によって「強制性交等罪」になりました。処罰対象となる行為の拡大や厳罰化などによって扱いが大きく変わり、厳罰化されています。
もしも、強制性交等罪に問われた場合、被害者に対して謝罪や示談を行おうと考える方がほとんどでしょう。
そこで本コラムでは「強制性交等罪に示談は有効か?」という疑問について、弁護士が解説していきます。
令和5年7月13日に強制性交罪は「不同意性交等罪」へ改正されました。
1、強制性交等罪における示談の役割
強制性交等事件において「示談」はどのような役割を果たすのでしょうか?
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(1)示談は双方の合意による解決
「示談」とは、犯罪の加害者と被害者のようなトラブルの当事者同士が裁判所の手続きを経ることなく双方が合意のうえで和解する手続きのことです。強制性交等事件でも示談は重要な役割をもちます。
話し合いの方法に決まりはありませんが、示談が成立してトラブルが解決したことを当事者以外に対して証明するために「示談書」を取り交わすのが一般的なルールです。
また、必ずしも当事者本人が話し合いをしないといけないわけではなく、弁護士同士による話し合いだけでも解決できます。トラブルの当事者同士が話し合うとさらに別のトラブルに発展するおそれもあるため、穏便な解決を目指すのであれば弁護士の介入が有効です。 -
(2)示談が成立した場合、不起訴や減刑が期待できる
示談の成立には、加害者から被害者に対する「示談金」を支払う流れが一般的です。示談金には、実際に発生した損害への賠償に加えて、被害によって生じた精神的なショックに対する慰謝料なども含まれます。
被害者との示談が成立すれば、以下のような効果が期待できるでしょう。
- 早い段階では警察による逮捕を回避し、在宅捜査を受ける。もしくは捜査が終了する
- 逮捕後は、検察官が勾留請求や起訴を見送って不起訴処分を下す
- 起訴後、被害者が「許す」ことで被害はある程度回復されたとみなされ、刑罰の減刑が得られる
2、強制性交等罪の構成要件
強制性交等罪が成立する要件を確認しておきましょう。
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(1)暴行または脅迫を用いて性交をする
性交にいたる過程で、相手に暴行・脅迫をはたらいて行為を強いた場合、強制性交等罪が成立します。
本来、性的な行為は双方の合意によって営まれるものであり、暴行・脅迫などの威圧的な手段を用いて行為を強いることがあれば処罰されます。また、相手が13歳未満であれば、性的な行為に対する認識力が低いため、たとえ合意があっても強制性交等が成立します。 -
(2)「性交等」の定義
性交等のなかに、性交、つまりセックスが含まれることは当然理解できるでしょう。「等」としては、肛門性交・口腔性交が挙げられます。
また、性交そのものの解釈としては、射精や妊娠の有無は問いません。 -
(3)性別は問わない
強制性交等罪では、対象の性別を区別していません。いわゆる「逆レイプ」と呼ばれるような、女性が男性に対して性交を強いる行為のほか、同性間でも性交等が成立するおそれがあります。
3、示談交渉の流れ
強制性交等事件における示談交渉の流れや、示談金の相場などについて確認していきましょう。
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(1)示談交渉の全体的な流れ
強制性交等事件における示談について、全体的にまとめると次のような流れになります。
- 被害者との交渉
- 条件の調整
- 示談書の作成
- 示談金の支払い
- 示談書の取り交わし
まず、被害者に「示談をしたい」と申し入れて、示談交渉の可否を尋ねます。この段階ですでに「示談はしない」と拒絶する被害者も少なくなく、しつこく求めていると被害者が「恐怖をおぼえている」と警察に通報してしまうおそれがあるので、慎重な対応が必要です。
示談交渉が受け入れられたら、双方が示談の条件を調整します。加害者としては被害届・告訴の取り下げを求めるのが一般的で、被害者からは謝罪と実際に生じた損害への賠償や慰謝料を含めた示談金の支払いが提示されます。
双方が条件に合意したら、示談書を作成します。示談書の存在は、示談成立の絶対要件ではありませんが、後々に「合意があった」と証明する唯一の物的証拠となるので、必ず2部作成しておきましょう。
示談書を作成し、双方が内容を確認したうえで問題がなければ、被害者に対して示談金を支払い、双方が示談書に署名・押印をして1部を加害者が、もう1部を被害者が保管します。 -
(2)示談金の相場額
示談では「示談金」が支払われるのが一般的です。別の事件では謝罪広告の掲載などが条件になる場合もありますが、民法では「損害賠償は金銭による」との定めがあるため、示談金の支払いによって決着するのが適切でしょう。
示談金の相場は一律ではありません。まったく同じ被害でも被害者の精神的なショックの度合いが異なるほか、犯行にいたった悪質性なども考慮されるため、一概には決められないのです。
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4、示談交渉を弁護士に依頼する理由
強制性交等事件の示談交渉は、弁護士に依頼するのが賢明です。
まず、加害者本人やその家族が被害者の住所や連絡先を知らない場合、示談交渉をもちかけようにも被害者の住所や連絡先などの情報を知る手段がありません。そもそも、加害者本人が逮捕されている状態であれば、本人は自由に行動できないため示談交渉ができません。
この場合は弁護士に依頼して、警察や検察官にはたらきかけてもらうことではじめて被害者との連絡が可能となり、示談交渉のスタートラインに立つことができるのです。
また、強制性交等事件では、被害者に重度の精神的被害を与えてしまっていることが多く、示談交渉が難航しがちです。特に示談金の額で意見が食い違うケースが多く、なかには巨額の示談金を提示してくる被害者もいます。
示談交渉を弁護士に一任すれば、被害者との交渉においても許容の範囲内で着地するように調整してもらえると期待できるでしょう。
さらに、示談書の作成や、有効な示談の取り交わしについてもサポートが受けられます。弁護士が同席したうえでの示談成立であれば、後にトラブルが発生するおそれも低いでしょう。
強制性交等は、示談の難易度が非常に高い事件です。示談成立を目指すのであれば、弁護士への相談・依頼をおすすめします。
5、まとめ
強制性交等事件を起こしても、示談が成立すれば逮捕・起訴の回避や刑罰の減刑が期待できます。
強制性交等事件の示談成立を目指すのであれば、刑事事件の解決実績が豊富なベリーベスト法律事務所にご相談ください。
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※本コラムは公開日当時の内容です。
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