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弁護士コラム

2020年09月20日
  • 性・風俗事件
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家族が性犯罪で逮捕!どんな罪に問われる? いますぐ行うべき対策とは

家族が性犯罪で逮捕!どんな罪に問われる? いますぐ行うべき対策とは
家族が性犯罪で逮捕!どんな罪に問われる? いますぐ行うべき対策とは

性犯罪にはさまざまな種類があり、犯罪が成立する要件や刑罰の内容が異なります。

ご家族が性犯罪の加害者として逮捕された場合には心配が尽きないでしょうが、まずはどの犯罪にあたるのか、刑罰はどれくらいの重さになるのかを整理しましょう。

また、性犯罪は再犯率が高いことから、初犯か再犯かの事情も量刑に影響をおよぼします。
そのため、再犯にいたる動機や再犯防止策について理解を深め、家族として何ができるのかを知ることが大切です。本コラムでは、性犯罪の種類や刑罰の内容、再犯の状況などについて解説します。

令和5年7月13日に強制わいせつ罪は「不同意わいせつ罪」へ、強制性交罪は「不同意性交等罪」へ改正されました。

目次

  1. 1、性犯罪の種類
  2. 2、性犯罪事件で問われる刑罰
    1. (1)暴力や接触がともなう性犯罪と刑罰
    2. (2)暴力や接触がともなわない性犯罪と刑罰
    3. (3)厳罰化された性犯罪
    4. (4)初犯と再犯の刑罰の違い
  3. 3、性犯罪は再犯率の高い犯罪
    1. (1)再犯率が高い性犯罪の種類
    2. (2)再犯の動機
    3. (3)再犯防止に向けたサポートの内容
  4. 4、性犯罪で逮捕されたら早期に弁護士へ
    1. (1)早期に本人と面会する
    2. (2)被害者との示談交渉を進める
    3. (3)違法な捜査に抗議する
  5. 5、まとめ

1、性犯罪の種類

性犯罪は大きく分けて「暴力や接触がともなう犯罪」と「暴力や接触がともなわない犯罪」があります。

暴力や接触がともなう性犯罪には、同意のないわいせつ行為や強姦(レイプ)、児童買春などがあります。

一方、暴力や接触がともなわない性犯罪には、児童ポルノ所持・製造や身体の露出、盗撮やのぞき、下着泥棒などが挙げられます。被害者に対する直接の暴力や接触はなくても、被害者に精神的苦痛を与え、今後、暴力や接触がともなう性犯罪に発展する可能性が高いとみなされる犯罪行為です。

2、性犯罪事件で問われる刑罰

性犯罪で逮捕された場合に問われる具体的な罪名や刑罰の内容を、種類ごとにみていきましょう。

  1. (1)暴力や接触がともなう性犯罪と刑罰

    【わいせつ行為】
    わいせつ行為とは胸や陰部を触る、下着を脱がせるなどの行為を指します。以下の罪があり、刑罰はいずれも「6か月以上10年以下の懲役」です(刑法176条、178条、179条1項)。

    • 強制わいせつ罪:13歳以上の者に暴行・脅迫を用いてわいせつ行為をした
    • 準強制わいせつ罪:人の心神喪失・抗拒不能に乗じ、またはその状態にさせてわいせつな行為をした
    • 監護者わいせつ罪:18歳未満の者に対し、監護者であることを利用してわいせつな行為をした


    【強姦(レイプ)】
    強姦は性交、肛門性交、口腔性交(性交等)を指します。以下の罪があり、刑罰はいずれも「5年以上20年以下の懲役」です(刑法177条、178条2項、179条2項)。

    • 強制性交等罪:13歳以上の者に暴行・脅迫を用いて性交等をした
    • 準強制性交等罪:人の心神喪失・抗拒不能に乗じ、またはその状態にさせて性交等をした
    • 監護者性交等罪:18歳未満の者に対し、監護者であることを利用して性交等をした


    【児童買春】
    18歳未満の児童に対償を提供・約束をして性交や性交類似行為をすると児童買春罪にあたります。刑罰は「5年以下の懲役または300万円以下の罰金」です(児童買春・児童ポルノ禁止法4条)。
    児童が13歳未満の場合は強制わいせつ罪・強制性交等罪にも該当します。

    なお、18歳未満の者との性交・性交類似行為は、恋愛関係にあったとしても都道府県の青少年健全育成条例違反となる可能性があります。東京都の刑罰は「2年以下の懲役または100万円以下の罰金」です(18条の6、24条の3)。

    【痴漢】
    人の身体を触る、なでるなどの痴漢行為は都道府県の迷惑防止条例違反にあたります。
    東京都の刑罰は「6か月以下の懲役または50万円以下の罰金」です(東京都青少年の健全な育成に関する条例5条1項1号、8条1項2号)。

    また、悪質な痴漢は強制わいせつ罪に問われる場合があります。

  2. (2)暴力や接触がともなわない性犯罪と刑罰

    【児童ポルノの所持・製造】
    児童の裸体などを記録した写真・動画などの児童ポルノを自分のために所持すると「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」(児童買春・児童ポルノ禁止法7条1項)、提供目的で製造すると「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」を科せられます(同法7条2項)。

    【露出】
    人前で裸になる、陰部を露出するなどの行為は公然わいせつ罪となり「6か月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料」を科せられます(刑法174条)。科料とは1000円以上1万円未満の財産刑です。

    【盗撮】
    スカートの中を撮影するなどの盗撮行為は都道府県の迷惑防止条例違反にあたります。東京都の刑罰は「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」です(5条1項2号)。

    【のぞき】
    人の住居や風呂場などをのぞき見ると軽犯罪法違反として「拘留または科料」に処せられます(1条23号)。

    【下着泥棒】
    アパートのベランダに侵入するなどして下着を盗むと、窃盗罪(刑法235条)として「10年以下の懲役または50万円以下の罰金」が科せられます。もし実際には下着を盗んでいなくても、不法に侵入すれば住居侵入罪(刑法130条)が成立し「3年以下の懲役または10万円以下の罰金」に処されます。

  3. (3)厳罰化された性犯罪

    性犯罪は平成29年施行の刑法改正で厳罰化されましたが、それ以降も悪質な性犯罪が後を絶ちません。

    平成31年には、各地裁で性犯罪の無罪判決が相次いだことを受けて被害者らによる抗議運動が全国に広がるなど、性犯罪への社会的関心が高まっています。

    令和2年度には、関係府省会議が立ち上げられ、令和4年度までの3年間が「性犯罪・性暴力対策の集中強化期間」と位置づけられました。現在は、被害者支援の充実や有罪が確定した者へのGPS機器の装着義務化といった具体的な取組について議論が進められています。

  4. (4)初犯と再犯の刑罰の違い

    初犯のケースでは、被害の大きさや本人の反省の度合いなど複数の事情を考慮したうえで、更生の余地があるとみなされれば、刑が減軽される可能性があります。

    これに対して再犯のケースでは、更生する機会があったにもかかわらず再度罪を犯していることから反省していないとみなされ、刑が重くなる傾向があります。

3、性犯罪は再犯率の高い犯罪

性犯罪は再犯率の高い犯罪です。なぜ再犯にいたるのか、再犯を防止するために何ができるのかを知ることが大切です。ここでは平成27年版犯罪白書の再犯調査などをもとに、再犯率の高い犯罪や再犯の動機、再犯防止策などを確認しましょう。

  1. (1)再犯率が高い性犯罪の種類

    再犯状況の調査対象者のうち、全再犯(罪名を問わないすべての再犯)の割合は全体の20.7%ですが、そのうち67.4%が性犯罪の再犯者が占めています。中でも小児わいせつや痴漢、盗撮の再犯率が高い傾向があります。

    また性犯罪では知人や親族など顔見知りによる犯行が多い傾向がありますが、再犯に関しては痴漢や盗撮のように面識のない相手への犯行も多くなっています。

  2. (2)再犯の動機

    動機の調査では、性的欲求や接触欲求の充足やストレス発散、スリルなどが挙げられました。ほかにも支配欲や征服欲、異性に対する認知のゆがみなどがきっかけとなり、再犯にいたる場合があります。

    また、身元引受人がいる仮釈放では性犯罪再犯率が10.3%であるのに対して、満期釈放者は25.4%と倍以上の性犯罪再犯率になっています。性犯罪において、出所後は家族・親族などのサポートが非常に重要であるといえるでしょう。

  3. (3)再犯防止に向けたサポートの内容

    性犯罪では刑罰を受けるだけでなく、再犯をしないための対策が重要です。たとえば次のようなサポートを受けられます。

    • 刑事施設による性犯罪再犯防止指導
    • 保護観察所による性犯罪処遇プログラム
    • 地方自治体による心理カウンセリングや社会復帰の支援
    • 民間の医療機関による認知行動療法にもとづく治療や、自助グループによる回復支援
    • 家族による監督や生活環境の整備、精神的な支援


    これらのサポートは有罪が確定した後に受ける場合だけでなく、判決前から受ける場合もあります。
    たとえば保釈中に専門家からカウンセリングを受けたり治療計画を作成してもらったりした場合、再犯防止のための措置がとられており社会での更生に期待できるとみなされ、執行猶予付き判決につながる可能性もでてきます。

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4、性犯罪で逮捕されたら早期に弁護士へ

家族が性犯罪の加害者として逮捕されたら、すみやかに弁護士へ相談してください。弁護士は次のような活動を通じて加害者およびそのご家族を支援します。

  1. (1)早期に本人と面会する

    逮捕された直後の72時間はご家族であっても本人と面会できません。勾留段階に入ると通常は面会できますが、重大事件で本人が否認しているような場合には接見禁止が付されてご家族との面会がかなわないケースもあります。

    一方、弁護士だけは逮捕直後や接見禁止期間中でも制限なく面会が可能です。取り調べ対応に関するアドバイスやご家族からのメッセージを伝えることで、本人はもちろんご家族の不安も軽減しサポートします。

  2. (2)被害者との示談交渉を進める

    被害者との示談が成立すると、起訴・不起訴や量刑の判断に際してプラスの要素として扱われる可能性があります。

    しかし、性犯罪の被害者は恐怖心などから加害者側との接触を嫌う傾向があり、被害者の連絡先を知ることは困難です。

    そこで、第三者の立場である弁護士が介入し、被害者の心情に配慮してはたらきかけることで、被害者の恐怖心を緩和させ、交渉に応じてもらえる可能性が高まります。また、弁護士であれば捜査機関を通じて、被害者の許可を得たうえで連絡先を入手できる可能性があります。

  3. (3)違法な捜査に抗議する

    捜査機関による違法な捜査や取り調べがあれば、弁護士が抗議し、本人の人権を守ります。検察官の提出した証拠が違法に収集されたものであれば証拠能力を否定し、刑事裁判の証拠とならない旨を主張します。

5、まとめ

性犯罪にはさまざまな種類があり、刑罰の内容も大きく異なります。同じ罪名にあたる場合でも、事件の悪質性や被害の大きさなどによって裁判で言い渡される量刑が変わってきます。
家族が性犯罪の加害者として逮捕されたのであれば、早急に弁護士へ相談しましょう。


加害者弁護の実績が豊富なベリーベスト法律事務所が事件の解決に向けて全力でサポートします。

本コラムを監修した弁護士
萩原 達也
ベリーベスト法律事務所
代表弁護士
弁護士会:
第一東京弁護士会

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
当事務所では、元検事を中心とした刑事専門チームを組成しております。財産事件、性犯罪事件、暴力事件、少年事件など、刑事事件でお困りの場合はぜひご相談ください。

※本コラムは公開日当時の内容です。
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